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約4000円のナパ・ヴァレー産カベルネ・ソーヴィニヨンとその対抗馬 おすすめ12選

2023年11月25日

約4000円のナパ・ヴァレー産カベルネ・ソーヴィニヨンとその対抗馬 おすすめ12選
 
 
手が出なくなってしまったお気に入りワインの代わりに、約4000円で楽しめるカベルネをどう選びますか?
4,000円くらいで購入できるナパ・カベはまだありますが、同時に他の産地で似た味わいのものも検討したい。
人気ワインのその理由を考察し、その味わいに近いおすすめ銘柄をご紹介します。
リーズナブルなナパ・カベ好きに贈るとっておきのセレクトから、新たなお気に入りを見つけませんか?
 
 

昨今のワインの値上げ事情

 
もともと輸入品であるワインは、価格の変動が頻繁にある商品でした。しかしここ2年ほどは異常です。
2700種類以上のワインを扱う当店では、平日仕入れをするたびになにかしらのワインの価格が変わります。そのほとんど全てが値上げです。
売れ残っているものを除き、2年前と比較して値段が上がっていないワインはほぼゼロではないでしょうか。
 
これほどワインが値上がりする背景は何なのでしょう。
 
 

ワイナリー出荷価格の上昇

 
ワインを輸入する会社にとっての純粋なる原価にあたるワイナリーの出し値が上がっています
 
その理由はいくつもあるでしょう。人気のワインだから値段を釣り上げているところもあるでしょうが、そんなところは極わずか。
まずは資材やエネルギーといった製造コストの上昇です。これは特にCOVID-19による物流の混乱も一因でした。エネルギーに関してはウクライナ戦争が大きく影響しています。これは輸送費の上昇にもつながります。
 
 
そして人件費の上昇。これもCOVID-19の影響で、収穫のための季節労働者が確保しづらくなったのも要因です。また純粋に生産国の経済が発展していけば、労働者の賃金も上がっていき、ワインの価格も上げざるをえません。
 
 

円安による上昇

 
そして円安です。2020年11月1日のEUR/JPYは122円ほどでした。それが2023年11月13日の原稿執筆時には162円です。実に1.3倍を超えています。ワインが高くなったといっても、2020年比で1.3倍程度の値上げは輸入品である限り当たり前なのです。
 
 
ワインを値上げしたと言っても、1.3倍も上げてないものが多いように感じます。「お客様のためを考えて」と言いますが、正直に価格転嫁してしまうと販売不振に陥るのではないかと輸入元が怖がっているのでしょう。その分利益率を削っているわけです。
 
 

人気の集中による上昇

 
価格の上昇を背景にして、一部の人気ワインの価格が飛びぬけて跳ね上がっています。その代表格がブルゴーニュの人気生産者のワインと有名シャンパンです。
 
「ドン・ペリニヨン」「クリュッグ」に代表されるラグジュアリーシャンパンは、2020年以前は数が潤沢に出回っており、安売り合戦が繰り広げられていました。しかしCOVID-19で物流が止まり、一時期は定価ですら手に入らない状態に。その後はアメリカ経済の成長を受けて日本への割り当てが少なくなり、価格が高止まり。最近ようやく市場価格が下がってきましたが、4年前と比べるとかなり高い状態です。
 
 
ブルゴーニュワインはさらにひどくて、ヴィンテージが進むたびに価格1.5倍になるワインすらありました。2021年ヴィンテージが大凶作だったため、2020年VTのころから供給量が極端に少なくなり、利益確保に動いたのです。
 
 

ナパ・ヴァレーのワインの値上がり

 
これらと比べるとナパ・ヴァレーのワインはまだ価格上昇は常識的。それでも20~30%上昇したワインは少なくありません
近年カリフォルニア州サンフランシスコの物価はとんでもないことになっています。アルバイトの平均年収ですら600万円を超えます。
きっと今日本人が旅行で訪れても、よほどの高所得者でない限り存分には楽しめないでしょう。
 
そんな巨大な経済圏の周りでつくられているカリフォルニアワイン。値段が上がって当然です。
 
 

当店で大人気!ナパ・ハイランズ

 
当店で圧倒的1番人気なナパ・ヴァレーのワインはこちらです。
 
 
きっかけとしては2017年末。明石家さんまさんの「ホンマでっかTV」で紹介されたことです。
芸能人などが紹介することで爆発的に売れたワインはいくつもありますが、それが売れ続けているのはこのナパハイランズだけです。その人気の秘密は何なのでしょうか。
 
 

ナパ・ハイランズの味わい

リッチな果実味、ハーブ、ミント、森林、たばこなどの、複雑でナパのカベルネにある典型的な香りが立ち上がります。ブラックベリー、カシス、香ばしい樽のニュアンスと十分に熟したフルーツやモカの風味とハーブの香りが印象的なフルボディの赤ワインです。
開けたてはフレッシュなベリー感があり、適度なタンニンを感じます。2日目になると渋味はほぼ感じなくなり、甘いニュアンスが増してきます。もちろん辛口ワインであり、糖分が有意に残っているわけではありません。甘いニュアンスを持つ香りに騙されて『甘い』と錯覚しているのです。
 
 

競合商品との比較

 
ナパ・ハイランズをおよそ6,000円以下のスタンダードクラスなナパ・ヴァレー産カベルネ・ソーヴィニヨンと比較してみましょう。
 
ベリー系の熟した果実味は典型的なものです。樽熟成に由来するヴァニラやココナッツのような甘い香りは、開けたてはそれほど上がってきませんが時間を経るにしたがって増していきます。
ナパ・カベは樽香の強いワインが多いですが、その中でもやや強い方といえるでしょう。
 
 
渋味や酸味は控えめな方です。特に渋味は2日目にはほぼ感じなくなり、それに伴って甘い印象になります。なのでお客様のレビューを見てても「甘くておいしかった」という感想がいくつか寄せられています。
 
口当たりの厚み、飲みごたえといったものが、同等のワインに対して優れています。同じくらいの重量感を持つとなると、このワインのような6,000円オーバーでしょう。プティ・ヴェルドというブドウを10%ブレンドしており、その効果かと推測します。
 

 
ナパ・ハイランズは最高とまではいかないまでも、コスパのいいナパカベであることは確かです。
 
 

ナパ・ハイランズにも値上げの波が

 
残念ながらナパ・ハイランズは値上げが予定されています
 
2020年ヴィンテージが定価4,800円なのに対し、その次の2022年に切り替わると同時に定価5,800円にジャンプアップします。当店での売価も5,000円強となるでしょう。
 
これまで4,000円ちょっとで飲めていたものが5,000円台。クラスが変わってしまうと感じる方も多いはず。これまでも何度か細かく値上げしていましたが、このジャンプアップにはついていけないという方もいらっしゃるはず。
 
 
もとの4,000円前後の価格帯で、他に美味しいナパカベはないのか。いや、確かに美味しいならナパカベにこだわらなくてもいい。
そんな方のために、ポスト・ナパ・ハイランズをご紹介します。
 
 

ナパ・ヴァレー産カベルネ・ソーヴィニヨンが人気の理由

 
具体的な銘柄を挙げる前に、そもそもナパ・ヴァレー産のカベルネ・ソーヴィニヨンが大変人気な理由を考えてみましょう。
気に入っているポイントは人それぞれでしょうし、一つではないはず。でも大きく分けるなら次のどれかに当てはまるのでは?
 
 

香りと味わいの親しみやすさ

 
典型的なナパカベには熟したベリーのようなフルーティーな香りと、樽熟成による甘く香ばしい香りがあります。一方でボルドーのカベルネのような、ピーマンやミントを思わせる青い香りは極わずかか感じません。
メトキシピラジンに由来するその青い香りは好き嫌いが分かれます。その点でナパカベは、特にワインに精通していない人にとって親しみやすい香りと言えるでしょう。
 
 
酸味や渋味が控えめなのも親しみやすい点です。数万円のナパカベはそうでもないのですが、6,000円以下のナパ・カベで渋みや酸味が高いものはほとんどありません。それもまた親しみやすさ・飲みやすさにつながっています。
 
そして単純に香りにボリュームがあり味わいに厚みがあって、高級感を感じやすいタイプです。決して安いワインではありませんが、相応の味わいをきちんと感じさせてくれるのです。
 
 

少量でも満足できる味の濃さ

 
上記のような風味特性と、多くのもので14.5%を超えるアルコールによって、「濃い味わい」と感じやすいです。
風味の濃さは飲みごたえにつながり、少量でも満足しやすいのがメリット。だから多人数で飲むときに1人分が少なくても満足できますし、1本を数日に分けて飲む場合でも物足りなさを感じにくいのです。
 
 
アルコール度数が少し低く軽い口当たりのワインをゴクゴク飲むより、高アルコールのワインをちょっとだけ飲んだ方がトータルのアルコール摂取は少ないはず。飲酒量を適度にセーブすることは、健康にプラスなのは間違いありません。
 
 

ハズレを引かない安心感

 
なによりネットショップでナパカベが人気なのは安心感でしょう
 
先に記したナパ・ハイランズの風味の特徴。それは他のナパカベにも少なからず当てはまるものです。
そして価格帯を絞るなら、イメージと違う奇抜な味わいのナパカベは、そうそうありません。
 
 
それゆえ「こんな味だろう」と予想して注文するナパカベは、期待から大きく外れることはないのです。微妙な品質の優劣はもちろんあり、「思ってたほどではなかったな」という場合はあります。でもナパ・ハイランズがお好きな人なら、どのナパカベを選んでもそう大外れはしない。やたらと酸味が高かったり強烈に渋かったりといったものはほとんどないのです。
 
期待通りの味が楽しめる。それが多くの方が感じている最大の魅力でしょう。
 
 

約4000円で改めて探すナパカベ

 
多くのワインが値上がりするなか、もともと少なかった3,000円前後のナパカベは本当に少なくなりました。
4,000円前後であれば、ある程度選択肢があります。
 
ナパ・ハイランズと比較しながら、4,000円前後で楽しめその土地の特徴を反映したナパ・カベのおすすめをご紹介します
※実際に並べて試飲して書いているわけではありません。私のイメージとみなさまの感じ方に多少の相違はありますのでご了承ください。
 
 

甘濃い親しみやすさに共通点

 
渋味や酸味が抑えられており、甘やかな果実味が親しみやすい雰囲気をつくっているところが、ナパ・ハイランズの人気の一因。
その点で近いものは次の2本でしょう。
  
 
 
どちらも「万人受けするナパカベの味わい」を目指してつくられている意図が感じられます。カベルネ・ソーヴィニョン100%であるためか、重要感ではナパ・ハイランズより少し軽め。樽香の香ばしさも少し抑えめでしょう。
 
 

樽熟成由来の香ばしい風味が共通

 
ナパ・ハイランズは新樽比率こそ不明ですが、アメリカンオーク樽とフレンチオーク樽の両方をつかって熟成しています。あくまで経験からの推測ですが、コーヒーやチョコレートのような甘く香ばしい風味は、部分的にでもアメリカンオーク樽を使っていた方が出やすいのではないでしょうか。その点で選んだ2本がこちら。
 
 
 
香ばしい風味という点では、グラスから感じる香りよりも、飲みこんだ後に鼻を抜けていく香りに顕著です。
 
 

飲みごたえのあるパワフルな味わいが共通

 
飲みごたえやパワフルさでいうなら、アルコール度数が大きく関係します。その点ではナパ・ハイランズは14.5%(2020VT)と、高めではありますが驚くほどではありません。
重量感とタンニンは別物ではありますが、少し渋味があったほうが力強い印象に感じます。その点でこの2本は、ナパ・ハイランズよりもパワフルだと感じるかもしれません。
 
 
 
その分果実の甘やかさ、親しみやすさは少し劣ります。
 
 

実はもう少し上品なのが欲しかった方に

 
ナパ・ハイランズのような甘濃いタイプのワインは、フードペアリングが結構難しい傾向があります。特に家で食べる夕食なら、もう少しだけ上品でタイトなものの方が、しっかり食材の風味を感じさせてくれるでしょう。
 
 
 
どちらもナパ・ハイランズよりは酸味が少し高め。赤ワインの渋味は酸味が高い方が感じやすくなる傾向にあるため、少し引き締まった印象に感じます。
 
 

他地域で似た味わいのカベルネ・ソーヴィニヨンを探す

 
ナパ・ハイランズは人気のワインではありますが、あくまでナパ・ヴァレーの中では普及価格帯の大量生産ワイン。ブランド価値があるのは、飲んで気に入った人に対してのみです。
ゆえにこういう方も多いはず。
似た味で美味しければ、別にナパ・ヴァレーであることにはこだわらないよ
 
全く同じ風味・味のバランスとはもちろん言えませんが、ある程度似た味わいで約4,000円で味わえるものならいろいろあります。
 
 

カリフォルニアから甘濃く滑らかな風味のカベルネ

 
まず甘濃く派手な風味という点で近いと言えるのがこのジャガーナット。
 
 
新樽100%の熟成だけあって、香ばしい風味と渋味のなめらかさは勝るとも劣りません。力強さや立体感でやや負けるイメージです。
 
ナパの代わりとしてセントラルコーストのパソ・ロブレスも注目すべき産地です。昼間は暑く夜は涼しく。大きな寒暖差がしっかりとしたタンニンと酸味を育みます。
 
 
飲みごたえのあるパワフルな味わいに共通点を期待していいでしょう。
 
 

カリフォルニア以外から味わいの共通点で探す

 
ナパ・ハイランズのカベルネ・ソーヴィニョンは、プティ・ヴェルドを10%ブレンドしている点がすこし特異です。
当店のラインナップで同じような品種構成のナパカベはありませんが、同じようなブレンドのワインが南アフリカでつくられていました。
 
 
甘濃い風味は控えめですが、厚みのある口当たりと重量感は似ているところがあります。
 
風味の強さの点ではこのオーストラリアワインも面白い。アルコール度数はなんと16%もあります。
 
 
この生産者が大事にするシルキーな口当たりは、十分な満足を与えてくれるでしょう。
 
 

飲みごたえのあるフルボディの赤ワインで豪華な晩酌を

 
こうやって改めて考察してみると、売れ続ける人気ワインにはその理由がしっかりあることが分かります。
そしてたとえブドウ品種と生産地域が同じでも、ぴったりと代わりになるようなワインはなかなか見つかりません。
 
でもナパ・ハイランズがあなたの好みに過不足なくピッタリだったかはわかりません。似たワインのなかにもっとちょうどいいものがあるかも。
 
 
お気に入りのワインが値上がりしても、1本1000円程度なら問題ない!そう言えるに越したことはありません。
値段が上がるなら、1日当たりの飲む量を減らして、トータルの金額があまり変わらないようにしよう。これも健康的な選択です。
 
でもたくさん飲みたいけど予算も上げたくないなら、新たなお気に入りを見つけるほかありません
リピートしたくなるようなカベルネ・ソーヴィニョンが、今回ご紹介した12本の中に見つかることを願っています





※投稿に記載しているワインのヴィンテージ・価格は執筆時のものです。現在販売しているものと異なる場合があります。
購入の際は必ず商品ページにてご確認ください。




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