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プロセッコとは?スッキリな味わいが魅力のスパークリングワイン、そのおすすめ銘柄

2020年6月15日

プロセッコとは?その特徴とおすすめ銘柄・楽しみ方をソムリエが解説!
 
年間5億本飲まれている、世界一のスパークリングワインである「プロセッコ」。
フレッシュでスッキリ風味のプロセッコは、高級路線の「シャンパン」とは違った魅力があります。
気軽に飲める味わいと価格は、家飲みにピッタリですが、高級品もあるのをご存知ですか?
他のスパークリングワインとどう違うのか。プロセッコについて詳しくご紹介します。
 
 

プロセッコ 概要

 
先述の通り、「プロセッコ」はイタリア、ヴェネト州で主につくられるスパークリングワインです。
「主に」とつけたのは、実は畑は隣のフリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州にも広がっているから
 

プロセッコのブドウ品種

主要なブドウ品種は「Glera グレラ。「グレーラ」と表記されることもあります。
 
プロセッコを作るには、グレラを85%以上使用する必要があります。
実際、多くのものはグレラ100%で作られています。
 
一方、15%までは他のブドウをブレンドすることができます
グレラ・ルンゴ、ヴェルディソといった土着品種のものや、ピノ・ノワール、シャルドネなどをブレンドすることができます。
 
 

プロセッコの製法 シャルマ方式とは

スパークリングワインにする製法は主にシャルマ方式
瓶内2次発酵、いわゆるシャンパン製法を用いることもできますが、少数派です。
 
 
「シャルマ方式」というのは、大量にスパークリングワインをつくるのに適した製法です。
簡単にご紹介します。
 
大雑把に述べるとスパークリングワインは、白ワインをもう一度発酵させて、その際に生じる二酸化炭素をワイン中に閉じ込めてつくります。
瓶内2次発酵は、その名の通りワインのボトル1本1本の中で2次発酵を行うので、手間がかかります。
 
シャルマ方式はこれを大きなステンレスタンクの中でまとめて行います
出来上がったスパークリングワインを瓶詰していくだけなので、効率的です。
 
 
2次発酵の期間も短いのが特徴です。
プロセッコのタンク内2次発酵の期間は、概ね3週間~2か月
シャンパンは最低で15か月なのと比較すると、ずっと短期間です。
 
 
シャルマ方式の方が製造コストが低く、安価なスパークリングワインはシャルマ方式で作られることが多い。
しかし初期投資額、設備の製造コスト自体はシャルマ方式の方が高いのです。
おそらくガスを閉じ込めるためのタンクや瓶詰ラインが、通常のワインと同じではないのでしょう。
 
だからこそ、同じ設備を年間何度も稼働させたい。
その思惑もあっての2次発酵期間の短さもあるのでしょうが、これは決してプロセッコにマイナスに作用していません。
これについては味わいの特徴と合わせて後述します。
 
 
 

「プロセッコ」はブドウの名前?

 
プロセッコにつかうブドウは「グレラ」だと述べました。
しかしこの「グレラ」は少し前まで「プロセッコ」という名前だったのです。
 
 
「Prosecco」はDOCです。
DOCとは 統制原産地呼称のことで、イタリアのワイン法が定めたブランドワインのようなものです。
 
プロセッコがDOCとして認められる際、DOC名と品種名が同じではいけないという問題が生じました。
Proseccoがワインの名前を指すのかブドウの名前を指すのか紛らわしいからです。
 
既に広まっていた「Prosecco」の名前を変えるのはもったいない。
なのでもともと別名として使われていた「グレラ」の方を正式な品種名としたのです。
2009年のことでした。
 

オーストラリアにもプロセッコがある!?

 
実はオーストラリア産の「Prosecco」と表記したスパークリングワインが日本でも販売されています。
「Prosecco」がブドウ品種名だったことを盾に、「Chardonnayみたいにブドウ品種を書いているだけだよ!」と主張しているのです。
 
世界中で大人気の「プロセッコ」にあやかろうとしたのでしょう。
 
当然、プロセッコの生産者は抗議します。
いずれはその名は使用できなくなるようですが、現在はまだ猶予期間だそうです。
 
 

「プロセッコ」にもいろいろある

 
すべて「Champagne」ひとくくりのシャンパンとは違い、プロセッコはラベル表記でどのクラスのワインなのかが分かるようになっています。
 
 
下から上へと順に、栽培地域がより限られ、高級になります。
 
Prosecco DOC (プロセッコ)
Prosecco Treviso(トレヴィソ) DOC
Asolo Prosecco(アッソーロ) DOCG
 
Conegliano-Valdobbiadene Prosecco (コネリアーノ ヴァルドッビアデネ)DOCG
Conegliano-Valdobbiadene Prosecco Superiore (スペリオーレ)DOCG
コネリアーノ、ヴァルドッビアデネの丘陵地帯に広がる、より限られた畑からつくられる。スペリオーレは収量制限や規定アルコール度数がより高い。
 
Conegliano-Valdobbiadene Prosecco Superiore di Rive DOCG
上記の地域内で、特にテロワールに優れた43の村からつくられるプロセッコ。収穫量の制限がより厳しくなり、収穫は手摘みに限られる。
また、必ずヴィンテージが表記される。
いわばプロセッコの村名格で、ワインには「Rive di ~(村名)」と表記される。
 
Conegliano-Valdobbiadene Prosecco Superiore di Cartizze DOCG
1969年の制定以来、独自の規制を設けて最高のプロセッコの評価を保つ地区。
 
プロセッコ好きに贈るプレゼントのおすすめなら、最高峰といえる「カルティッツェ」で決まり!
 
 
わかります。細分化されて余計に分かりにくい。
そもそも名前が長ったらしくて覚えられない!
簡単にまとめますと、覚えて頂きたいのはこの2つです。
 

Proseccoプロセッコ

冒頭から述べている通りですが。
「イタリア、ヴェネト州のグレラ種をつかったスプマンテ。フレッシュでさわやかなスタイル
 安価で気軽に飲めるスタイルが大人気。
 より上質なものもあって、名前が長くなる。」
 
 

Conegliano-Valdobbiadene Proseccoコネリアーノ ヴァルドッビアデネ プロセッコ

 
コネリアーノ ヴァルドッビアデネに関しては、地域の名前なので憶えて頂くしかありません。
この美しい丘陵地帯が、2019年7月ユネスコ世界遺産に認定された、と知れば興味を持っていただけるでしょうか。
 
 
急斜面でブドウを栽培するこの地域こそが本来のプロセッコの栽培地域。
プロセッコの独自性を表現するのは、このクラス以上と言っていいでしょう。
(逆に、グレラを他地域で同じように作れば、プロセッコスタイルのワインはつくれるでしょう)
 
そして、上級になるほど「Prosecco」の前に長ったらしくつく
 
「私はプロセッコが好き!」と言い張るには、このクラスは飲んでないといけない。
そうとらえてください。
 
 

プロセッコの特徴 それはフレッシュさ

 
プロセッコの風味の特徴。
それはまず香りに感じる青りんごや洋ナシを思わせるフレッシュなアロマ
後味に感じるアーモンドやナッツのような香ばしい風味です。
 
その要因はまずはグレラ種の品種特性。
しかし前述の「シャルマ方式」の影響も大であるといえるでしょう。
 

シャルマ方式でこそプロセッコ

 
上記のように断言できるほどプロセッコを飲み尽くしてはいないので、瓶内2次発酵のプロセッコをつくっている人に怒られそうですが・・・
 
プロセッコのイメージとシャルマ方式は非常に相性がいいです。
 
瓶内2次発酵は、その長い熟成期間中に酵母の澱が旨味となって溶け出し、香りに複雑さをもたらします。
だからこそ高級感・スケール感がある風味となるのですが、プロセッコはそこを目指しているのではない。
 
複雑さはないながらも、フレッシュフルーツのような鮮烈で明るい風味。
それは短い熟成期間だからこそと言えます。
 
年に数回の特別なイベントの時に飲むのがシャンパン。
週に数回のちょっといいことがあっていつもより気分がいいとき飲むのがプロセッコ
そんな使い分けでしょうか。
 

プロセッコを飲むなら、でれば1日で

 
プロセッコの魅力であるフレッシュさに相性のいいシャルマ方式ですが、弱点もあります。
泡の持ちの悪さです。
 
炭酸ガスは時間をかけて溶け込むほど、栓を抜いたあともゆっくり放出されます。
熟成した高級なシャンパンほど泡立ちが悪いのは、そういう理由です。
 
 
プロセッコは元気な泡立ちが特徴。(決して荒い泡立ちと言ってはいけません)
それがフレッシュ感にも寄与しています。
 
飲みかけを冷蔵庫で保存していると、やはり翌日は弱くなってしまう。
できれば1日で美味しいうちに飲み切ってあげたいところです。
 
 

ドサージュ多めがプロセッコの標準

 
プロセッコのエチケットや商品名に「Extra Dry エクストラ ドライ」の表記をよく見かけます。
これはワインの残糖度、仕上がりの糖分量を表したものです。
 

糖分が添加されるわけ

スパークリングワインは炭酸が入っているので、少し甘さがあった方が味のバランスがとれます
炭酸ジュースの炭酸が抜けるとやたら甘く感じる。あの逆の理由です。
 
なので仕上げにリキュールを添加して糖分量を調整します。
これを「Dosage ドサージュ」といいます。
 
 

エクストラ ドライ とは

上記のドサージュ量に応じてクラス分けがあり、消費者がわかりやすいようになっています。
その代表的なのが「Brut ブリュット」
一般的な辛口です。
 
そして「Extra Dry エクストラ ドライ」はブリュットの一つ上。
残糖度が12~17g/Lであることを指します。
ブリュットよりもちょっとだけ甘いわけです。
 

どうしてプロセッコは甘め?

決して甘めなのではありません。
 
というのもグレラという品種が非常に酸の強いのが特徴だから。
酸が強いと甘味を感じにくいので、エクストラ ドライがちょうどいいのです。
 
もちろん、生産者によってワインは違うので、「エクストラ ドライが一番」とはいいきれません。
ただ「エクストラ ドライは甘いからやめておこう」というのは間違い、というのを知って頂きたいのです。
 

おすすめプロセッコと、相性のいい料理

 

ブリュット

 
まずは辛口のプロセッコのおすすめ銘柄。
 
格付け:Conegliano-Valdobbiadene Prosecco Superiore DOCG
飲み頃温度:6-8℃
 
 
「Cartize カルティッツェ」を頂点として様々なプロセッコをつくる老舗、アダミ。
日本で一番人気なのはこのブリュットのキュベです。
 
コネリアーノ・ヴァルドッビアデネ・プロセッコ協会によると、ブリュットのプロセッコにおすすめなのは次のような料理。
脂ののった魚、野菜のオードブル、シーフードパスタ、米料理
 
 

エクストラ ドライ

 
格付け:Prosecco DOC
飲み頃温度:6-8℃
 
本国イタリアで一番売れているのは、ブリュットではなくエクストラ ドライなんだとか。だから「ワイン初心者におすすめの甘口」というわけではなく、みなさんにおすすめできるほぼ辛口のプロセッコです。
ザルデットはフィルターの使い方にひと際こだわりがある生産者。
 
多くのワインは瓶詰前に、澱やにごりを除くためにフィルターを通します。
目の細かいフィルターにかければワインはクリーンな味わいになりますが、同時に旨味も取り除いてしまいます。
 
ザルデットはその二律背反に、リンゴジュースに使うフィルターを用いて挑みます。
お手頃な価格ながら素晴らしい彼のワインを味わって、その成果を感じてください。
 
 
コネリアーノ・ヴァルドッビアデネ・プロセッコ協会によると、エクストラ ドライのプロセッコにおすすめなのは次のような料理。
食前酒として最適、豆と魚介のスープ、軽いミートソースパスタ、クリーミーなチーズ、鶏肉料理
 

まとめ プロセッコとは

プロセッコとはイタリア、ヴェネト州のスパークリングワイン
ブドウ品種はグレラ もとはプロセッコという名前だった
シャルマ方式でつくられ、ドサージュが少し多め
フレッシュな風味が魅力
 
 
※「プロセッコにロゼが出る!」というニュースが入ってきました。
ピノ・ネロ(ピノ・ノワールのイタリア名)をブレンドしたロゼのプロセッコが認可されました。
2021年1月から出荷されるそうです。
 
 
 
※コネリアーノ・ヴァルドッビアデネ・プロセッコ協会のHPを参考にしております。





※投稿に記載しているワインのヴィンテージ・価格は執筆時のものです。現在販売しているものと異なる場合があります。
購入の際は必ず商品ページにてご確認ください。




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