ワインのできるところ

今話題のバスクのワイン チャコリとは

2022年8月10日

今話題のバスクのワイン チャコリとは
 
テレビや雑誌で紹介される話題の観光地「バスク」。
その特産ワイン「チャコリ」が、日本でもじわじわと人気を高めています。
スッキリとした味わいで、料理を選ばず楽しめる!
特別な日じゃない、普段の晩酌に活躍間違いなしのチャコリの魅力をご紹介します。
 
 

チャコリがつくられるバスク地方ってどんなところ?

 
海のミネラル感を感じるような独特の香りを持つ、微発泡の白ワイン。これが一般的な「チャコリ」のイメージです。
 
でも実は、ロゼワインや赤ワイン、スパークリングタイプもあれば、甘口ワインも全部「チャコリ」なんです。
バスク地方伝統のワイン、「チャコリ」についてご紹介します。
 
 

バスク地方ってどこにある?

 
バスク地方はスペインとフランスの国境、両側に広がります。
この中でスペインの海側のバスクでつくられるのがチャコリです。
 
 

〇フランス側 バスク
〇スペイン側 山バスク
〇スペイン側 海バスク ←ここでチャコリが作られる

 
バスク地方の中心は北西に位置するビスカイア県にあるビルバオ。
ビルバオを中心とした都市圏は100万人の人口を抱え、これはスペインで第5位に当たります。
 
 

観光地として人気を集めるバスク

 
ビルバオは19世紀から20世紀初頭にかけて工業都市として発展しました。
しかし1940年前後の内戦とそこから続く政情不安によって、1980年代にかけて衰退していきます。
 
しかし1990年代に入ってから急速に変化を遂げます。
インフラへの投資を行い、芸術とサービスの街となったのです。
その象徴と言えるのが、ビルバオ・グッゲンハイム美術館です。
 
 
このグッゲンハイム美術館のオープンから、バスクに対する認識が変わってきたのだとか。
バスクはいまや、ヨーロッパのみならず世界中から人が押し寄せる、一大観光地となりました。
 
 

美食の街 サン・セバスチャン

このビルバオと並ぶ観光地が、東側ギプスコア県に位置する都市サン・セバスティアン
ビスケー湾に面した大変風光明媚なところです。
 
Photo by Raul Cacho Oses on Unsplash
 
サン・セバスチャンは美食の街として有名。
ミシュラン3つ星レストランを始めとした有名レストラン。
そして多くの観光客を迎えるスペインバル。
 
チャコリはその両方で楽しまれています。
 
 

一度は訪れたい スペインのバル文化

 
バスクを旅したときに飲んだワインが美味しかったから・・・
そうやってチャコリを購入される方が少なくありません。
 
チャコリを飲んで「美味し~!楽し~!」となったスペインバル。その雰囲気を知れば、一度は行ってみたくなります。
 
 

スペインのバル文化ってどんなもの?

 
スペインのバルとは、喫茶店と居酒屋と食堂とコンビニエンスストアが一緒になったようなもの。
 
 
バルでお酒を飲みながら、ピンチョスやタパス(小皿料理)を楽しむ。
ピンチョス(=つまようじ)とは、つまようじに刺さっていたり、パンの上に乗せてあったりして、つまんで食べられる軽いおつまみのことです。
 
当然小皿料理ではお腹いっぱいになりません。だから何軒もハシゴするんです。
街の至る所にあるバルをハシゴするのが、バスク地方ならではの楽しみ方です。
 

Cosas_de_JorgeによるPixabayからの画像

 
 

チャコリの特徴的な提供法 エスカンシアって何?

 
エスカンシアとは、チャコリを注ぐ際に高いところから底の平たいグラスに注ぐこと
とあるバルがパフォーマンスとして始めたところ、その物珍しさから人気に火が付いたそうです。
 
 
その目的は、酸が強いものが多いチャコリを、空気を含ませることでまろやかな口当たりにするためです。
 
 

家で飲むときもエスカンシアした方がいいの?

 
絶対にこぼれて床がビシャビシャなるのでおすすめしません。
 
もともと酸っぱすぎるチャコリを飲みやすくするために始めたもの。
バスクでもエスカンシアをするのはほとんどバルでのみ。
レストランではまずやらないそうです。
 
 
栽培・醸造技術が進歩して、そのまま美味しいチャコリが作れるようになった今、エスカンシアによって劇的に美味しくなることは少ないでしょう。
むしろなるべくエスカンシアしないでくれと言う生産者も多いのだとか。
 
でも、バスクの雰囲気を味わうべく、1杯分だけやってみては?流し台の上や屋外で。
 
 

どうしてチャコリってあまり見かけないの?

 
生産量がそもそも少なく、さらに大部分が地元消費されてしまうからです。
 
チャコリの栽培面積はわずか900ha程度
これは新世界の大規模生産者1社にすら及ばないこともあります。
 
その理由は、チャコリは19世紀の終わりにフィロキセラ(ブドウの根に住み着き枯らしてしまう害虫)によってほとんど絶滅してしまったから。
近年その生産量は増えてきたものの、依然としてスペインワイン全体の0.1%以下の量なのです。
 
 
その少ない生産量を、バルやレストランで地元の人や観光客が飲んでしまいます。
輸出されるのは10%以下。
 
近年ようやく日本にも紹介されるようになってきたのです。
 
 

産地の違いを知ってチャコリを選ぶ

 
チャコリの選び方のポイントはタイプと産地です。
タイプとは、白、ロゼ、赤、スパークリングといったもの。もし初めて飲むのでしたら、まずは白からが基本です。
ブドウ品種は「オンダラビ・スリ」「オンダラビ・スリ・セラティエ」などといった品種をメインにブレンドしてつくります。そこで差はあまりありません。
白のチャコリを選ぶ上でのポイントは地域。次の3つの地域から好みのタイプを選ぶのがポイントです。
 
 

白の「チャコリ」基本の味わい

 
「チャコリ」を初めて聞く方は、ともかく「チャコリってどんなワインなの?」というのを知りたいでしょう。
3つの地域を平均化して言葉に表すなら次のようなもの。
 

チャコリ白の基本の味わい

酸味 ・・・ 高めでスッキリ
ボディ ・・・ スマートで軽やか
樽熟成 ・・・ 基本はしない
泡 ・・・ スティル or 天然の微発泡
香り ・・・ リンゴや柑橘、白い花など
風味 ・・・ 余韻に海のミネラル感

 
この味わいをベースに、3つの地域の特徴を見ていきましょう。
 
 

チャコリの3地域

 
チャコリの生産地域は次の地図のとおり3か所。
 
 

ゲタリアコ・チャコリーナ

サン・セバスチャンを含む地域で、3つのうちでは最大
爽やかな微発泡のチャコリが伝統。一般の方が思い描く「チャコリ」のイメージに最も違いのがここのものです。
チャコリに欠かせない品種であるオンダラビ・スリ。その発祥の地と言われるオンダリビアの街はここにあります。
 
 

この地域の一番人気は、チャコリ全体でも売上No.1!

 

ビスカイコ・チャコリーナ

3つのチャコリの中で、生産者数が一番多いのがここ。
都市ビルバオを含む地域です。
沿岸部だけでなく内陸部にも畑があり、味わいに厚みがありコクを感じるタイプのチャコリが多いです。
 
 

「海のミネラル感」を最もハッキリ感じる1本

 
 

アラバコ・チャコリーナ

 
最後に認定されたチャコリの産地で、まだ生産者の数も多くありません。
というか2020年現在、たった8軒しかありません。
山間の畑で作られるチャコリは、厚みのあるタイプになります。
 
 

かわいいエチケットの割にコクのある系

 
 

その他のチャコリ

 
チャコリは白ワインだけではありません。当店はロゼ・赤・スパークリングのチャコリも扱っています。
 

ロゼのチャコリ

 
ロゼ・チャコリのポイントは黒ブドウならではのコク。これが醤油の旨味に合います
魚介自体は白のチャコリと相性がいいのですが、醤油をかけて食べると少し負けてしまいがち。そんなときにロゼ!より強い旨味を受け止めてくれるんです。
 
 
 

赤のチャコリ

 
赤のチャコリはかなりのレアアイテム。「オンダラビ・ベルツァ」という黒ブドウを使うのですが、このブドウについてジャンシス・ロビンソンMWは著書の中で「カベルネ・フランに風味が似ている」と述べています。
スッキリ目の赤ワインとして普段飲みしてもいいのですが、ワイン好きの集まる場に変わり種として持っていくのもいいでしょう。
 
 
 

スパークリングのチャコリ

 
白のスパークリング・チャコリは、ゲタリアコで見られるような微発泡の泡とは全く別物。シャンパンと同じ製法で本格的なスパークリングワインに仕上げています。
チャコリの高い酸味とミネラル感は、スパークリングワインにすると長い余韻と美しいキレとして感じられます。
 
 

チャコリの楽しみ方

 
「チャコリを飲むときはどんな料理をつくればいいの?」
そう考える必要はありません。それがチャコリのいいところ。
 
 
当店が扱うチャコリの多くを輸入している、株式会社いろはわいんの寺田社長はそう語ります。
 
 

「合わない」料理が少ないのが魅力

 
夕食を食べながら飲むとき、ワインが苦手としがちなのが魚介、特に生魚です。
例外はたくさんあるものの、樽熟成したシャルドネに赤ワイン全般、生臭さを引き立ててしまうことが多いからです。
 
 
チャコリはその魚介こそが得意!バスク地方では日常的に魚介が食べられているだけあり、海のミネラル感が魚介の滋味深い味を引き立てます
お肉が好き!という方も大丈夫。酸味が高めのチャコリは、肉料理の脂をさっぱりさせてくれます。レモンをしぼって食べるイメージです。
 
味わい自体が濃厚ではないので、薄味の料理を覆い隠してしまうこともありません。
 
だからチャコリに合わせて料理を考えなくても、今日食べたいものでOK!
「合わないことはないから、とりあえず今日はチャコリ開けるか」
そうやって飲める気軽さが魅力なのです。
 
 

CAPRICEプログラムのおすすめ

 
CAPRICEというヨーロッパの文化を日本に紹介する団体が公開している、チャコリにあうおつまみ。
その中に当店で扱うワインがチラッと写っているものがあったのでご紹介します。
「せっかくだからピッタリ合うものをつくってみたいな」
そんなときのご参考に。
 

ビンナガマグロのオムレツ

 
 
 

エチケットのデザイン変更がありましたが、映っていたのはこのワイン

 

バスク・カンタブリア海のアンチョアとトマトのサラダ

 
 
 

映っていたのは熟成させても美味いこのチャコリ

 
 
 

晩酌に活躍するチャコリ

 
レストランでワインを飲むなら、「この料理に合わせてこのワイン」というバッチリの相性が楽しめる。
でもそれを家庭の夕食でやるとタイヘン。なにせ料理は1種類じゃないのに、ワインをそう何本も開けられないから。
 
 
だから晩酌ワインはいろいろ使いまわせて、相性の悪い料理の少ないものが便利
その条件にピッタリ当てはまるのがチャコリです。
 
 
だって考えても見てください。
スペインのバルで飲み歩き5軒目。ワインに合わせて合いそうなピンチョスを選べると思いますか?へべれけで頭働かなくて、テキトーに選んでも美味しく楽しめるのがチャコリ。だから楽しいんです。
 
 
特別なイベントのない、普段の夕食のテーブルに、バスクの特産ワイン。
遠く離れた日本の食卓に、驚くほどマッチします。
 
 





※投稿に記載しているワインのヴィンテージ・価格は執筆時のものです。現在販売しているものと異なる場合があります。
購入の際は必ず商品ページにてご確認ください。




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