《生産者について》
イングランドの南東部。イギリスで最も温暖で乾燥した地域とされるエセックス州があります。年間降水量は450mmと少なく、年間日照時間はブルゴーニュのディジョンに匹敵するそうです。
クラウチ・ヴァレー タンブリー村に2012年設立されたのが、「タンブリー・リッジ・ワイン・エステート」。コンサルタントにはマスター・オブ・ワインのジョン・アトキンソン氏がつきます。
25haの畑の特徴は、青粘土土壌があること。これはボルドーのシャトー・ペトリュスに顕著にみられる土で、ラトゥールやシュヴァル・ブラン、ディケムの畑にもあるそうです。「イングランドのペトリュス」などと紹介されるのはそれが理由です。
土地を購入したのは1988年で、当初は他の作物を育てていました。しかし後にブドウ栽培に適した土地であることがわかります。当初はブドウを販売していましたが、2019年からは自社の設備で製造を開始。瞬く間にイギリス産スティルワインでトップの地位に上り詰めました。
《テイスティングノート》
イングランドはブドウ栽培の北限に位置し、当然ながら冷涼です。ゆえにシャープな酸味を予想して飲めば、見事に裏切られました。赤や黒の控えめな果実香に、様々なスパイス、土のような複雑な香り。キャラクターとしてはブドウ栽培南限のタスマニアが近いでしょうか。口当たりは非常にしなやかで優しいもの。酸味は全く目立ちません。
平均樹齢8年と若いブドウからいきなりこんなに完成度の高いワインをつくるとは!さすがマスター・オブ・ワインといったところでしょうか。
Danbury Ridge Pinot Noir