ワインのつくり方

安くて美味しい「カヴァ」を選ぶコツ!おすすめスパークリングワイン10選

2024年4月25日

安くて美味しい「カヴァ」を選ぶコツ!おすすめスパークリングワイン10選
 
単に「安くて美味しいスパークリングワイン」としてではなく、もっと詳しく「カヴァ」を理解しませんか?
熟成期間や辛口度合いに注目すれば、季節や夕食に合わせてカヴァを選ぶヒントになります。
違いを予想してワインを飲んでそれを実感すれば、次の1本を選ぶワクワクは倍増します。
カヴァのおすすめ銘柄とそれぞれの違いを知って、普段の晩酌をもっと楽しくしましょう。
 
 

スペインのスパークリングワイン「カヴァ」とは

 
「カヴァ」とはスペインのワイン法で規定されたスパークリングワインの種類です。
その生産量はおよそ2億5千万本といわれ、プロセッコ、シャンパンに次いで世界で多く飲まれているスパークリングワインです。
 
 
まずはその特徴とシャンパンと比較したときの違いについてご紹介します。
 

「カヴァ」と「カバ」はどちらが正解?

「Cava」の語源は洞窟であり、ワインを貯蔵するのに洞窟を用いたことから来ています。スペイン語では「v」もバ行の発音なので、カタカナ表記するなら厳密には「カバ」の方が近いそうです。
しかし検索数は「カヴァ」の方が多いのと、動物の「カバ」との違いを明白にするため、当店では「カヴァ」の表記を採用しています。

 

 
 

カヴァの生産地域とは

 
カヴァの生産地域は、実は大変ややこしい。「シャンパーニュ地方」のようにまとまってないのです。
 
生産量の大半はカタルーニャ州のペネデス近郊でつくられます。都市としてはバルセロナが有名でしょうか。
そのほかにもアラゴン州、バスク州、カスティーリャ・イ・レオン州、エストレマドゥーラ州、ナバーラ州、ラ・リオハ州、バレンシア州でつくることができます。159もの自治体にまたがるそうです。
 
 
 

カヴァの歴史

 
その知名度の割に「CAVA」として確立した歴史は浅く、カヴァの生産地域が制定されたのは1986年のことです。その年にスペインがEC(現EU)に加盟し、ワイン法をECに準拠したものとすべく、当時のカヴァの生産実態をもとに生産地域を決めたのです。
既にカヴァの名声は広まっていたために、「我々もカヴァを名乗るぞ!」と多くの生産者が手をあげて、カヴァの生産地域が拡大していったのでした。
 

輸入元HPより引用

 
そのカヴァの生産を始めたのはラベントス家でした。ホセ・ラベントス氏が設立したコドルニウ(コドーニュ)社(日本酒類販売取扱)と20世紀初頭に生産を開始したフレシネ社(サントリー取り扱い)が歴史的にも生産量的にも2大カヴァと言えます。
ともにスーパーやコンビニなどでもよく見かける銘柄です。
 
 

カヴァとシャンパンの共通点

 
カヴァは「伝統的方式」と呼ばれるシャンパンと同様の製法でつくられます
 
伝統的方式とは瓶内2次発酵の工程があるスパークリングワインの製法です。まずベースとなる白ワインをつくり、それをワインボトル1本1本につめて瓶ごとに2次発酵させ、発生した炭酸ガスを閉じ込めてスパークリングワインにします。瓶内熟成の後に澱引きをしてパッケージングし出荷します。
 
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
 
シャンパンを始め高級スパークリングワインをつくるのに必ず採用される製法です。
瓶内熟成を含めた熟成期間に規定があり、スタンダードのシャンパンは15か月ですが、カヴァでは9か月です。しかし実際には規定より長く熟成期間を設けるところが多いため、明確な違いとは言えません。
 
 

カヴァとシャンパンの相違点 ブドウ品種

 
シャンパンには7つのブドウ品種が許可されていますが、実際つかわれるのはシャルドネ、ピノ・ノワール、ムニエの3種類がほとんどです。
それに対してカヴァの基本品種はマカベオ、チャレッロ、パレリャーダの3品種。スペインの土着品種が主体である点が異なります。
 
 
しかしシャルドネやピノ・ノワールを用いることもできますし、ロゼのカヴァにはガルナッチャやモナストレルも用いられます。シャンパンに比べると品種は多様だと言えるでしょう。
 
 

カヴァの味わいの特徴

 
「スパークリングワイン」というカテゴリーの中でカヴァを比較したとき、まず特徴となるのは低価格帯における泡のクリーミーさと持ちの良さでしょう。2000円以下のスパークリングワインはシャルマ方式のものが多いので、それと比較したときカヴァの炭酸の刺激はきめ細かいものです。
 
 
翌日以降に持ち越したスパークリングにどれだけ泡が残っているかは、一番は残っているワインの量に寄ります。残っている量が少ないほどボトルの空間の中に炭酸が逃げます。だから残りあと1杯で保管した場合は、泡の持ちがいい銘柄だとしてもやっぱり炭酸はほぼ残っていません。
一方で仮に250mlずつ3日間で飲むというペースなら、カヴァであれば3日目もある程度のシュワシュワを楽しめるでしょう。その持続性はシャルマ方式のスパークリングワインを上回ります。
 
 
風味の特徴を明確に記したものは、驚くほど少ないです。「カヴァはこんな香り」というのが言えたらいいのですが、難しいのが実情。ソムリエ教本にも記載がありませんでした。シャンパンほどの華やかな香りがあるものではないのです。
あえてよく使われる風味表現を挙げるなら、リンゴやかんきつ類や花。でもそれは早摘みした白ブドウからつくるワインにおおよそあてはまってしまうので、特徴香とは言えないでしょう。
 
良い意味での「特徴香」とは言えませんが、焼けたゴムや土のようなアロマを特徴と捉えている人もいるようです。
ブラインドテイスティングで当てることを目指すならともかく、普段楽しむ分にはあまり香りにこだわらない方がいいかもしれません。
 

イメージとしてはスリップしたタイヤの臭いでしょうか

 
カヴァの生産地はシャンパーニュ地方よりずっと南であることもあり、気候は温暖です。ゆえに酸味はシャンパンより穏やか。余韻のキュっと引き締まる印象は弱く、それが全体を親しみやすい印象にしています。
 
 

カヴァはどうして安くて美味しいのか?

 
シャンパンの価格はざっと4000円以上。それ以下は「格安」と言われるような値段ですが、冷静に考えれば750mlで4000円のお酒は高価な飲み物です。
それに対してカヴァは1000円台がボリュームゾーン。たくさんの種類が見つかります。1000円以下もないことはないですし、逆に4000円以上のカヴァは少数派です。
 
どうしてカヴァは安くて美味しいのでしょうか。
 
 

カヴァは機械収穫が可能

 
ブドウ栽培において一番コストがかかるのは収穫です。収穫のタイミングはシビアであるため、最適なタイミングで収穫できるようにたくさんの季節労働者を確保する必要があるからです。
 
シャンパンは「手作業で収穫しないといけない」と法律で決まっています。
ピノ・ノワールやムニエなどの黒ブドウを機械収穫すると、機械収穫はある程度ブドウを潰してしまうため、果汁に色がついてしまいます。伝統的にロゼではないシャンパンに果皮の色がつくのは嫌われてきました。ブドウの房のまま施設に運びこんで素早くプレスしクリアな果汁を得る。これが高品質なシャンパンをつくるうえで必要と考えられているのです。
 
 
それに対してカヴァは機械収穫することも可能です。上級クラスのカヴァは手摘みと規定されていますし、そうでなくても手摘み収穫しているカヴァも多いです。しかし機械収穫が可能であることはブドウの生産コストを下げ、ワインの価格を手頃にする効果があるのは間違いありません。
 
 

生産地域が広い

 
シャンパーニュ地方の畑はそう簡単には増やせません。制度上の難しさもあるのでしょうが、そもそも栽培環境がいい場所は既に開発され尽くしているのです。
 
 
一方でカヴァの生産地は先述のとおりいろいろな州にあり、畑をもっと広げる余地があります。シャンパーニュの「グラン・クリュ」のような規定もないため、畑の値段自体は決して高くないと推測できます。
畑の地価の違いがブドウの取引価格の違いとなり、手頃なワインを可能にしているとも考えられます。(実際にシャンパンが高価なのは、ブドウ取引価格が高いのが大きな要因です)
 
 

本当のところはわからない

 
機械収穫と畑の希少性という2つのもっともらしい理由を挙げましたが、正直決め手に欠けると考えています。
どちらも理由として間違ってはいないのでしょうが、それだけでは説明がつかない。美味しいカヴァの製法を調べればやっぱり手摘みしていたり、熟成期間が規定よりずっと長かったり。なのにシャンパンと比べてこれほど安い。
 
 
安い理由はわからずとも、製法により担保されているある程度の美味しさがあります。ありがたく晩酌ワインに取り入れるのが吉です。
 
 

カヴァの高級品もあります!

 
ここまでさんざん「カヴァは安くて美味しい」と申してきましたが、中には高級品もあります。
 
 
何が大きく違うというものではなく、純粋にブドウの質が高くて熟成期間が長い。加えてこのワインはピノ・ノワールとシャルドネのみから、カヴァの伝統品種を使わずにつくられます。
人気生産者「ロジャー・グラート」のシャンパンへの挑戦状と言えるような1本です。
 
 

熟成期間と泡感で選ぶおすすめのカヴァ

 
「たくさん種類のあるカヴァの中でどれを買おう?」と思った時、まず注目してほしいのが瓶内熟成の期間です。
規定では9か月以上ですが、それをはるかに超える長期熟成をしながら手頃な銘柄もあります。
3000円以下の価格帯においては、9~15か月くらいなら短め。24か月を超えたら長めと言えるでしょう。
 
一般的に熟成期間は長い方がいいと言われますが、短いものにもその魅力があります
 
 

瓶内熟成とは?その風味変化

 
伝統的製法では瓶の1本1本に白ワインと酵母とショ糖を詰めて、瓶内2次発酵をします。炭酸ガスが発生するその工程は数週間で終わりますが、その後も数か月~数年と瓶のまま保管するのは、瓶内熟成するからです。2次発酵で生じた澱(おり)がアミノ酸に分解されてワインにもどっていき、パン種のような複雑で香ばしい香りと旨味を加えます。
 
詳しくはこちらの記事で▼

  
この長期熟成による風味の豪華さが高級感につながります。また泡感がよりきめ細かくクリーミーになると考えられています。ゆえに一般的には熟成期間は長いほど上質とされます。
  
ただ品種の違いか醸造技術か、カヴァにこの瓶内熟成の風味をハッキリ感じることはあまりありません。
そして熟成期間が短か目の泡感も、カジュアルな普段飲みにおいては、元気な感じがそれはそれでいいものです。
 
 

熟成期間の違いに注目して比較テイスティング

 
今回はこの2種類のカヴァを飲み比べてみました。
 

瓶内熟成12か月

KATAYAMA
洋ナシやメロンのような熟したフルーツのアロマ。そしてたしかにいる「焼けたゴム」。見た目の泡立ち以上に口に含んだときの刺激は強く、柑橘のような風味を感じます。泡感は「クリーミー」というより溌溂として元気のいいもの。炭酸でスッキリとしますが、よく味わうと酸味は穏やかです。
 

瓶内熟成30か月

KATAYAMA
白い花のようななんとも言い表しにくいアロマ。シャンパンのような酵母感はありません。「焼けたゴム」より「乾いた土」の表現が当てはまります。口に含めばアプリコットのようなフルーツの風味が広がります。泡感は明らかにことなり、舌や口蓋への刺激は穏やかでクリーミー。その分だけひょっとすると炭酸が弱く感じるかもしれません。
 
  
スパークリングワインとしての優劣をつけるなら、泡感の細かさからマルティナの方に軍配が上がります。
しかしブジョニスの元気な泡の刺激は、それはそれで美味しい。「ビールは味わいじゃない、喉ごしだ」というような感覚に近いです。炭酸でスカッとしたいときは、あえて熟成期間短めのものを選ぶのもアリです。
 
 

熟成期間が長めのおすすめカヴァ

 
先ほどのヴィーニャ・マルティナの他に、当店で扱っている瓶内熟成が長めのカヴァはこちらです。
 

瓶内熟成長め 29か月以上▼

スパークリングワインメーカーのラインナップにおいて、上級ほど熟成期間が長いのが一般的。このワインはまさにその「上級」です。なのにこの価格なのが不思議。母体は超大規模生産者なのでそのスケールメリットと、輸入元さんのがんばりでしょう。
KATAYAMA
 
 

瓶内熟成少しだけ長め 18-24か月▼

辛口だけどキリっとしすぎない。ふわっと柔らかい印象のカヴァ。優しい印象を受ける大きな要因が、きっとこの熟成期間の長さでしょう。
KATAYAMA
 

瓶内熟成少しだけ長め 18-24か月▼

収穫したブドウの一番いいところ25%しか使わないというぜいたくなつくりをしています。そのためかピュアな果実感がしっかり現れて、みずみずしい印象です。
KATAYAMA
 
炭酸の刺激が穏やかな長期熟成型は、暑くない季節にも心地よく感じることでしょう。オールシーズン楽しめます。
 
 

熟成期間が短めのおすすめカヴァ

 
先ほどのブジョニスの他には、これらのカヴァが熟成期間短めながら風味が心地よくおすすめしたいカヴァです。
 

熟成期間短め 12か月

ヴィリャ・コンチは当店のカヴァでは高めの価格設定なのですが、瓶内熟成の期間はむしろ短め。それだけブドウの質にこだわっているのでしょう。ひと際フルーツの風味をピュアに感じるためか、試飲販売しても人気の銘柄だといいます。
KATAYAMA
 

熟成期間短め 15か月

先ほど紹介した上級クラスに比べ、熟成期間が短いこととシャルドネが入っていない点で大きく違います。泡のきめ細かさは劣りますが、これはこれで美味しい!それにシャルマ方式のスパークリングとはやはり質が違います。
KATAYAMA
 
 
あえて熟成期間が短めのものを選ぶべきときは、ジメっと蒸し暑い日と気分を切り替えたいとき。強い炭酸の刺激は気持ちをシャキっとしてくれるはず。グビグビっと飲んでももったいなくはない値段のカヴァで、日々の活力を補給してみては?
 
 

辛口度合いに注目して選ぶおすすめのカヴァ

 
シャンパンと同様、カヴァにも甘味の表記があります。
「BRUT ブリュット」というのがその代表格で標準的な辛口を表します
これをスタンダードとして、そのほかの甘辛表記を知って使い分けることをおすすめします。ポイントは「何日で飲み切るか」と季節です。
 
 

「BRUT」の読み方

一般的には「ブリュット」とカタカナ表記されますが、スペイン語としては「ブルット」表記の方が発音に近いようです。
あくまでカタカナにしたときの表記の揺れですので、あまり気にしないでください。

 

 
 

極辛口とやや甘口のカヴァ

 
「BRUT」の表記は1Lのワインに溶けている糖分が12g/L以下であることを示します
炭酸がある状態ではほぼ甘味は感じず、風味のボリューム感として現れます。そしてこの辛口度合いを「ちょうどいい」と感じる人が多く、流通している銘柄の圧倒的大多数は「BRUT」表記です。
 
「BRUT」よりさらに辛口の「EXTRA BRUT エクストラ ブリュット」や「BRUT NATURE ブリュット ナチュレ」は時折見かけます。いわば「極辛口」です。
「BRUT」でも甘味はほぼ感じないため、甘辛の違いはあまり感じません。しかしボディ感に違いを感じ、よりスマートでシャープな印象を受けます。
 
逆にちょっと糖度が高い「Demi-Sec ドゥミ・セック」「Semi-Seco」などの表記は、仕上がり糖度が高めであることを示します。具体的には32~50g/Lです。キンキンに冷えた状態で少しだけ甘味を感じ、温度が上がってくるとはっきり甘くまろやかな味わいとなります。
少し甘めのスパークリングワインは、甘さ控えめのチューハイ感覚で飲めます。だからワインに不慣れな方と一緒に飲むときには重宝するでしょう。
 

Demi-Sec表記のカヴァ

ワイン初心者と一緒に飲むとき、甘口が喜ばれるけど自分は辛口が飲みたい。そんな場合はこのワインをしっかり冷やして乾杯し、自分は2杯目から別のワインに切り替えるのはいかがでしょうか。
KATAYAMA
 
 
スパークリングワインの甘辛度合い「ドサージュ」についてはこちらの記事で詳しく▼
 

極辛口のカヴァは3日目や真夏に

 
炭酸は甘味を感じにくくします。だから「BRUT」のカヴァが甘味をほぼ感じないとはいっても、3日目くらいの炭酸が抜けてきた状態ではある程度甘く感じます。その点で極辛口のカヴァは、白ワインの味わいに近づいていきますが、甘ったるくはなりません。開けたてがベストなのは間違いないでしょうが、落ち幅が少ないのです。
「お酒に弱い一人暮らしで、1本飲み切るのに3日はかかる」そういう場合は極辛口のカヴァを選ぶと、よりスッキリ飲み切れるでしょう
 
 
スッキリとした飲み口のワインは、暑くジメっとした季節により美味しく感じます。具体的には6月から8月くらい。蒸し暑い中を汗をかきながら帰宅した体に、キリッキリの極辛口カヴァは、しみます。「BRUT」のボリューム感は余計だ。もっと研ぎ澄まされたような味わいが欲しい。そんな季節もあるはずです。
 
その鋭い印象ゆえに、カヴァを飲み始めの人があえて「EXTRA BRUT」「BRUT NATURE」を選ぶのはおすすめしません。酸っぱい、あるいは痩せた印象に感じてしますかも。
どちらがいいというものではなく、シチュエーションで辛口と極辛口を使い分けるのが正解です。
 
 

暑い時期の3日目でも美味しいおすすめカヴァ

 
ブリュット・ナチュレなので残糖度はほぼゼロのはず。しかし普通の「BRUT」より熟度高く収穫するためか、ほのかにフルーツの甘い風味を感じ、それがバランスを素晴らしいものにしています。 味わいのバランスとしては開けたてがベストですが、風味が弱くなってくる数日後でもキリっと引き締まった印象を与えてくれるでしょう。
KATAYAMA

 

 
 
さきほども紹介したこのワインはブリュット・ナチュレ。生産者として特大規模な生産量の、ほんの一部です。約2000円で上級クラスのワインが買えるというのはカヴァのすごいところ。長期熟成による旨味がボディ感を補って、ブリュット・ナチュレでも物足りなくないバランスに仕上がっています。
KATAYAMA
 
 

夕食に合わせてチョイスしたいカヴァのロゼ

 
カヴァはロゼのスパークリングワインもつくることができます。ただスパークリングワイン全般に言えることですが、あまりロゼの存在感は強くありません。言ってしまえば白のカヴァのおまけ的な位置づけ。
手頃なスパークリングワインは、飲んでスッキリしたいときにチョイスする場合が多いでしょう。そんな気分の時、ロゼワインの黒ブドウに由来するコクはポジティブには働きにくいのです。
 
サーモンピンク色の液体から立ち上る泡は確かにロマンチックですが、それは特別な日におしゃれな非日常空間で、ロゼのシャンパンで楽しみたい。
普段飲みの手頃なワインにロマンチックな見た目は求めません。
 
だからこそロゼのカヴァを選ぶとすれば、その理由を食べたいものに持ってくるのが正解です。
 
 

値ごろ感の高いおすすめロゼ・カヴァ

 

瓶内熟成29か月 ピノ・ノワール主体

イチゴやマンダリンオレンジのようなピュアなフルーツの香りで、「焼けたゴム」や「土」は感じません。香りの印象は甘いのですが味わいはドライで、黒ブドウらしいまったりとしたコクが長く続きます。泡感はクリーミーなのですが、その風味ゆえにスッキリ感は白のカヴァよりも弱め。つい何か食べたくなります。
KATAYAMA
 
 
ただしカヴァは白もロゼも、そう香りのボリュームが豊かではありません。それもあってか、風味の点で「料理にあう/あわない」がそこまで顕著でないように思います。ゆえに料理の相性において泡感も重要です。
 
 

普段の夕食のおかずとカヴァの相性を検証する

 
カヴァは手頃な価格のものがほとんど。となると飲むのは特別な日ではなく、日常の晩酌でしょう。
だからこそレストランで提供されるような畏まった料理ではなく、普段の夕食との相性が大事。「今週末はこの料理をつくるぞ。それに合わせてワインを飲もう」なんて楽しみにするものではないのです。「今晩のおかず?スーパー行って安かったものでつくる」それが日常ではないでしょうか。
 
大丈夫。カヴァはそんな普段のおかずに合います。でも何でもあうわけじゃありません。だからこそ晩酌ワインとしてストックしておいて、今日の夕食にあわせて選んで開けるべきです。
 
 

豚肩ロース肉との相性で比較するカヴァ

 
ロゼのコクは醤油をつかった甘辛い豚肉料理と合いそうな予想。
いつもの晩御飯に並びそうなメニューということで、豚肩ロース肉を焼いてあわせてみました。メキシコ産、100g118円でした。
比較対象のためにまずはシンプルに塩コショウでソテー。

 

 
続いては生姜焼き。
甘辛い分少し味が濃くなり、ロゼのカヴァにより寄り添うバランス。特に脂の多い部分はロゼがピッタリ!
ブジョニスだと少し苦みが目立ってしまいました。マルティナは果実の甘味が目立って感じられたので、これは好みの分かれるところ。
 
 
ロゼにはもっと味付け濃いめでもいいと感じたので、片栗粉でとろみをつけた照り焼きに。
こうなるとブジョニスやマルティナは酸っぱさが目立ってしまいます。この料理との相性は圧倒的にロゼ!甘辛い味がモニストロルのコクのある質感と上手にマッチして、豚肉とワインが調和して消えていきます。
 
 
この料理がよく合うなら、甘辛いタレの焼き鳥もあいそうです。それも有名焼き鳥店のテイクアウトじゃなくて、スーパーの総菜や冷凍食品などの手頃なものが良さそうと予想します。
 
 

春巻きとの相性で比較するカヴァ

 
スパークリングワインは全般に油物との相性がいい印象があったので、試してみたのは春巻き。スーパーで買った揚げるだけのものです。具材は豚肉ミンチを中心に野菜が入った餡。
これが予想よりもイイ!
 
  
相性がいいのは白のカヴァ両方でした。
春巻きを食べたあとに飲むことで、2本のカヴァの果実味がより軽やかな花の風味のように感じました。実は春巻きを揚げすぎて少し焦げ気味だったのですが、その苦みを気になりません。
 
アツアツの春巻きと良く冷えた白のカヴァの相性は、ぜひ体感いただきたいです。
おそらくは今回試した銘柄に限らず、白のカヴァの幅広い銘柄にあうと思います。
 
 

焼き餃子との相性で比較するカヴァ

 
簡単にできる1品つながりで、チルドの焼き餃子との相性を検証しました。
 
 
この相性はどれもまずますいい
明確に「餃子をより美味しくする」というほどの相性ではないので、「マリアージュ」とは呼べないでしょう。しかし互いに全く悪くはしない。
餃子を食べた後味をワインがスッキリとリセットしてくれて、続いてワインを飲めばきちんとその味わいを感じられます。
ビールと比べたときも、3本とも劣るものではありません。特段優れるわけではないのですが、あとはコストと飲み物としてどちらが好きかでしょう。
 
 

豚肉のシューマイとの相性で比較するカヴァ

 
シューマイはあまりニンニクを使わないこともあってか、餃子に比べるとパンチが強くない料理です。
それもあってか、シューマイとカヴァとの相性においてよかったのは、ヴィーニャ・マルティナが優れていました。
 
どれも悪くはなかったです。
検証に用いたのは、スーパーで1パック8個200円の豚肉のシューマイ。
 
 
ブジョニスでは若干シューマイの風味が過剰に感じ、ロゼは逆にカヴァのコクがシューマイの味の濃さを上回ってしまっていました。
その点でシューマイからのマルティナは、滑らかな泡感がしっかりシューマイの油脂や豚肉の風味を受け止めています。特別風味を引き立てているほどではありません。しかし口の中の料理とそのあとに飲むワインがシームレスにつながるさまは、たしかに「相性のいいワイン」と言えそうだと感じました。
 
 

からあげとの相性で比較するカヴァ

 
今回は手抜きでスーパーのしょうゆ味のから揚げを買ってきました。
 
 
結果として不可はないが別にカヴァじゃなくてもいい
 
から揚げはワインを美味しくもしないし、不味くもしない。
ワインはから揚げを美味しくはしないが、炭酸の分だけスッキリはさせてくれる。
まあ正直、ビールや炭酸水でも変わりは効きます。ただワインの相性というのは、適当にあわせると互いを不味くする場合の方が多いです。酸っぱく感じさせたりワインの味を感じにくくなったりという中で、変わらないというのは比較的相性がいい方です。
 
3本の中でロゼのカヴァは余韻にもしっかりその風味を感じさせてくれました。鶏肉と醤油の旨味感と、黒ブドウのコクが上手くバランスをとっているのを感じました。
「から揚げ×ビール」や「から揚げ×ハイボール」に比べてほんのわずかに美味しいかも、くらいでした。
 
 

ブドウ品種ではあまり語れない

 
ここまでカヴァのブドウ品種についてはあまり話をしてきませんでした。
カヴァの伝統品種であるマカベオ、チャレッロ、パレリャーダ。それぞれ次のような特徴があります。
 
マカベオ 他の2品種に比べて酸が高く、花のようなアロマがある
チャレッロ 豊かな果実味や土の香りを持つ
パレリャーダ ソフトでエレガント。香りの複雑性を高める
 
しかしこのブレンド比率でカヴァの味わいは語れません。ブドウ品種とそのブレンド割合は確かにワインの風味に影響を与えます。しかしそれは赤ワイン・白ワインほど顕著ではありません。製法その他の影響も大きいからです。
 
生産者の特性が比較的強くワインの味わいに現れる。それゆえカヴァの風味をブドウ品種で判断するのは早計です。
どんなブドウ品種が使われているかは、カヴァ選びにはあまり役に立たないでしょう
 
 

カヴァは1日で飲まなくても大丈夫

 
カヴァを飲むなら3日前後を目安に飲み切っていただきたいです
1日で飲み切る必要はありませんが、1週間くらい放置していてはほぼ炭酸が抜けてしまいます。スパークリングワインであるカヴァはシュワシュワしていてこそ!
 
泡の持続性も検証してみました。
 
 

1~3日目の泡立ち

 
ワイングラスを上から見た時の泡立ちを比較しました。
(横からの映像の方がわかりやすいのかもしれませんが、結露で上手く撮影できませんでした)
 
《1日目 開けたて》
 
上がブジョニス、下がマルティナです。少しだけマルティナの方が泡立ち豊かに見えます。
 
《2日目》
 
左下がマルティナ、右下がブジョニス、ロゼはモニストロルです。
1日目よりも泡の粒が小さくなりますが、しっかり立ち上り続けます。ただし口に含んだ時の印象はやや弱く感じます。とはいえレストランのグラスワインとして出てきても十分許容範囲でしょう。
  
《3日目》
 
 
見た目の泡立ちはかなり弱くなっています。レストランでスパークリングワインのグラスを注文し、この泡立ちなら私はイヤですね。
しかし口に含めばそう悪くない。1日目・2日目に比べると確かに弱いですが、ある程度は炭酸の刺激があります。「2日目で飲み切っておけば・・・」というほどではありません。
 
1日でグラスワインに換算して2杯から2杯半。それくらい飲める人であるなら、カヴァを十分美味しく飲み切ることができるでしょう。
 
 

違いを知って感じれば晩酌はもっと楽しくなる!

 
カヴァは安くて美味しいです。しかし他のスパークリングワインに対して圧倒的に優れているというほどではありません。「安くて」というならビールやチューハイ、ハイボールなど、手軽でもっと手頃な美味しいお酒はたくさんあります。
 
 
夕食とともに楽しむ1杯が、心の栄養補給になる。ストレスの多い現代だからこそ、緊張から解放される晩酌の時間が心の支えになっているという方も多いのでは?
そのためのお酒として、ほどほどに美味しいもので単に酔えたらいいのであれば、カヴァじゃなくてもいいし、ワインである必要もない。
 
今晩は何を開けようかな
昨日の飲みかけにあう料理は何かな
こないだ飲んだカヴァ美味しかったから、次も似たようなの買ってみよう
 
違いを知って感じてワインが楽しくなれば、晩酌の前の時間から頭の中でワインを楽しめます。そうすればあなたにとってのワインが、もっと癒しとなりもっと心の活力となることでしょう。





※投稿に記載しているワインのヴィンテージ・価格は執筆時のものです。現在販売しているものと異なる場合があります。
購入の際は必ず商品ページにてご確認ください。




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