ワインの選び方

夏に飲みたいフランスワイン│タイプ別の美味しい条件とその選び方

2026年6月30日

夏に飲みたいフランスワイン│タイプ別の美味しい条件とその選び方

 
フランスワインは非常に多様で、その中には夏こそ美味しく感じるものもたくさんあります。ピッタリの清涼感や軽快さを備えたものは、重苦しさとは無縁のスルスルと心地よい飲み心地です。赤ワイン、白ワインといったタイプ別に、夏向けの条件とそのワインが見つかる産地・おすすめワインをご紹介します。暑い季節もまた美味しいワインで、フランスワインの新たな魅力を再発見しましょう。
 

夏に飲みたいフランスワイン8選

 
暑い季節でも美味しく感じるワインの条件は、味わいのキレの良さやミネラル感、口当たりの軽快さなど。そんなワインが見つかりやすい産地は、タイプ別に異なります。
この章ではまず夏に飲みたいリーズナブルなおすすめワインをご紹介します。どのような条件でこのワインを選んだのか。次の章からのタイプ別の選び方を知れば、ご紹介したもの以外にも夏に美味しいワインがたくさん見つかることでしょう。
 
 

フランスらしからぬ爽やかフルーティー

 
これを造るシャトー・デ・ゼサールはソーヴィニヨン・ブランマニア。ボルドー、ロワール、ニュージーランドスタイルを造り分けていて、これがNZスタイル。フランスらしからぬ鮮やかな柑橘系フルーツのアロマ。ほんのり残糖のあるフルーティーな味わいで、思わず顔がほころぶような親しみやすい味わいです。
 
 

果実味の「少なさ」がポイント

 
あまりフルーツの風味が感じられないこのワイン。決してブドウが未熟なのではなく、サヴォワという土地の個性です。控えめな果実味の奥ゆかしさが、暑い夏の日でも押しつけがましさがなく、心地よく飲み切れます。「キュヴェ・ガストロノミー」のワイン名の通り、果実味が主張しないので幅広く料理に合わせられるワインです。
 
 

まるで白ワインのような爽やかさ

 
プロヴァンスにおけるロゼワインの造り方はほとんど白ワイン。アルコール度数が高くなりすぎないよう、ブドウはやや早摘み。果皮の色や風味はあまり抽出しません。だからこそ淡い色合いで爽やかな口当たりで、夏の強い日差しのもとで昼から飲みたくなります
 
 
 

極辛口だから最後の一口までドライ

 
スパークリングワインは全般に夏に美味しい飲み物ですが、泡が抜けてきたとき少し甘ったるくなるものも多いです。
このクラスのフランス産スパークリングとしては珍しい極辛口な味わい。グレープフルーツのような爽やかな風味とともに柑橘の皮のような苦みがあります。元気な泡感とキリっと引き締まった爽やかな風味で、蒸し暑い夏の夜を少しだけ涼やかにしてくれそうです。
 
 

「繊細な」としか言えない絶妙な口当たり

 
シュナン・ブランという品種の魅力は、その細身で繊細な口当たりにあると感じています。
「繊細な」って分かりにくい表現ですよね。どっしり重たいやパワフルの対極というのは分かる。でもそのもの自体を表していないようにも感じます。でも「繊細」としか言いようのない、軽やかでスマートな口当たりが、このワインが飲んでいて心地よく止まらなくなる理由です。
 
 

土が冷たいから風味が涼やか

 
シャトー・ル・ピュイは400年にわたって無農薬栽培を続けているという稀有な生産者。それもあってでしょうか。確かに土地の特徴がワインに現れています。この手頃なワインでも、粘土石灰質の「冷たい土壌」の雰囲気がしっかり表現されており涼やかな風味。「暑い夏にボルドーなんて・・・」という思い込みは覆されるでしょう。
 
 

スッキリワインの定番品種

 
「夏向けのスッキリとしたワインを飲みたい」と考えたとき、リースリングは基本中の基本。アルザスにはほんのり甘いリースリングもありますが、こちらはしっかりドライなタイプでほのかな苦みも感じます。リースリングらしい細身な味わいと美しい酸味が、気分をリフレッシュしてくれるでしょう
 
 

スッキリだけれど酸味やさしく

 
「スッキリなワインを飲みたいけれど、酸味が高いワインは苦手」そういう方にとって先述のリースリングはおすすめできません。そこで提案したいのがピノ・ブラン。同様の軽い口当たりながら、酸味は尖らずにまろやかな印象。みずみずしく爽やかな味わいで、料理に合わせてでもワインだけでも楽しみやすいワインです。
 
 

夏の白ワインは酸と苦みがポイント

 
白ワインについて、夏に適したフランスワインの選択肢はたくさんあります。白ワインに関しては適していないものを避けるのに加え、酸と苦みがあるものを選ぶのがポイントです。
 
 

夏の白ワインは樽香控えめに

 
「スッキリとしたワインが飲みたい」という気分と、「樽熟成による豊かな風味」はマッチしません。夏に飲む白ワインを選ぶなら、樽熟成していないもの、あるいは樽熟成していても樽香のないものを選ぶのがいいでしょう
古いオーク樽、しかも大樽で熟成すれば、樽材からくるヴァニラやココナッツの風味はワインに現れません。でもそれをスペックから判断するのは難しいです。例えば今回ご紹介したポール・ジャングランジェのピノ・ブランは、半分は樽発酵・樽熟成ですが、樽香は感じません。
 
 
判断は難しそうな印象ですが大丈夫。そもそも白ワインを標準的に樽香のつく熟成をする産地の方が少ないので、それを避ければOKです
  • ブルゴーニュのシャルドネ
  • ボルドーのソーヴィニヨン・ブラン&セミヨンのブレンド
  • ローヌの中価格帯以上
  • ジュラ
これらを避ければ、おおよそスッキリとした風味の白ワインが選べます。
 
 

フランス中~北部のワインを選ぼう

 
酸味の高いワインを選ぶには、大雑把には緯度で選べばOK。フランス中部~北部の産地ほど、スッキリとしたワインがつくられます。その上で爽やかな風味の品種をセレクトするといいでしょう。
  • アルザスのリースリングやピノ・ブラン、ミュスカ
  • ロワールのソーヴィニヨン・ブランやシュナン・ブラン
  • ブルゴーニュのアリゴテ
  • サヴォワ地方のワイン
このあたりが有力候補です。今回ご紹介した白ワインの多くもこちらから。
 
 
その上でテイスティングコメントに「苦み」が言及されているものがおすすめ。夏にビールが美味しく感じるのは、炭酸の刺激とともに適度な苦みがあるからです。ワインも質のいい適度な苦みで、余韻がもっとサッパリと感じ夏にピッタリです。
 
 

夏ロゼは製法≒色の濃さに注目

 
夏にピッタリの軽快でさっぱりとしたロゼワインを選ぶ方法は簡単。色の薄いものを選べばいいのです
 
 

ロゼワインの味わいを決める2つの製法

 
ロゼワインの造り方には、大きく分けて直接圧搾法(ダイレクトプレス)と短時間のマセレーション(セニエ法)の2つがあります。
 
直接圧搾法は、黒ブドウを白ワインのように醸造したもの。優しく搾り、ほんのり色づいた果汁だけを発酵させる方法です。タンニンはほとんど抽出されず、さっぱりとやさしい味わいになります。スッキリ系のロゼワインを造りたいときの製法なので、ブドウは赤ワイン用より早く収穫されることが多く、アルコール度数が低めでキリっとした酸味があります。
 
一方の短時間のマセレーション法は、途中まで赤ワインの製法です。黒ブドウを果皮ごとタンクに漬け込み、適度に成分が抽出されたところで液体だけを抜き取り、その果汁だけで発酵を完了させます。果皮の色からしっかり濃いピンクになり、タンニンを少し感じるしっかりとした味わいになります。必ずしもとは言いませんが、アルコール度数が高くボリューム感があることが多いです。
 
より詳しいロゼワインの製法や、おすすめロゼワインはこちらの記事に▼
 

夏は直接圧搾法のロゼがうまい

 
上記の製法と味わいの特徴から、どちらが夏向けなのかは明白でしょう。直接圧搾法です。雑味がなくスッキリとした味わいは、しっかりと冷やして飲むのに適しています。夏の乾いた喉を潤すのに最適でしょう
 
「ワインの製法を見極めるなんて難しそう・・・」
 
大丈夫です。その大まかな判断はすごく簡単。ワインの色だけです。うっすらとしたサーモンピンクのロゼワインはおおよそ直接圧搾法と思っていいのです。ロゼワインは透明なボトルに入っていることが多いので、たとえ通販であっても商品画像から容易に判断できます。
 
 

フランスで夏向けロゼが見つかる産地

 
ロゼワインはフランス各地でつくられており、夏向けのロゼはどの産地でも見つかります。しかし「ちょっと色が濃いから判断できない・・・」なんてものもたくさんあります。
そこでおすすめする産地が、ロゼの一大産地であるプロヴァンス地方のもの。ここのロゼは、基本的に早摘みしたブドウから直接圧搾法でつくられます。「これ、本当にロゼワイン?」って思うほどうっすらとしたピンクがスタンダードです。
味わいはほんのりベリーやハーブが香る爽やかなもの。この地方はヨーロッパ中からバカンスに訪れる観光地だけあり、リラックスしたいときのロゼワインにピッタリです。
 
そんなプロヴァンス・ロゼの1本が今回ご紹介したものです。
 

夏でも爽やかな赤ワインを選ぶには

 
夏場には赤ワインの消費量が少なくなります。白ワインが夏に向いている理由の裏返しです。
では夏に向かない条件に当てはまらない赤ワインならいかがでしょうか。夏に飲んでも心地よい赤ワインの選び方をご紹介します。
 
 

軽いボディ感の赤ワインはこの季節も心地よい

 
アルコール度数が低め(約13%以下)で軽めの口当たり。そしてタンニンも控えめなら、暑い季節でもスイスイ飲めるでしょう。
こんなワインを選ぶにはまず品種。最初に思い浮かぶのはピノ・ノワールで、ブルゴーニュのほかロワール地方からもいろいろ見つかります。
他には製法次第ではあるもののガメイでも軽快なワインはあります。マイナー品種ではロワールのグロローやジュラのトゥルソーにも注目です。
 
 

控えめな果実味の奥ゆかしい赤ワイン

 
よく熟したフルーツの風味は多くの人に好まれますが、夏の暑い日には少し重たく感じられるかもしれません。
では果実味が控えめなワインはどんなものか。ブルゴーニュやボルドーの若い高級ワインは、ガチガチのタンニンによりフルーツの風味が出てこないこともありますが、暑い季節に飲むワインとしては適していません。ブドウの熟度が低いワインはそもそもバランスが悪くて美味しくない。
 
そこで注目したいのが、日照量の少ない産地です。具体的にはフランスならサヴォワ地方。2000ha程度の小さな産地なので、ワインの流通も少なく、あまり知られていません。
そこのワインの風味は、有り体に言えば地味です。華やかな香りが広がるタイプではありません。でもその控えめさが、暑い季節にはちょうどいいんです。今回ご紹介したピノ・ノワールは、まさにそんなサヴォワの奥ゆかしさを表現しています。
 
 
 

「冷たい土壌」を味わう

 
ボルドー地方に「左岸」と「右岸」があるというのは、聞いたことがある方も多いでしょう。それぞれで土壌の性質が違い、適したブドウ品種が異なり、ワインのスタイルが別になるため、こう区別されます。
 
右岸の土壌といっても均一ではありませんが、銘醸地によくみられるのが粘土石灰質です。石灰質の土壌はスポンジみたいな性質を持ちます。雨が降ったときに水を吸い込むので水はけがよく、しかも保水性があるので晴れの日が続いても樹が水分不足になりにくいという、理想的な性質を持ちます。なお、栄養素には乏しいので、野菜や穀物などには向きません。
そして水を貯えることから、砂利質などの土壌に比べ温まりにくく冷めにくい性質を持ちます。ゆえにボルドー右岸は「冷たい土壌」です。だからカベルネ・ソーヴィニヨンに比べて熟すのが早いメルローに向いています。カベルネ・ソーヴィニヨンだと十分に熟さないのです。
 
今回ご紹介したシャトー・ル・ピュイのワインからは、その土壌の冷たさ、風味の涼やかさをしっかりと感じます。これはメルローが未熟であることによるピラジンの青臭さではありません。土壌を味わっているような感覚のある、素晴らしいワインです。
 
 
 

スパークリングワインは極辛口がうまい

 
白ワインは酸味の高いものを選びましたが、これをスパークリングワインに当てはめるのは難しいです。なぜならスパークリングワイン用のブドウは早摘みするので、基本的にすべて酸味が高いからです。
ゆえに夏に向いたスパークリングワインのポイントはドサージュの少なさ。甘味をほとんど感じない極辛口を選ぶことです。
 
 

スパークリングワインのドサージュ

 
スパークリングワインの大半は、仕上げの際に甘味を加えられています。その添加する工程、およびそれによる仕上がり糖度を「ドサージュ」と呼びます。
一般的に「辛口スパークリング」とされるのが、ワイン中の糖分をショ糖換算したときのグラム数で12g/L以下です。数値だと一般消費者は判断しづらいので、これを「BRUT ブリュット」と表記します。
炭酸の刺激があると甘味を感じにくい傾向にあります。そのため甘味を加えることで味わいのバランスをとっているのです。
 
ドサージュについて詳しくはこちら▼
 
 

通常よりドライなブリュットナチュレ

 
BRUTよりももっと甘味が少ない規格・表記があります。
 
  • EXTRA BRUT エキストラ・ブリュット 6g/L以下
  • BRUT NATURE ブリュット・ナチュレ 3g/L以下
 
通常のBRUTでも甘味はほとんど感じません。味わいのボリューム感として現れます。また泡が弱まってきたときには甘く感じるでしょう。
上記の極辛口なら口当たりは引き締まったシャープなもの。泡が抜けてきてもドライなままです。そのキレのよさ、スッキリ感が夏は心地よく感じます。
 
ただしドサージュは控えればいいというものではありません。ブドウの果実味が弱いのにドサージュを控えると、ペラペラな味わいのすっぱいワインになってしまいます。低価格帯に極辛口のスパークリングワインが少ないのはそのためです。
 
 
 

選び方を知って夏も快適なワイン生活を

 
夏にはワインの消費が減る、ついビールに手が伸びてしまうという人は多いでしょう。
別に好きなものを飲めばいいのです。一方で限られた時間・限られた肝臓許容量の中で、ありきたりなアルコールを摂取したくない、美味しいお酒だけを飲みたいと考える方もいるはず。
 
夏にワインを避けがちなのは、アルコールの高さもあります。水分が不足しがちな夏。アルコール12%前後のワインが濃く感じるのは否めません。
「濃く重たく感じる」というイメージは、夏の気分に合わせたワイン選びによって変えられます。アルコールの高さも一緒に水をたくさん飲むことで中和できます。
 
ワインの大きな魅力は多様性。今回ご紹介した銘柄の他にも、夏にピッタリのワインはたくさんあります。毎日違うものを飲んでも飲み切れないほどに。
夏のワイン選びを身に付けて、今日も新しいワインとの出会いを楽しみませんか?
 





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