ワインのつくり方

タイプに分けて選ぶロゼワイン 3000円以下で比べる楽しみを!

2023年5月30日

タイプに分けて選ぶロゼワイン 3000円以下で比べる楽しみを! 
 
赤ワインや白ワインは「様々なタイプがある」のが当たり前なのに、ロゼワインは「ロゼワイン」と一括りにしていませんか?
生産地やブドウ品種、つくり手が目指す味わいによって、その味わいは大きく変わります。
ロゼワインとはどんな味わいのタイプがあるのかで、3つ+αに分けてご紹介します。
季節やあなたの気分にピッタリなロゼワインは、きっと価格以上の満足を与えてくれるでしょう。
 
 

目次

不遇なワインタイプ ロゼワイン

 
Googleにおける月間検索数は、そのキーワードに対する関心の高さをある程度表していると言えます。
ワインのタイプごとに調べた検索数は次のとおり。(Mierucaというサービスを用いて2023年5月に調査した値です。)
 
赤ワイン 約24000回
白ワイン 約20000回
スパークリングワイン 約36000回
オレンジワイン 約20000回
ロゼワイン 約11000回
  
もちろんこのワードで検索した理由は、「買いたい」と「知りたい」が混在しているでしょう。しかしながら近年ようやくメジャーになってきたオレンジワインにほとんどダブルスコアで負けている。
 
売る立場として、ロゼワインに対する関心の低さは結構感じています
ワインを買おうというときに、赤・白・スパークリングワインは候補に挙がるのに、ロゼワインはあまり候補に挙がらないということです。
 
 

フランス国内 消費量の30%がロゼワイン

 
一方で世界的に見れば、ロゼワインが飲まれていないわけでは決してありません。
ワインの消費量において世界第2位(アメリカに次ぐ)であるフランス。国内で消費されるワインの30%がロゼワインであり、赤ワインよりは少ないものの、白ワインよりも多いのです。
 
野田祥子さん @sachiwines のブログから引用させていただきました。
 
 
 
別に「日本人はロゼワインをあまり飲んでない!ワインをわかってない!」なんていうつもりは欠片もありません。
フランス人がこんなに飲んでるんだから、ロゼワインって私が知ってるのよりも美味しいのがたくさんあるのかも?」って関心を持っていただきたいのです。
 
 

ロゼワインが候補に挙がらない理由①

  
「ロゼワインが嫌い」という人にはあまり会ったことがありません。「嫌いだから飲まない」という人より「あえて選ぶ理由を持たない」「あまり美味しそうなイメージがない」から買わないという人が圧倒的に多いと思います。
 
その理由の一つとして、高級ワインが圧倒的に少ないというのが挙げられるでしょう。
 
 
楽天市場で2万円以上のワインを検索すると、赤ワインなら3万件以上が表示されます。白ワインなら約7500件、スパークリングワインも約7500件です。それに対してロゼワインはわずか250件です。その中にロゼのシャンパンや、手ごろなワインの12本セット販売もたくさん含まれます。
純粋に1本2万円オーバーのロゼワインは、ほとんど日本で流通していないのです。
 
安いワインの中にも美味しいものはたくさんあります。しかし数年後にも記憶に残るような感動的なワインって、やっぱり高級なものが多いのではないでしょうか。
そんな感動するような体験の積み重ねが、「私はワインが好き」「中でも赤ワインが好み」の原動力になっていると思います。
 
 
その点でロゼワインは弱い。「価格を考えるととても美味しい」ワインは多くても、「このワインに感動した!」というほどの品質を持ったものがなかなかない。
 
それゆえワインのタイプから飲みたいものを考えたとき、ロゼワインが後回しになりがちなのです。
 
 

ロゼワインが候補に挙がらない理由②

 
同じワインを飲み続けるタイプ、毎回違うワインを飲みたいタイプ。ワインの飲み手は様々です。
さまざまなワインを飲みたいタイプの方にとって、ひょっとしてロゼワインはこんなイメージがないでしょうか。
 
ロゼワインってだいたい同じ味
 
だから何種類もロゼワインを飲むより、違いを楽しめる赤ワイン・白ワインの方を優先して飲みたいと。
 
 
実はこれ、あながち誤解とも言い切れません。ロゼワインは他のワインと比較するなら、ワインごとの違いは現れづらいところがあると考えます。
その理由にはロゼワインのつくり方も関係しています。
 
 

ロゼワインのつくり方

 
ロゼワインはすごく乱暴に言うなら色の薄い赤ワインです。
赤ワインとは黒ブドウを使う点で共通しているからです。しかしその醸造方法にはある程度違いがあります。
 
ロゼワインの大半は次の2つの方法でつくられます。
直接圧搾法
短期間のマセラシオン
 
 

直接圧搾法でつくるロゼワイン

 
直接圧搾法は黒ブドウを用いて白ワインをつくるように醸造する製法です。下の図の①です。
 
ロゼワインの製造法
 
黒ブドウを破砕・プレスしてその果汁だけで発酵させます。
熟成はステンレスタンクがほとんどで、樽熟成されるものはめったにありません
 
赤ワインでは果皮と果汁を一緒に発酵させるので、果汁に果皮の色が移ります。ロゼワインは果皮と果汁を早い段階で分けることで、色があまり移らないようにしているのです。
 
果皮の色が濃いブドウの場合、ブドウをそのまま圧搾してもほんのり色がつきます。そうしたロゼで有名なスタイルが「ホワイト・ジンファンデル」です。
甘味を残して発酵を止めるため、甘口で淡い色合いのロゼワインに仕上がります。このスタイルがかつてアメリカで大流行しました。そのためかワインの教科書には「直接圧搾法でつくられるロゼワインといえばホワイトジンファンデル」と言わんばかりに書かれています。
 
しかし実は、「直接圧搾法でつくればロゼワインは薄い色になる」というのは間違いです。
というのも、プレスの前の破砕の段階。ブドウを潰したあとに発酵が始まらない温度で保管すれば、果汁に色をしっかりと移せるからです。ロゼワインに限ってではありませんが、発酵前に果皮を漬けることを「スキンコンタクト」と言います。
 
たとえばこのワインは4時間のスキンコンタクトを行ってから直接圧搾法で醸造されます。ブドウ品種のブラウアー・ヴィルトバッハーが果皮が厚くて色素が強い品種なので、ワインの色調は結構濃いめです。
 

 
渋みのもとであるタンニンは、水分には溶けにくくアルコールには溶けやすい性質を持ちます。タンニンの多いこの品種からあまりそれを抽出しないために、果汁の段階で色素を十分抽出するのです。
 
こちらのワインは一応赤ワイン分類にしていますが、製法としては直接圧搾法のロゼワインです。
 

 
こういう赤ワインを考えると、この章の冒頭で「ロゼワインは色の薄い赤ワイン」と言った意味が納得いただけるかと思います。どれくらい色が濃ければ赤ワイン、なんて規定はありません。ロゼと赤に明確なボーダーラインはないのです。
 
 

短時間のマセラシオンでつくるロゼワイン

 
この方法でロゼワインをつくるには、発酵の途中でプレスを行います。先の図の②です。
 
アルコール発酵の終了を待たずにプレスを行うことで、色素やタンニンの抽出を止めます。その止めるタイミングで、色合いや味わいを調整できます。
その後に発酵を続けるので、辛口か甘口かはつくり手の狙い次第です。
 
 
このロゼワインの方が色合い濃く、骨格しっかりにしやすいです。でもどんなワインをつくりたいかは生産者次第。短時間のマセラシオンで淡い色の渋みがほとんどないロゼワインをつくることだって可能です。
 
 

セニエ方式とは

 
ロゼワインの製法として「セニエ方式」という記述も見られます。
これ自体は短期間のマセラシオンとやっていることは変わりません。程よく色がついたらプレスして果汁と分け、それから発酵を完了させます。
 
たとえばこちらのワインがセニエ方式と記載されます。
 

 
 
セニエとはフランス語で「血抜き」の意味。やっていることは変わりませんが、目的が異なります。もともとは赤ワインの品質を高める目的で開発されたのです。
 
 
赤ワインにおいて色合いは重要です。
近年でこそ色合いの薄い赤ワインの中にも高品質なものは少なくありません。でもひと昔前を考えるなら、赤ワインの色合いが薄いのはブドウが完熟しにくい難しいヴィンテージであったことを示しました
 
その対策としてのセニエ法です。
赤ワインの醸造中に果汁を減らしてやれば、果汁に対して果皮の割合が高まります。果皮からの色合いや風味・タンニンがより豊富に抽出され、力強い赤ワインが出来上がります。醸造法でブドウの完熟度の低さを少し補えるのです。
 
その抜き取った果汁を発酵させるのがセニエ法です。
赤ワインの副産物かのようにつくられるので、割と手ごろに提供されることが多いです。
 
 

ロゼワインのブドウは早摘み

 
ロゼワインの特徴として、基本的に通常の赤ワイン用のブドウよりも早く収穫されることです。これはロゼワインにとって酸味が非常に重要だからです。
余韻のキレがあると、ワインはスッキリとした印象になります。例外もありますが、ブドウを早めに収穫したほうが、そのスッキリな風味を出しやすいです。
 
 
流通しているロゼワインの大半は、ブドウの収穫のタイミングからしっかりと設計されています。
 
 

セニエと短時間のマセラシオンの違い

 
セニエ方式と短時間のマセラシオンを、同じロゼワインの製法として扱っている文献も多いです。私も恥ずかしながら同じものと思っていました。
 
しかし異なる点があります。先述の収穫のタイミングです。
最初からロゼワインだけをつくるつもりなら、たいていの場合赤ワインに比べて収穫のタイミングを早くします。
それに対して「赤ワインの副産物」としてのセニエ方式の場合は、赤ワインのタイミングで収穫されます。ブドウの熟度、糖度と酸度のバランスが異なるのです。
 
ただし、収穫のタイミングの違いは必ずしも品質の優劣に直結しないことは付け加えておきます。
 
 

黒ブドウと白ブドウをブレンドする

 
黒ブドウ100%で醸造するのではなく、白ブドウをある程度の割合で混ぜることで、赤ワインより色合いを薄くする
そうした製法でつくられるロゼワインもあります。
 
 
しかしこれにおいてもやっていることは直接圧搾法か短期間のマセラシオンのどちらかです。
それによりロゼに白ワインっぽい風味が加わることもあります。
 
この方法が原産地呼称のルールによってできない場合もあります。
 
 

赤ワインと白ワインをブレンドする

 
出来上がった赤ワインと白ワインを混ぜればロゼワインの色にはなります。しかしこの方法でロゼワインをつくっているところはほとんどありません。
例外はシャンパーニュ地方瓶内2次発酵前のベースワインをブレンドする際に、白ワインと赤ワインをブレンドしてロゼワインとして、それをシャンパンにすることもあります
 
白の原酒は白のシャンパンにも使えます。だから最初からロゼワインの原酒をつくるのに比べ、需要に応えて生産比率を調整しやすいというメリットがあるようです。
 
こちらはブレンド法でつくられるロゼ・シャンパン

 
 
一方でセニエ法により最初からロゼワインをつくり、それをシャンパンにする製法も少なからずとられています。実質は短期間のマセラシオンですね。
「Rose de Saignee ロゼ ド セニエ」と書かれているシャンパンはちらほら見かけます。
 

 
 

ロゼワインの製法は重要ではない!?

 
ここまでロゼワインの製法をいくつか紹介してきましたが、ワインを仕事にしている方以外は覚えなくていいと私は考えます。というのも、あまりワイン選びの参考にならないからです。
 
直接圧搾法か短期間のマセラシオンかで、味わいの方向性が決定的に変わることはありません
そしてワイン自体に製法に関する情報がないことが多いため、ワイン選びの指標にできないのです。
 
逆説的ですが「製法が選び方の指標にならないから、わざわざ記載することは少ない」のかもしれません。
  
ではロゼワインはなにで味が決まるのかというと、産地とつくり手の目指す方向性であると考えます。
 
 

ロゼワインの味わいを分ける要素

 
生産者によってワインの味が違うのは当然。でもそれだけでは、つくり手一人ひとりを知らないとワインを選べない。飲んでみるまでわからないになってしまいます
安心してください。ロゼワインはそうではありません
 
つくり手の意思は確かにあり、ワインの味わいに影響を与えています。しかしその方向性にはおおまかな地域性があるのです。
 
 

産地が決めるもの

 
産地によって大雑把に気候は決まります。標高や山との位置関係などの細かな要因で微気候は生まれますが、それでも傾向というものはあります。
 
 
気候が決まればそれに適したブドウ品種も絞られます。ブドウ品種が同じなら、ワインの風味も似ていて当然です。
 
主なマーケットも味わいに影響します。その消費国の好みに寄せる傾向があるのです。それは物理的な距離や国際関係によるもので、簡単には変わりません。
国内消費が多いかどうかも大切。人口の少ないオーストラリアやニュージーランド、チリなどはまず輸出を考えます。でもフランスやドイツなどの国では、ワイナリーの生産規模が小さければ地元消費用だけで十分売り切ることができるのです。
 
産地の気候要因だけではワインの方向性をそう大きくは左右しません。しかし産地に付随するいくつかの要素をあわせると、ワインの方向性は結構定まります
 
 

醸造と価格がロゼワイン味わいを似せる

 
上記のことは赤ワインや白ワインにも言えますが、ロゼワインこそ影響が現れやすい理由があります
 
先述のようにロゼワインは樽熟成されることがほぼありません。ゆえに製法で味わいを左右する要素が少ないのです。
 
 
それからロゼワインの価格の幅が狭いこと。ロゼワインの価格3000円以下に集中しています。
 
同じような価格のワインを同じようにつくる。ワインの味わいが似てくるのも当然です。
 
 

味わいを左右するのは収穫時期

 
ブドウの果皮との接触時間が短いロゼワイン。
味わいの決め手となるのは、果実感と酸味のバランスでしょう。
 
 
酸味穏やかで凝縮した果実感を持つ飲みごたえのあるロゼワインなのか。
フレッシュな酸味を持つ軽い口当たりのロゼワインなのか。
 
製法が関係ないわけではありませんが、最重要なのはブドウの熟度。どの状態を『完熟』と判断するかです
 
 
どんな生産者でも「ブドウが完熟したタイミングで収穫する」と言いますが、その「完熟」の定義は生産者により異なります。
しかしバラバラというわけではありません。産地ごとの主な市場と目指すワインの方向性などで傾向はあるのです。
 
 

気候とワインの酸味

 
ワインの酸味を大きく左右するのは、成熟期の夜間の気温だという話を聞きます。
最低気温が高いと酸味は低くなります。昼間暑くても夜冷える地域では、糖度も酸度も高いブドウが得られます。
 
酸味を下げたければ収穫を遅くすればいい。でも限度があります。秋になって気温が下がってくると成熟もなかなか進みません。だから寒い地方で酸味穏やかなぽってりとしたワインをつくろうとしても、そううまくはいきません。
フレッシュな酸味のあるワインをつくりたければ、早く収穫すればいい。でもやりすぎは厳禁。早く摘みすぎると未成熟な青臭い風味がワインに出てしまいます。だから温暖な地域でキリッキリのワインを目指すのは無謀です。
 
 
だからロゼワインの味わいにつくり手の目指す方向性が現れるとはいえ、極端なものにはならないのです。
 
 

ロゼワインにまつわる大きな誤解

 
どうもロゼワインをあまり飲まない人の間には、こんな誤解もあるようです。
 
 

誤解です!「ロゼワインは甘口」

 
日本におけるワイン市場の黎明期。ロゼワインは甘口のものが主に輸入されていたそうです。
 
こちらの記事によればフランス産とのことなので、ロワールの「ロゼ・ダンジュー」などだったのでしょうか。
 
ポルトガルワインの「マテウス」などもそのイメージに一役かっていそうです。
 
 
これらを戦犯扱いするつもりはありません。甘口のワインは入口としては優れていますから。
何十年前からイメージをアップデートできていないところに、販売者・消費者ともに反省すべき点があると思います。
 
 

誤解です!「ロゼワインは女の子が飲むもの」

 
ロゼワインがピンク。ピンクが似合うのは女の子
そんな固定概念でしょうか。ちょっと理解できません。
 
ピンクの紅ショウガを牛丼にのっけて食べている人口は、圧倒的に男性が多いでしょう。
 
 
男性がロゼワインを飲むことに違和感を感じる人。いないとは言い切れませんが、相手にする必要はないでしょう。
 
 

誤解です!「ロゼワインは春にだけ飲むもの」

 
日本で春は桜の季節です。桜の木だけでなく販売店の装いもピンクに染まります。
 
 
それに乗っかるようにしてピンクのロゼワインのプロモーションが盛んにおこなわれます。
つられて買った人の中には、春以外の時期にロゼワインが選択肢に挙がりにくくなるかもしれません。
 
もったいない。ロゼワインは1年中美味しいです。
 
 

味わいのタイプ別おすすめロゼワイン

 
上記の要素をもとに、ロゼワインのそれぞれのタイプで特徴のあらわれたものをピックアップしてみました。
やはり「冷涼産地はスッキリさわやかなロゼ、温暖産地はまったり飲みごたえのあるロゼ」という傾向です。
その中で生産規模の大きなワイナリーは、消費者の好みの真ん中を狙いにきているなと感じます。
 
ブドウ品種はバラバラです。その品種特性は香りの種類には現れするものもありますが、味わいのバランスは「この品種だから」では語れないでしょう。
 
 

高級ワインのつくり手の味がこの価格で!

辛口 スッキリ

 
パーカーポイント100点を連発する生産者なので、彼がつくるワインは基本的に高級品。ピノ・ノワールでも赤ワインなら6000円以上。それがロゼワインならこの価格で楽しめるのがうれしい!モーゼルらしく透明感があり上品でキリっとした味わいです。
 
KATAYAMA
冷涼産地であるモーゼル。温暖化が進んできたとはいえ、ピノ・ノワールの成熟が上手くいかないことも少なからずあるでしょう。 赤ワインにしたら品質が低くなってしまうが、ロゼワインならつくれる。そんなブドウもたくさんあるはずで、いい受け皿となっているからこそのこの価格だと考えます。
 
 

ボトル形状と味わいは一致していません!

ほぼ辛口 ややスッキリ

 
酸味は抑えめでフルーツ感がグイグイ前に出てくるのが、ファンティーニの赤ワインのスタイル。でもこの「カラレンタ」シリーズはちょっと雰囲気が違う。フルーツ感はそのままに、スッキリスマートな味わいで、ぽってりとしたボトルとは雰囲気が違います!
 
KATAYAMA
ファンティーニ社得意の低温長時間発酵で引き出されたフルーツ感。ちょっとメルローという品種は想像できないです。 ボルドーでよくつくられるメルローのロゼとは、風味の明るさが全く異なります。アブルッツォの恵まれた気候ゆえでしょう。
 
 

価格に対する果実味の濃さがちょっとおかしい!

辛口 しっかり

 
5万円オーバーのワインまで幅広くラインナップする入り口となる1本なので、手ごろだからといって全く手を抜いていません。大量の販売ノルマがあるのか輸入元さんの企業努力もあり、このバグったような値段なんです。瓶のデザインにも注目!
 
KATAYAMA
瓶底からライトを当ててみてください。らせん模様の美しいデザインが浮かび上がります。この瓶をロゼにだけ採用しているのはなぜか。 推測するしかありませんが、原料コストが赤や白より安いのでは?それでこんな美味しいワインがつくれるとしたら、ロゼワインって優れてますよね。
 
 

ちょっと変わっているのに飽きずに毎日飲める!

ほぼ辛口 ややしっかり

 
ローヌ品種をベースにイタリア系白ブドウというブレンドのロゼは、ほかに見たことがない。しっかりとした味わいながら、柑橘っぽさもある特徴的な風味。なのに毎日飲める飽きない味わいなのは、「デコイ」がそういうコンセプトのワインだからでしょう。
 
KATAYAMA
ある程度の規模のワイナリーになると、将来のために実験的に他国のブドウ品種を植えていることがよくあります。ダックホーンにしても、まだ単一品種で製品化できる段階ではないのでしょう。実験品種の受け皿的な役割なのかもしれませんが、美味しいからイイ!
 
 

毎年表情が違うから追いかけたくなる!

辛口 果実味まろやか

 
雨の多い地域だからでしょうか。黒ブドウを使うチャコリ・ロゼはヴィンテージ差が割とあり、日本に来てからの期間でも風味を変えるように感じます。2022年の味わいについて、果実感は熟したニュアンスが強いのに重みは感じず、適度な酸味とちょうどいいバランスをとっています。今回ご紹介するロゼではちょうど真ん中くらい。
 
 
KATAYAMA
以前2019年ヴィンテージを飲んだ時は、もっと軽やかでスッキリ。冷涼産地系の味わいでした。ブドウの成熟度で味わいが大きく変わることを実感できたいい例。同じ生産者の白ワインの方が安定している印象です。
 
 

低アルコールを感じさせないバランス感

辛口 とても軽やか

 
脱アルコール処理をしたワインと通常のワインをブレンドし、アルコール度数が9%になるように調整されたロゼ。なのに人工的なニュアンスを全く感じず、軽やかなロゼワインとして違和感なく楽しめちゃう!だから昼飲みにピッタリなんです。
 
 

甘酸っぱいジュース感に思わず頬がほころぶ♪

甘口 しっかり&スッキリ

 
酸味を豊富に持つブドウを甘味を残して醸造した微発泡ワイン。甘さがボディ感を補強するので、飲みごたえがありつつ余韻はスッキリ。赤いフルーツの風味があふれるちょっと反則的なロゼ。ワイン通の方は普段選ばないタイプでしょうが、たまに飲むといいですよ!
 
 

安くてハズレにくいロゼワイン

 
本記事で考察したように、ロゼワインは赤ワイン・白ワインに比べてワインごとの個性がハッキリ出にくい理由があります。
だからこそでしょうか。同価格で比較したとき、赤ワイン・白ワインに比べて「ハズレ」と言いたくなるようなものも少ないように感じます。
 
完璧なワインなどおおよそありません。
「もうちょっと口当たりのとげとげしさがなかったらいいのに・・・」
「少し水っぽいなぁ」
「余韻がそれほど長くないから、ちょっと価格に見合わない」
悪いところを探せば何かしらはあるものです。
 
ロゼワインはそれがあまり目立たない。ネガティヴに感じない。あっても価格を考慮すると許せてしまうケースが多い。
そう感じています。
 
 
頑張ったご褒美として飲むワインなら、ロゼワインは物足りないかもしれません。
しかし日常のワインとして飲むなら、ロゼを選ばない理由はない
 
「ロゼワイン」とひとくくりにするのではなく、「今日はこんなロゼワインを飲もう」とタイプで選んで楽しむ。
そのガイドとして役立てていただけると嬉しいです。





※投稿に記載しているワインのヴィンテージ・価格は執筆時のものです。現在販売しているものと異なる場合があります。
購入の際は必ず商品ページにてご確認ください。




YouTubeバナー

-ワインのつくり方
-, , ,