プライベートでいつも利用して、マスターとも仲良くしている飲食店が周年パーティー。
手ぶらじゃなくて何かしらのお祝いの品を持っていきたいところですよね。
お店の周年祝いにふさわしいワインはどのように選べばいいのか。
人とはかぶらないおすすめのワインをご紹介します。
周年祝いにワインを贈って失敗するとすれば・・・
プレゼントを贈って失敗するって、その実そんなにないですよね。
あるとすれば相手の嫌いなもの・不要なものを贈ってしまった場合。
今回は飲食店の周年のお祝いに贈るワインを考えます。その前提から、ワインもしくは何かしらのお酒を提供しているお店でしょう。
店主の方もきっとお酒を飲まれるはず。
あるとすればこんなパターン。
入店して取り出してみたら・・・・
こんばんは。〇周年おめでとうございます!
かばんや袋からお祝いにと思って持ってきたワインを取り出す。
そしてふと前を見ると、見覚えのあるワインが。
そう。持参したワインとほかの方が先にプレゼントされたワインが同じもの!
別にいいんですよ。ワインは腐らないし、美味しいワインは何本あってもいい。
マスターがガッカリすることはない。
一番ダメージを受けるのはあなた自身。「あちゃー、かぶっちゃったか。」
失敗談として考えられるのは、こんなところでしょう。
ありきたりなワインならその可能性も
膨大な種類が流通しているワイン。本来、全く接点のない2人がプレゼントに贈るワインが同じ銘柄という確率は、天文学的に低いはず。
しかしある程度相場が決まっていて、同じように百貨店などの売り場で相談しておすすめを買ったなら、偶然の一致は十分起こりえます。
「お祝い事ならやっぱりシャンパンがいいよね。どんなものかわかるように、有名なものがいいかな。だとすれば・・・」そんな風にありきたりな選び方をすれば、ありきたりなワインが選ばれます。
そういうのって、飲食店のマスターは幾度となく飲んでいるかも。
こないだ周年祝いでもらったワイン、初めて飲みましたがとっても美味しかったです。ありがとうございました!
そう思ってもらえるには、どんな選び方をすればいいのでしょうか。
周年祝いの相場観
個人的にお店の周年祝いにプレゼントを贈る相場の金額。
一説には5千円~1万円とか、いや1万5千円くらいまでとか諸説ありますが、もちろんお店によって違います。
私自身がそこまで高級なお店で懇意にしているところがない、というかまだできないので、客単価2万円~のお店というのは正直わかりません。
ただ、お店のSNSなどや知人のお店の話を聞く限り、客単価の1~2人分くらいのものが多いように感じます。
つまり飲み食いして一人5000円くらいのお店なら、5000~1万円が相場ということです。
ただし、いかにカジュアルなお店であったとしても、最低でも3000円くらいのものではないと格好はつかないと考えます。
ひとまず今回は、5000~1万円と2万円くらいのワインでご紹介しています。
※紹介するワインの中には限定入荷のものもございます。完売の際はご了承ください。
そのワインの背景に意味を込めた周年お祝いワインの選び方
お店の周年にワインを贈る。そのことに込めるあなたの一番の願いってなんでしょうか?
単にそのお店が気に入っているなら、わざわざ込みあう周年パーティーに行かなくていいし、贈り物もする必要はない。
普段利用するときにその空間がとても居心地よく感じているから、その感謝を込めて。そしてそのお店が今後も長く続いていくことを願って。
ワインに込めるのはそんな想いでしょう。
歴史のある生産者がつくるワインを
ワイナリーの歴史って、少なからずワインの味わいに影響すると思うんです。
200年続いてきたワイナリーなら、今後も200年続くと信じられる。だからこそ10年20年で成果が出ないかもしれないことにも投資ができる。
新興のワイナリーには、単純な資金力の問題以外にも、マネできないことってあると思うんです。
そして歴史ある生産者を探っていけば、200年なんてザラにあります。
さらに長い間ワインをつくり、それが人々に飲まれてきた。
そんな時を超えるワイナリーがつくるワインに、お気に入りのお店が永く続くことを願ってみてはいかがでしょうか。
※紹介するのはいずれも数に限りのあるバックヴィンテージです。完売の際はご了承ください。
「星の王子様」のシャトーは300年の歴史
ボルドーの生産者の歴史を紐解くと、シャトー(お城)の売買記録が手掛かりになることが多いようです。
このシャトーは300年以上前の1697年に、シモン・マレスコ氏が手に入れています。
その血筋なのかは不明ですが、1827年にはジャン=バティスト・ド・サンテグジュペリ氏が購入しています。彼は「星の王子様」で有名なアントワーヌ・ド・サンテグジュペリ氏の曽祖父です。
ボルドー、メドック地区の著名シャトーであり、ソムリエなら誰でも知っている生産者です。昔からいいワインを飲んでおられるような方もご存じでしょう。
ロワールで10代つづく生産者の白ワインを贈る
どうも贈り物需要だと赤ワインやシャンパンが選ばれることが多いですが、白ワインがダメな理由はありません。
もし相手のマスターが白ワインがお好みなら、普段あまり選ぶことのないクラスのものを贈るのもいいでしょう。
ロワールの高級ソーヴィニヨン・ブランは、ソムリエでもそれほど頻繁に口にする機会がありません。
生産者としてはプロの間で名が通っていますので、「有名だけど飲むことの少ないワイン」として、ワインのプロに喜んでもらえることでしょう。
少なくとも1643年以前に設立された生産者の熟成甘口ワインを贈る
シャトー・クーテの歴史をさかのぼれば、1643年にシャルル・ル・ゲラン氏が所有していたところまではっきりしているといいます。
当時から現代のような貴腐ブドウをつかったデザートワインが作られていたかはわかりません。
シャトー・クーテはその所有者を幾度も変えながら、400年近くにわたってこの地をリードする生産者でありつづけています。
飲食店のタイプに合わせた周年お祝いワインの選び方
周年祝いに贈ったワインは、おそらく店主・マスターがプライベートで飲まれたり、お店のスタッフとまかないとして楽しまれるのでしょう。
プレゼントの目的は相手に喜んでもらうことであり、選び方の基本は相手の好きなものを選ぶこと。
飲食店の形態・ジャンルによって、お店の方がどれだけワインに詳しいかは大きく変わってきます。
それほど詳しくない方にマニアックすぎるワインを贈るのも、相当詳しい方にありきたりすぎるワインを贈るのもミスマッチ。
周年を迎えるお店がどんな業態かで場合分けをして、選び方のしようとしてみます。
和食や中華などワインを飲むお客様は一部だと思われる飲食店に
あくまで一般論ですが、ワインにあまり力を入れていない飲食店のマスターが、ものすごくワインに詳しいケースは稀でしょう。
それほどワインに詳しくない方にプレゼントするなら、ほどほどにベタでも知名度があるワインがいい。そういうものは幅広層に受けるような味づくりをしているものなので、飲んでもらったときにも大外ししにくいのです。
正直当店のラインナップは、「どこにでも置いているワインならほかのお店に任せよう。当店ならではのものを」というセレクト。なのでベタで知名度があって供給量もあるワインはほとんどないんです。
なので「知名度の高いワインのなかではマイナーな方」というラインナップですが、予算別におすすめをご紹介します。
予算1万円前後で選ぶなら
世界的なコンテストでは数多の結果を残しているのですが、正直日本での知名度はまだまだ。
予算2万円前後で選ぶなら
とある映画のワンシーンにおいて重要なアイテムとして登場したワイン。その一言を添えるなら知名度を補えるかも。
ビストロやトラットリアなど料理もワインも力を入れているカジュアルなお店に
客単価3000~5000円のお店に、2万円のワインをお祝いに持っていくのは、少し頑張りすぎな気もします。
とってもベタすぎるワインと、そのお店のワインリストにあるワインはまず避けましょう。
マスターがどれくらいワインに詳しいかは、お店によりけり・人によりけりでしょう。もしそこまで詳しくなさそうなら、マニアックなワインは避けた方が無難。
有名産地のワインならおおよその価格が推定できるものなので、マスターにも「いいものもらった」と喜んでもらいやすいのでは。
そのうえで、ワインボトルのデザインに迫力があると、周年祝いの品を並べたときに目立ちます。
予算5000円前後で選ぶなら
シャンパンが高級なお酒というのは、みなの共通の認識。
商品ページに書いていますが、このシャンパンはワケあってエチケットデザインがずっとかわりません。「ずっと居心地のいいお店でいてください」という願いを込めて、ぴったりでしょう。
ナパ・ヴァレーのカベルネ・ソーヴィニヨンというだけで、おおよそ4000円以上は確定。
見た目もエレガントですが、味わいも豪華で表現力豊かな赤ワインです。
予算1万円で選ぶなら
ギフトボックスに入れてのラッピングを依頼したり、自分でフィルムなどをつかって包装するのもいいですが、やっぱり専用の化粧箱はプレゼントの際に映えますね。
エッフェル塔が描かれたこのシャンパンなら、見た目のインパクト抜群!たくさんの贈り物がある中だとしても目立つ迫力があります。
リストランテなどソムリエがきっちりとしたサービスをする高級店
一人1万円・2万円とするような高級なお店だと、5000円のワインだとちょっと物足りないかも。下手するとグラスワイン提供しているようなものと同クラスです。
ワインのプロであるソムリエがいるなら、ちょっとマニアックなものでもOK。むしろ物珍しい方が、「おっ!」と言わせられるでしょう。
あんまり突飛なものではなく、お店のコンセプトに合わせるのが無難。フランス料理店ならフランスワイン、リストランテならイタリアワインのように。そのうえでレア感があると喜ばれるでしょう。
予算1万円のフランスワインで選ぶなら
ボルドーで日本人が畑を所有しワインをつくっている例は希少。さらに数千本程度の生産量はかなり少ない方です。
希少性のわるワインとして、満足してもらえることでしょう。
予算2万円で選ぶなら
とはいったものの、生産者や年をこだわらなければ、プロなら酒屋さん経由で何かしらを手に入れるのは難しくありません。
とはいえそれはフランスやイタリアの熟成ワイン。カリフォルニアのものはめったに手に入りません。
そういう意味でこのワインは珍しさがあり、長く覚えておいてもらえること請負です。
ワインバーなどワインを中心としたお店
ワインを稼ぎ頭としているお店のマスターは、当然ワインに詳しいです。特にワインバーは個人経営とか小規模なお店が多いので、そのお店のラインナップがすなわちマスターの好みと考えていいでしょう。
そういう点で、相手の好みを想像しやすい。
そのうえで特に喜ばれるのは、入手困難なワインでしょう。常に流通しているワインなら、業務卸の酒屋を通して入手できるからです。ただ、その入手困難さを見極めつつ、手に入るタイミングで入手するのは非常に難しいです。
なのでその店主の想定外をいく、とがった個性を持つ珍しいワインを贈るのはいかがでしょう。当店は割と珍しいもの、楽天でうちしか持っていないようなものも扱っています。マスターの想像の斜め上をいくことはできるはずです。
予算1万円であっと驚かせたいなら
ドイツでカベルネ・ソーヴィニヨンとメルローのブレンド。それも実験的な廉価品じゃなくて1万円クラス。
控えめに言って意味がわかりません。
それで熟成していておいしいとなれば、私ならプレゼントしてもらったことを30年は忘れません。そして「どうやってこのワイン選んだんですか?」と聞きたくなります。
予算2万円であっと驚かせたいなら
カベルネ・ソーヴィニヨンを中心にメルローやカベルネ・フラン、マルベックやプティ・ヴェルドのブレンド。そういった「ボルドーブレンド」は多くの国でつくられています。しかしニュージーランドでこの価格帯で取引されるものがあるのを知っているソムリエさんはわずかでしょう。
ソムリエなら知らないワインをもらったら100%どんなものか調べます。「こんなものあったんだ!」と驚かせることができるでしょう。
生産量極少、かつ入手ルートもわずかです。
ゴールは「お祝いにいただいたワイン、美味しかったです!」
いろいろ詳しく選び方をご紹介しました。しかし「策士策に溺れる」ではいけません。
あくまでゴールはマスターに喜んでもらうこと。次に伺った際に、「こないだのワイン、美味しかった!」と言ってもらうことです。
決して自分から「こないだのワイン、どうでした?」と聞いてはいけません。感想が気になる気持ちもわかりますが、そう聞かれると日本人は絶対に「美味しかったです」といいます。向こうから言ってもらえて、初めて喜んでもらえたということです。
この選び方が絶対ではありません。極端な話、予算だけ参考にしていただいて、あなたが好きなワインを贈るというのも一つの方法です。
すべては居心地のいい空間を提供してくれる、マスター・店主への感謝。そしてこのお店が続いてくれることへの願い。
気持ちが一番大事ということをお忘れなく。