ワインの選び方

低アルコールワイン特集 暑い季節に度数の低い爽やかなワインを《甘口・辛口》

2024年7月15日

低アルコールワイン特集 暑い季節に度数の低い爽やかなワインを《甘口・辛口》
 
 
低めのアルコール度数により口当たり軽いワインは、特に蒸し暑い季節に美味しく感じます。
低アルコールワインを選ぶポイントは、度数だけでなく甘辛度合いや製法も重要。
地球温暖化が叫ばれる昨今だからこそ、多くの人に求められ始めています。
軽い口当たりの心地よさを知れば、夏以外のワイン選びも変わってくるかも?
 
 

低アルコールワインの味わいは何が違う?

 
ワインにおけるアルコール度数の高低は、主に味わいの重量感・ボリューム感やほのかな甘み、口への刺激の強弱として感じます。
アルコール度数が低いなら、口当たり軽やかでソフトな口当たりのワインになる傾向があります
 
しかしアルコール度数は他の要素とも関係します。それも踏まえて、低アルコールのワインは特に夏に美味いと断言します。
 
 

夏場のビールはなぜ美味しい?

 
正直に言います。ワイン屋の夏場は売り上げが落ち込みます。
理由は一つではありませんが、その一つに「夏場はビールが美味しくてつい選びがち」というのがあるでしょう。
 
ビール、とりわけ大手メーカーの主力ビールの良いところは、風味が強すぎずアルコール度数が5%程度と低いところです。だからゴクゴク飲める。汗をかいて体の水分が失われやすい夏。体が水分を欲しているなら、ワインよりビールを心地よく感じる理由も頷けます。
 
 
クラフトビールの多くは、個性を主張すべく風味が比較的強い傾向。グビっと飲みたいときは、同じアルコール度数でも風味が薄い方をあえて選ぶかも。
缶チューハイと比較したとき、その甘みの無さがスッキリと感じるのでしょう。
 
夏にビールが美味いのは、液体の成分としてより体が欲しているからなのかもしれません。この理由は僅かながら低アルコールワインにも当てはまるでしょう。軽い口当たりが心地よいのです。
 
 

軽いだけじゃない夏に美味しい理由

 
アルコール低めのワインが夏に美味しいのは、何も口当たりだけではありません。
 
 
夏になるとレモンなどの柑橘系フルーツをつかった食べ物・飲み物をよく見かけます。スッキリとした酸味を持つものが、ジメっと暑い季節に美味しく感じる。経験のあることでしょう。
低アルコールワイン、特に甘くないものに関しては、スッキリとした酸味を持つものが多いです。この酸味が心地よい。
 
風味の点でもそうです。
白ワインならメロンやパイナップルよりも、リンゴやレモン。赤ワインやロゼワインならプルーンやブラックべりーよりも、ラズベリーやクランベリーなどの赤いフルーツ。
そういった爽やかな風味を持つワインが比較的多いのが、低アルコールワインの特徴です。
 
こうした風味特性を持つワインを具体的にご紹介します。
 
 

アルコール度数・甘辛・製法で選ぶ低アルコールワイン8選

 
「低アルコール」と聞いて何パーセントくらいを想像しましたか?
 
通常ワインのアルコール度数は11~15%ほど。12%未満であれば「低アルコール」と言えるでしょう
ブドウ由来の糖分を残して醸造する甘口ワインなら、もっと低いものもつくれます。
アルコール度数、甘口か辛口かと、なぜ低アルコールなのかの理由で分けてご紹介します
 
タイプ別に当店おすすめの低アルコールワインをご紹介します。どれも軽い口当たりであることは間違いありません。しかしその性質次第で適したシチュエーションは異なります。
 
 

まるでチューハイ気分!?やさしい甘さはワインの入口のも◎

[Alc.3%][甘口微発泡][発酵中断]
 
この見た目のとおりポップでカジュアルに飲んでもらうことを狙った低アルコールワイン。3%というアルコールはビールより低く、「ほろよい」などのライトなチューハイと同じ度数です。通常のアルコールに慣れた私には、正直お酒と認識できませんでした。
マスカット系の甘い香りが漂い、ブドウジュースの延長線上のような感覚です。
 
「ワイン通の人がアルコールを減らしたいときに」というよりも、「普段お酒自体を飲まない人もワインを楽しめる」という狙いなのかもしれません。
 
 
 

スルスル入る味わいだからこそうれしい1Lボトル

[Alc.10.5%][やや甘口][冷涼産地]
 
「ドイツワインだから低アルコール」といい切れるほどには、現代のドイツは極端に冷涼ではありません。それでも高アルコールのワインはほとんどありませんし、このワインのように中甘口で少しアルコール低めのワインも多くつくられています。
 
通常サイズより少し大きな1000mlボトル。世界的にはやや珍しいですが、ドイツにはよく見かけます。スルスルっと飲めてしまう爽やかでライトな味わいだからこそ、「あれ?もうなくなっちゃったのか」とならない大容量がうれしいところです。
 
 

ちょい甘微発泡が「ヴィーニョ・ヴェルデ」のイメージ

[Alc.9.5%][やや辛口・微発泡][産地の伝統]
 
ポルトガルの名産「ヴィーニョ・ヴェルデ」の多くは、大量生産される廉価品です。それもあってブドウの糖度が十分上がる前に収穫され、高い酸味とバランスを取るべく甘味と炭酸のある味わいに仕上げられる。聞こえは悪いですが、そういったものも少なからずあります。
でも、それが美味しい。夏に飲みたくなるカジュアルで爽やかなスタイルと手頃な価格は、「1本と言わずまとめ買いしておこう」という方が後を絶ちません。
 
 

ノーマークだった産地が意外といい!

[Alc.11%][辛口][多い降雨量]
 
フランスのスペイン国境近くにあるガスコーニュ地方。ここは決してソーヴィニヨン・ブランの産地として著名ではありません。なので当初はあまり期待せず試飲したのですが、いい意味で裏切られました。
このリーズナブルな価格は、決してつくりが荒いのではなくスケールメリットです。その上で11%でつくれる理由を生産者に聞いたところ、「海洋性気候で比較的雨が多いから」との回答。水分ストレスがなく粒が大きくなるので、糖度があまり高くならないのです。
早摘みしているわけではなく、風味の成熟期間は十分なるのでしょう。青臭い風味は全くなく、明るくフレッシュな印象です。
 
 

これは将来、日本の武器になるかも?

[Alc.8.5%][辛口][晩熟品種]
 
日本もまた雨が多くブドウの糖度が上がりにくい気候。中でも「甲州」は特に熟しにくい品種です。栽培を特別工夫してつくる高級品は別として、12%ほどある甲州は捕糖してアルコールを強化してつくるのが普通です。
そこをあえて捕糖せずにつくったのでしょう。8.5%というアルコール度数の辛口ワイン。それも未熟な風味はない、軽い口当たりながらバランスのとれた味わいです。世界的に見てもそうそうできるものではありません。
 
食事のヘルシー指向は世界的に広まっています。それに合わせてライトな食事にあわせるライトなワインが求められています。
低アルコールワインとしての甲州は、世界のワイン市場で日本ワインの武器になるかもしれません。
 
 

明るいうちから楽しく飲みたい

[Alc.9][辛口][ノンアル処理]
 
なんとも長ったらしいブランド名ですが、このコンセプトは明るいうちから楽しく飲みたいワイン。後述する製法により、なるべく風味を損なわずにライトな味わいとアルコール度数に仕上げました。
 
いくつかの品種で展開していますが、特に風味の満足度が高いのがこのロゼ。きちんとドライでありながら適度に風味豊かです。
 
 
これをつくっているのはシャイド・ヴィンヤーズという超大規模ワイナリー。ワイン離れが進むアメリカにおいて、ターゲットを広げるため様々な工夫をしていることが見て取れます
 
 

低アルコールワインをつくる方法

 
アルコール度数を下げる方法は次の3つです。
 
  • 潜在アルコール度数を下げる
  • 発酵を途中でストップさせる
  • 脱アルコール処理をしたワインとブレンドする
 
この手法によりワインの風味も異なります。
 
 

潜在アルコール度数を下げるには

 
ワインのアルコールはブドウが持つ糖分が変化したものです。基本的にはワインの発酵はその糖分を使い切るまで続きます。
もともと糖度が低く甘くないブドウを原料として使えば、アルコール度数の低い辛口ワインができます
 
そのためにできることは
  • ブドウ品種:糖度の上がりにくい品種を選択する
  • 早摘み:目標アルコール度数を決めて、その糖度になった時点で収穫する
  • 収穫量を増やす:間引きを抑えて単位面積あたりの収穫量を多くする
  • 畑の選択:冷涼な畑を選ぶことで糖度の上昇を遅くする
 
ブドウ品種の選択については、今回ご紹介した甲州やリースリングがまさに晩熟、熟すのが遅い品種の典型です。通常は白ブドウを収穫してから黒ブドウの収穫時期なのですが、この2品種については黒ブドウより遅くなるのが普通だとか。
甲州の糖度は特に上がりにくいです。日本で栽培の中心は夏に暑く雨が少ない山梨県ですら、収穫が11月になることもあるのだとか。捕糖をしてアルコール度数を11%以上にするのが普通であり、この低さに仕上げる勝沼醸造さんが珍しい部類です。
 
 
どんなブドウ品種でも、熟して糖度が上がり切る前に収穫すれば、アルコール度数を低めにできます。しかしそれが美味しいワインになるかは別の話。極端に早摘みすると香り成分が未熟だったり、青臭い風味が残るリスクがあります。
 
ブドウの樹1本に実る房の数を増やせば、ブドウは熟しにくくなり、アルコール度数は下がります。通常は夏季に行うグリーンハーベストを、行わないか少な目にするのです。1000円以下の安いワインはややアルコール度数が低めな傾向があるのはそのためです。ただし風味も薄くなるリスクがあるので、あまり積極的に収穫量を増やそうとするところはあまりないでしょう。
 
ブドウの糖度上昇は主に積算温度に関係します。冷涼な地域・冷涼な畑であれば、糖度がゆっくり上がっていきます。暖かい場所の畑と比べ、同じ糖度になったときのハングタイム、ブドウが樹に実っていた時間は長くなります。これなら風味もしっかり成熟します。ドイツをはじめ冷涼な地域のワインがアルコール度数控えめなのは、これが理由です。
先ほどの「早摘み」に近いですが、生産者からすると「これが適熟だ」なのでしょう。
 
 
先述の甲州は例外的として、いずれの方法でもそれほど劇的に低いアルコールのワインはつくれません
 
 

発酵を途中でストップさせるとは

 
ブドウの糖分を酵母が全て使い切る前に発酵を止めれば、アルコール度数は低くなります。当然糖分が残るので、半辛口~甘口に仕上がります。
今回ご紹介した甘いワインは全てそのタイプです。
 
発酵をストップさせるには、発酵容器を冷やせばいい。しかしそれでは温度が上がると再発酵してしまいます。そこで酵母を取り除ける細かいフィルターを通します。亜硫酸を加えるのも有効です。
 
どれだけでもアルコールを下げることはできますが、下げるほどジュースっぽくなってしまいます。「ワインっぽくない」と感じられがちなのが最大のデメリットでしょう。
 
 

脱アルコール処理をブレンドするとは

 
ノンアルコールワインの製造につかう脱アルコール処理を使います。このワインに関しては「逆浸透法」と「浸透圧蒸留法」という2つの手法を組み合わせて、出来上がったワインからアルコールを除去しているそうです。
ワインから純粋に「アルコールだけ」を除去する手法は、現時点ではありません。同時に様々な風味成分も取り去ってしまいます。ゆえにアルコール除去したワインそのものは、どうしても風味乏しい飲み物になってしまいます。
 
脱アルコール処理したワインと通常のワインを適切にブレンドすることで、甘味のないアルコール度数の低いワインをつくることができます。この方法でも自在にアルコール度数を下げられますが、味のバランスをとるのがなかなか難しい。
白ワインやロゼワインは、アルコール度数が低いことの違和感がほとんどないワインをつくることができています。一方で赤ワインはボディ感の弱さが際立ち、ちょっとバランスが悪く感じてしまうものが多い印象です。
 
 

おうちでできる低アルコールワイン!?

 
これは「製法」とは違いますが、自宅で簡単に低アルコールワインを楽しむ方法があります。何かで割ってしまえばいいのです。
代表的なのが白ワインを炭酸水で割る「スプリッツァー」というワインカクテル。12%以上の通常のアルコール度数であっても、炭酸水との比率次第で低アルコールな飲み物にできます。
 
 
向いているワインはスッキリ系の辛口がいいでしょう。風味は薄くなるとはいえ、そう大きく印象を変えず楽しめます。
逆に樽熟成してボリューム豊かなワインは、スプリッツァーにすると風味と味わいがチグハグな感じになってしまうでしょう。
 
喉が渇いているときの最初の1杯、または酔いがまわってきたころの味変として、スプリッツァーを選択肢に入れてもいいでしょう。
 
 

低アルコールワインのメリット

 
低アルコールワインの良いところは、「風味が夏にあっている」というだけではありません。
同じ量を飲むこと前提として通常アルコールのワインと比べると、次のようなメリットがあります。
 

低アルコールワインのメリット

酔い方が軽い
カロリーが低い(辛口に限る)
軽めの料理とバランスをとる
 
 

低アルコールワインを昼飲みに

 
例えば休日に友人と都心部でお買い物を楽しんでいるとしましょう。ランチでおしゃれなレストランに入ったら、つい明るいうちからワインを飲みたくなりませんか?昼飲みって気持ちいいですよね?
 
 
肝臓強者の方にはわからないかもしれませんが、1、2杯のワインでもしばらくすると眠たくなっちゃう体質の人もいます。アルコールは血管を広げるので、血圧が下がりすぎて眠たくだるくなることも。午後のお買い物がしんどくなってしまっては台無しです。
だからと言って、休日にワインにあいそうな料理を食べているのに、我慢するのはイヤ。
 
低アルコールワインとて酔わないわけでは決してありません。でも確実に酔いは軽くなります
飲む/我慢するの2択じゃない、第3の選択肢として、低アルコールワインがあってもいいでしょう。
 
ただし、「これ酔いにくいから」と1杯余分に飲んだら意味がありませんので
 
 

低アルコールワインはカロリーが低い

 
アルコールは1gあたり7.1kcalのエネルギーがあります。
10%のワイン100mlには、8gのアルコールが含まれます。(アルコールの比重は0.8で、アルコール度数は分量のパーセンテージだから)アルコール度数が低いほどカロリーも低くなります。
カロリーを制限しているけどお酒は飲みたいという方にはうれしいでしょう
 
 
ただし糖分の残っていない辛口ワインならという話です。甘口ワインは糖質のカロリーが大きいので、アルコール度数が低くてもダイエットには向きません。
 
ただしこれも、飲みすぎては意味がありません。分量を守る自制心は必要です。
 

アルコールは「エンプティーカロリー」

「お酒は太らない」という話を聞きます。これは真実でもあり間違いでもあります。
通常過剰に摂取した糖質や脂質などは体に蓄えられます。こうして体重が増えます。しかしアルコールで摂取したカロリーは蓄積することができません。なのでアルコールだけでカロリーを賄っていれば太りませんが、健康にはとても悪いです。
しかし体の体温を保つためのエネルギーとしては使えます。優先的に使われるので、そのほかで摂取した糖質・脂質などの消費が減ります。それが余ればやはり体に蓄積されます。
お酒と言ってもカロリーはカロリーです。
 
参考
 
 

さっぱりした料理には低アルコールワイン

 
料理との相性を考えても、低アルコールワインは夏の季節に適しています
 
肉汁したたる噛み応えのある肉料理。リッチな味わいのクリームソース。そんな濃厚に美味しい料理には、アルコール度数高めのヘビーなワインが必要です。でも夏場にあえてこんな料理を選ぶことは少ないのでは?
 
 
暑さで胃腸が弱ってさっぱりしたものがいい。そんな軽い料理と一緒に飲むなら、ワインも軽い味わいにすべきです。
アルコール度数が全てではありませんが、そんなさっぱりしたワインを選ぶ分かりやすい指標が12%以下のアルコール度数です。13%以下でもある程度さっぱりとした口当たりでしょう。
 
料理とのバランス感を考えても、夏には低アルコールワインが優れています。
 
 

低アルコールワインでもっと気軽な晩酌いを

 
低アルコールワインのメリットのうち2つは、飲みすぎれば意味のないメリットです。
なので最大のメリットは、風味が違いそれがあなたの好みと暑い季節の気分にあうかもしれないこと
カロリーうんぬんよりも、「美味しいから」で低アルコールワインを選んでいただきたい。
 
どんなワインもそうであるように、低アルコールであることを万人が好むとは考えません。むしろ熟したブドウからつくる高アルコールワインの方が、価格に対して風味の豪華さがありウケはいいでしょう。
 
 
でもどんな好物料理だって毎週は食べ続けないように、好みのワインのタイプをあえて外してみるのも、気分転換としていいんじゃないでしょうか。
低アルコールワインの味わいは、ライトで気軽に飲めるものです。「よし!今晩はこのワインを飲むぞ!」と構えて開けるものじゃない。「あ!これ冷えてたから、今日はこれでいいや」と手に取るようなもの。
暑い夏の晩酌に気軽な低アルコールワインで爽やかさをもたらしましょう。





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