《約4000円ナパ・カベの味わい》
2022年秋現在、ナパ・ヴァレー産カベルネ・ソーヴィニヨンの相場は、スタンダードクラスの市販価格がおよそ4000円くらい。3000円台半ばからいろいろな銘柄が選べるようになり、5000円くらいまでの間にかなりの種類の銘柄がリリースされています。
多くの銘柄が、一口目のインパクトを狙って強くしています。ブドウの熟度を上げて果実爆弾のようになった風味を、新樽熟成のバニラ香が包む。その甘濃いインパクトと、親しみやすさを狙った低い酸味とタンニン。どの銘柄を買ってもだいたいこんな味わいが楽しめる安心感があります。
その一方で、余韻はほとんどのワインで短い。4000円前後というのは、ナパでカベルネをつくるにあたりコスト面でギリギリ。ブドウはあまり質の高いものを使っていないのでしょう。アタックは誤魔化せても、余韻はごまかせないということかと。
その中で一段階長い余韻を味わえるのが、この「ブラックスミス CLRT」です。「CLRT」とは「クラレット」の頭文字。かつてボルドーの赤ワインがクラレットと呼ばれた時代がありました。
とはいえこのワインの味わいはまごうことなきナパ・カベ。しっかり力強い味わいです。
《生産者について》
創業者はマット・スミス。ボーリューヴィンヤーズで研修したり、ダッシュ・セラーズで働いたりと経験を積んで、2013年に自らのワイナリーをスタートしました。ラインナップはカベルネ・ソーヴィニヨンを中心にメルロー、ジンファンデル、シャルドネなど。産地を限定したワインを多くつくっているのと、ラインナップが全体的に割安なのが特徴です。
《テイスティングノート》
ブラックベリーやブラックチェリーのよく熟したベリーの果実香。そこにしっかり樽香が乗っかるのは、ナパ・カベの特徴どおり。甘濃いニュアンスはこのクラスのワインとしては控えめで、しっかりと全体を引き締める酸味と渋味を感じます。香ばしいローストの風味が鼻を抜けていき、スタンダードクラスのワインとしては余韻が非常に長く舌にとどまります。
Blacksmith Napa Valley Cabernet Sauvignon