ワインの選び方

【5000円以下】新しく買ったワインセラーに入れたい熟成が楽しみなワイン特集

2022年11月10日

 
 
初めてワインセラーを買ったなら、早くいっぱいにしたくなるもの。
買って飲まずに我慢することでもっと美味しくなる。それでこそ投資の甲斐があります。
でも高価すぎるとセラーをいっぱいにするのは大変。
5000円以下で熟成の楽しみがあるワインをご紹介します。
 
 

ワインセラーの3つの目的

 
ワイン愛好家の必須アイテムといえるワインセラー
「いや、うちはセラールームがあるから必要ないよ」というぶっとんだ人を除いて、大なり小なりワインセラーを持っておられると思います。
 
ワインをセラーで保管する理由は大きく次の3つです。
 

ワインセラーの目的

ワインを熱劣化から守る
赤ワインを飲み頃温度に調整する
ワインを熟成させる

 
 

ワインを熱劣化から守る

 
ワインは高温や極端な低温、温度変化にデリケートなお酒です。これは赤ワイン、白ワイン、スパークリングワイン共通です。
特に30℃を超えるような高温にさらされると、中身が膨張して吹きこぼれることがあります。味わいの点でも、果実味が減退したりシェリーのような香りになるなどの悪影響があります。極端な高温の場合はすぐに変化が現れますが、数年してあとから熱劣化の味が現れることもあります。
 
「買ったワインは2、3週間で全部飲む」というのでなければ、夏の猛暑からワインを保護するセラーは必要です。
 
 

赤ワインを飲み頃温度に調整する

 
赤ワインの飲み頃温度は、その種類にもよりますが13~18℃くらいです。室温がそのちょうどいい温度である季節は、春と秋の数日くらいでしょう。人間が快適に過ごすには少し寒いです。
赤ワインを適温に保つのは難しいです。冷蔵庫の野菜室で保管し8℃くらいから上がるのを待つ、という方法は面倒です。すぐ飲みたい。
出してすぐ美味しい温度に保ってくれるのが便利。「赤ワインは飲まないよ」という方以外は、購入する価値があるでしょう。
 
 

ワインを熟成させる

 
ワインの熟成とはワインを長期間保管することでより美味しくなることです。
その「長期間」の値はワインによりけり。1年程度で変化を感じられるものもあれば、10年以上は寝かせないと価値を感じられないものも。
ワインの熟成は「5年後、10年後の自分のためにワインを購入できる余裕のある人」の特権です。
 
 
もし「○○の2010年が欲しい」と思っても、手に入る銘柄とそうでないものがあります。そして入手不可能に近いものがほとんどです。
「熟成した○○を味わいたい」と思えば、自分で買っておいて熟成させるほかない。もしくはその方が安い。だから多くの愛好家がワインセラーをお気に入りのワインでいっぱいにするのです。
 
 
ワインセラーを購入する際の注意点と選び方については、こちらの記事で詳しく紹介しております。
 
 
ただしどんなワインでもワインセラーに入れておけば熟成するとは限りません
もし保管していて不味くなってしまえば、それは「劣化」です。それを分けるポイントは何なのでしょうか。
 
 

熟成ポテンシャルのあるワインに必要なもの

 
なぜ一部のワインだけ、長年ワインセラーで保管することで美味しくなるのか。厳密なメカニズムは実はわかっていません。
だから「熟成ポテンシャルのあるワイン」といっても、それは経験的なものです。ですがある程度経験のある人ならば、そんなに大外しすることはないでしょう。
熟練のソムリエやテイスターは、どうやってワインの飲み頃を判断しているのでしょうか。
 
 

前提条件は酸味

 
10年を超えて熟成するワインは、ほぼ例外なく高い酸味を持っています
その理由の一つが亜硫酸です。
 
全てのワインには亜硫酸が含まれています。しかしその全量が酸化防止剤として働くわけではありません。ワインの酸性度が高いほど、酸化防止剤として働く遊離亜硫酸の割合が高いことがわかっています。
 
簡単に言うと、高い酸はワインを酸素から守ってくれるのです。
 
 
ローヌ地方に「コンドリュー」というワインがあります。力強い白ワインで5000~8000円程度が相場でしょう。
このワインは若いヴィンテージのものほど美味しいとされています。ヴィオニエというブドウ品種は酸味が低く、基本的には熟成しないのです。
(※諸説あります)
 
 

次に見るべきは凝縮度とタンニン

 
じゃあ酸が高ければそれでいいかというと、決してそんなことはありません。
寒くて雨が多く、ブドウが十分に熟さず酸っぱいワイン。それを数年後に飲んだら美味しいかというと、決してそんなことはないのです。
 
ワインが熟成するためには、風味の凝縮度が必要です。これは単純に「濃いワイン」ということではありません。それほど濃厚に感じない繊細な味わいのものの中にも、長熟タイプのワインもあります。
これに関しては、単純にワインの価格が目安となります。若いワインに限れば、高いものは凝縮度が高いです。
 
赤ワインに関しては、タンニンの豊富さも重要な要素です。タンニンも酸化防止剤の効果を持つので、ワインを酸素から守ってくれるからです。
特にタンニンが多いとされるブドウ品種。例えば「タナ」「サグランティーノ」「ネッビオーロ」などは、いずれも何十年と熟成できるワインをつくれます。
 
 

熟成が『必要な』ワイン

 
タンニンが豊富なら熟成ポテンシャルが高いことが多いですが、その分「若いうちは渋みがギシギシして飲みづらい」ということが有り得ます。高級ボルドーワインや高級バローロ(「リゼルヴァ」とつかないもの)がその典型です。
 
 
渋みは熟成によってまろやかになります。そうなってから飲むことを念頭につくられたワインは、若いうちは渋くて酸っぱくて風味もなにもわからないものさえあります。
「高いワインだから期待して飲んだのに、さっぱり美味しくない」
こういうワインの期待外れは、若いボルドーの赤ワインで往々にして起こりえます。
 
もっとも近年は、温暖化と醸造技術の向上で、10年前と比較するならそれらの若いワインもずいぶん親しみやすくなっています。
 
 

熟成するのは赤ワインだけ?

 
「ヴィンテージワイン」と聞くと、つい赤ワインを想像してしまう方も多いのではないでしょうか。
実際、10年以上前のヴィンテージで市場に出回っているものは、圧倒的に赤ワインが多いです。
 
その理由は先述のとおり。白ワインにはほとんどないタンニンが、赤ワインには豊富に含まれているからです。
 
 
ただし白ワインやスパークリングワインが熟成しないわけではありません。というのも、酸度自体は一般的に白ワインやスパークリングワインが高いからです。
とはいえ「10年かけてちょっとずつ美味しくなっていくかもしれないけど、今でも十分美味しい」そんなワインは、みなさんならどうしますか?
我慢できなくて飲んじゃう方も多いのでは?私もそうです。
 
タンニンの多い赤ワインのように、若いうちはギシギシで味わえない。そんなことは基本的に白ワインにはありません。「若いうちに飲んだらもったいない!」と感じる白ワインは、本当にごくわずかです。
 
 

樽熟成の有無

 
ステンレスタンクで熟成したものと樽熟成したものを比較したとき、樽熟成したものの方が熟成する可能性は高いです。
一説には醸造の段階で酸素に多く触れているので、その後の瓶熟成でも酸素接触に強いそうです。
 
例えばこのようなニュージーランドのソーヴィニヨン・ブラン。
 
 
クロ・アンリのものは他より単位面積当たりの収穫量を少なくしているため、風味の凝縮度が高いです。ソーヴィニヨン・ブランですので当然酸味は高い。にもかかわらず、基本的には若いうちに飲むべきワインです。柑橘類やハーブのフレッシュな香りは若いうちに感じやすく、熟成してもそれほど風味が発達してこないからです。
このワインは一部樽熟成している関係で、同地区のほかのワインよりは長く楽しめますが、それでもわざわざセラーで寝かせる価値はないでしょう。
 
 

長期熟成ワインの特徴

 
以上の考察から、次のような特徴のワインを選べば、長く熟成させることができると考えられます。
 
高い酸味
ある程度の凝縮感
樽熟成
赤ワインなら強いタンニン

 
このあたりから熟成ポテンシャルのあるワインをご紹介します。
 
 

5000円以下で熟成ポテンシャルのあるワイン7選

 
1万円以上のワインに熟成能力があるのは、ほぼ当たり前です。
ただ高級ワインを集めるのはいいけど、予算がショートしてせっかく買ったワインセラーがガラガラじゃあつまらない。
まずはワインセラーを埋めつつ、5年後10年後に飲んでもいい。そんなワインを買いたい
 
5000円以下くらいの高くない価格のワインの方が、熟成したものは出回りません。「今、このヴィンテージを飲んでいるのは、日本で俺だけじゃない!?」なんて特別感に浸れるかも。
 
これまで述べた熟成ポテンシャルのあるワインの条件をもとに、まだまだ寝かせる価値のあるワインをご紹介します。
 
 

格安「レゼルヴァ」バローロ、でも早飲みもあり?

 
先述のとおりイタリアの「バローロ」は、タンニンが多くて熟成が『必要な』ワインの代表格。それは生産者もわかっています。
だから生産者のもとでさらに長く熟成されてリリースされるのが、「バローロ・レゼルヴァ」。その分価格も上がるはずなのですが、ボジオがつくる「ベル コッレ バローロ リゼルヴァ 10アンニ 」は格安です。
 
格安だからリリース後にさらに長く熟成させることは想定していないでしょう。今飲んでも十分美味しく、おそらくこのワインもこれからは4、5年が限度です。きのこのような複雑な風味が増すことは期待できます。
 
 
 

早く飲み頃が来るマルゴー2級シャトーのセカンド

 
 
2019年、デュルフォール・ヴィヴァンのファーストラベルはかなり出来が良かったらしく、パーカーポイント96点、飲み頃予想は2027年からとあります。
 
 
そのセカンドワインとなる、「ル ルレ ド デュルフォール ヴィヴァン 2019」は、ファーストラベルよりは早く飲めるようにつくられています。セカンドワインのレビューはありませんが、それでもリリース直後に飲むのは「もったいない」、熟成させる価値があるワインといえるでしょう。
現状だと「渋くて酸っぱいワイン」が、おそらく3,4年でバランスのいい状態にまとまってくると推測します。
 
 

ボルドースタイルの南アフリカワイン

 
 
元ボルドーの生産者がオーナーの「グレネリー・エステート」。シラーがブレンドされている点はボルドーとは違いますが、目指しているのは「100年後に飲んで美味しいワイン」だといいます。
そのセカンドワインに位置付けられる「エステート リザーヴ レッド」は、100年後は目指してないまでも熟成能力があります。だからワイナリーで熟成させてからのリリース。ボトリングされてから4年はワイナリーで保管され、出荷されています。
 
この2015年はパーカーポイント89+点と、2000円台半ばのワインとしてはかなり優秀。飲み頃予想も2027年までと長いです。
 

 
 

タナの熟成能力を感じる1本

 
ボルドーでは熟成能力がある高級ワインがたくさんつくられています。
だからこそ低価格のワインをつくる生産者は、「買ってすぐ楽しめる」という点で差別化を図るんじゃないでしょうか。
 
それに対してタナというブドウ品種をつかってつくる「マディラン」は、それほど高級ワインがありません。それもあってか、手ごろなものでも熟成を念頭に作られているものがあります
 
 
そのタナの中では、このドメーヌ・ラウゲは若飲み可能なタイプ。輸入元の稲葉さんは、買ってすぐ美味しいものをチョイスしている傾向にあります。「稲葉さんが選びそうなマディラン」と言えば、有識者には伝わるでしょうか。それでもこの「マディラン カミー」の熟成ポテンシャルは確かです。
 
 
 

比較するなら、熟成ポテンシャルの"ない"タナ

 
同じ生産者ドメーヌ・ラウゲですが、この「ヴァン ド フランス タナ」はおそらく熟成ポテンシャルはありません。私の予想ですが、あと2,3年以内に飲んだ方がいいでしょう。というのも「マセラシオン・カルボニック」という醸造方法を採用しているからです。
ボジョレー・ヌーヴォーにつかわれる手法で、香りや色味を短期間でしっかり抽出し、タンニンはほとんど抽出しません。だからつくってすぐ美味しく飲めます。
 
 
タンニンの少なさはすなわち熟成能力の低さ。でもヴィンテージの2年後のタナが今美味しいって普通ないので、面白いワイン。
飲み頃を過ぎたらどうなるのか?」を感じるため、まずはこれを1本飲む。マディランとこのヴァン・ド・フランスを1本ずつ5年寝かせて比べてみる。なかなかの経験になるでしょう。
 
 

今飲んではもったいない白ワインとして

 
ベッカーがつくる「ムシェルカルク・リースリング」は、寝かせる意味を感じやすい白ワインの中ではお手頃なもの
キュンキュンに高い酸味はもちろんですが、石灰質土壌からくるであろう尖ったミネラル感が、若いうちは近寄りがたさを感じさせます。
辛口リースリングは熟成によりボディ感を増してきます。だから熟成することで、高い酸とのバランス感がより良くなっていくでしょう。
 
 
 

飲み頃目安を知るためのワイン評価誌

 
熟成したワインの姿を想像するのには、経験が必要です。
「このワインを10年熟成させた味わいを予想するため、10年前のワインを飲む」というのは確かに有効です。しかしヴィンテージの特徴が違えば、10年熟成した姿は大きく変わります。その10年で生産者が代替わりしたり、作り方のスタイルが変わっているかもしれません。
 
 
だからやっぱり専門家の意見を聞きたくなる。どこの馬の骨とも知らないようなワインショップ店員ではなく、熟練のテイスターの意見を。
そういう点でやっぱりワイン評価誌のレビューはありがたいです。ワインアドヴォケイト誌などは、全部ではありませんが飲み頃予想の記載があります。
 
 

飲み頃予想が早めなワインアドヴォケイト誌

 
注意点があります。ワインの飲み頃判断には個人差もあれば民族差もあります
アメリカ人は果実味の強い段階で飲むことを好む傾向にあるのか、ワインアドヴォケイト誌の飲み頃予想は日本人の感覚からすると早めです。「ホントにもう飲めるの?そんなに早く飲み頃が終わるわけはないだろう」と思うことがしばしばあります。
 
アドヴォケイトの評価は参考にしつつ、表記の数字より幾分遅め、と捉えることを私はおすすめします。
 
 

ワインセラーで寝かせる特別感

 
「○○の▲▲年」
このように指定の銘柄を指定のヴィンテージで手に入れることは、実はそう簡単ではありません。
多くのワインは出来上がったら全部出荷して、古いヴィンテージはそれほど出回らないのです。
生産規模が大きく、ワイナリーで熟成させて出荷することのある高級ボルドー。その需要ゆえに海外のワイン商に残っていた古いヴィンテージを輸入して、新しいものの倍以上の値段で販売可能な高級ブルゴーニュ。それくらいです。
 
 
だからこそ、自宅のワインセラーで数年ワインを熟成させるのは、特別感があります。もしかすると、そのワインのそのヴィンテージを今年飲んでいるのは、日本であなただけかもしれないのです。
 
「数年後の自分のためにワインを買う」
お金に余裕がないとできない贅沢かもしれません。だからこそ「ワイン初心者は卒業!」と胸を張れる楽しみ方のひとつでしょう。





※投稿に記載しているワインのヴィンテージ・価格は執筆時のものです。現在販売しているものと異なる場合があります。
購入の際は必ず商品ページにてご確認ください。




YouTubeバナー

-ワインの選び方
-