ワインの選び方

シャルドネだけじゃない樽リッチワインの世界へようこそ!

2022年5月10日

 
 
樽熟成するワインといえばシャルドネ。間違いではありませんが、それがすべてじゃないんです。
樽香がふわっと香るリッチなワインは、他のブドウ品種でもつくれます。
ブドウ品種が違えば、ワインの味わいもまた異なりますが、樽リッチであることは一緒。
飲みごたえのある白ワインがお好きな方に、新たな選択肢をご紹介します。
 
 

そもそも樽熟成とは?

 
樽熟成とは、アルコール発酵が終わったあとのワインを木製の樽容器に入れて、数か月から十数か月保管することです。
極低価格なワインを除いて、ワインは基本熟成過程を経て瓶詰されます。その容器としてオーク樽とステンレスタンクが代表的であり、ワインの風味に影響します。
 
 
オーク樽熟成の目的で代表的なのは下記のとおり。
 

樽熟成の目的

澱や不純物などの沈殿
オーク樽の木目を通して酸素接触させ、複雑味を持たせる
適度な酸素接触により、瓶詰後もワインが安定する
オーク樽由来の風味をワインに与える
 
特に最後の「樽香がつく」というのが非常にわかりやすいでしょう。
 
 

樽熟成で白ワインはどう変わる?

 
白ワインをオーク樽熟成することによって、ヴァニラやココナッツ、トーストやクローヴなどの香りがつきます。
 
 
白ワインが本来持つフルーツなどの香りに樽香が混ざり合うことによって、リッチでいろいろな香りのする高級そうなワインになるのです。
また、オーク樽からは微量のタンニン、渋味のもとも溶け出します。それがワインに味わいの骨格を与えます
 
樽熟成によって、ワインは複雑な香りとボリューム感を得るのです。
 
 

フレンチオークとアメリカンオークの違いとは

 
オーク樽の木材として多く用いられているのが、フレンチオークとアメリカンオークです。
この2つは木の品種のようなものが異なります。その種類はワインの風味や価格に影響します。
 
1本の木からつくれる樽の数も異なるため、フレンチオークの方が樽は高額です。標準的なサイズで7~9万円ほど。
ヴァニラなどの甘い香りは、アメリカンオークで熟成した方が顕著に表れます。
一方でフレンチオークの方がタンニンが多く抽出されるので、味わいの骨格がしっかりする傾向にあります。
 
どちらがいいというものではありません。ワインメーカーは自分が目指すワインに応じて樽を使い分けています。
 
 

樽の大きさも味わいに影響する!

 
樽の大きさが変わると、味わいや香りに影響します
大きな樽で熟成させると、ワインの容量に対して樽に触れる面積が減る為、影響が少なくなります。
逆に小さな樽、一般的には225Lの樽で熟成させると、容量当たりの樽に触れる面積が増えるので風味が強くなるのです。
 
 
同じ樽熟成10か月でも、225Lと400Lのものでは、225Lで熟成した方が効果がよりハッキリ現れます。
 
 

なぜ「樽リッチワイン」といえばシャルドネ?

 
シャルドネは「ニュートラルな品種」と言われます。「この品種といえば〇〇の香り」みたいな特徴香が弱く、土地や醸造法の影響がワインに現れやすいのです。
品種の特徴香が弱いため樽香と調和しやすく、世界中で樽熟成したシャルドネ、いわゆる「樽ドネ」がつくられています。
 
典型的な樽リッチワイン、「樽ドネ」を2つご紹介します。
 

アメリカンオーク熟成4~5か月
オーク樽の風味をガツンと感じます。オーク樽熟成はステンレスタンクよりもコストがかかるので、この価格なのは驚き!
ヴァニラやココナッツの甘い香りのほか、パッションフルーツのような果実の厚みも感じます。

 
 

フレンチオーク熟成12か月
先ほどのアメリカンオーク熟成のものと比べて、ヴァニラの甘い香りは控えめ。トロピカルフルーツの熟した香りとトーストの香りが特徴です。
価格高騰の激しいブルゴーニュにあって、2000円台で樽香の効いたものは近年少なくなっています。ねらい目です!

 

 

 
このほかにも「樽ドネ」は何百種類と取り扱いがあります。それほどシャルドネは樽熟成との相性はいいということ。
でも樽熟成と相性がいいブドウ品種は、決してシャルドネだけではありません。
 
 

シャルドネ以外の樽リッチワイン

 
品種の特性香があるものを樽熟成すると、その風味が樽香と混ざり合います。
「樽ドネ」とはまた違ったリッチな風味が楽しめるのが魅力です。
既にお気に入りの「樽ドネ」がある方も、気分転換の1本としてチャレンジしてみては?
 
 

伝統的なボルドー・ブランのスタイル

 
ボルドーでつくられる白ワインは、ソーヴィニヨン・ブランとセミヨンをブレンドし、それを樽熟成するのが伝統的です。樽香をつけるためというより、厚みのあるクリーミーな口当たりに仕上げ、熟成能力を持たせるため
若いうちに飲むこともでき、10年20年と熟成させることもできるのが特徴。これは若い方が基本的に美味しいニュージーランド産のスタイルとは大きな違いです。
半面、グレープフルーツやグァバのようなフルーツ香はあまり感じません。樽熟成で酸素接触することで失われる香りなのです。
 
こういった伝統のボルドー・ブランは、たいていはある程度高級です。2000円前後のものだと、ステンレスタンク熟成した若いうちに飲むべきものがほとんど。
その例外といえるのが、1000円台で新樽100%で熟成したワインがこちら。
 

ソーヴィニヨン・ブラン、ソーヴィニヨン・グリは225Lの新樽、セミヨンは400Lの新樽で5~6か月熟成
ヴァニラなどの典型的な樽香の奥に、ソーヴィニヨン・ブランの爽やかさを感じます。樽熟ボルドーらしい飲みごたえが人気の秘訣です。

 

 

イタリアの樽リッチワイン

 
イタリアでもシャルドネを樽熟成させたワインは多くありますが、意外な品種を樽リッチに仕上げる生産者も中にはいます。品種の面白みを伝えたい、目指すワインがあって地場品種でつくった、遊び心から造っているなど生産者によっても考えは異なります。
同じ品種で飲み比べると、樽熟成の効果が顕著に感じられて面白いかもしれません。
 

小樽と大樽で3~5週間ガルガネガを熟成した、「樽ガネガ!」
ガルガネガは、イタリアを代表する白ワイン「ソアーヴェ」の品種。ソアーヴェは、フレッシュで酸味が高く軽い口当たりのガブ飲みワインが中心です。
そんな中、このソアーヴェは遅摘みや陰干ししたブドウを使用。これは樽の風味に負けない濃厚な果実感を持たせるため。
ピーチ系の芳醇な香りもありながら、樽の心地よい余韻も絶妙。爽やか&すっきりだけでない、新たなソアーヴェを感じてください。

 

 

 

80%はステンレスタンク熟成、20%だけ小樽でヴェルディッキオ発酵・熟成した、「樽ディッキオ」
ヴェルディッキオは、海に面したマルケ州のエリアで造られている為、強めの酸味と海っぽい風味が特徴の品種。一般的には、グレープフルーツのように爽やかな柑橘系の風味でミネラルが感じられるワインになります。
このワインは、遅摘みのブドウを使用した樽リッチなヴェルディッキオ。2~3年の樽を使用する事で、優しい樽の風味を加え、骨格のしっかりとしたボディのあるヴェルディッキオに大変身! 樽ドネと間違えてもおかしくないような「樽ディッキオ」をお楽しみください。

 

 

 

樽リッチワインを飲むときにつくりたい夕食

 
覚えてください。樽リッチワインにはクリーム
 
樽熟成した白ワインは、一般的にクリームソースやバターを使ったものと相性がいいことが多いです。例えばクリームソースのパスタや白身魚のムニエルなど。グラタンやシチューなどもいいですね。
ホタテのバター焼きのようなバターのコクがある料理も寄り添ってくれます!
 
一方、和食のような素材を活かした料理にはご注意。風味が強すぎて料理の味を覆い隠してしまったり、魚介の生臭さを強調してしまう場合があります。
 
 

樽リッチワインのマンネリ打破のために

 
シャルドネもそれ以外の樽リッチワインもどれも飲みごたえのあるワインです。だから1本を何人もでシェアしたり、数日に分けて飲んでも満足できる!
 
 
今回のように爽やかフレッシュなブドウ品種でも樽熟成をさせると一気に表情を変えてきます。シャルドネ以外の樽リッチを知っておくだけで、毎日の食卓に変化をつけることができます。
「樽ドネ」は好きだけどマンネリを感じているあなた。新たな樽リッチワインにチャレンジしてみませんか?
 
 





※投稿に記載しているワインのヴィンテージ・価格は執筆時のものです。現在販売しているものと異なる場合があります。
購入の際は必ず商品ページにてご確認ください。




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