プレゼントを選ぶときはその意味と目的を考えるのが大切。
なんでそのプレゼントをするのか、相手にどう思ってもらいたいのかということ。
これが相手の好みがわからないときに、ピッタリのプレゼントを選ぶコツです。
お中元を贈る目的を考え、2通りの方法でワインを選んでみましょう。
プレゼントにワインを贈るポイント
ワインを贈り物にするときに願うことは、相手に美味しく飲んで喜んでもらうこと。
だから一番は相手の好みにあうワインを贈ることです。当たり前ですが、まずはこれを一番にすべき。
でもそれが難しい場合が非常に多いです。
相手の好みがわからない
まず自分のワインの好みを詳細に分析するのは難しいです。
好きだと思ってたブドウ品種や国のワインの中に苦手なものがあったり、逆に苦手だと思っていたタイプのものの中に美味しく感じるものがあったり。
そして自分の好みを言葉にして誰かに伝えるということが、難しいしそんな機会は稀です。
だからプレゼントを贈りたい相手の好みもまたわからない。
筆者が時々一緒にお酒・ワインを飲む友人。彼らですら自信をもって好みを言えるのは半分もいません。
プレゼントを贈る際に、「相手の好きなワインを選ぶ」というのは、できない場合の方が多いのです。
好みのリサーチは難しい?
最善策が相手の好みを知って選ぶことなら、まずそのためのリサーチに力を入れるべきです。
でもそれはなかなかに難しい。
今度あなたにワインを贈るつもりなので、好みのタイプを教えてもらえますか?
堂々とこう聞けたら一番。何も悩みはありませんが、難しい場合が多いでしょう。
「昨年贈ったものを美味しいと言ってもらえたから」
本当にそうでしょうか。お互い大人ですから"忖度"というものがあります。食べ物・飲み物を贈ってもらったら、真偽はどうあれ「美味しかった、ありがとう」というものです。
もちろん正確な好みに合わせてドンピシャなものじゃないても構いません。それですらよくわからないものなのです。
好みで選ぶ、次善策は?
では他にどんな基準でプレゼントのワインを選びましょう。
よく売れているワイン、レビュー評価の高いワインを選ぶ。
ワインショップで店員さんにお任せして、おすすめのものを買う。
並んでいるものから、高そうな見栄えのいいものを選ぶ。
どれもイマイチ心がこもっていないように感じませんか?
ワインのストーリーで選ぶ
そこで提案する選び方。
それは「贈り物とワインの意味を重ねる」という選び方です。
何のための贈り物なのか。どういった意味合いがこもっているのか。それをワインで表現するのです。
そのワインがつくられたストーリーや込められた想い、生産者の生い立ちや大切にしているもの。
そういったバックグラウンドが、あなたがプレゼントを贈る理由に合致する。
選ぶのは決して簡単ではありません。ただワインだけを渡して伝わらないかもしれません。だからこそ心がこもるというもの。
何より選び甲斐がある。どうせ好みはわからないんです。たとえ好みに合わなかったとしても、このワインを贈ることに意味がある。そんなワインを贈ってみてはいかがでしょうか。
「お中元の意味」
お中元の語源となった「中元」とは、旧暦の7月15日のこと。
道教の習慣で祭りが行われていたところに、仏教の「お盆」の習慣が混ざり、先祖の霊を供養する日となりました。
江戸時代以降には、お盆の礼として親類やお世話になった人に贈り物をする習慣が生まれたと言われています。
※高島屋オンラインによる
お中元を贈る時期は?
お中元を贈る時期は下記の通り。
実はお歳暮と共に東日本と西日本で贈る時期が違います。どちらも西日本が少し遅いんです。
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お中元
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お歳暮
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東日本
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7月上旬〜15日
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11月下旬〜12月20日前後
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西日本
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7月中旬〜8月15日
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12月13日〜20日前後
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遠方の方に贈るときのために覚えておきたいですね。
この時期を過ぎてしまったらどうすればいい?
もし何らかの事情でお中元の手配が遅れてしまった場合。
そのときは熨斗の但し書きを変更すれば大丈夫です。
立秋(8月8日か9日)までなら「暑中御見舞」。それ以降8月15日までなら「残暑御見舞」です。
もし相手が目上の立場の方なら、「暑中御伺い」「残暑御伺い」にするのがベターです。
お歳暮の場合も「御年賀」「寒中御見舞」と変わります。
お中元の相場は?
3000円~5000円が相場だと言われます。
お互いの立場や年齢、関係によってこの中で調整します。
特別にお世話になった方へ贈る場合だと1万円という場合もあるようですが、高すぎるとかえって相手に気を遣わせてしまいます。
お互いに負担にならない金額のものを贈るのがマナーです。
お中元を贈ることに込められた想いは?
日ごろお世話になっている方に、感謝の印として贈るのがお中元です。
だからもし個人から個人に贈るとすれば、このままの意味。「いつもありがとうございます。」
ゆえに純粋に相手の方に喜んでもらうのがゴールです。
しかしビジネス上のお中元は少し違います。
もちろん、日ごろお世話になっている感謝を示す意味もあります。
さらに、その感謝を示すことで、『これからもよろしくお願いします』という意味も込められています。
「いつもありがとう。これからも仲良くしましょう」
そういうメッセージなのです。
お中元に相応しいワインの選び方
「いつもありがとう。これからも仲良くしましょう」
この意図にワインの意味を重ねるとしたら、どう読み解けばいいでしょう。
いくつかあると思います。
その中で私が提案するのは、「協力関係でつくられるワインを選ぶ」です。
協力関係によって形成すワイン
「御社と弊社は共存関係。持ちつ持たれつでこれからも仲良くしていきましょう。」
そんなメッセージを込めるなら、協力関係によって生み出されたワインを贈ってはいかがでしょうか。
誰かと誰かがタッグを組んでつくるワイン。コラボレーションによって生まれたワインなどです。
こういったワインの有名な例を一つ挙げましょう。
タッグを組んだワインの代表格
一番わかりやすい例が「オーパス・ワン」です。
ボルドー1級シャトーである「シャトー・ムートン・ロートシルト」を所有するフィリップ・ド・ロスチャイルド。
「カリフォルニアワインの父」と呼ばれるロバート・モンダヴィ。
フランスとアメリカを代表する2人によるジョイントベンチャーが「オーパス・ワン」です。
知名度的に申し分ないのですが、お中元の予算を一桁超えてしまいます。よほどの関係性でない限り、出番はないでしょう。
他にもタッグを組んでワインをつくる例はいくつもありますので、予算内で探しましょう。
この考え方をもって、お中元におすすめのワインを3000~5000円くらいの予算でご紹介します。
今回はワインの本体価格でご案内します。別途送料やラッピング料金、夏場なのでクール便代も必要となりますのでご了承ください。
タッグやコラボレーションで生まれたワイン
「御社と弊社は共存関係。持ちつ持たれつでこれからも仲良くしていきましょう。」
そんなメッセージを込めて贈る、生産者のタッグやコラボレーションでつくられるワインを、3000円、5000円の予算でご紹介します。
3000円 「お相手に幸福が訪れんことを」
ワイナリー名につけられた「6・8・9」の文字は、中国にて特に幸福をもたらす数字、縁起のいい数字とされています。
長年の友人で会ったカーティス・マクブライドとケント・ラスムーセン。彼らは東アジアを旅する中で、これが真実であることを体感したといいます。ジョイントベンチャーとしてワイナリーを設立するにあたり、その体験から「689セラーズ」と名付けたそうです。
ワインの名前は「ラッキー・ドロー」。これまた縁起のいい名前。相手の方に幸福がおとずれることを願うワインとしてピッタリです。
味筋としてはこのワイナリーらしい甘濃い系。濃密で滑らかな口当たりと、親しみやすい芳醇な香りが特徴です。長年のワイン通の方よりは、まだ若い、ワインを飲みつくしてはいないだろう方へ贈る場合におすすめします。
3000円 元苗木屋さんの縁を活かして
続いてご紹介するのが、カリフォルニアの「フィールドレコーディングス」。
赤ワインと白ワイン1種類ずつ扱っております。
このワインをつくるアンドリュー・ジョーンズ。元々はカリフォルニアのブドウの苗木屋さんで働いていました。
カリフォルニアのたくさんの畑を見て回ることで、畑の持ち主とのコネをつくるとともに、良いブドウを生む畑を見極める目が養われました。
その中で特に素晴らしい畑からブドウを分けてもらって、こうやってワインをつくっているのです。
エチケットにはまず目につく「FRANC」「CHENIN」の文字が大きく描かれています。自身のワイナリー名よりずっと目立つようにです。
栽培農家から託されたブドウ。その品種の個性、その畑の味をまず第一に表現する。自分の個性はその後でいい。
そんなメッセージが伝わってきます。
取引先に対して、モノであったり人やサービスであったり、仕事であったり。
それらを融通してもらっていることに対する感謝。そんな意味合いが強いお中元に適しているかもしれません。
5000円 パートナーであることを願って
予算5000円くらいで選ぶ赤ワインなら、この「テイクン」をおすすめします。
このワインをおすすめする理由、2つあります。
一つはナパ・ヴァレーの伝統と現代の融合をコンセプトとしているという点です。
カベルネ・ソーヴィニヨンを中心にジンファンデルなどをブレンドした、リリースしたて・開けたてから美味しいモダンな味わい。
それでありながら、甘濃い味わいになりすぎず酸味とバランスを大切にした伝統のつくりという点。そこにコンセプトが現れていると感じます。
もう一つは「テイクン」という名前。これはインターネット上で「パートナーあり」という意味で使われるそうです。
「御社と弊社はパートナーであることを願っています」そんなメッセージを載せることができます。
昔から続く会社であるのに、どんどん新しいことにチャレンジしている。
そんな会社ならその敬意を込めて、このワインはいかがでしょうか。
当店取り扱い外のワイン
今回ご紹介したワインは、比較的知名度の低いものです。
このように「タッグを組んでつくる」ワインで予算に収まるものとして、当店で取り扱いのないものも少しご紹介します。
先ほどの「オーパス・ワン」にちなんで、「オーパス・ツー」や「イタリアのオーパス・ワン」と呼ばれるワイン。
それがロバート・モンダヴィとイタリア・トスカーナの「フレスコバルディ」がコラボして立ち上げた「ルーチェ」です。
そのセカンドワイン(※)に当たる「ルチェンテ」なら、4500~5000円強くらいで購入できます。
※セカンドワイン
その生産者・ブランドを代表する銘柄(ファーストラベル)のイメージを守るため、質に劣るブドウやワインをブレンドしてつくるのが「セカンドワイン」。
質が劣る理由は様々。例えばブドウの樹が植え替えのために樹齢が低い区画からつくる。熟成している樽ごとに試飲して劣るものを使うなど。
それほどつくりに差はないのに、値段は数分の1でファーストラベルより早く飲み頃が来るので、決してバカにすべきものではありません。
また、フランス・シャンパーニュ地方で最も人気のある生産者の一人「ジャック・セロス」が、イタリア・カンパーニャ州の大御所「フェウディ・ディ・サン・グレゴリオ」とタッグを組んでつくるスパークリングワイン。
それが「ドゥブル DUBL」です。白のスパークリングなら3000円強から4000円強くらい。
どちらも「どこでも手に入る」とは申しませんが、楽天などで検索すればすぐ見つかるワインです。
大切なのは相手を想う気持ち
贈り物において大事なのは、「どうやったら相手の方により喜んでもらえるだろう」という気持ち。
お金もそうですが、贈り物にあたり考え、悩み、探す時間と駆使する知恵こそ尊い。
個人的に「贈りたい」贈り物なら、思い悩むのは当たり前。
しかしビジネスのつながりだと、そうそう全ての得意先にその想いは持てないものです。
立場によっては「自分が直接お世話になっているでもないのに、めんどくさいなあ」の気持ちもあるはず。
しかし、個人も会社も単独では存在できません。取引先があって成り立つもの。いろいろなサービスを利用して、効率的に運営できるものです。
ビジネスの関係なのだから、持ちつ持たれつなのは当たり前。しかし良い取引が続くことには、感謝の心があっていいはず。
「おかげさまで」の気持ちを持つことは大切です。
お中元の手配を通して、常日頃の他社との関係を改めて認識するいい機会なのかもしれません。