安くて美味しいスパークリングワインとして、レストランでも定番の「カヴァ」。
でも実はカヴァが最も活躍するのは、いつもの晩酌。何気ない一日の終わりなんです。
普段の食事にシャンパンよりカヴァをおすすめするのは、安いからだけではありません。
飾らないおうちワインにピッタリな、カヴァの魅力をご紹介します。
「カヴァ」「カバ」とは?
「CAVA カヴァ」とはスペイン産のスパークリングワインです。
主にペネデス地域。サッカーで有名なバルセロナから西に30kmほどいったところにある地域を中心につくられています。
シャンパンと同じ伝統的製法でつくられ、その長期間の保管を洞窟や地下貯蔵庫で行っていたので、「Cava = 洞窟」と名付けられたのです。
フランスのシャンパン、イタリアのプロセッコと並んで、カヴァは世界3大スパークリングワインに挙げられます。スペインを代表するスパークリングワインとして、世界中で親しまれているのです。
シャンパンとカヴァって何が違うの?
シャンパンとカヴァはどちらも同じ伝統的製法(瓶内二次発酵製法)で造られるスパークリングワインです。しかし、両者は生産地が異なります。
シャンパンはフランスのシャンパーニュ地方でつくられるものを呼びます。
カヴァはスペインのカタルーニャ地方を中心としたエリアです。
そのほかにも、以下のような違いがあります。
気候の違い
まず、シャンパーニュ地方とカタルーニャ地方では気候が大きく異なります。
シャンパーニュ地方はフランス北部に位置しており、冷涼な大陸性気候です。気温は1年を通して低いため、ブドウの成熟不良や、雨の後のカビ病が問題になることがあります。
一方、カタルーニャ地方は温暖な地中海性気候に恵まれ、夏は乾燥して暑く最高気温は30度程になります。
雨は冬にまとめて降るため、ブドウの生育に悪影響はほとんどありません。激しい昼夜の寒暖差がブドウの酸味を保つので、生育には最適な土地です。
ブドウ品種の違い
上記のように気候が異なるため、適したブドウ品種が異なります。
シャンパーニュ地方ではシャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエの3種がほとんどを占めます。
冷涼なシャンパーニュ地方に適した、熟しやすい品種です。
カヴァにつかわれるブドウは、それぞれの個性を持つ次の3つの土着品種です。
マカベオ:豊かな香りとミネラル感に程よい酸、そしてフルーティーさ
チャレッロ:柑橘類や花の香り。ワインに骨格を与える
パレリャーダ:熟したアロマ。優雅さや柔らかさを与える
これらの品種をブレンドしてつくるのが基本なのは、シャンパンもカヴァも同じです。
ちなみに、カヴァにはシャルドネやピノ・ノワールを使用することもできます。品種の人気の高さから、近年は栽培する生産者も増えているといいます。
熟成期間が違う?
カヴァは熟成期間の規定がシャンパンよりもやや短いです。
最も一般的なカヴァは、最低熟成期間が9ヶ月とされています。一方、シャンパンは最もスタンダードなノン・ヴィンテージシャンパンでも最低熟成期間が15ヶ月間必要です。
ただ、規定による熟成期間はシャンパンよりも短いですが、実際は規定よりも長く熟成しているカヴァの生産者が大半です。
それでも、一部の高級シャンパンのように10年以上もの熟成期間をとっているカヴァはほとんど存在せず、平均的な熟成期間はシャンパンよりカヴァの方が短いです。
熟成が短いカヴァは、フレッシュで爽やかな口当たりのものが多いです。
また、熟成期間が短いと、造ったワインが早くお金に変わるので、手ごろに提供できます。
反対に、シャンパンのように熟成期間が長いと、泡がより繊細で上質かつクリーミーになります。
また、複雑味が増し深みが出るようになり、風味が変わります。
酸味に大きな差がある
前述したように、カヴァに主に使用されるスペイン固有のチャッレロ、マカベオといったブドウ品種は、果実の成熟度が高く酸味が穏やかです。
シャンパンに使用されるシャルドネやピノ・ノワールといったブドウ品種を使用したものもありますが、気候が温暖なためやはり酸味は強くありません。
よって、シャンパンと比べるとカヴァは比較的柔らかく優しい印象を受けます。
ワインを普段あまり飲まない方やワイン初心者の方にも楽しんでいただけるような味わいです。
風味が違う
品種の違いと熟成期間の違いは、風味の違いをもたらします。
熟成が長いシャンパンは、トーストやブリオッシュのような酵母由来の香りや、フルーツでもアップルパイなどのように火を通したものの印象を持ちます。
コクと深さがあり、しっかりとしたボディで飲みごたえがあります。
一方、一般的にシャンパンより熟成が短いカヴァは、生のグレープフルーツなどの柑橘系のアロマや、洋ナシやメロンといった白果実系のアロマが香るものが多いです。
よって、比較的フレッシュでフルーティーな味わいのものが多いです。
それぞれに適したシーンがある
シャンパンは複雑な味わいで深みがあり、さらに高級品であるため、非日常的な気分を味わえる特別なシーンに適しています。
例えば、誕生日や結婚式、記念日などの特別なシーンで、大切な人とじっくり味わう特別な時間を豪華に演出してくれます。
また、特別な方やワイン好きな方へのプレゼントとしても最適です。
一方、カヴァは飲み口が軽く酸味が穏やかで、お値段もお手頃です。そのため、普段家で食べるごはんと一緒に気軽に飲むスパークリングとして最適です。
また、ワインを普段あまり飲まないけどちょっとした女子会やホームパーティーで気分を盛り上げたい時にもおすすめ!
気の置けない仲間たちとワイワイ飲みたい時にも、カヴァはピッタリです。
カヴァってどうしてこんなに安い!?
気候やブドウ品種に違いがあることはわかりました。
しかしどうしてシャンパンとカヴァは、こんなにも値段が違うのでしょうか?
シャンパンは稀に2000円ちょっとからありますが、そのほとんどは4000円台がスタートです。
それに対してカヴァは1000円台がボリュームゾーン。4000円以上のものを見つける方が困難です。
カヴァが安いのにはワケがあります。
土地のコスト
その理由の一つは土地代。
パリに近く開発の尽くされてきたシャンパーニュ地方は、畑を広げる余地はほぼありません。
土地がそもそも高価なことが、ブドウの価格にも反映されます。
それに対してペネデス周辺は、農業に恵まれた土地ではありながら、競い争うほどではないのでしょう。
地価は取得費だけでなく、固定資産税や相続税と言った継続的なコストにも影響します。
労働コスト
フランスの中でも北部にあるシャンパーニュ地方に比べ、スペインの地中海沿岸部は労働コストがかなり低いはずです。
それはフランスとスペインで経済力に差があること、それからアフリカからの季節労働者が得やすいことが理由です。
シャンパーニュでは手作業が義務付けられている収穫も、ペネデスでは機械で行うこともできます。
土地代と併せて労働コストの低さが、原材料のブドウ価格を安くすることにつながり、カヴァをお手頃価格にしているのです。
『シャンパン』ブランド
「ラグジュアリーな時間にシャンパンを」
そんな高級で贅沢なお酒であるイメージを、シャンパンの生産者たちは世界に発信してきました。
いち早くスパークリングワインの王者の地位を築いてから今日まで、膨大な広告費・プロモーション費用がつぎ込まれてきたのです。
そのブランド料がシャンパンの価格には乗っかっています。
カヴァにラグジュアリーな雰囲気は期待できません。
しかし、名前やラベルよりも中身を大事にする人にとっては、カヴァはお買い得だと言えるでしょう。
味わいの違いから選ぶカヴァ4選
手頃なイメージの強いカヴァにも、高級品はあります。
しかし今回は、あえて1000円台前半に搾って、味わいの違いを感じて頂きたく4種類をピックアップしました。
全部買ってもシャンパン1本分くらいです。ぜひ飲み比べを楽しんでください。
フロールス カヴァ ブリュット NV ジョゼップ マザックス
バランスが良く爽やかでフレッシュ感があります。いきいきとした口当たりは非常に繊細で食事との相性も抜群です!
1920年より代々続く家族経営のワイナリーが丁寧に造るカヴァ。
創設者のジョゼップ・マザックス氏は子供の頃から、大人になったら家族や友人のためにカヴァを造りたいという夢を抱いており、実際に夢を実現させました。その夢はやがて息子から孫へと引き継がれていきました。
そんなマザックス家により造られる低価格高品質のカヴァは、マザック家のワインに対するひたむきで誠実な想いがそのままワインにストレートに反映されているかのようです。
モナステリオーロ カヴァ ブリュット NV マルケス デ モニストロル
昔ながらのオーソドックスでカヴァらしい味わい。柑橘系の爽やかな香りと豊かな果実味からは、力強さも感じられます!
もとは16世紀の修道院に遡る歴史を誇る、1882年設立のワイナリー。
広大な畑から、非常に品質の高いブドウを選別して収穫、最新の醸造設備で上質の果汁を搾り取り、非常に丁寧なワイン造りを行います。
国際的評価も高く、近年では特にイギリス向けに大きく躍進しています。
モンサラ カヴァ ブリュット NV バルディネット
レゼルバクラス(熟成規定15か月以上)の長期熟成を経ているゆえの繊細で上質な泡と柔らかい口当たり!
酒類総合メーカーのバルディネット社が手掛ける本格的なカヴァ。
「レゼルバ」と表記することもできる熟成期間をとりながら、驚くべきはこの価格帯の安さ。千円代前半の値段で長期熟成された本格的なカヴァが楽しめます。
そんな長期熟成を経たモンサラの味わいは、繊細でクリアなだけではなく、青リンゴの風味と花の香りが際立ちとても華やかな印象を持ちます。
三ツ星レストランでも多くの採用実績がある、非常にコストパフォーマンスに優れたカヴァです。
ダミア カヴァ ブリュット NV アルティーガ フステル
とても繊細でクリーミーな泡で、リンゴや桃などの果実味で溢れており、食事との相性も大抜群です!
このダミアを手掛けるアルティーガ・フステル社は、「飲む人のニーズに合ったリーズナブルで高品質なワイン造り」がモットー。ワイン業界で経験豊富な少数精鋭チームが集い、スペイン国内の優れた生産者とワイ造りを行っています。
小さなブドウ畑からブドウを手摘みで収穫し、選果台で選別します。最高品質のブドウを選び抜くため、選別で残るのは収穫のたった25%のみなのです。選ばれたブドウは優しく圧搾され、“モストフロール”と呼ばれる第一搾汁のみが発酵へと進み、ダミアのカヴァとなります。
おうちで楽しく気軽にスパークリングを飲むにはカヴァがぴったり!
カヴァは個性豊かで価格帯も安く、コストパフォーマンスの非常に高いスパークリングワインです。
豊かな香りと穏やかな酸味を持ちバランスの良いカヴァは、スペイン料理のみならず、中華料理や和食など普段家で食べる料理との相性が比較的良いものが多い!だから日常でカジュアルに楽しむことができます。
特におススメは餃子とカヴァのペアリング!
カヴァの泡が餃子のお肉や野菜の味を引き立て、さらに油分を流してくれるのでついつい食べ過ぎちゃいます。
まだまだ外食が難しいこのご時世、あなたも普段のおうちごはんに気軽にカヴァを楽しんでみてはいかがでしょうか。