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ワインの生産量ランキング一覧 産地とワインの特徴を簡単に解説

2024年6月20日

ワインの生産量ランキング一覧 産地とワインの特徴を簡単に解説 
 
数多あるワインをなるべく漏らさず楽しみたいなら、生産量の多い国から試していくのが効率的です。
たくさんつくっているということは、それだけたくさん需要があり、好んで飲む人がいることの証拠だからです。
統計データをもとに、世界のワイン生産量ランキングベスト20と簡単な特徴をご紹介します。
生産量が多いのにまだ見逃している国はないか、チェックしてみてはいかがでしょうか。
 
 

ワインの生産量は何で知る?

 
データを参照するときに重要なことは、信頼できる情報源であることとなるべく新しいものであることです。
国ごとのワインの生産量をはじめ、畑の面積やワイン用以外のブドウにおける統計は、OIVがまとめています。
 
 
OIV、国際ブドウ・ワイン機構はフランスに本拠地を置く機関で、ブドウに関するあらゆることを研究しています。設立から100年を超える歴史ある組織です。
これ以上信頼のおけるものはないでしょう。本記事の数値は全てOIVの資料をもとにしております。
 
 
ワインを勉強している人からすると非常に興味深いデータがたくさん無料で公開されています。日本語には対応していませんが、ChatGPTやDeepLなどのAIを駆使して読む価値のあるサイトです。
 
とはいえ一般的な消費者にとっては情報量が多すぎて扱いにくいはず。今回はワインの生産量にスポットを当てて簡単にご紹介します。
 
 

知っておこう「hL(ヘクトリットル)」

生産量などを表すときによく用いられる単位で、1Lの100倍、100Lのことです。
ワインボトルに換算すると133本。感覚的に捉えにくい量だとは思いますが、これが慣例です。

 
 

世界のワイン生産量ランキング2023年(推定)

 
2023年のワイン生産量をランキング形式で表したものが次の表です。
 
 
2024年6月現在では、2023年の収穫量はまだ推定が含まれます。中国の生産データが出そろっていないため、今回のランキングでは省いております。
例えばドイツのアイスワインの収穫は、12月や年を明けてからになる場合もあります。果汁の圧搾量が確定してから半年程度なので仕方のないことでしょう。
 
 

国別ワイン生産量を円グラフで見てみる

 
ランキング形式だと全体に占めるその国の割合が分かりづらいものです。
2023年の世界のワイン生産量を円グラフで表したものがこちらです。
 
  
主要3か国でかなりの割合、過半数を占めていることが一目瞭然です。
(消費国として登録されており、統計に計算されていない国もあります。例えば日本やイギリスなどは計算に入っておりません)
 
 

2023年のワイン生産量は非常に少なかった

 
OIVによると世界における2023年のワイン生産は、過去60年間で最も少ない量となりました
 
大きく生産量を下げたのがイタリアとスペインです。ともにもともとの生産量が多い国で干ばつとカビ病の蔓延があったため、大きく生産量が減りました。オーストラリア、チリ、アルゼンチン、チリ、南アフリカ、ブラジルでも悪天候による生産量減があったそうです。
 
 
フランスやアメリカは例年以上となりましたが、上記の減少量をカバーできなかった形です。
 
 
 

2023年国別ワイン生産量 1位~5位

 
ワイン生産量が多い順に、その国のワインについて簡単にご紹介します。
1位~5位はみなさまが日常的に飲まれているであろう国です。
とても1段落でその特徴を説明できないほど多様なワインがつくられています。本当に触りだけご紹介します。
 
 

生産量第1位 フランス

 
「ワインといえばフランス」というイメージを持つ方も多いのでは?特に高級ワインのイメージが強いかもしれません。
1万円以上の高級ワインの中にフランス産が多いのは事実。一方でフランスのワインは高級品ばかりということは全くなく、むしろ生産量の大半は非常に手頃。輸出されない日常消費用ワインもたくさんあります。
 
 
他の国とフランスが違う点は、国単位ではなく地方単位でブランドが確立していることです。
ある程度ワインを飲みなれた方だと、「フランスワイン」というくくりではワインを選んでないように感じます。「ボルドーワイン」「ブルゴーニュワイン」「シャンパン」「ローヌワイン」など、最低でも地方の単位で好き・嫌いを判断します。
 
ワインのブランディングにおいて最も成功している国であり、とりわけ高級ワインの市場では圧倒的なトップです。ワイン産業は国として非常に重要なものであり、教育や研究機関にも力を入れています。
 
なおフランスと第2位のイタリアの生産量は、年によって頻繁に入れ替わります。豊作の年・凶作の年で逆転するほどの差なのです。
もしもあなたが今年ソムリエ/ワインエキスパートなどの試験を受けるのであれば、未確定の2023年のデータではなく、2022年のデータを頭に入れるべきでしょう。
 
フランスに関する参考記事▼
 
 

生産量第2位 イタリア

 
フランスと並んで世界一のワイン大国であるイタリア。フランスと違うのは、23の州全てでワインをつくっているところです。(フランスは北西部~北部などでワインをつくれない地域もあります)
そのためワインの多様性、ワインの種類がいろいろあるということにおいては、フランスを凌駕するでしょう。
 
 
これは国民性もあるでしょう。「イタリア人は・・・」と一括りにするのは正確ではないでしょうが、郷土愛が強い傾向があると思います。他所の高級ワインより地元のワインが至高と考える。それもあってイタリアは土着品種の国であり、何百種類ものその地域でしか栽培されていないブドウ品種でワインがつくられます。
 
ゆえに「イタリアワインは・・・」と語ることはできませんが、あえて大きく分類するなら「北部・中部・南部イタリア」に分けるべきでしょう。
 
北部イタリア 気候の厳しさがある程度あるため、真面目な人が多いらしい。伝統的なワインには厳格なタイプもちらほら。
中部イタリア 山よりの産地か海よりの産地かで割とワインのスタイルが変わる。フランス系品種の導入も少なくない。
南部イタリア 熟した果実感を持つワインが多い。近年はアフリカ大陸から来る熱波が問題。
  
 

生産量第3位 スペイン

 
スペインワインとしてメジャーなものは、テンプラニーリョやガルナッチャをつかったフルボディの赤ワインです。味わいとしてはボルドーに近く、果実味豊かながら酸味や渋味も高く、力強いワインです。その特徴を持つワインが普段飲み価格でも豊富に手に入ります。
それから世界第3位の生産量を誇るスパークリングワイン「カヴァ」も忘れてはいけません。
 
生産量ではだいたい第3位ながら、実はブドウの栽培面積第1位はスペイン。つまりフランスやイタリアに比べて単位面積あたりの収穫量が少ないことを意味します。
 
 
この要因について明確な解説は、私は見たことがありません。とはいえある程度推測できます。
 
まず要因の一つは降水量。スペインはフランスに比べて非常に乾燥した地域でもブドウを栽培しています。一方でアメリカ大陸の生産地のように灌漑(かんがい:水やり)は基本しません。それでも枯れないように樹間(樹の間隔)を広くとって栽培するので、自然と面積当たりの収穫量は少なくなります。
 
もう一つはブドウ販売。スペインで収穫したブドウをフランスに輸出して、フランスでワインとしている例が結構あると推測しています。
スペインで最も広く栽培される白ブドウである「アイレン」。フランスでは栽培面積はほとんどありません。しかし1000円近辺のフランス産スパークリングワインの品種としてはよく目にします。ブドウを購入して、フランス産テーブルワインとして販売していると考えています。
 
カヴァに関する参考記事▼
 

生産量第4位 アメリカ

 
世界第4位の生産量を誇るアメリカ。その生産量の8割はカリフォルニア州に集中しています
他にもワシントン州、オレゴン州、ニューヨーク州で多くの高品質なワインがつくられています。また輸出されるほどの品質・量ではないとはいえ、ほぼ全ての州でワインがつくられているそうです。
しかし量の面でも質の面でも、まずはカリフォルニア州。
 
アメリカのワインの多くはヴァラエタルワインです。ヴァラエタルワインとはエチケットに品種名が表記されていて、単一品種や一つの品種が主体としてつくられるワインのこと。消費者はブドウ品種名をもとにワインの味わいを推測して購入できます。
 
まず注目すべきはカベルネ・ソーヴィニヨンの赤ワインとシャルドネの白ワイン。次いでピノ・ノワールの赤ワイン。どれも非常に高い品質のワインがたくさん見つかります。
 
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生産量第5位 チリ

 
日本に輸入されるワインの本数として、フランスと並んで最も多いのがチリ産です。
その人気の理由は何といってもコストパフォーマンス。1000円以下でも豊富な種類があります。ゆえにワイン専門店や酒屋に限らず、スーパーやコンビなど幅広い販売チャネルで流通しています。
 
 
チリの主要な産地は地中海性気候。ブドウの生育期である夏に乾燥し、雨は冬にまとめて降ります。ブドウの病気リスクが少なく、対策の費用が少なくてすみます。また、国土の割に人口は多くないため、アメリカよりも土地に余裕があります。
それら様々な要素が、世界一と言ってもいい低価格ワインの安定感につながっています。
 
チリもヴァラエタルワインで大成功した国です。品種名表記のワインは安心して手に取れるのでしょう。
日本ではとりわけ自転車のマークの「コノスル」が有名でしょう。
 
 
 

2023年国別ワイン生産量 6位~10位

 
生産量ベスト5に比べると、6位~10位の国は数分の1位です。それもあって6位~10位の順位は年ごとに入れ替わります。
ただそれでも顔ぶれはあまり変わらないので、覚えておいて損はないでしょう。
 
 

生産量第6位 オーストラリア

 
オーストラリアの特徴としては、まずとんでもなくデカいことです。ヨーロッパがすっぽり入るような面積なので、「オーストラリアワイン」と一括りにするのは無理があります。
 
 
ただブドウの栽培エリアに限って言うなら、ほとんどが南側の海岸沿いに固まっています。一部内陸の平野部でもつくられており、そこは低価格ワインの大量生産地です。
 
もう一つ特徴として、「輸出ありきのワイン生産」であることが挙げられるでしょう。これはチリにも言えることですが、人口が少なく国内市場の規模が小さいので、輸出を意識したワインづくりが基本なのです。
オーストラリアの開拓精神のなごりなのか、様々なブドウ品種が各地で試されています。美味しいオーストラリアワインを見つけたいなら、「オーストラリアといえばシラーズ」のような固定観念は一度捨てるべきでしょう。
 
 

生産量第7位 南アフリカ

 
チリワインよりももう少し上、2000円前後の価格帯で近年存在感を増すのが南アフリカワインです。
地中海性気候の恵まれた環境、安い人件費をもとにした価格競争力、ヨーロッパと時差があまりないことから、バカンス先として選ばれやすく観光需要も高いこと。こういった要因により非常に勢いのある国です。
 
基本はアメリカ・オセアニアの国と同じくヴァラエタルワインの生産です。その中で交配品種のピノタージュは南アフリカ固有と言っていい黒ブドウですし、フランス原産のシュナン・ブランは、フランスよりも多く栽培しています。
 
 
主要品種で南アフリカが得意とするのは、カベルネ・ソーヴィニヨン、シャルドネ、シラー(シラーズ)。かなりレベルの高い物が豊富にあります。メルローやピノ・ノワール、ソーヴィニヨン・ブランもある程度の種類が選べるでしょう。リースリングで目立つものは僅かです。
 
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生産量第8位 ドイツ

 
ドイツは非常に高い緯度に位置する産地であり、冷涼な気候の中でいかに寒気からブドウを守るか、いかにブドウを完熟させるかを工夫してきた国です。(近年は地球温暖化で状況が変わりつつありますが・・・)
そのためライン川やモーゼル川、マイン川など大きな川の近く、それも急斜面に畑が拓かれてきました。現在のワイン産地は、フランスとの国境に近い南西側に集中しています。
 
 
ドイツには他の国にはあまり見られない、ブドウ果汁糖度による分類があります。また村や畑の名前も小難しい。さらにブルゴーニュにならった畑の等級も導入されつつあります。
消費者だけでなく、プロにとってもややこしい。ワインの販売者側に苦手意識を持たれやすいのが残念なところです。
 
しかし甘口ワイン(デザートワインほど甘くはない)の生産においては他国の追随を許さないほど、品質の高さと種類を誇ります。冷涼な気候を活かした上品なワインづくりに注目が高まっているのです。
 
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生産量第9位 アルゼンチン

 
アルゼンチンの特徴の一つは、アンデス山脈の非常に標高の高いところにも畑が拓かれている点でしょう。
もちろん標高が低いところにも産地はあります。しかしアルゼンチンにしかない特徴というなら、やはり標高。
 
日照が強いながらも昼夜の寒暖差が大きいため、完熟の果実味を持ちながら上品な酸味を保ったワインをつくれます
 
ブドウ品種として一つ挙げるならマルベックでしょう。フランス原産ですが、むしろアルゼンチン産が有名。果実味豊かで飲みごたえがありながら手頃な価格のものがたくさん見つかります。
 
 
 

生産量第10位 ポルトガル

 
ポルトガルは情報からワインを選ぶのがトップクラスに難しい国の一つです。
長らく鎖国状態であったため、国際品種があまり流入せず土着品種の国であること。加えて単一品種ではなくブレンドワインの割合が非常に多いことが理由です。
「ブドウ品種の特徴から自分の好みにあわせてワインを選ぶ」ということがほぼできないのです。
  
しかしその経済的な弱さからか、安くて美味しいワインの宝庫です。もともと温暖な気候のためか、暖かくても酸味を保つ品種が多く、アルコールが高すぎない上品なワインがたくさん見つかります。
「飲んでみたら美味しい」というものが多いため、インターネット販売になかなか向かないのが残念なところ。
 
その中で「ヴィーニョ・ヴェルデ」はよく知られています。スッキリとした風味の微発泡タイプが多く、暑い夏には欠かせないアイテムです。
 
 
 

2023年国別ワイン生産量 11位~20位

 
11位から20位となると、「この国もワインつくっていたの?」というところも出てくるのでは?
我々がワインショップで目にする頻度と、実際の生産量に乖離があるところもあるでしょう。ニュージーランドやオーストリア、最近ではジョージアなどはよく目にするかと思います。その割に生産量は多くありません。
 
ロシアのワインは生産量の割に見ないのは、国交の問題でしょう。
 
 

生産量第11位 ロシア

 
ロシアに関しては本当に情報を持ち合わせていません。
今回データなしでランキング外となった中国、ブラジルなどとともに、2024年の時点ではソムリエ教本にも載っていない生産国です。
 
 

生産量第12位 ルーマニア

 
1991年に独立した若い国家であるルーマニアは、もともとソビエト連邦。社会主義国家時代に国家の主導で質より量を重視するワインづくりを行っていました。ゆえに現在はその品質を向上させている途上ではありますが、ワインづくりの歴史自体は5000年あると言われています
 
「フェテアスカ・ネアグラ」「フェテアスカ・アルバ」などの土着品種も多く、ハンガリーなどとも共通しているところがあります。しかし意外にも最も栽培面積が大きいのはメルロー。カベルネ・ソーヴィニヨンなどの国際品種も結構な面積で栽培されています。
 
数万円の高級ワインこそ見かけたことがないものの、普段飲み価格で面白い特徴を持ったワインがたくさんあります
 
 

生産量第13位 ニュージーランド

 
ニュージーランドは本格的にブドウ栽培が始まって50年程度と歴史の短い国です。しかし「マールボロ産ソーヴィニヨン・ブラン」のスタイルが世界的に流行したことで、生産量の割にはワインの存在感は大きいでしょう。
加えて地理的な近さもあって、日本のワインショップではよく見かけます。
 
ニュージーランドも輸出ありきのワイン生産。「人より羊が多い」と言われるほどですから、国内のマーケットは小さいのです。
ブドウ品種は割と保守的で、フランス系の国際品種が大半です。
 
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生産量第14位 ハンガリー

 
オーストリアの東に位置するハンガリーは、これまた土着品種の国。あまりなじみのないワインが多いでしょう。
一つ有名なものがあります。世界三大貴腐ワインの一つとされる「トカイ」です。
正確にはその最上位にあたる「トカイ・アスー・エッセンシア」ですが、あまりに生産量が少なく高価なた日本の市場ため、で見かけることはめったにありません。
 

数年前にスポットで入荷したエッセンシア。それ以降見かけたことがありません。

 
日本での認知はまだまだではありますが、面白いワインがたくさんありますし値段も高くありません。いろいろなワインを飲みたい方は忘れるべきではない国です。
 
 

生産量第15位 オーストリア

 
オーストリアは政府主導のワイン輸出政策が上手くいっている国です。
対外的に「オーストリアワインといえば・・・」で売り出しているのが、グリューナー・フェルトリーナーの白ワイン。ツヴァイゲルトやブラウフレンキッシュの赤ワインなども有名です。近年は「ヴァン・ナチュール」といったスタイルのワインもよく見かけます。
 
 
しかし国内の市場が好んでいるのは、樽熟成したリッチなシャルドネだそうです。
国内市場向けのワインもつくる一方で、それとは区別して国際市場で勝てるワインを生産している。その戦略は素晴らしいなと感じています。
 
 

生産量16位 ブラジル

 
ワインよりもコーヒーの国として有名であろうブラジル。しかし国土がかなり広いだけあって、ブドウ栽培は南端のわずかな地域だけですが、それでもある程度の生産量があります。
 
情報が非常に少ないのですが、基本的にはカベルネ・ソーヴィニヨンやシャルドネなどの国際品種の栽培が中心だそうです。
 
 

生産量第17位 ジョージア

 
世界最古のワインづくりは、8000年前にジョージアのあるコーカサス地方で始まったと言われています。
 
ジョージアワインが最近注目を集める要因は「オレンジワイン」です。
白ブドウを赤ワインと同様に果皮浸漬して醸造するワインで、広義では白ワインの一種。果皮からタンニンが抽出されるので、赤ワインではないのに渋味を感じます。タンニンには抗酸化作用があるので、ワインを酸化から守ります。
 
 
「クヴェヴリ」というかめを使ったこの醸造法が太古からジョージアで行われているワインづくりであるとし、2013年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。
 
対外的にはオレンジワインが有名ですが、実際には近代的な醸造法のワインが大半を占めます。ただしジョージアも土着品種の国なので、ステンレスタンク発酵・熟成でも一風変わった風味に感じます。
 
 
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生産量第18位 モルドバ

 
モルドバもソビエト連邦から独立した国のひとつ。西側はルーマニアに接しており、土着品種も共通しています。
 
ハンガリーやルーマニアとの続きで、「チェルノーゼム」と呼べれる大変肥沃な土壌が分布しており、農業の盛んな国です。
気候も乾燥気味で安定しているためか、モルドバもワインは手頃な傾向です
日本にいち早く紹介された「ラダチーニ」という生産者が有名でしょう。
 
 
 

生産量第19位 ギリシャ

 
ワインの歴史は非常に長いギリシャ。生産量こそそう多くはありませんが、他にはない個性を持ったワインがたくさんつくられています
 
その一つはサントリーニ島の「アシルティコ」種でつくる白ワイン。高い酸味と塩味に似たミネラル感を持つ、力強い味わいです。
 
 
他には「クシノマグロ」種でつくられる赤ワイン。イタリア/ピエモンテ州の銘酒「バローロ」に似た味わいでありながらリーズナブルだと言われています。
 
 
 

生産量第20位 スイス

 
スイスワインは現状あまりワインショップで見かけることはありませんが、スイス専門のインポーターも数社あるなど、日本への紹介は始まっています。
試飲会で飲む機会もありましたが・・・高い
 
スイスの物価を思えばある程度納得ですし、味も悪くありません。高い標高による冷涼な気候を生かした上品なワインがたくさんあります。
でも「スイスワイン、一度試してみるか」が5000円オーバーって、なかなか勇気がいりますよね。というわけで仕入れを躊躇っている状況です。
 
 

国が違えば何が異なってワインが違う?

 
産地が違えばワインの味が違って感じる。これは我々ワイン好きからすると"当たり前"でしょう。
でもワインはブドウを原料とした農産物と考えると、決して当たり前ではありません。
あなたは玉ねぎが北海道産か中国産かを当てることはできますか?メキシコ産と奈良県産のアスパラの違いが分かりますか?
「分かる」という方はごく一部でしょう。少なくとも私はわかりません。
 
 
ワインが産地によってこれほど多様なのは、ブドウがそれだけ環境要因を風味に表すから。それから人の介在があるからです
では何が違うのでしょうか。
 
 

産地がワインに違いを生む要因

ワインの風味の違いは様々な要因によります。ブドウ品種、醸造法、その年の気候、熟成度合い、価格・・・・。それらの中で産地は非常に大きく影響します。
産地が違えば何が違うか。代表的なものを項目だけ列挙してもこれだけあります。
 
緯度 地球の赤道からどれだけ離れるか。近いほど日照が強くて温暖。遠いほど冷涼。
位置 大陸に対して東側か西側か、内陸部かなど。内陸部ほど昼夜の寒暖差が大きい傾向。
大きな水源との距離 海や大きな河、湖などに近ければ、寒暖差の少ない穏やかな気候となる。
地形 畑の標高や傾斜、斜面の畑ならその向きなど。大きな山脈に対しての位置も影響。
海流 海に近い産地の場合は、沿岸を流れるのが暖流か寒流か。
土壌 表土の厚みがどれほどあるか。その下の母岩がどのような種類か。
 

社会的要因

項目 内容
消費市場 その国の消費力がどれだけあるか。国内消費で賄えるか、輸出ありきか。
大都市 シャンパーニュに対するパリ、フランチャコルタに対するミラノなど。高級ワインの消費を支える大都市の存在。
経済力 一人当たりのGDPは人件費につながり、ワインの製造コストに反映される。
政策 政府として輸出を奨励してプロモーションに予算をつけているかなど。
郷土料理 歴史の長い国では、よく食べられる料理にあうワインが選ばれていった傾向もあるだろう。
国民性 まじめ、郷土愛が強い、のんびり、流行に敏感など、ある程度の傾向はあるだろう。
評価誌 かつてのワインアドヴォケイトのように、流行のスタイルに影響を与える場合も。
 
こういった様々な要因が複雑に絡み合って、その国のワインの特徴をつくっています。これらがどうワインに影響していて、どのように風味に現れるのかを知って感じていけば、ワインはもっと興味深くなります。
 
 

ワイングラスを通して世界を旅する楽しみを

 
ワインの生産量ベスト20の国のなかに、あなたがお気に入りとする国はきっとあったと思います。なかったとすれば、日本でしょうか。
一方で「ここの国のワインは飲んだことがないな」というところもあったのでは?
 
単に「珍しいから買って飲んでみる」では、そこまで楽しめないでしょう。「美味しい/美味しくない」の判断基準なら、「いつものお気に入り産地の方が安くて美味しいのがある」となりがちです。あなたの好みにあうのですから。
 
 
だからこそ、いつもと違う産地のワインを飲むなら、その国に興味を持って、どんな経緯でワインのこの味になっているのか想像しながら飲んでほしい。そうすれば、好きかどうか以上の楽しみが得られるはず。
1杯のワインを通して、想いを世界に馳せてみませんか?





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