ワインの法律

ドイツのワイン法解説 カビネット、シュペトレーゼとは?

2023年7月5日

ドイツのワイン法解説 カビネット、シュペトレーゼとは?
 
 
ドイツワインはかつて「糖度が高いほど上級」とされてきました。
その表示が「カビネット」や「シュペトレーゼ」などですが、実はワインの甘口・辛口とイコールではありません。
多くのソムリエが苦手意識を持つ、ドイツの糖度等級についてわかりやすく解説します。
この記事を読めば冷涼産地ならではの等級が、ワインの好みによっては意味がないことを理解できます。
 
 

よくある勘違い「シュペトレーゼは甘い」

 
前提としてブドウの果汁糖度と出来上がったワインの残糖度は必ずしも比例しません
そして「Spatlase シュペトレーゼ」などの品質等級は、ブドウ果汁糖度を表すものワインの甘さとは別物なのです。
  
ゆえに「Spatlase」と表記されるワインが甘いとは限りません。
 
 

ブドウ糖度による品質等級

 
ドイツワインの品質等級はまず大きく4つに分かれます。
これはフランスやイタリアのワインと大きくは違いません。
 
 
下位2つのカテゴリ、ドイチャー・ヴァインとラントヴァインは日本ではまず見かけません。
というのもドイツはワイン生産量はほどほどな割に、国内のワイン消費量は非常に多いです。地元消費用の安ワインは、わざわざ国際市場でイタリア、スペイン、チリなどの手ごろなワインと闘わなくても、十分国内市場で消費されつくします。だから国外に輸出されるのは、ほとんどクヴァリテーツヴァインかプレディカーツヴァインです。
 
 

クヴァリテーツヴァインとプレディカーツヴァインの共通点と相違点

 
共通点としてまずは、ドイツの13の生産地域いずれかのブドウ100%でつくられたワインであることです。
実はモーゼル、ラインガウ・・・といった13生産地域以外にもブドウ畑はあります。ただしそう多くはありませんし、品質は高くありません。
ゆえにこの13生産地域でつくられないと、ドイツの上級ワインとは認められないのです。
 
 
その上級ワインの中で、2つのクラスはまずブドウ糖度で違います
ドイツのワイン法によると、果汁糖度が55-72エクスレだとクヴァリテーツヴァイン。70エクスレ以上だとプレディカーツヴァインに分類されます。
 

エクスレとは

エクスレはブドウ果汁の比重から求める糖度です。
水1Lは通常1kgです。それに糖分が溶け込んでいたら重くなります。1.001kgのとき1エクスれと定義します。
例えばプレディカーツヴァインの基準が70エクスレ以上ならば、1Lの果汁の質量が1070g以上であるということです。

 
2つのクラスにおいて最も重要な違いは、プレディカーツヴァインは補糖が禁止されていることです。
クヴァリテーツヴァインの方がもともとはブドウ糖度が低いブドウなはずなのに、甘くてアルコール度数も高いワインをつくることができる。これは補糖によるものです。
 
 

プレディカーツヴァインの6等級

 
上級クラスであるプレディカーツヴァインは、さらに糖度により6等級に分けられます。
 

Wines of Germany HPより

 
トロッケンベーレンアウスレーゼ Trockenbeerenauslese
150-154エクスレ 最低アルコール度数5.5% 貴腐ブドウを使用
 
アイスヴァイン Eiswein
110-128エクスレ 最低アルコール度数5.5% 凍結により凝縮した果汁を使用
※このなかでアイスヴァインだけは、単純に糖度だけではなく収穫時の状態が問われます。
 
ベーレンアウスレーゼ Beerenauslese
110-128エクスレ 最低アルコール度数5.5% 貴腐、もしくは遅摘みのブドウを使用
 
アウスレーゼ Auslese
88-105エクスレ 最低アルコール度数7% 遅摘みのブドウを使用
 
シュペトレーゼ Spatlese
80-95エクスレ 最低アルコール度数7% 完熟ブドウを使用
 
カビネット Kabinett
67-85クスレ 最低アルコール度数7% 熟したブドウを使用
 
ここでプレディカーツヴァインが補糖禁止であることが意味を持ちます。補糖が許可されてしまったら、いくらでも上級クラスのような甘味に仕上げることができるのです。
 
 

格付けが高いほど高級ワイン?

 
カビネット ⇒ トロッケンベーレンアウスレーゼの順に格付けが上がるほど、高価であることがほとんど。同じ生産者の白ワインのラインナップで比べるなら、「甘いほど高級」と言えます。
 

マーカス・モリトールのブドウ対比

 
格付けが上になるほど、単位面積あたりの収穫量が下がります。上の写真のとおりトロッケンベーレンアウスレーゼなんてほとんど干からびたブドウです。1つの房からトロッケンベーレンアウスレーゼに相当する粒だけをより分けて果汁を絞る。ほとんど絞れません。
ちょっとしか取れない希少価値に加えて手間がかかることが、「甘いほど高級」の理由です。
 
 
甘いほど高くなるのはこのとおり仕方ありません。
ところであなたは、甘いワインほど高いお金を払いたいですか?決してそんなことはありませんよね。ワインが甘い方がいいとするかどうかは、好みや気分、飲むシーンによります。
 
ブドウ糖度を基準にするのはまあわかりますが、ブドウ糖度"だけ”を基準にするのはナンセンスだということです。
 
 

ややこしくする原因 格下げ

 
カビネットの糖度しかないのにシュペトレーゼを名乗ることはできません。でもその逆はできてしまいます。
アウスレーゼの糖度があるのに、シュペトレーゼの表記をすることは可能なのです。
 
あえて低いクラスの名乗る理由はいくつか考えられます。
一つはラインナップの中でのポジション分けとして。その生産者がベーレンアウスレーゼをしっかり強い極甘口としている場合、ギリギリなベーレンアウスレーゼは消費者にとって期待と違うかもしれない。だからアウスレーゼクラスとして販売する、など。
 
他には赤ワイン。ドイツの赤ワインはほとんどがクヴァリテーツヴァインです。もしそれがアルコールが13%程度あるなら、シュペトレーゼかアウスレーゼを名乗れる糖度で収穫されたことを示します。
赤ワインの中にも甘口はありますが、ほとんどは辛口。甘味が残らない完全発酵させるとしたら、「シュペトレーゼ」などと表記する意味は特にありません。シュペトレーゼを超えるブドウ糖度だったとしても、基本はどれもクヴァリテーツヴァインを名乗っています。
 
 

ドイツワインの甘口と辛口

 
ごく一部の甘口ワインを除いて、基本は辛口ワインをつくる。世界にはそういった産地の方が圧倒的に多いです。
しかしドイツは甘口と辛口が両方盛んにつくられている国です。辛口・半辛口の方が優勢で6割程度。つまり全体の4割程度も甘口をつくっているのです。これほどの量つくって売りさばける産地は、他にほとんどありません。
 
 
ゆえにドイツワインのエチケット表記ルールは厳密。さらに生産者もキチっと守ります。それは消費者がボトルを見てワインの購入を判断しやすいようにとの意図です。
 
 

ワインの発酵終了

 
ブドウの糖分がアルコールに変わる反応を「ワインの発酵」と呼びます。
発酵はいくつかの要因でストップします。
 
  • 果汁の糖分を使い切ったとき
  • 温度が低下したとき
  • 亜硫酸などの添加で酵母の活動を止めたとき
  • 高温殺菌により酵母を死滅させたとき
  • 高い糖分とアルコールで酵母が働かなくなったとき
 
2,3、5番のつくり方により、甘口ワインがつくられます。
 
 

発酵の自然終了

 
1、2、5番の場合、発酵が自然に止まります。ワインにおける発酵とは糖分がアルコールに変わること。ゆえに発酵の終了とは通常、ワイン中の残糖度がほぼ減らなくなったときを言います。
 
糖分をアルコールに変換しきったら当然発酵は止まります。しかしブドウの酵母は完全に残さず糖分を食べるわけではないため、ショ糖換算で1L中に1g程度の糖分は残るものです。とはいえ人間の舌で1g/Lの残糖を感じ取れる人はほぼいないでしょう。
 
 
発酵にはある程度の温度が必要です。冷涼地域ではブドウが熟すのが遅く、発酵の季節が冬に近くなるため、外気温が低くなって発酵が自然とストップすることがあります。この場合はワインに糖分が残ります。しかしそれは一時停止であり、春に温度が再び上がれば発酵は再開します。
温度コントロールができるタンクにて、冷却によって人為的に発酵をストップすることもできます。しかしその状態では再発酵の可能性があるので、フィルターにかけてろ過し、清澄作業により酵母を沈殿させて取り除いて、再発酵を防ぐのが一般的です。
 
発酵は無限に進むわけではありません。酵母のエサとなる糖分があっても、ある程度アルコール度数が上がると酵母は死滅します。高すぎる糖分も酵母の働きを阻害します。だからとても甘口のワインは、酵母が糖分を使い切らないまま死滅してつくられます。
 
 

高温殺菌は普通は用いない

 
加熱によっても酵母は死滅するので、発酵は止まります。しかし「ワインに高温は大敵」と言われるほどです。ワインを熱してしまえばいくつもの風味が飛んでしまい、風味が低下してしまいます。
ゆえにワインを加熱殺菌することは普通はありません。時折目にする「生ワイン」なんて表記、意味がわかりません。「『生』ってつけとけばなんか良さそうと思って買ってくれるだろう」という消費者をバカにした商法ですので、ぜひ相手にしないでください。
 
とはいえ中には高温処理をしているワインもあります。たとえばスーパーなどに置いてあるような紙パックのワインです。
そういったワインはきちんとした温度管理がされない環境での流通も想定されています。ゆえに徹底的に品質変化の少ない加熱処理を行うのです。酸化防止剤無添加でも流通させられるのはそういった理由です。風味を犠牲にしているのです。
 
 

意図的に発酵を止めて甘口ワインをつくる

 
2番、3番の方法により、発酵を意図的に途中で止めれば、ブドウ由来の糖分が残ります。つまり甘口ワインとなります。
 
甘口ワインをつくる方法は次の3つ。途中で発酵を止めるか、発酵しきれないほどの糖分を含む果汁を使うか、後から甘味を添加することです。
 
当然ワインに砂糖をぶち込んでも、そんな美味しいワインはできません。
発酵しきれないほどの甘いブドウを使うのが最も高品質なワインができますが、ワインの価格は上がります。
途中で発酵を止めて糖分を残す方法が、一番安上がりです。ただ出来上がりワインの甘味はもとのブドウ糖度次第。「デザートワイン」と言えるほどの極甘口はつくれません。
 
 

カビネット、シュペトレーゼは辛口をつくれる

 
カビネットやシュペトレーゼ等級のブドウなら、果汁を完全発酵させて辛口ワインをつくることができます
だから「カビネット」「シュペトレーゼ」と書かれているからといって、甘口とは限りません。
 
 
ただしそれでもアルコール度数は、12%からせいぜい13%。世界的に見れば決して高くありません。例えばカリフォルニアのジンファンデルなどは、平気で15%に達する赤ワインをつくれます。
温暖な生産地域では、別に何ら付加価値なく、ブドウがアウスレーゼクラスかそれ以上で収穫されているということです。
 
 

ドイツの辛口ワイン基準

 
「Trocken」の表記は英語でいう「Dry」。スティルワイン(発泡していないワイン)でこの表記があれば、必ず辛口ワインです。
甘口ワインが少なからずつくられている国だからこそ、辛口ワインの見分け方はわかりやすいです。
 
ただし一部の例外があります。
 
 

「GG」表記があれば上質な辛口

 
鷲のマークが目印のVDP(ファウ・デー・ペー ドイツ高級生産者連盟)と呼ばれる生産者団体があります。
 
 
彼らは独自に加盟生産者が所有する畑について、特級畑の認定を行っています。Grosse Lage グローセ・ラーゲと呼びます。
グローセ・ラーゲから既定の品種でつくられる辛口ワインに、「GG Grosses Gewachus グローセス・ゲヴェックス」と表記することが可能です。
 
 
グローセ・ラーゲから甘口ワインをつくる場合は、「グローセ・ラーゲ」と「ベーレンアウスレーゼ」などの糖度等級を併記します。
だからグローセス・ゲヴェックスと表記があれば、たとえ「Trocken」と表記がなくても辛口です。
 
VDPについて詳しくは、こちらの記事をご参照ください。
 
 

「Trocken」表記のルールとは

 
Trockenと表記できるワインは、次のいずれかの条件に当てはまるものです。
 
〇残糖度が4g/L以下であること
〇残糖度が4~9g/L以下であり、なおかつ残糖度から2を引いた数字より酸度が高いこと

 
つまり残糖度が8g/Lのとき、酸度が6g/L以上なら「Trocken」表記が可能で、6g/L以下なら不可であるということです。
 
甘味は酸味があるとさっぱりと感じます。同じ糖度でも酸味が高いと甘味はあまり感じないので、このようなちょっとややこしい規定があるのです。
 
 

スパークリングワインの「Trocken」

スパークリングワインにおいては「BRUT」が最もよく見かける辛口です。しかしその上にある糖度の表記は、国によって異なります。
フランスなら「Demi Sec ドゥミ・セック」。イタリアなら「Extra Dry エキストラ・ドライ」や「Semi Secco セミ・セコ」。そしてドイツなら「Extra Trocken エキストラ・トロッケン」です。
これくらいの糖度になると、キンキンに冷えた状態でない限り甘味を少し感じます。

 
 

ドイツの甘口ワイン基準

 
「トロッケンベーレンアウスレーゼ」「ベーレンアウスレーゼ」「アイスヴァイン」
この3つの表記があれば、極甘口のデザートワインであることは間違いありません。
しかしそのほかのプレディカーツは、甘口とは限りません。
 
 

どちらにもなる「アウスレーゼ」

当ブログでは、ワインの「甘口」を「グラス1杯100ml前後を美味しく飲むことができ、ギリギリ料理と一緒に楽しむことができるワイン」と定義しています。主観的なボーダーラインではありますが、貴腐ワインなどのグラス半分以下でちょうどいいものとは、楽しみ方が違うという意図で区別しています。具体的にはだいたい残糖150g/L以上で極甘口。ヤクルトに匹敵する甘さです。
 
アウスレーゼ」という表記のあるワインには、半甘口から極甘口まで、様々な糖度のワインがつくられています。
例えばモーゼルの「マーカス・モリトール」という生産者は、独自基準でキャップシールが白色なら辛口としています。
その残糖度は8~10g/Lだそうで、トロッケンの表記基準を超えることがあります。だからあえて「Trocken」と表記せずに、色で区別しているのです。
 
ちなみにかなり酸味高めなつくりなので、10g/Lあったとしても辛口に感じます。
 
マーカス・モリトールについてはこちらで詳しく
 
 

カビネットやシュペトレーゼは薄甘口

 
カビネットやシュペトレーゼの表記があり、「Trocken」の表記がなければ、ほとんどの場合やや甘口であると推測できます。
 
ただしもともとのブドウ糖度がそう高くないので、甘味を残そうと思えばアルコール度数が低いうちに発酵を止める必要があります。
アルコールの低さは飲み心地の良さにつながりますが、口当たりは軽いです。
 
 
カビネットとシュペトレーゼの表記があれば、アルコール11%以下の軽快な甘口ワインであることがほとんどです。
  
 

気候変動とブドウ品種

 
糖度による等級に意味があるのは、「糖度を上げるのが難しくて、ワインが希少」だからです。これは北限のワイン産地であるドイツならではの事情です。
先ほどだしたカリフォルニアのジンファンデルのように、糖度を上げるのはいくらでもできるというのであれば、「ブドウ糖度が高いからワインの質が高い」とは全く言えません。
 
 

熟すこと自体は難しくない

 
糖度による等級が今の形となったのは、1971年のワイン法改正以降です。
50年前と今では、地球温暖化の進み具合が全く違います
基本的にブドウの糖度は、生育期の積算温度によって決まります。同じ糖度で収穫するためには、暑い年には早く収穫する必要があります。
 
 
秋の空模様が安定している地域なら、待てば待つほどブドウ糖度が上がり、上級ワインをつくることができます。
かつてのドイツなら、秋が寒く収穫を遅らせてもそう大きく糖度は上がりませんでした。
今は違います。ブドウの糖度を上げること自体は、そう難しいことではありません
 
さらに糖度の上がり方はブドウ品種によっても異なります。
 
 

糖度の上がりやすい品種の盛衰

 
1970年代から90年代くらいにかけて、甘口ワインが大流行していました。ともかく格付けの高いワインをたくさんつくれば儲かる。そんな時代だったのです。
 
そんな市場において、現代ドイツワインを代表する「リースリング」は不利でした。熟すのが遅く、糖度が高くなりにくいからです。
 
そこで様々な交配品種が開発されました。目指したのは栽培しやすく糖度の高いブドウがたくさんとれること
ケルナーやショイレーベ、ジーガレーベ、バフースなど。ミュラー・トゥルガウは糖度がかなり高くなるわけではありませんが、早熟で収穫量が多いため、かつてはかなり多く栽培されてきました。
 
 
品種が違えば、同じ糖度格付け、同じアウスレーゼでも希少価値が違います。価格もリースリングはおしなべて安価です。
 
ほとんどがドイツ国外では見かけないブドウです。というのも収穫量が多いブドウは高品質なワインをつくるのが難しいから。「国際市場で求められるのは、やはりリースリング」となってしまいがちなのです。
世の中が『量より質』にシフトするに従い、これらの糖度の上がりやすい品種の畑は減ってきています
 
 

ドイツのTBAとソーテルヌの違い

 
ドイツのトロッケンベーレンアウスレーゼ(TBA)は、ボルドーのソーテルヌ、ハンガリーのトカイとあわせて「世界三大貴腐ワイン」と呼ばれます。
ソーテルヌの方が安価でも手に入る銘柄が多いのですが、甘味の強さではほとんどの場合TBAの方が強いです。
それには理由があります。
 
 

房寄りと粒寄りの違い

 
この写真の通り、貴腐菌がつくといってもまんべんなく全ての粒につくわけではありません。健全な粒のまま熟したものも混ざっています。
 
 
ソーテルヌでは貴腐菌のついたブドウを収穫し、その房まるごとプレスして果汁とします
それに対してドイツでは、房の中から特にレーズン化している粒だけをTBAとしてワインをつくり、貴腐化の度合いでベーレンアウスレーゼ用、アウスレーゼ用と分けていきます
 
この製法の違いにより、TBAの方がつくれるワインの量がより少なくなり、糖度はより高く、値段もより高くなります
 
 

ドイツのワイン法改正の動き

 
現在ドイツワインの生産量の約6割ほどが辛口・半辛口ワインです。
甘口ワインに則した格付け体系のみでは無理があると認識されてきました。
そのため2026年の法改正を目指して、現在新しいワイン法制定に向けた調整が行われています
 
 

畑の格付けの導入?復活?

 
現在ドイツでは、単一畑の間に法律的な優劣はありません。
 
例えばゲオルク・ブロイヤー醸造所が所有する、リューデスハイム村の「ベルク・シュロスベルク」と「ベルク・ロットランド」
 

 
そう離れている訳でもなく、どちらも日当たりのいい急斜面の畑です。しかしヴィンテージが違うとはいえ価格が倍ほども違います。それだけ生産者の中では優劣をつけているということです。
 
  
ブルゴーニュには広域格の畑、村名格の畑、1級畑、特級畑と畑による格付けがあって、全く価格が異なります。そういった畑による格付けを導入しようと話がすすめられています
  
実はこの畑の格付け、1971年の法改正以前はそれに近いものがあったと聞いています。
この法改正で、「有名な畑に周りの畑を吸収合併させて、畑の数を少なくする」ということが行われました。
先述のVDPが定める特級畑は、この1971年以前の畑区分にさかのぼり、当時から銘醸畑とされていたところを「グローセ・ラーゲ」と認定しています
  
例えば「ヴェーレナー・ゾンネンウーア」という畑は数十万円のワインもつくられるモーゼルの銘醸畑です。一方で実は1000円台で飲めるヴェーレナー・ゾンネンウーアもあります。
新しいドイツワイン法は、畑の区分をどうするのか。まだ調整中だといいます。
 
 

糖度格付けはオワコン!?

 
「ブドウの糖度さえ高ければいいワイン」と断定するのには無理があります
ワインの品質はブドウの熟度のみならず、畑の格や生産者の腕など様々な影響を受けます。甘口と辛口のワインに優劣はありません。
 
一方でプレディカーツヴァインの6つの格付けは、初見のワインを購入するうえで確かに指標になります
 
「Kabinett」「Spatlese」の表記があって「Trocken」表記がなければ、軽めの甘口。「Trocken」表記があれば甘口。
「Auslese」はしっかりとした甘口で、「Beerenauslese」「Eiswein」「Trockenbeerenauslese」は極甘口。
 
覚えるのは少し大変ですが、あなたが甘口ワインを選ぶのを助けてくれます。一方で辛口ワインを選ぶ上ではほぼ参考になりません。
辛口~半辛口~甘口~極甘口と様々な糖度のワイン。それをつくるドイツならではの法律といえるでしょう。(※)
 
(※)類似する格付けがオーストリアにもありますが、日本で見かけることはそう多くはありません。





※投稿に記載しているワインのヴィンテージ・価格は執筆時のものです。現在販売しているものと異なる場合があります。
購入の際は必ず商品ページにてご確認ください。




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