ワインの選び方

シャンパンの選び方入門 種類・ブドウ品種・辛口度合いで選ぶ方法とは?

2024年4月10日

シャンパンの選び方入門 種類・ブドウ品種・辛口度合いで選ぶ方法とは? 
 
シャンパン選びの基準がわからなくて、つい有名銘柄ばかりなことはありませんか?
初心者はまずその種類やブドウ品種、辛口度合いや生産者のタイプに注目してみましょう。
自分好みのタイプを絞り込むことができれば、ただおすすめを買うよりずっとハズレは少なくなります。
ワインよりもずっと難しいシャンパン選びの、明日から実践できる基本をご紹介します。
 
 

シャンパン選びが難しい理由とは

 
ワイン売り場にたくさん並ぶシャンパンの中から自分好みの1本を選ぶのは、普通のワインよりもずっと難しいです
しかもシャンパンは基本的に高価です。だからこそ失敗したくない。
有名な銘柄や飲んだことのあるものを「ハズレないように」と選びがちな理由を紹介します。
 
 

シャンパンの味は似ている?

 
ワインの味わいを決めるものはたくさんあります。その中で「シャンパン」である限り産地とアルコール度数がほぼ同じです。製法も大まかな分類としては同じと言えます。
フランスのシャンパーニュ地方で伝統的製法にてつくるスパークリングワイン」を「シャンパン」と呼ぶのですから。
 
 
さらにブドウ品種も限られます。シャンパーニュ地方では7品種が許可されていますが、実際には3品種でほとんどを占めます
 
もちろん並べて飲めば同じシャンパンでも味わいは様々であることを感じます。一方でシャルドネとソーヴィニヨン・ブランの白ワインを比較するような違いを感じるかという、そこまで大きくはないでしょう。
 
 
スパークリングワインの製法に関する関連記事▼
 

「飲まずに買う」が基本

 
シャンパンの試飲販売がないわけではありませんが、飲んで味を確かめて買うという方法はあまりとれません
 
都心部の百貨店などにいくと、ワイン売り場では試飲販売を行っていることがあります。自分の舌で味を確かめて購入するのは、失敗の少ないワインの選び方です。
しかし販売側からすると販売員の人件費やサンプルの費用がかかります。泡が抜けてしまうと試飲に使えないので、スパークリングワインを試飲販売するのには慎重になります。
 
またその価格も問題です。2000円のワインを買いに訪れた人が、試飲して美味しかったからといって8000円のシャンパンを購入することはめったにありません。どちらの予算で売り場を訪れる人がより多いかは明白です。
 
 
小さなプラスチックカップでシャンパンの味わいの良さが伝わるかどうかという問題もあります。
結果としてシャンパンの試飲販売は少ないです。ゆえにシャンパンは「飲まずに選んで買う」ほかない。
それゆえ選ぶのが難しく、失敗しないように知っている銘柄を選びがちなのです。
 
 

いろいろ飲まなきゃもったいない!

 
多少は"慣れ"が必要かもしれない。しかしそのシュワシュワとした炭酸の奥から広がる風味は、決して似たり寄ったりではありません。驚くほど様々なキャラクターを持ちます。そしてそれぞれに「シャンパンというブランドに相応しい味」を主張しようとします。
 
あなたの好みに合う合わないは当然あります。それでも「失敗しないためにいつものシャンパンだけを」というのはもったいないが過ぎます
 
 
なかなか何本も並べて飲み比べる機会はなくとも、「このシャンパンはこういう系統だ」という知識を持って飲んでいくならば、より違いが明白になります。知識と味覚・嗅覚のリンクは、シャンパンをより楽しく興味深いものにしてくれるでしょう。
 
シャンパンの選び方の全てはとても一記事では収まりません。まずは今回、これからシャンパンを自分で選んでみようとされる方に、分類の基本をご紹介します
 
 

シャンパンの種類はどう分ける?

 
シャンパンのエチケット(ラベル)から読み取れる情報は少なくありません。味わいにおける明確な傾向はなくとも、知っておけばシャンパン選びの助けになります。
法律的な、あるいは慣例的なシャンパンの種類・区別をご紹介します。
 
 

シャンパンの種類 ノンヴィンテージとミレジメ

 
シャンパンの多くにはヴィンテージ、生産年の表記がありません。ワインの商品名には「NV ノンヴィンテージ」と表記されています。
これは複数の収穫年のブドウを混ぜていることを示しています。「ヴィンテージがない」のではなく「ヴィンテージブレンド」なのです。
 
対してヴィンテージ表記のあるシャンパンを「ミレジメ・シャンパン」や単に「ミレジメ」と呼びます。
 
 
NVとミレジメを比較すると、法律で決められている最低熟成期間が違います。それぞれ最低15か月と3年という風に2倍以上の差があります。
実際には規定より長く熟成するシャンパンんが多いのですが、ミレジメシャンパンの熟成期間が長い傾向なのは確か。そしてラインナップのなかではより上級に位置づけられます。
 
簡単には「シャンパンはヴィンテージが書いてある方が高級品」と思ってください。
 
 

シャンパンをNVでつくる理由

ブドウ栽培北限の地にあるシャンパーニュ地方は、昔から年ごとの作柄の差が大きな地域でした。あまりに味の差があると、そのブランドを信じて買った消費者をがっかりさせてしまうかも。そこで保存しておいた昨年やそれ以前のワインをブレンドして、味の安定性や複雑味を出す技術が生まれました。それを開発したのがかの有名な「ドン・ペリニヨン」修道士です。

 
 

「プレステージ・シャンパン」とは

 
「Prestige プレステージ」という表記のあるシャンパンがあります。
この言葉に明確な定義はありません。だから極論自由に表記することができますが、基本的には「高級品・上級品」のような意味合いがあります。
 
つまり「Prestige」表記があれば上級品で美味しいだろうと期待することができます。あるいは「同じ生産者のもっと安いワインがあるかもしれないから、まずはそちらを買ってみよう」と選択することもできます。
 
 

シャンパンの色 白とロゼ

 
シャンパンには白のシャンパンとロゼのシャンパンがあります。赤はありません。白とロゼの生産割合は均等ではなく、圧倒的に白が多いです
 
シャンパンのやや特殊なところは、白ワインと赤ワインのブレンドでロゼワインをつくるのが許可されていることです。白のシャンパンとしてつくっていたものを、仕上げに赤ワインを加えてロゼワインにする。変化する需要に対応すべく、そのような手法も許可されているのです。
 
 
一方でロゼワインをつくってからそれを瓶内2次発酵させ、ロゼのシャンパンとしてつくられるシャンパンもあります。
たとえば「セニエ法」と呼ばれる、黒ブドウの発酵中に抜き取った果汁からつくるロゼワインの一例がこちら。
 
 
白とロゼで香りの質に違いはありますし、ロゼ・シャンパンのおしゃれさは何物にも代えがたいものがあります。
とはいえその生産量の少なさゆえにあまり理由なく割高であることも多いです。
まずは白のシャンパンでお気に入りを見つけ、それから同じ生産者のロゼも試してみるという流れを個人的にはお勧めします。
 
 

他地域ほどの意味はない「グラン・クリュ」

 
シャンパーニュ地方にも「Grand Cru 特級畑」と呼ばれるものがあります
ブルゴーニュのコート・ドールでは、数ヘクタールの小さな畑も多くとんでもない価格でワインが取引されるグラン・クリュ。しかしシャンパーニュでは少し意味合いが違います。
昔からいいブドウが安定してとれるという点では同じですが、村まるごとの認定なので一つあたりの面積が大きいのです。
それゆえシャンパーニュのグラン・クリュは、比較的手ごろなもの(それでもなかなかの値段ですが・・・)がたくさん見つかります。
 
 
一方で「グラン・クリュ」のブドウに加え、そうでない畑のブドウも一部ブレンドする場合もあります。そうすると「Grand Cru」表記はありません。「Grand Cru」というブランドに頼らずマーケティングできる大手生産者でそういうケースが多いです。
例えば「ドン・ペリニヨン」は特級畑のブドウもたくさん使っている高級シャンパンですが、その表記はありません。
 
 

ナイトマーケット向けシャンパン

 
日本は世界的に見ても高級なシャンパンがたくさん消費されるマーケットです。その消費を支えているのがナイトマーケット。言ってしまえばキャバクラやホストクラブです。
根っからのワイン好きとしてはそこでシャンパンを飲もうとは欠片も思ったことがないのですが、そこがもたらす経済効果はバカにできません。
 
それゆえというべきか、ナイトマーケットを専門にするようなシャンパンも存在します。具体的には「アルマン・ド・ブリニャック」「エンジェル・シャンパン」「ソウメイ」など。共通点は高価で具体的な味わいが何も語られない点です。
 
私見ですが、そういったものは高い金額を使うことに意義があるシャンパンです。価格に対しての美味しさを期待して飲んではガッカリしかないはずです。(正直、飲んだことがありません)
 
 

シャンパン味わいとブドウ品種

 
シャンパンもワインである以上、どんなブドウ品種を使っているかが味わいに現れます。
ブドウ品種の特徴がそのままワインの味わいに現れはしませんが、選び方の参考になるのは間違いありません
 
 

基本は3品種のブレンド

 
シャンパンに使うブドウはシャルドネ、ピノ・ノワール、ムニエの3品種がほとんどです。
(※以前は「ピノ・ムニエ」と呼ばれていましたが、ピノ・ノワールとは直接の関係がないことがわかり、単に「ムニエ」と呼ばれるようになりました)
 
「シャンパンらしいシャンパン」ということであれば、この3品種を1/3ずつブレンドするのがもっともオーソドックスなものです。
「ポル・ロジェ」のスタンダードクラスなどはその典型例。味わいに突出したところのない、嫌われにくい風味が持ち味です。
 
 
 

ピノ・ノワールとシャルドネで違うシャンパンの味わい

 
一方で品種の特徴が良く出ているシャンパンもあります。
 
「Blanc de Blancs ブラン・ド・ブラン」とはシャルドネ100%でつくられるシャンパンに表記される文言です。直訳すれば「白の白」で、白ブドウ100%でつくられていることを示します。
1万円以下くらいに限るなら、細身でシャープな酸味を持ち、キレのいい風味を特徴とするものが多いです。
典型的なものとしてはこちら。
 
 
一方でピノ・ノワール100%でつくられるシャンパンもあります。「Blanc de Noirs ブラン・ド・ノワール」と表記できます。ムニエも黒ブドウなのでピノ・ノワールとムニエのブレンドでも表記できます。ただ、高級品になるほどピノ・ノワール100%であることが多いです。
味わいとしては2パターンあると感じています。一つは旨味にも似たコクが強いもの。もう一つはカチっとした味わいの骨格を感じるものです。
こちらは後者のような味わいの広がりと力強さを持ったタイプ。
 
 
 

ムニエを軽んずべからず

 
3品種の中でムニエは「安ブドウ」「ピノ・ノワールの劣等品」と見られがちです。それも仕方のない理由があります。
 
先述の「グラン・クリュ」の村に植えられているブドウはピノ・ノワールとシャルドネだけです。そしてブドウ取引価格はピノ・ノワールとシャルドネに比べて少し安いと聞きます。
3万円を超えるような高級なシャンパンに使われている例は少ないですし、逆に4000円以下のような格安のシャンパンにおいては主要品種です。
 
風味においても「洗練された」「気品のある」といった高級感のある表現は、あまり当てはまらないかもしれません。しかし手をかけてつくったムニエには、ムニエならではの良さがあります。
シャンパンの味はブドウ品種だけで語れないという前提で筆者のイメージを述べるなら、ムニエの魅力は果実味の柔らかさ。リリースしたてからいい意味で緊張感のない、旨味ののったようなやわらかいコクの心地よさです。
 
 
 

品種だけで語れない理由とは

 
こう例える人がいます。
ワインを料理とするならば、スパークリングワインは製菓」だと。
スパークリングワインやシャンパンは加工度が高い。原料となるブドウが大事というのは前提としても、その違いはワインほど現れないと言いたいのです。
 
 
ブラン・ド・ブランがキレのいい酸味を持つものが多いといっても、ピノ・ノワール100%で非常にシャープな酸味を持つものもあります。長い熟成ゆえにブラン・ド・ノワールに勝るボリューム感を持つシャルドネ100%のシャンパンもあります。
 
シャンパンの風味においてブドウ品種は一要素に過ぎません。だからこそ、ほぼ3つの品種なのに世の中にこんなにたくさんのシャンパンが存在する意味があるのです。
 
 

甘辛度合いでシャンパンを選ぶ

 
スパークリングワインは炭酸の刺激があるので、酸味が高く、甘味は弱く感じる傾向です。その味わい調整のために、仕上げに甘味を添加します。これを「ドサージュ」といいます。
ドサージュの量、つまり仕上がりの糖度は味わいに大きく影響します。なのでそれはラベルに表記されます。
スパークリングワイン全般によく見かける「BRUT」の表記は、ドサージュの量、つまり甘辛度合いを表します。
 
 

よく見かける「BRUT」の意味とは

 
「BRUT」と書いてあれば辛口スパークリングワイン。単純化するならこう捉えてください。
 
 
正確にはドサージュ、つまり仕上がりの糖度で0~12g/Lであることを示します。ワイン1L中にショ糖換算でそれだけの糖分が溶けているということです。上限の12g/Lであってもよく冷えていたらほとんど甘味は感じず、温度が上がって泡が抜けてきてほんのり甘く感じる程度です。
 
 

シャンパンには砂糖が入っているの?

 
シャンパンをつくるには砂糖が必要ですが、不思議なことに原材料として表記しなくていいようです。
 
2つの理由で使われます。
一つは先述のドサージュ。保存していたワインに砂糖を溶かしたリキュールを用いることが多いです。
原料としてはサトウキビやビーツなど。生産者によっては濃縮保存していたブドウ果汁を用いる場合もあります。
後述しますがこのドサージュの際に糖分を添加しないシャンパンもあります。
 
 
もう一つの目的は泡をつくるためです。
シャンパンは白ワイン、あるいはロゼワインをもう一度発酵させて、その際に生じる二酸化炭素を閉じ込めます。酵母が泡をつくるためのエサとなる糖分が必要なのです。ただしこの糖分はワインがスパークリングワインになる過程で全て消費されます。
 
甘口ワインの甘味はブドウが本来持っていたものが多いですが、シャンパンの甘味は後から加えられたものです。
 
 

「BRUT」以外は何がある?

 
シャンパンの甘辛度合いで言うと、この「BRUT」が最も多くつくられ流通しています。これは他のスパークリングワインも同じで、辛口ながらほんのり甘味もあるくらいが「ちょうどいい」なのでしょう。
 
一方でもっと辛口のものもあります
EXTRA BRUT エクストラ・ブリュット」や「BRUT NATURE ブリュット・ナチュレ」と呼ばれるものです。それぞれドサージュ量が、0~6g/Lと3g/L以下。さらにキリっとドライな味わいです。
 
2日目3日目の飲み残したシャンパンを飲むとき、泡が弱くなっているので人によっては甘味が気になるでしょう。「わたしはキリっと辛口が好きなのに」と。そういう場合には、エクストラ・ブリュットやブリュット・ナチュレを選ぶと最後までより美味しく飲めるでしょう。
 
ドサージュについてより詳しくはこちらの記事で▼
 
 

ラベルで分かるシャンパンの生産者分類

 
生産者の形態にも注目してみてください。わざわざ検索して調べなくても、ラベルを見れば小さく書いてあります。
その生産形態によって可能となる生産量が異なります。生産量が少ないから品質が高いとは言えません。しかしマーケティングの戦略を考えたとき、味づくりの傾向はあると感じています。
 
 

生産者のタイプとおおまかな味の傾向

 
日本で見かけるシャンパンは、次の3つの生産形態であることが多いです。
 
表記 形態の名称 ブドウの調達と醸造 生産量の特徴
NM ネゴシアン・マニピュラン 買いブドウからワインをつくる 生産量が多い傾向
RM レコルタン・マニピュラン 所有する畑からワインをつくる 小規模生産者のみ
RC レコルタン・コーペラトゥール 栽培農家が共同の醸造設備でつくるオリジナルブランド 小規模生産者のみ
 

NMのシャンパン 味わいの傾向

この中で最も手頃なのは、NMのスタンダードクラスです。その中で品質の高いものはかなりの大量生産をしています。生産量の割に銘柄数は少なく、それをしっかりワイナリー自らがプロモーション活動を行うところも多いです。
それゆえ味づくりが「幅広い消費者層」をターゲットとしており、突出したところのない嫌われにくい味が傾向と言えるでしょう。
好みの分からない相手にプレゼントをするときなどに重宝します。

 
有名なシャンパンメーカーは全てNMです。有名シャンパンの紹介記事はこちら▼
 

RMのシャンパン 味わいの傾向

自分で管理するブドウからシャンパンをつくる以上、たくさんの量はつくれません。またスケールメリットもないのでコストパフォーマンスという点では高くないでしょう。だからこそ個性のあるシャンパンをつくって、違いを楽しむ愛好家を満足させることを目指しているように感じます。
「ブドウの特徴をより感じてもらおう」と、ドサージュの量を減らす生産者が多いように感じます。

  

RCのシャンパン 味わいの傾向

上記の2つに比べて市場流通量が少ないため、傾向を話せるほどの経験はありません。ただ私の知る限りではコストパフォーマンスが高いものが多いです。醸造設備を共同で使うからでしょう。
風味の華やかさや複雑さはあまり高くないものの、ブドウの質の高さゆえか味わいに透明感があり、余韻が長く続くものが多い印象です。

  
  

シャンパンの相場観

 
その金額のシャンパンは、全体の中でどういう位置づけなのか。相場を知っていたほうがたくさんの中から選びやすいでしょう
前提としてシャンパンは特別な日に飲む高級品です。それを日常的に飲めるなら、十分に経済的に成功している証拠といえます。
銘柄によりばらつきはあるとはいえ、ざっくりとした実売価格の相場観を表にしました。
 
 
普通に考えたら1本5000円弱でも高価な飲み物です。
しかしシャンパンにおいては格安量産品です。「Champagne」と書いてある限りはプライドを持ってつくっていますので、しっかりと価格に見合った味を感じさせてくれます。とはいえ全体のポジションからすると、大きな期待を抱きすぎない方がいいのは間違いありません。
 
 

ステップアップとして考えるべきシャンパンの違い

 
「シャンパンを選ぶのは難しいな・・・。ついおすすめに頼ってしまう」という方は、まずはここまで。
種類と品種、甘辛度合い、生産者形態、それから価格。これらを参考に選んでみましょう。
 
その上でもっと詳しくなりたい方は、次のポイントに着目してみるべきです。
 
 

熟成期間に注目する

 
シャンパンは出荷前の熟成期間を非常に大事にします。基本的には長いほどいいと考えられていて、瓶内熟成が10年を超えるものもあります。高級シャンパンのなかには2024年現在で「2013年が最新です」というものすらあるのはそのためです。
熟成期間を長くすれば、長期熟成に由来する風味が出てきます。その風味の豪華さは、シャンパンが世界一のスパークリングワインであることを納得させてくれます。
 
 
一方で長期熟成の風味が「ブドウの味わいを感じとりにくくする」と考え、あえて熟成期間を短くするRMの生産者もいます。中には単一年のブドウでつくるのにヴィンテージ表記がないものも。
「熟成期間が短いから劣っている」と単純に考えるのは間違いです。
 
熟成期間による味わいの変化についての参考記事▼
 

ベースワインの熟成方法に注目する

 
シャンパンをつくるにはまず白ワインをつくります。その白ワインはステンレスタンクで熟成・保管するのが基本。
一方で中にはベースワインを樽熟成する生産者もいます。風味や口当たりに違いがあらわれ、厚みのあるリッチな味わいになる傾向があります。
  
特に最近人気が高まっているRMは、ベースワインの樽熟成を取り入れているところが多いです。
 
シャンパンの樽熟成に関する参考記事▼
 

ブドウの生産地区に注目する

 
ワインは産地で味が変わるのは当たり前。しかしシャンパンを産地で選ぶのはなかなか上級者の楽しみ方です。
 
というのも全てシャンパーニュ地方の中の話だから。冷涼な大陸性気候というのは共通なのです。
しかも大規模なNMは、地方全体からブドウを購入してブレンドしている場合があります。それでは地区単位の風味傾向は現れません。
 
 
一方でRMやRCの場合は、1つの村にしか畑を持たない場合もあります。中にはその中で畑ごとにシャンパンをつくり分けている生産者すらいます。比べて飲めば「シャンパンでも畑でこんなに違いがあるんだ!」となって興味深い。しかしやや高価なのでなかなかのお金がかかります。
 
まずは17のグランクリュから飲み比べて特徴を掴んでいくのがいいでしょう。
 
 

「わたしが好きなシャンパン」を究明する

 
「不味い」と感じたときは原因がわかりやすくとも、「美味しい」と感じたとき理由がわからない、言葉にしづらいこともあります
香りが気に入ったのか、味の濃さがちょうどいいのか、余韻が好きなのか・・・。
たとえ言葉にできたとて、その特徴から似たような美味しいシャンパンを探すのは、なかなかに難しいです。
 
一例としてワインの味わいは「バランス」が非常に重要です。果実味・酸味・渋味などの強さがちょうどいいことです。でも「ちょうどいい」が非常に主観的なので、販売側はなんとでも言えてしまいます。「このワインはバランスはイマイチだけど・・・」なんて書いてあるものはありません。だから「バランスのいいワイン」で探すのは不可能なのです。
 
 
それゆえ今回ご紹介したポイントが重要になってきます。
シャンパンの種類や品種、甘辛度合いや生産形態など。加えて熟成期間やベースワインの熟成方法・・・。
 
お気に入りのシャンパンにであったとき、そのシャンパンの情報を憶えるか記録していく。それが蓄積されれば、きっと何かしら共通点が見つかるはずです
その共通点で探せば、きっと未飲のシャンパンからもたくさんのお気に入りが見つかります。
 
人のおすすめを信じるだけじゃない選び方。自分の好みを究明して、あなただけのシャンパン選定法の開発にチャレンジしてみては?





※投稿に記載しているワインのヴィンテージ・価格は執筆時のものです。現在販売しているものと異なる場合があります。
購入の際は必ず商品ページにてご確認ください。




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