ワインの選び方

軽い口当たりが心地よい♪予算3000円でミディアムボディの赤ワインおすすめ6選

2022年10月15日

 
 
決してフルボディのワインがミディアムボディのワインより優れているわけではありません。
ミディアムボディの軽やかさが心地よくて好き。そんな方も多いはず。
しかしそんなワインの方が、実はハズレも多くて選ぶのが難しいんです。
「これは買って1本飲みたい」と感じたミディアムボディのワインを、予算3000円くらいでご紹介します。
 
 

ミディアムボディとフルボディ

 
まず最初に知っていただきたいのは、「ミディアムボディ」や「フルボディ」の違いに明確な定義はないということです。
だからこそ、その表記だけを指標にワインを選ぶのは非常に危険。
実はあまり当てにならない言葉だということをまずご紹介します。
 
 

ワインの「ボディ」とは

 
ワインの味わいを表す言葉として、「~~ボディ」という表現はよく使われます。特に説明なく、読み手にイメージしてもらいやすいので、書き手にとって楽なのでしょう。
しかし、その「ボディ」が指すものを定義しようとなると非常に難しい。なぜなら多くの要素が関わってくるからです。
 

「ボディ」に関係する要素

○風味の凝縮感
○舌の上で感じる味わいの重量感
○口に含んだときのインパクト
○アルコール度数
○甘口ワインの場合は甘味の強さ

 
 

「ボディ」は一つの要素では決まらない

 
上記のような項目を総合的に判断して、ワインの説明を書く人が「ミディアムボディ」なのか「フルボディ」なのかを判断しています
たとえ経験を積んだ人であっても、一人ないし少人数の意見なのです。
 
 
これがもしアルコール度数だけで決まる。たとえば「アルコール14%以上はフルボディ」とかなら楽です。
では「アルコール7%だが200g/L以上の残糖がある極甘口の貴腐ワインはライトボディか?」と言われたら、それは違うはず。
逆に14%を超えていても風味に乏しく、「ミディアムボディ」表記が適当だと感じるワインもあります。
 
 

「~~ボディ」表記する人の意図を考える

 
ではボディ表記は無意味なのかというと、それも違います。ミディアムなのかフルなのか。それを判断している人の意図をくみ取れば、言わんとしていることがわかってきます
 
例えば、ナパ・ヴァレー産のカベルネ・ソーヴィニヨンの赤ワイン。1万円以上するようなものは、普通「フルボディ」表記されます。そのワインに対するワインアドヴォケイト誌の評価を見ていると、「ミディアムからフルボディ」という記述を少なからず見かけます。
「このワインは同産地同等クラスのものと比べて、やや細身な印象で、インパクトよりも上品さを意識したつくりだ」そういった評価をボディ表記に込めていると考えられます。
 
 
例えば1000円くらいの南仏やチリなどの赤ワイン。同じくカベルネ・ソーヴィニヨンとしましょう。この価格帯なら多くは「ミディアムボディ」表記です。この価格でつくるためには単位面積あたりの収穫量を多くする必要があり、それほど風味は凝縮しないからです
そんなワインに「フルボディ」表記がされていたとしたら、「このワインは他より一段濃厚に感じるので、数人で分けて飲んだり、数日かけて飲むのにおすすめですよ」という意図があるんじゃないでしょうか。
 
では後者の「フルボディ」のワインが、前者の「ミディアムからフルボディ」のワインよりも濃く感じるか。そんなわけはありません。そりゃ1000円のワインより1万円のワインの方が、香りも豊かですし、余韻も長く続きます。たとえアルコール度数が低かったとて、1万円のワインが濃く感じます
 
 

「ライトボディ」はやや特殊

 
市場で「ライトボディ」表記のワインを見かけることはほとんどありません
毎年11月に販売される「ボジョレー・ヌーヴォー」で見かけるくらい。温暖化が進んだ近年。そのボジョレー・ヌーヴォーですらたいてい「ミディアムボディ」表記が適当で、稀に「フルボディ」表記したくなるようなものすらあります。
 
アルコールの低さと口当たりの極端な軽やかさ。それらがあって初めて「ライトボディ」が使われます。そのアルコールの「低さ」とは11%が目安。先述のとおりアルコールは低くてもしっかり甘いワインは「ライトボディ」とは表記されません。
だから意図してアルコールを抑えた軽い口当たりのワインをつくっている場合。その意図を伝えるために「ライトボディ」表記がされます。
 
 
 
こちらのワイン、風味が豊かなので迷った末ミディアムボディ表記をしましたが、「ライトボディ」と言ってもいい軽やかさです。
 
 

大人数のフルボディ、少人数のミディアムボディ

 
フルボディのワインって、最初の一口は美味しいけど、ボトル1本飲むとなると疲れてくる
これはあくまで筆者片山の好みです。でも同意してくださる方も多いんじゃないでしょうか。
 
フルボディのワインとミディアムボディのワイン。それは優劣ではなく"使い分け"だと考えています。
 
 

人と集まるときに開けたいフルボディのワイン

 
例えば友人5、6人と飲み会をする。もちろんどんな人が集まるかにもよりますが、そんなときはフルボディ表記のワインを選ぶべきかもしれません。
6人で割ればワイン1本は一人当たり125ml。グラスワイン1杯分か少し多いくらいです。2本目、3本目に提供するワインがスイスイ飲めちゃうミディアムボディのワインなら、お酒のペースが過剰になる可能性があります。それでいて、せっかくのワイン、振り返ると「あれ?何飲んだっけ?」ってなっちゃうかも。
 
 
それなら舌の上にズシっと乗っかるような重たさがあるフルボディのワインがベター。自然と飲むペースがゆっくりになりますし、グラス1杯でも味わいの印象がしっかり残ります
 
 

1人・2人で飲むならミディアムボディのワイン

 
ワインは飲み始めのインパクトも大事ですが、最後の1杯に感じる印象の方がリピートの理由になるのでは?
自宅で一人ないし二人でワインを飲む場合、最後の1杯まで飽きずに飲めることが重要です。
 
 
その点ではミディアムボディのワインの方が有利。フルボディのワインは、味わいの濃厚さが飽きにつながりやすいと考えます。
夕食時にワインを飲む方なら、食事とのバランス感も大事。いくら「肉には濃厚な赤ワインが合う」とはいっても、家庭でそんなに強い味の肉料理をつくるのは稀でしょう。
 
そう考えていくと、家のみにはミディアムボディのワインの方がベターと思えてきますが、そう簡単ではありません。
 
 

意外と選ぶのが難しいミディアムボディの家飲み赤ワイン

 
予算に余裕があるのなら、ミディアムボディで美味しいワインを選ぶのは難しくありません。
でも予算3000円くらいまでで選ぶのなら、案外ハズレがあるのがミディアムボディの赤ワイン。むしろフルボディの方がハズレが少ないです。
 
 
意図して軽めの口当たりに仕上げたエレガントでバランスのいい赤ワインなら美味しい。
しかし香りのボリュームが豊かで余韻も長く続き、口当たりもなめらかでないと、単に「薄い」ワインとなってしまうからです。
 
 

濃厚さは万難隠す?

 
フルボディの赤ワインは、果実味や風味の凝縮感が高く、多くの場合渋みもしっかりあります。
ワインの味わいに強い要素があると、弱い要素は感じにくくなります。それは繊細な風味を隠してしまうということでもありますが、ネガティブな風味が目立ちにくいというプラスの要素もあります。
 
 
ワインの重要な要素に余韻の長さが挙げられます。
「こう作れば余韻が長くなる」というのはわかりません。少なくともワインのスペックなどから類推することはできないはずです。
とはいえブドウの質が大きく関わっていることは予想でき、それはワインの値段に直結する要素。つまり安いワインで余韻が長いものはほとんどありません
 
ミディアムボディのワインで余韻が短ければ、単に「印象に残りにくいワイン」となりえます。
しかしそれがフルボディのワインで、舌で感じる重量感も歯茎を引っ張るような渋みもしっかり感じるワインなら。余韻自体は短くても、「飲みごたえ」は感じるはずです。
 
3000円以下の手ごろなワインで探すなら、フルボディの物の方が多くの人にとって「美味しい」と感じるものが多いでしょう。
 
 

ミディアムボディの赤ワインを探すポイント

 
ではどうやってハズレもある中から美味しいミディアムボディの赤ワインを選べばいいのか。
最後はどうしても「バランス」という言葉に表せない感覚の話になってしまいます
それでも品種や地域から、ある程度あなたの好みに合わせることはできます。
 
 

ワインの「バランス」とは

 
果実味・酸味・渋み・風味などの要素の強さで何か突出したものがなく、トータルの味わいとして"ちょうどいい"状態にあることを「バランスがいい」と表現します。だから、1000円のワインでも各要素が小さいなりに「バランスがいい」ものもあります。
お分かりになると思いますが、非常に主観的な表現です。酸味が高いワインが好きな人の「バランスがいい」と、濃厚なワインが好きな人の「バランスがいい」が同じなわけがありません。
 
 
だからワインの魅力を伝える文言としては意味がない表現だと考えますので、当店の商品ページにはなるべく使わないようにしています。
 
 

ミディアムボディの赤ワインをつくりにくい品種

 
どんなブドウ品種でも早く収穫すれば糖度が低くなり、ワインのアルコールは控えめに仕上がります。
しかしそれでは美味しいワインができないブドウ品種もあります。
 
 
その代表格がカベルネ・ソーヴィニヨン。糖度が低いうちに収穫しようとすると、「メトキシピラジン」というピーマンのような青臭い香りの成分が過剰なワインが出来上がります。冷涼な産地で収穫まで長い時間をかけるなら、ある程度風味が成熟しながら、低めのアルコールのカベルネ・ソーヴィニヨンをつくることもできます。でも普通につくったら14.5%くらいのものが出来上がる産地で、13.0%のカベルネをつくろうとしてもうまくいきません。
 
ジンファンデルやグルナッシュといった糖度の上がりやすい品種も、フルボディになりやすい傾向があります。
まるでピノ・ノワールのような、上品なミディアムボディのグルナッシュの例もありますが、3000円以下では味わったことがありません。
 
 

ミディアムボディの赤ワインをつくりやすい品種

 
なので素直に味わいが軽やかな品種のワインを探すのが一番の近道
そんなブドウ品種の代表格がピノ・ノワールです。
 
ただし、ピノ・ノワールなら何でもいいわけではありません。いやむしろ、3000円予算というのはピノ・ノワールにしてはなかなか低め。「高品質なワインも探せば、あるにはある」といったイメージを持つべき。
それだけピノ・ノワールは、「お金のとれる高級品種」というわけです。
 
なので今回は、ピノ・ノワール以外のミディアムボディに仕上げやすい品種も紹介します。
 
 
 

軽やかさと品種特性を感じるピノ・ノワール3選

 
ピノ・ノワールは冷涼な気候に適した品種です。
暖かめの産地で風味が成熟するのを待ってブドウを収穫すると、時に14.5%を超えるようなワインが出来上がります。
どっしり重たい味わい、とまでは言いません。ですがイチゴジャムのような甘い風味を感じる「フルボディ」と呼びたくなる味わいはピノ・ノワールの魅力とはいいがたいでしょう。
 
そんな中でもいいものをつくっている生産者もいますが、冷涼な地域から探した方がハズレが少ないです。
 
 

ブルゴーニュ産もないことはない

 
ブルゴーニュは言わずと知れた人気の高級産地。
そこで3000円くらいで美味しいものを探すのは、年々難しくなっています。
 
ショッピングサイトで探せばたくさん見つかります。しかしその多くは、購入したブドウでつくるネゴシアンもの
購入したブドウでつくると美味しいものができないとは申しません。しかし一般には自社畑のブドウからつくるドメーヌものより下に見られます。
ゆえに生産者も「顧客の求める価格帯にあわせてつくる」傾向にあり、高品質なものは多くありません。
 
ご紹介しているジョセフ・ドルーアンのコート・ド・ニュイ・ヴィラージュも、それほど凝縮感が高いわけではありません。しかしブルゴーニュ的な上品さはしっかり表現されているので、「軽い口当たりのワインが飲みたい」という期待には応えてくれます。
 
 

セントラル・オタゴで選ぶなら安いものかとても高いものを

 
ニュージーランドの南島、セントラル・オタゴもピノ・ノワールの銘醸地です。
ただしここは、昼夜の寒暖差が大きく全体として冷涼なのですが、日照時間が長い。だから、アルコール14%オーバーの力強いピノ・ノワールもつくれてしまいます
 
ミディアムボディの上品なワインが飲みたいなら、ブルゴーニュを意識してつくる1万円オーバーの高級品。もしくは凝縮度がそれほど高くない4000円以下の格安品です。(セントラル・オタゴは高級志向なので、ピノ・ノワールはほぼ5000円くらいのスタートです)
  

生産者Instagramより引用

 
このラブ・ブロックは生産者の傾向として「力強い」ワインはつくりません。だからこのピノ・ノワールも「やさしい味わい」という表現がぴったり。
「どっしり濃いワインは苦手」という方にハマる味でしょう。
 
 

カリフォルニアで選ぶならソノマよりサンタ・バーバラ

 
カリフォルニアにおいて冷涼/温暖を決める一番の要素は海からの距離です。それから海からの風が入ってきやすい地形でしょう。
ピノ・ノワールの銘醸地としてはソノマコーストが有名ですが、その地域こそ近年強すぎるピノ・ノワールをよく見かける地域です。
 
通常ならサン・フランシスコより北部のソノマが涼しいように思うかもしれません。しかし実感ではセントラルコースト南部のサンタ・バーバラの方が、冷涼さを感じるワインがつくられているように感じます
 
このオー・ボン・クリマは、カリフォルニアにてブルゴーニュ的なワインをつくり続けている老舗。
この「ツバキラベル」のピノ・ノワールは樽熟成の風味を控えめにつくられたこのワインは、軽快でチャーミングな味わいが魅力です。
 
 

ピノ・ノワールに挑むミディアムボディの赤ワイン

 
アルコールが高くなりすぎない
どしっと重たい味わいにならない
渋みが強くない
 
そのような条件で探せば、ピノ・ノワールでなくてもミディアムボディの美味しい赤ワインがつくれる品種はたくさんあります。
その一例をご紹介します。
 

高貴品種ネレッロ・マスカレーゼ

 
シチリア島のエトナ山でつくられる「エトナ・ロッソ」は、温暖なシチリア島とは思えないほどエレガントな酸味を持つワイン。土着品種「ネレッロ・マスカレーゼ」を中心に「ネレッロ・カプッチョ」がブレンドされることもあります。
高級なものはタンニンもしっかりあり熟成能力の高いものも多いです。その点でもピノ・ノワール的なブドウ。しかしその分価格もピノ・ノワールです。平気で5000円を超えていきます。
 
ベナンティのつくるスタンダードクラスは、かなりリーズナブルな部類と言えます。
 
 
こちらの動画で色合いが見れます。意外と魚でもいける赤ワインです。
 
 

安ブドウでも美味しいかどうかは醸造家次第

 
土着品種の中にはよく「多収量品種」と呼ばれるものがあります。
たくさん実を付け、収量を絞らなくても十分に糖度が上がる。それだけ聞くととてもいい品種のように思えます。しかし主に地元消費用のワインとされて輸出されないのには訳があります。
香りのボリュームや複雑さ、余韻の長さや熟成ポテンシャルといった点で、国際品種に勝てないのです。
 

 
でも3000円くらいの予算なら、国際品種とてとびぬけてすごいワインはそうそうありません。
なら多収量品種でもバランスよく仕上がってさえいれば、家飲み用として十分楽しめるものができるはずです。
つまり最後は醸造家の腕次第。
 
 
ベッカーはピノ・ノワールで国際的に高い評価を受けているほか、非常に多様な品種のワインをつくっている生産者。
ポルトギーザーでもその腕は遺憾なく発揮されています。力強くもとりわけエレガントでもありませんが、コンパクトにまとまった悪いところのない味わいです。
 
 

このブドウ、誤解していない?

 
カベルネ・フランというブドウはカベルネ・ソーヴィニヨンの陰に隠れがち。というのも、ボルドーのメドック地区で作られるワインを代表に、カベルネ・ソーヴィニヨン主体のワインにブレンドされることが多いからです。出来上がるのは強い渋みを持つ力強い赤ワインです。
 
だからと言ってそれはカベルネ・フランの特徴ではありません。
涼しい産地でも熟すことができるカベルネ・フランは、ロワールでも多く栽培されています。そこで作られるのは、上品さを強調したミディアムボディの赤ワインが中心です。
 
 
このシャルル・ジョゲがつくるカベルネ・フラン。上級クラスのものは凝縮度も高くしっかり樽熟成の風味を感じるフルボディの赤ワインです。しかしスタンダードクラスのものはステンレスタンク熟成だということもあり、軽くスムースな口当たり。品種特性であるミントなどのハーブの香りがさわやかに香ります。
 
 

重度の愛好家はミディアムボディがお好き?

 
あくまで私の周りの話ではありますが、常日頃からワインをたくさん飲む方は、ミディアムボディのワインを好むように感じます
「最近濃いワインがしんどくなってきて。歳のせいかな~」なんて言う人も。
 
世界的なワイン業界の傾向も、フルボディ⇒ミディアムボディにシフトしつつあります。それはヘルシー志向の油脂を抑えた食事を選ぶ人が増えるにつれて、それとバランスをとるようにワインの好みも軽めにシフトしているからです。
 
 
繰り返しますが、どちらが優れているというものではありません。それぞれにいいところがあり、適したシーンがあります。
「ワインはフルボディの方が美味しい」と考えている方は、「自分はフルボディの方が好き」と改めてください。そしてたまにはミディアムボディのワインも楽しんでみませんか?
両方のワインをそれぞれに楽しめた方が、選択肢が多い方が得に決まっています!





※投稿に記載しているワインのヴィンテージ・価格は執筆時のものです。現在販売しているものと異なる場合があります。
購入の際は必ず商品ページにてご確認ください。




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