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ナパと比べて感じる魅力!パソ・ロブレスのカベルネ・ソーヴィニヨン

2024年3月25日

ナパと比べて感じる魅力!パソ・ロブレスのカベルネ・ソーヴィニヨン 
 
ナパ・ヴァレーの代替ではなく違いを楽しむ産地として、パソ・ロブレスに注目してみましょう。
カベルネ・ソーヴィニヨンの味わいは、気候と土壌ゆえにタンニンに違いが現れます。
ワインの渋味には強弱だけでなく質に違いがあることを、比べて飲めば感じ取ることができます。
高級ワインも徐々に増えてきた今注目の産地を、ワインの使い分けとともにご紹介します。
 
 

パソ・ロブレスの特徴とは

 
パソ・ロブレスは、近年3万円を超える高級ワインが現れはじめた産地です。ただしブランド産地としては発展途上。その認知拡大に消費者のみなさまの力を借りたいのが現状です。
 
ナパ・ヴァレーのカベルネ・ソーヴィニヨンは高騰を続けています。その後釜となる狙いも一部の生産者やインポーターにはあるかもしれませんが、私はそれは違うと考えます。
ナパ・ヴァレーの代替ではない、別の特徴と魅力を持つ産地としてご紹介します。
 
 

パソ・ロブレスの位置

 
パソ・ロブレスはカリフォルニアのセントラル・コースト、サン・ルイ・オビスポカウンティ内にあります。セントラル・コーストではやや南よりで、サンタ・バーバラよりは北側。
カリフォルニアの気候はほぼ全域で海からの距離がカギになります。冷たい空気を運ぶ海に近いほど冷涼。遠いと高温。これが立地の南北より強く影響します。
パソ・ロブレスは海岸山脈を挟んで少し内陸部にあるので、特別涼しい産地ではありません
 
 
東西の位置は降水量にも影響します。
山間部の多いところで年間降水量は750-1000mm。ワイン産地としてやや多め。しかしパソ・ロブレス東部の少ないところでは180-250mmとかなり乾燥しています。灌漑(水やり)をしなければ樹は枯れてしまうでしょう。
 
パソ・ロブレスというエリアの面積は約24万ha。そのうちブドウ畑として使われているのは約1.7万haです。広さはイメージしづらいでしょうが、栽培面積は食用ブドウも含めた日本全国のブドウ畑の面積と同じくらいです。
 
 

昼夜の寒暖差の大きさが気候の特徴

 
パソ・ロブレスは地中海性気候です。夏に乾燥しており雨は冬場にまとめて降ります。カビの病害が広がるリスクが低く、ブドウは毎年健全に熟します。イタリアなどと同じ、ブドウ栽培に非常に適した環境と言えるでしょう。
 
 
なによりパソ・ロブレスの気候における大きな特徴が寒暖差です。
カリフォルニアワイン協会のセミナー資料によると、昼と夜の気温の差は20~30℃もあるのだとか。極端な例だと、日中の気温が40℃なのに、朝は10℃まで下がるということ。人間にとってはかなり厳しい環境です。
 
この気候がパソ・ロブレスのワインに豊かな酸味を与えます
 

夜間の低い気温が酸味を保つ

ブドウは生育期にどんどん甘くなるとともに、リンゴ酸を分解して酸っぱさが和らぎます。それは24時間均一に進むのではありません。ある一定の気温を下回ると糖度の蓄積がストップします。
夜間気温が低い地域では、昼はブドウが熟し夜は酸の分解がストップします。結果として糖度も酸度も高いブドウができます。昼夜の寒暖差が重要と言われるのはこのためです。

 
 

石灰質の分布が土壌のカギ

 
パソ・ロブレスの土壌には全域に石灰質が見られます。表土から白っぽいさらさらの土のところから、地中深くにあるところまで組成は様々。ですがほぼ全域で何かしらみられるそうです。
 
石灰質の土壌は「水はけがよく保水性が高い」というなんとも都合のいい性質を持ちます。
まるでスポンジのようなもので、雨が降ったときにすぐに地面に水が吸い込まれます。だから樹の根が水に漬かった状態にならず、ブドウが必要以上の水分を吸収することはありません。
一方でその石・岩の中に多くの水分を蓄えることができます。樹はそこに根を伸ばせば雨が降らない期間も継続的に水を得られます。
 
 
フランスのブルゴーニュ地方やシャンパーニュ地方、ボルドー地方のサン・テミリオン地区、イタリアのピエモンテ州、スペインのリオハなど。これらの大部分あるいは一部に石灰質土壌がみられます。ある意味「エリート産地」であることの証なのです。
 
 

パソ・ロブレスのブドウ品種

 
パソ・ロブレスという産地を知るには、とにもかくにもカベルネ・ソーヴィニヨンです。資料によるとカベルネ・ソーヴィニヨンの栽培面積はパソ・ロブレス全体の52%。2位のメルロー7%に圧倒的な差をつけて、最重要品種です。
 

カリフォルニアワイン協会 セミナー資料より

 
他のブドウ品種がイマイチとは申しません。ジンファンデルやローヌ系品種にも高品質なものは多いです。でもそれは最初じゃなくていい。カベルネ・ソーヴィニヨンという品種を苦手としないのであれば、まずはこの品種のワインを他の産地と比較して、パソ・ロブレスの特徴をつかみましょう。
 
 

ナパ・ヴァレーのカベルネと比較する

 
ナパ・ヴァレー、パソ・ロブレスそれぞれのカベルネである程度典型的なものとして、この2本を試飲しました。
 
 
 
ナパ・ヴァレーに関しては、4000~8000円程度の低価格帯カベルネ・ソーヴィニヨンとして比較します。
この2つを比較しながら、2つの産地の傾向を説明します。
 
 

外観の違い

 
まず外観から違います。
 
 
残念ながら写真で見くらべてわかるほどではないのですが、実際に2つのグラスを並べるとパソ・ロブレスの方が赤みがかった明るい色調です。これは色素の抽出について醸造家の意図が大きいので、あまり産地は関係ないかもしれません。
それだけでなくディスクの輝き、ワイン表面がいかに光を反射するかにも違いがあります。パソ・ロブレスの方が輝いています。これはワインの酸度が高いことを意味しています。
 
 

香りの質に違いあり

 
ナパ・ヴァレーの方からはローストしたニュアンスを伴う香ばしいヴァニラの香りをまず強く感じます。その奥に赤や黒のベリー系の果実味。クッキーのようなニュアンスもあります。香りのボリューム自体は、価格差の分だけといいますか、こちらの方が優れます。
それに対してパソ・ロブレスはもっとフルーツ主体です。赤い大粒のベリーやチェリーの甘酸っぱい香り。甘酸っぱいと言っても香りの甘さではナパ・ヴァレーより控えめで、明確な樽香は感じません。
 
 
パソ・ロブレスに関して、樽香の控えめさはこの「フォー・ヴァインズ」の特徴です。しかし香りに感じる甘いニュアンスで比べたとき、おおよそのワインでパソ・ロブレスの方が控えめ。よりフレッシュなフルーツ感を持つ引き締まった香りに感じます。
 
 

アルコール・酸味と渋味の強さを比較

 
飲み比べたヴィンテージにおいて、2019年のこのナパ・ヴァレーのワインは14.7%。標準的かやや高めです。
それに対して2021年のこのパソ・ロブレスは13.5%。これは意図的に早めに収穫してアルコール度数を抑えていると考えられます。だから口当たりは少し軽やか。
一方でパソ・ロブレスでも15%に達するような高いアルコール度数のワインはあります。
 
 
一般に同じくらいのアルコール度数のワインを比較したとしても、この価格帯ならパソ・ロブレスの方が酸味が高い傾向にあります酸味が高いと渋味を強く感じる傾向にあります。全体的にはパソ・ロブレスの方が強く渋味を感じることが多いでしょう。
 
このフォー・ヴァインズに関しては、味わいをやさしく造ろうとしていると思われます。2つを比べるとフォー・ヴァインズの方がやや渋味穏やかです。
 
 

タンニンの質を比較する

 
ぜひ注目してほしいのが、タンニンの強さだけでなく、その質です
 
ナパ・ヴァレーの方は熟した丸みのあるタンニンを持ちます。だから口に含んだ瞬間は重量感やなめらかさだけで、あまり渋いとは感じません。しかし口にワインを含んだまま咀嚼してみてください。カムカムしていると急に強く渋味を感じます。頬っぺたの方が引っ張られるような感じを受け、乾いたような質感で余韻が終わります。
 
それに対してパソ・ロブレスの方はそのまま舌や口蓋にタンニンの刺激があります。少し感じ方がシャープで粗削りです。良く言えばフレッシュで清涼感のあるタンニン。ただし総量自体はフォー・ヴァインズの方が少ないので、咀嚼したときは口全体をまんべんなく適度に刺激します。ナパ・ヴァレーよりは弱く感じます。
 
同じ石灰質土壌として、ボルドーのサン・テミリオン地区のワインを思い浮かべてもらうと、共通点を見出せると思います。
 
 
この銘柄に限らず、低価格帯のナパ・ヴァレーとパソ・ロブレス産カベルネを比較すると、上記に近いような差異を感じます。
風味の傾向に違いがあるので、パソ・ロブレスはナパ・ヴァレーの下位互換ではありません。別の特徴を持つ産地として、好みや飲み方に合わせて選ぶべきなのです。
 
 

パソ・ロブレスのカベルネ・ソーヴィニヨンおすすめ5選

 
当店で扱っているワインの中では、およそ4000円くらいを境にある傾向があります。
先ほど述べた少しシャープなパソ・ロブレスらしいタンニン。手頃なワインにはそれをあまり感じません。同価格帯の「California」広域表記のものと比べたとき、少しだけ酸味とタンニンが豊富な傾向でしょうか。
 
それに対して4000円を超えたあたりからは、しっかりパソ・ロブレスらしさを表現する傾向にあります。シャキっとしたタンニンが全体を引き締める印象が強くなります。ナパ・ヴァレー産も購入できる価格帯なので、その違いをアピールできるようにという生産者の意図でしょう。
 
タンニンに注目しておすすめ銘柄をご紹介します。
 
 

手頃な価格と親しみやすさを求めるならこの2本

 
3000円台前半のこの2本。パソ・ロブレスはそんなにワインが安い産地ではなく、これでも低価格帯に当たります。
 
 
 
普及価格帯だからでしょうか。どちらもタンニンは多くないうえに、樽熟成によってしっかりこなれた丸い印象に仕上げられています。だから渋味が得意でない方にとっても比較的親しみやすい味わいです。
 
その上でファブリストの方は、少し変わった補助品種のブレンドによってスパイス感や複雑味で優ります。少し野性的。
大してリバティースクールの方は優等生。「California」広域のものとの違いを、私は説明できません。適度に甘い樽香とこの地の中では穏やかな酸味を持ちます。
 
 

味わいの「メリハリ」は産地の特徴

 
ただ果実味が強いだけではない、酸味・渋味も豊富でパワフルな味わい。それを4000円以下で実現しているこのワインは優秀。先の2本より一段階濃密で、メリハリのある味わいです。
 
 
タンニンは豊富なのですが、アメリカンオークも併用した熟成ゆえでしょうか。甘い樽香は強めでシャープさはあまりありません。
 
 

ナパ・ヴァレーからの移籍組

 
前述のとおり近年ナパ・ヴァレー産ワインの価格は高騰しています。それゆえ「手頃なナパ・ヴァレー産カベルネ・ソーヴィニヨン」と位置付けられてきた人気ワインが、そのままでは継続できない事態が発生。通常なら値上げで対応するのですが、あまりに価格が変わると「手頃な」というコンセプト自体が崩れてしまいます。
そこでブドウの産地自体を変えてしまい、値段をキープするケースがいくつか見られます。そうしてパソ・ロブレスへと変わったワインが次の2つです。
 
 
 
テキストブックはナパ・ヴァレー産のときも、それほど樽の甘い香りを強調しないつくりでした。産地変更にともないタンニンの質はシャープな印象に変わりましたが、しっかり酸味のあるエレガントなスタイルは変わりません
 
それに対してポストマークは大きく変わった印象です。丸みのあるジューシーな果実味と穏やかなタンニンの印象でしたが、果実味はもっとフレッシュで、味わいはスレンダーな印象に変わりました。タンニンはこの産地としては控えめです。
 
 

スリムながらも豪華な味わい

 
先ほど手頃なパソ・ロブレスとしてご紹介したリバティー・スクール。その上級にあたるこのワインは、しっかりパソ・ロブレスの特徴を表現しています。
 
 
香りの複雑さは1段も2段も上。それでいて甘い印象はむしろ控えめで、タイトな印象を受けます。果実の熟度の高さは感じさせながらも、硬質なタンニンはしっかり口全体を刺激します
この価格ながらパーティー用というよりは、私なら1人で4、5日に分けて変化を楽しみながら飲みたいです。
 
 

パソ・ロブレスの他品種 おすすめワイン

 
パソ・ロブレスという産地に初めて注目して飲むならまずカベルネ・ソーヴィニヨンです。それに続いて飲むとしたら、他の品種にトライするのもいいでしょう。
 
 

甘濃いだけじゃないジンファンデル

 
カリフォルニアのジンファンデルといえば、イチゴジャムのような甘くて濃密な果実味があり、渋味や酸味が低くフルーティーなワイン。2000円前後の普及価格帯ならその認識も間違いではありません。
ファブリストがつくるこのワインは、どちらかというとそのスタイルの延長線上。
 
 
渋味はまったり穏やかで、パソ・ロブレスの特徴として挙げたタンニンはあまり感じません。
 
しかし1つ、2つ上のクラスとなると、全く別のスタイルになることもあります。
このフォー・ヴァインズやピーチーキャニオンはある程度豊かな酸味を持ちます。タンニンはカベルネ・ソーヴィニヨンなどに比べると穏やかですが、酸味の高さゆえに高アルコールによる重量感が軽減されています。
 
 
 
 

寒暖差ゆえにつくれる低アルのフラン

 
カリフォルニアの赤ワインといえばアルコール14%超えが珍しくありませんが、こちらは逆にあえて低アルコールに抑えてつくられたワイン。執筆時最新の2021VTは12.5%とちょっと低いくらいですが、2018VTなどはなんと11.7%!
 
 
アルコールの低さは口当たりの軽やかさにつながります。好きか嫌いかは個人の嗜好ですが、他のワインと味わいの違いは明白なので飲み比べる面白さは抜群です。
ただしボルドー品種であるカベルネ・フランは、下手に早摘みしすぎるとピーマンやミントの青臭い風味が強くなりすぎます。昼夜の寒暖差が大きいパソ・ロブレスだから、ゆっくりと成熟することでこの糖度の時点で風味が熟しているのでしょう。
 
パソ・ロブレスらしいと断言はできませんが、この地の気候だからできるワインではあるのでしょう。
 
 

パソ・ロブレスのカベルネを選ぶべきシーン

 
産地としては明確にナパ・ヴァレーの方がブランド価値があります。ですのでプレゼントで選ぶならネームバリューがあった方がいい。
一方で自分で飲むのでしたら、味の好み以外にもパソ・ロブレスを選ぶべき理由があります。
 
 

ステーキとの相性で比較する

 
例えば肉料理との相性。「肉には赤ワイン」のイメージどおり、カベルネ・ソーヴィニヨンと牛肉の相性はやはり秀逸です。しかしタンニンの質が違えば、きっと相性のいい牛肉の部位や食べ方も違ってくるはず。
今回は輸入の赤身肉をステーキにして、塩とバーベキューソースをつけて食べる際の相性を検証しました。300円/100gくらいの、いわゆる「ローストビーフ用」牛肉で、結構噛み応えがあるものです。日常のなかのちょっとした贅沢として手の届くレベルでしょう。
 
 
フライパンとオーブンレンジでしっかりプルプルのミディアムレアに仕上げました。割と理想的に火を通せたのに、それでもかなり硬い肉でした。
 
結果としてパソ・ロブレスの圧勝!というよりナパ・ヴァレーの相性がイマイチでした。
塩で食べた場合、ブラックスミスの樽感がやや焦げ臭い不快な風味として広がります。少し苦みも感じました。バーベキューソースをつけたときは少し和らぎましたが、それでも「これなら合わせない方がいい」というもの。
 
対してパソ・ロブレスも、「マリアージュ」とは言えません。塩・バーベキューソースともにモグモグしている最中にワインを飲んでも、ゴックンしてからワインを飲んでもまずまず美味しいです。後口をさっぱりさせてくれるので、ついもう一口食べたくなります。ただ、ステーキによってワインが美味しく感じるほどではない。
 
もしナパ・ヴァレーのカベルネ・ソーヴィニヨンなら、もう少し脂がのっている部位をあわせるか、ランクの高い牛肉を合わせるべきなのかもしれません。
 
 

季節で選ぶナパとパソ・ロブレス

 
ナパ・カベの樽感に支えられたベルベットのような質感。個人的にはその特徴は寒い時期こそ美味しく感じます。冬になると濃くて滑らかなものが食べたくなりませんか?酸味が強い物は避けがちではありませんか?その理由です。
 
 
一方でパソ・ロブレスの方がより季節を問わず楽しめます。比較すると高い酸味と青さのない明るいフルーツ感は、蒸し暑い時期でも気分をさわやかにしてくれるでしょう。といっても酸っぱいわけではありません。果実の凝縮感が高いから、酸が尖って感じることはないので冬でも大丈夫。
 
普段からナパ・カベが好きだけど、夏場は消費量が減る。別に好きな白ワインがあるならそれを飲めばいいのですが、夏だけでもパソ・ロブレスに切り替えるというのも選択肢に入れていいでしょう。
 
 

味わいの持続性で選ぶ

 
ワインは開けてからも味わいが変化します。開けてすぐ美味しいワインの中には、2日目・3日目となると味わいのバランスが崩れてくるものもあります。
先述のワインをあえて酸化対策をせずにワインセラーで保管したところ、3日目までの持続性はパソ・ロブレスに軍配が上がりました
 
今回検証したブラックスミスは、このクラスとしては酸味も渋味もやや強めです。それでも3日目には香りに甘い印象が増し、べったたり平坦な印象になりつつありました。もう少し渋味の穏やかなナパ・カベだとなおさらでしょう。開けたてのバランスがベストだとすると、どうしても3日目の味わいは劣ります。
渋味がとことん苦手な方ならこっちの方が好きでしょうが、おそらく大多数の人にとっては「開けたてのほうが美味しかった」。タンニンが穏やかになるだけ、甘いニュアンスが強くなりすぎるのです。
 
その点、パソ・ロブレスの方が優秀でした。
酸味が豊かなためか、3日目になっても味の変化が小さいのです。ナパ・ヴァレーに比べると甘い風味はそれほど強く出てきません。少し香りがシンプルに物足りなくなり渋味も穏やかにはなるのですが、大きくバランスが崩れることはありませんでした。
あまり最初と変わらない雰囲気のまま、最後まで美味しく飲めるでしょう
 
自宅で何日にも分けて飲むなら、最後の一口まで美味しいのはパソ・ロブレスの方かもしれません。
 
 

ワインを使い分ける楽しさを

 
ワインは一つに定まった点数基準に則って評価するもではありません。ナパ・ヴァレーのようにブランド力があって高価なワインは確かに美味しいです。でもだからといって知名度の低い産地のものが必ずしも劣るわけではない。単に"まだ"知れ渡ってないだけのところもあります。
 
確かなことは産地が違えばワインの典型的なスタイルは変わるということ。そしてそのスタイルに適したシーン、飲み方を見つけたならば、少々の味の好みを飛び越えて高い満足感を与えてくれることです。
 
 
これほど無数にあるワイン。気に入った産地・気に入った銘柄数10本だけの狭い世界で楽しんで死んでいくのはもったいない。
有限の時間の中で飲める本数は限られています。だったらなるべくいろいろなワインを飲んで、それを気分やシーンで使い分けたい。その方がワインを飲み物ではなく娯楽として楽しむことにつながるでしょう。





※投稿に記載しているワインのヴィンテージ・価格は執筆時のものです。現在販売しているものと異なる場合があります。
購入の際は必ず商品ページにてご確認ください。




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