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【カリフォルニアワイン】もう迷わない!シャルドネを産地で選べるようになる!

2023年5月10日

【カリフォルニアワイン】もう迷わない!シャルドネを産地で選べるようになる! 
 
カリフォルニア産シャルドネといえば、樽香の効いたどっしりな味わい。
決して間違いではありませんが、そればかりだと捉えるのは非常にもったいない。
広くて様々な気候があるこの地では、膨大な種類のシャルドネがつくられています。
産地の特徴と近年のトレンドから、自分好みのシャルドネを選べるようになりましょう。
 
 

カリフォルニアワインにおけるシャルドネのポジション

 
カリフォルニアの総ブドウ栽培面積約19万haのうち、シャルドネは約3.7万ha。単純に考えるならカリフォルニアワインの5本に1本がシャルドネという計算です。この量はカベルネ・ソーヴィニヨンに僅かに劣るだけの量。
もちろん白ブドウでは圧倒的なNo.1であり、カリフォルニアワインにおいて超重要な品種であることは明らかです。
 
 

重要ゆえに選ぶの大変!

 
シャルドネはカリフォルニアのワイン産地ほぼ全土でつくられています
カリフォルニアの気候は地区によって非常に多彩です。シャルドネはその様々な気候のほぼ全てに適応し、丁寧に育てれば多くの地区でレベルの高いワインをつくることができます。
 
 
だから1本を選ぶのが難しい。当店の取り扱いに限っても、カリフォルニアのシャルドネは117種類。(2023年4月末現在)
産地による特徴が様々、というのが一つの理由。もう一つはカリフォルニアのシャルドネは1000円前後のものから10万円クラスまで連続的に流通しています。
基本的には高い方が美味しいのは当然。ただ「これくらいの値段を境に一気に世界が変わる」というのがありません。「いくらくらい出せば十分」という目安がない
どの価格帯にもたくさんの選択肢があるので、迷ってしまうのです。
 
 

基本は産地と生産者の傾向

 
ワインの味わいはまずブドウ品種で決まり、同じブドウ品種で比較するなら次は産地で決まります
 
「California」表記で全域のブドウを使えるシャルドネだと、もうあとは生産者個別に調べて判断するしかありません。
だからこそ今回は、まずは産地に注目してみましょう。
 
 
生産地区ごとに気候を決める要因があります。それがワインの味わいの方向性を決める。そこに生産者ごとの特性が乗っかります。
カリフォルニアの気候を左右する要因と主だったシャルドネの産地を知れば、おおよそワインの雰囲気が想像できるようになるでしょう。
 
 

気候と日照が味わいのベース

 
昼間の最高気温と夜間の最低気温がどれくらいで、その日較差はどれくらいあるのか。加えて直接太陽の光がブドウ樹を照らす時間がどれくらいあるのか。
どの季節にどれくらいの雨が降るのか。朝晩に霧が発生するのかどうか。
1日1日の「気象」を平均化した「気候」が、ワインの味わいを決める重要要素です。
 
 
沖縄が暑くて北海道が寒い。日本に住んでいるとつい北に行くほど冷涼だと考えがちですが、カリフォルニアではそうではありません。
 
 

東西で変わる寒暖

 
カリフォルニアのブドウ畑、その気候要因において最も重要なのは海からの距離です。それに地形の影響を加えて畑の気候がおおよそ決まります。だから西へ行くほど冷涼で、東へ行くほど温暖。南北より東西の影響が大きいのです。
 
 
なぜならカリフォルニアの沿岸を流れているのは、北から南へと流れる冷たい海流だからです。
ゆえに海に近い畑ほど冷涼で、ワインは豊富な酸味を持つエレガントなものになります。内陸部ほど日中が高温になり、熟した果実の風味を持つ凝縮したワインが出来上がります。
 
ただし単純な距離だけではありません。海岸線に沿ってカリフォルニアの多くの地域で「海岸山脈」があります。だから冷たい風はあまり直接的には内陸に入ってきません。
山脈の切れ目や山脈が東西に走る地区では、かなり内陸まで海の冷却効果が及びます。
 
 

生産地区分「AVA」とは

 
AVAとは「American Viticultural Areas」の略で、アメリカのブドウ栽培地域の区分を表します。
単純に生産地区だけを表しているのが、EUのAOP制度、原産地呼称制度とは違う点。ブドウ品種や栽培・醸造法は自由なのです。
 
このワインづくりの自由さと階層の複雑さが、ワインを生産地区で選ぶのを少し難しくしています。
 
 

ワインの基本「狭いほど高級」

 
大多数のワインにはブドウの生産地域が表記されています。その地域が狭ければ狭いほど、ワインが高級になる傾向にあります。
 
フランス産 < ブルゴーニュ産 <村名表記ワイン < 畑名表記ワイン
この順番でワインが高くなっていくのです。
 
 
カリフォルニアではフランスほどカッチリこのピラミッドが決まっているわけではありません。「Oakville」表記のワインより高価な「Napa Valley」表記のワインだってあります。
 
それでも狭いエリアの名前が表記されているワインの方が、地域の特徴をより反映した味わいであると期待できます
 
 

産地の大きさからワインの価格を推測する

 
その産地名が広いエリアを指すなら、産地特性がそれほど強くない手ごろなワインが見つかりやすい
逆により限定されたエリアのAVAから探せば、高級で産地の味わいを感じさせてくれるワインに出会える
 
大雑把にこのように考えることができます。
 
 
AVAに認定されている地域は、カリフォルニアだけでも非常にたくさんありますし、数年おきくらいに増えていっています。
だから一つ一つの面積を覚えるなんてことは現実的ではありません。
 
シャルドネの有名な産地について、その地域・地区がどの階層にあるのかを判断できれば、おおよその大きさを推測する助けになるでしょう。大体の大きさが分かれば、どの価格帯のワインを見つけやすいのかが判断できます。
 
 

カリフォルニアの産地階層

 
カリフォルニア > 地方名 > カウンティ > 主要AVA(※) > ネステッドAVA
 
おおよそカリフォルニアのAVAはこのような構造です。
※主要AVAとう名称は当記事での便宜上のものです。正式にはAVAに階層という区別はありません。
 
 
地方名とは「ノースコースト」「セントラルコースト」「インランド・ヴァレーズ」などの大まかな地域のこと。
「セントラルコースト」表記のシャルドネはよく見かけますが、かなり大きな地域からブドウを調達していると推測できます。
 
その中にあるのが「カウンティ」。これは日本の都道府県をイメージするとよく、行政上の区分です。
AVAはブドウ栽培地としての特徴で区分されるため、複数のカウンティにまたがるAVAも存在します。
 
主要AVAの中には、高級ワインの産地としてよく耳にするAVAがあります。
「ノースコースト」内の「ナパ・ヴァレー」「ソノマ・コースト」、「セントラル・コースト」内の「サンタ・バーバラ」などです。「モントレーカウンティ内のモントレーAVA」のように、同じ名称が使われるAVAは面積が広い傾向にあります。
 
主要AVAの中に、よりエリアが限定されたネステッドAVAがあります。
「サブリージョン」と言った方がわかりやすいのかもしれません。しかしネステッドAVAの特徴を主要AVAが内包しているとは必ずしも言えないので、こういう言い方をするそうです。
主に「ソノマ・コーストAVAとノーザン・ソノマAVA」の中にある「ロシアン・リヴァー・ヴァレーAVA」や、「モントレーAVA」の中にある「サンタ・ルチア・ハイランズAVA」「アロヨ・セコAVA」などはシャルドネの名産地です。
 
次にカリフォルニアにおけるシャルドネの主要産地を紹介していきます。
そのエリアの階層はどこにあたり、大きいのか小さいのか。それから海から遠いのか近いのかに注目してみてください。
 
 

シャルドネで見る主要産地と味わいの特徴

 
そのAVAが手ごろなワインの産地なのか、高級ワインの産地なのか。傾向があります
ワインの価格帯を3つに分類し、その地域名のシャルドネがどれくらい流通しているかを表しました。
 
今探しているシャルドネが、普段飲み用の手ごろなものか、あるいは来客時に提供したいちょっと特別なものなのか。コレクションしておく価値もある高級品なのか。
気分やシチュエーションに応じてどの産地から探すのがいいかの参考にしてください。
 
 
カリフォルニアの主要なシャルドネの生産地AVA

カリフォルニアの主要なシャルドネの生産地

価格帯の指標

$$$:1万円~
$$ :4000~1万円
$  :~4000円
  
  

①ナパ・ヴァレー(ナパ・カウンティ内)

ネステッドAVA:ロス・カーネロスなど
海からの距離:やや近い
面積:中程度
価格帯 流通量
$$$ ■■□
$$  ■■■
$   ■□□
 
カベルネ・ソーヴィニヨンが栽培面積の半分を占めるAVAですが、その次にはシャルドネが多く栽培されています。
南端の「ロス・カーネロスAVA」をはじめ南にいくほど冷涼ですが、それでもソノマ・カウンティよりは温暖です。
高級産地だけあり手ごろな価格帯のワインは少ないです。一方で高級なシャルドネに向いた地域は多くないため、1万円超えのものは多くありません。
 

シャルドネの特徴

特徴としては非常に凝縮感が高いこと。樽香は強めに現れるものが多いです。
アルコールが14%を超える力強いものが多く、酸味は控えめ。
一口目から存在感があるものが多いので、ホームパーティーで4、5人で飲むシーンに向いています。
ただし「ロス・カーネロスAVA」のものはまた違って、酸味もしっかりとある上品な味わいのものが中心です。

 
  

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②ソノマ・コースト(ソノマ・カウンティ内)

ネステッドAVA:ロシアン・リヴァー・ヴァレー、フォート・ロス・シーヴュー、ペタルマ・ギャップなど
海からの距離:近い~やや近い
面積:中程度
価格帯 流通量
$$$ ■□□
$$  ■■■
$   ■□□
 
ソノマカウンティはおおよそ北西から南東に細長く広がり、それを長い方に半分にした南西側が「ソノマ・コーストAVA」。シャルドネやピノ・ノワールの銘醸地として名高い、比較的大きなAVAです。
この中に近年いくつものネステッドAVAが認められています。
海岸山脈が途切れる「ペタルマ・ギャップ」を通って太平洋から冷たい風が吹き込むため、カリフォルニアで特に冷涼な地区の一つと考えられています。
 

シャルドネの特徴

カリフォルニアを代表するシャルドネがいくつもソノマ・コーストからつくられており、最高級のものを探すならこのソノマ・コーストAVAかそのネステッドAVAがいいでしょう。
しっかりと熟したフルーツの風味はありながら、豊富な酸味を蓄えた白ワインが多いです。ただ近年は温暖化の影響か、アルコール14%を超えるものも珍しくありません。
比較的手ごろなものもままありますので、それで生産者を見極めて、高級品に手を出すといいでしょう。

 
  

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③ロシアン・リヴァー・ヴァレー(大部分がソノマ・コースト内)

ネステッドAVA:チョーク・ヒル、グリーン・ヴァレー・オブ・ロシアン・リヴァー・ヴァレー
海からの距離:やや近い
面積:狭い
価格帯 流通量
$$$ ■■■
$$  ■■■
$   ■□□
 
 
海に面しているわけではなく、ソノマ・コーストの中では内陸側にあります。それでも海岸山脈の切れ目を通って海からの冷たい風が入るため、涼しい産地に分類されます。
朝晩は霧の影響で冷涼なのですが、昼間の日照は強いため、ブドウはよく熟します。
 
 

シャルドネの特徴

レモンやオレンジなどの柑橘の特徴と、熟したトロピカルフルーツのアロマの両方を感じる傾向にあります。基本的に中~高価格帯のワインがつくられるので、樽熟成の風味をしっかり感じるものがほとんど。それによりクレームブリュレのような甘い香りとスパイス感を持ちます。
果実香・樽香・酸味・ボディ感が高いところでバランスがとれており、「高そうな味」のシャルドネが多い産地です。
普段飲みよりは特別な日に飲みたいワインですが、バランス感がいいので2人くらいでゆっくり飲むのもいいでしょう。

 
  

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④サンタ・バーバラ(セントラル・コースト内)

ネステッドAVA:サンタ・マリア・ヴァレー、サンタ・リタ・ヒルズなど
海からの距離:近い
面積:大きい
価格帯 流通量
$$$ ■□□
$$  ■■□
$   ■■□
 
 
セントラルコースト地域の南端にあります。ここでは山脈が東西に走っており、西側が海に対して開けているため、冷たい風と霧の影響を強く受けます。そのためカリフォルニア内でも特に冷涼な地区と言えます。
地形により大きく気候が変わります。ブルゴーニュ品種も多く栽培されていますが、内陸部ではカベルネ・ソーヴィニヨンやシラー見られます。
 
 

シャルドネの特徴

どっしり高アルコール&フルボディといったシャルドネは少なく、上品な酸味とスマートなボディを備えた白ワインが中心です。
ブルゴーニュのシャルドネがお好きな方にとっては、カリフォルニアで一番親しみやすいのはサンタ・バーバラのあたりかもしれません。
かなり安いものは少ないです。ちょっとした自分へのご褒美として楽しむといいでしょう。

 
  

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⑤サンタ・リタ・ヒルズ(サンタ・バーバラ・カウンティ、サンタ・イネズ・ヴァレーAVA内)

ネステッドAVA:なし
海からの距離:近い
面積:狭い
価格帯 流通量
$$$ ■□□
$$  ■■■
$   ■□□
 
 
サンタ・バーバラの中でも海より。直接に冷たい風が吹き込む位置にサンタ・リタ・ヒルズはあります。ゆえに気候は非常に冷涼
セントラル・コーストの南端であり、カリフォルニアの中心地サン・フランシスコから非常に距離があります。それもあって日本のインポーターにとって開拓の進んでないエリアと言えるのではないでしょうか。日本市場で流通している生産者はまだあまり多くありません。
 
 

シャルドネの特徴

冷涼な気候による豊富でキリっとした酸味。ものによってはブルゴーニュワインよりも酸味が高い場合すらあります。
低価格量産型のワインは少なく、中価格帯が中心。硬質なミネラル感を持つちょっと玄人向けな味わいで、初心者受けはしないかもしれません。
初心者よりはワイン通が集まる場で飲みたいワインです。

 
  

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⑥ローダイ(サクラメント・カウンティ内)

ネステッドAVA:アルタ・メサ、クレメンツ・ヒルズなど
海からの距離:遠い
面積:大きい
価格帯 流通量
$$$ □□□
$$  ■□□
$   ■■■
 
 
サンフランシスコ湾を奥に進んだ内陸部に位置するローダイ。
ブドウ栽培の歴史はかなり古いのですが、原料提供地としての歴史が長く、低価格なワインの産地です。近年は樹齢の高いジンファンデルなどで高級な赤ワインもつくられていますが、生産量1/3である白ワインで高級品はほとんどありません。
 
 

シャルドネの特徴

内陸ゆえの温暖な環境で、シャルドネからは熟したフルーツの香りを感じます。ただし価格帯相応というべきか、それほど風味の凝縮感は高くありません。酸味も穏やかであまりメリハリのない雰囲気のワインが多い印象です。
ただしそれは普段の晩酌用としては十分。のんびり気楽に楽しむ晩酌にはちょうどいい濃さなんです。

 
  

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⑦セントラル コースト

モントレー、サン・ルイ・オビスポ、サンタ・バーバラなどの各カウンティを含む
海からの距離:近い
面積:特大
価格帯 流通量
$$$ ■□□
$$  ■■□
$   ■■■
 
 
サン・フランシスコからサンタ・バーバラまで海に沿って広がる非常に広大なエリアです。
上級クラスはもっと限定されたAVAの自社畑から。スタンダードクラスをセントラル・コースト各地からの買いブドウをあわせてつくる
そんなパターンが多いように感じます。
 
山脈を挟んで内陸側の「セントラル・ヴァレー」ではもっと低価格なワインが大量生産されています。だからセントラル・コーストではその上の価格帯をターゲットにつくられているようです。
 
 

シャルドネの特徴

多くの消費者にとって、そのワイナリーの入り口となる位置づけのワインが多いです。なので際立った個性よりも万人受けを狙ったような味わいが多いように感じます。
海に近く冷涼ではあるのでしょうが、酸味があまり尖らないように仕上げられており、全体として濃すぎない。親しみやすさを重視している傾向です。

 
  

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カリフォルニアのシャルドネ 最近のトレンド

 
1990年代から2010年くらいにかけてでしょうか。
ワイン評価誌の影響もあって、カリフォルニアで、いや世界中で「ビッグなワイン」が流行しました
収穫量を絞って過熟気味に収穫したブドウを醸造し新樽で熟成させる。ヴァニラとフルーツの甘い香りがムンムンの高いアルコールのワインです。それにロバート・パーカーをはじめとした評論家が高得点をつけ、飛ぶように売れるという流れがありました。
 
 
振り子の針が行っては来てするかのごとく、行き過ぎた流行は逆の流れを見せています。
 
 

かつてのトレンド 樽リッチシャルドネ

 
カリフォルニアのシャルドネといえば、甘い樽香があってリッチな味わい
そんなイメージはこの時代につくられたものでしょう。
 
 
決して時代遅れというつもりはありません。こういった味わい今も好きな方は非常に多いです。
このナパ・ハイランズというワインは、「みんなが思うナパ・ヴァレーのイメージどおりの味わいを」というコンセプト。しっかりと樽香を感じます。
 
 
ただしこのタイプのワインは、「ワインの中に醸造技術による味わいが強い」「ワインがみんな同じ方向を向いてしまう」という点が弱い。つまり競合商品との差別化が難しいのです。
それでは消費者に飽きられてしまう。それゆえ醸造家やソムリエの間で「脱・樽リッチシャルドネ」の動きが強くなってきました。
 
 

「樽ナシ」は流行る?

 
樽リッチシャルドネのアンチテーゼとしては、ステンレスタンク発酵・熟成したワインでしょう。
例えばこのヘッドハイがまさにそう。
 
 
南アフリカ ぐれネリーの発酵用ステンレスタンク
 
ただし樽熟成を行わなかったからといって、シャブリのようなキリっと辛口に仕上がるわけじゃありません。
ブドウの質や酸味とのバランスがストレートに現れてしまいます。
 
カリフォルニアの樽なしシャルドネは、一瞬増えているかのような印象もありましたが、結局流行にはならなかったように感じています
 
 

昔に回帰したスマートさ

 
近年注目を集めているのが、樽香もアルコールも抑えめにしたフレッシュさに溢れたスタイル
例えばこのトレフェッセンなどがいい例でしょう。
 
 
オークノール・ディストリクト・オブ・ナパ・ヴァレーという、ナパ・ヴァレーでは南よりのやや涼しい産地。
ここでおよそ50年間、ずっとこの上品で食事とあわせやすいスタイルのシャルドネをつくってきました。単に「ビッグなワイン」の波に乗らなかっただけです。
 
昔からのスタイルが再評価されているところが興味深いです。
 
 

流行を知ったうえで好みで選ぶ

 
我々ワインのプロにとっては、業界のトレンドは重要です。
でも一般消費者にとって、生産者の間の流行なんてどうでもいいはず。それより自分が好きなタイプのシャルドネを選べることの方がずっと大事です。
 
 
流行の変わり目には、前の流行がまるで時代遅れの劣ったもののように書かれることがあります。でもそれは間違い。
確かに樽香の強いシャルドネは、相性のいい料理の幅が狭く、フードペアリングでは少し劣るでしょう。しかしワイン単体で飲んだ時の価格説得力、つまり「高い味」感は強いです。これに親しんだ人にとって、トレフェッセンのようなワインは「高い割には濃くなくて、コスパが悪い」と感じてしまうかもしれません。
 
目指す方向性の違いを認識しているなら、それぞれのタイプどれを飲んでもガッカリすることはないでしょう。
 
 

気分やシチュエーションにあわせて好みのシャルドネを

 
カリフォルニアのそれぞれの地域にいろいろな生産者がいます。
近年のトレンドであるバランス感を重視した抑制された味わいのシャルドネを目指す人もいます。樽香をしっかり効かせて、幅広い層に価格説得力を感じてもらえるワインをつくる生産者もいます。
 
その生産者の特徴と、ブドウ産地の特徴の掛け算でワインの味わいや価格はおおよそ決まります
 
 
カリフォルニアのシャルドネと一口に言っても、非常に多彩です。
あなたの今の気分や今週末の予定などにあわせて、お目当てのシャルドネを選んでみてください。





※投稿に記載しているワインのヴィンテージ・価格は執筆時のものです。現在販売しているものと異なる場合があります。
購入の際は必ず商品ページにてご確認ください。




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