ワインのつくり方

スパークリングワインってシャンパン以外に何があるの?

2022年4月20日

 
泡が出るワインが全部シャンパンじゃない、ということは知っている。
では他のスパークリングワインはどうやって選べばいいの?
ピッタリのスパークリングワインを自由に選ぶ第一歩。
世界の有名なスパークリングワインの種類を紹介します。
 
 

スパークリングワインの製法の違いを知る

 
ワインとスパークリングワインの関係を、料理と製菓に例える人がいます。
原料と製法による味への影響の割合が、スパークリングワインは製法に比重が寄っていると言いたいのです。
 
ひと口に「スパークリングワイン」といっても、その製法は大きく5通りに分けられます。(WSETに基づく)
この製法によって、泡の質感が大きく左右されます
具体的なスパークリングワインを紹介する前提知識として、代表的な製法をご紹介します。
 
 

シャンパーニュ方式

 
なんといっても一番有名な、シャンパンに採用されている方式です。
伝統的方式 メトド・トラディッショナル」「シャンパーニュ方式」「瓶内2次発酵」「メトド・キャップ・クラシック(MCC)」などいくつかの呼び方があります。
 
簡単に説明しますと次の図のとおり。
 
 
詳しくは「シャンパンとスパークリングワインの違いとは 入門編」でこの製法を詳しく解説しております。
 
 

シャンパーニュ方式の特徴

 
この瓶内2次発酵の期間は、一般に長いほどいいとされています。(※異論あり)
時間をかけてワインに溶け込んだ泡ほど、ゆっくり立ち上ります
だから、瓶内2次発酵10年を超えるようなシャンパンは、意外と泡立ちはよくありません。なのに口に含んだ時にはジュワっと口内を刺激してくれます。
 
 
また、長い期間をかけて瓶内2次発酵を行うと、パンだねやブリオッシュのような香りをワインに感じるようになります。
これは酵母の自己分解による香りです。酵母が死んで澱となったものはタンパク質の塊です。それが時間と共にアミノ酸に分解されてワインに溶け出すのです。味わいとしては長い余韻を持つうま味として感じます。
 

ワインの特徴&メリット

  • 泡がきめ細かく、持続する
  • パンだねやブリオッシュのような香り、うま味
  • 導入コストは安い方

 

デメリット

  • コストが高い
  • ボトル差が生まれやすい

 
 

トランスファー方式

 
トランスファー方式は、伝統的方式のデメリットを無くすべく開発された製法です。
動瓶(ルミアージュ)のところまでは同じ。
澱引を加圧されたタンクの中でまとめて行います。スパークリングワインになったものを一旦混ぜ合わせ、濾過によって澱を取り除き、ドサージュで味を調えてからボトリングするのです。
 
結果、澱引きの作業は効率化されてコストが少し下がり、ボトル差もほぼなくなります
 
 

トランスファー方式の特徴

 
トランスファー方式は伝統的方式と同様、長期間の瓶内2次発酵をすることができます。
なので風味の点では伝統的方式に劣りません
 

ワインの特徴&メリット

  • 泡・風味ともに伝統的方式に準じる
  • 伝統的方式よりコストがやや安い
  • ボトル差が少ない

 

デメリット

  • トランスファー方式のワインを見かけない
  • 知名度が低すぎて、安くみられる

 
トランスファー方式はソムリエ教本などにも紹介されている製法なのですが、実際にワインを目にする機会がありません
おそらくランニングコストは低くても、導入コストは高いのでしょう。
 
高級なスパークリングワインをつくりたければ、「伝統的方式じゃないと安く扱われないかな?」との懸念するかもしれません。多少のコスト上昇が見込まれていても伝統的方式を採用するところはあるでしょう。
 
 

シャルマ方式

 
伝統的方式は1本1本瓶で2次発酵して、1本1本澱引きするからコストが高い。
ならそれを大きなタンクでまとめてやればいいじゃないかというのが、シャルマ方式です。タンク方式とも呼びます。
ベースワインをつくるところまでは一緒。2次発酵、澱引き、ドサージュをタンクで行い瓶詰します
結果として、伝統的方式より安いコストでスパークリングワインをつくることができます。
 
 
特徴として、2次発酵期間が短いです。目安として2週間~2か月ほど。
ゆえにシャルマ方式のスパークリングワインは、1年に何度もスパークリングワインをつくります。
 
 

シャルマ方式の特徴

 
シャルマ方式の特徴は、2次発酵期間が短いためにフルーツや花などブドウ由来のアロマがあらわれることです。酵母の自己分解による風味はあらわれません。
そのためフレッシュな印象を受けるスパークリングワインとなります。
一方で、泡のきめ細かさは伝統的方式に劣ります。グラスから立ち上る泡を比較しても、もっと大粒です。
これは炭酸が抜けやすいことを意味します。2日目、3日目のシャルマ方式のスパークリングワインは、あまり泡が期待できないでしょう。
 

ワインの特徴&メリット

  • フレッシュなフルーツや花のアロマ
  • コストが安い
  • 大量生産に向いている

 

デメリット

  • 泡はやや粗く、持続性が弱い
  • 導入コストは高い

 
 

アスティ方式

 
「アスティ」はイタリア、ピエモンテ州の地区の名前ではありますが、「アスティ」と聞くと甘口のスパークリングワインの方を思い浮かべるでしょう。
アスティは少し独特な製法をとっていまして、シャルマ方式の変形といえます。
 
まず果汁を一次発酵させる段階から、加圧のできるタンクで行い、炭酸を閉じ込めます
アルコールが7~7.5%程度のまだ甘味が残っているうちに冷却して発酵をストップ。濾過して瓶詰めします。
白ワインの段階を経ずにスパークリングワインになるところが大きな違いです。
 
 

アスティ方式の特徴

 
この方式はほぼアスティか、それに倣ったスパークリングワインにのみ使われます。よってアスティの特徴とも言えます。
ミュスカ・ブラン・ア・プティ・グランというマスカット系のブドウ品種を使い、その香りが全面に現れる甘口スパークリングワインです。
高価なものはほぼつくられておらず、ほとんどが1000円前後で入手できます。
 
 

ワインの特徴&メリット

  • ブドウ品種由来のマスカットを思わせる甘い香り
  • 弱めの泡感と甘味
  • コストが安い

 

デメリット

  • 風味の複雑さはない
  • 泡の持ちは良くない

 
 

炭酸ガス注入方式

 
最もシンプルなスパークリングワインの製法で、白ワインに直接炭酸ガスを送り込みます。サイダーと同じです。
当然、コストも一番安いです。
 
泡感は粗いので、高価なスパークリングワインに用いられることはまずありません。
しかしメリットもあります。2次発酵なしでスパークリングにするので、ワインの風味やアルコール度数を変えないのです。
 
 
伝統的方式では、2次発酵によってアルコール度数は1.2~1.5%上がると言われます。
スパークリングワインはアルコールが高いともったりして美味しくありません。だから伝統的方式などでは、ベースワインがアルコール11%程度になるように調整します。
それができるように、冷涼な地域を選んでスパークリングワインをつくるのです。
 
炭酸ガス注入方式では、もともと少しアルコール高めのワインでもスパークリングワインにできます。より暖かい地域でも生産可能なのです。
 
 

炭酸ガス注入方式の特徴

 
炭酸を注入することで、ワインの風味は変わりません。
だから、白ワインに感じるフルーツの香りがよりハッキリとスパークリングワインに表現されます。シャルマ方式よりもです。
 
なのでこの製法がよく用いられるのが、ニュージーランドのスパークリングソーヴィニヨン・ブラン。あの独特なハーブや柑橘のフレッシュなアロマは、あまり早摘みしすぎると青臭くなります。なのでシャルマ方式よりも炭酸ガス注入方式の方が優れていることもあるのです。
 

ワインの特徴&メリット

  • 白ワインのアロマをそのままに表現できる
  • アルコール度数を上げない
  • コストが安い

 

デメリット

  • 泡は粗く持ちは良くない

 
 

産地+品種で代表的なスパークリングワインを知る

 
シャンパーニュ方式がシャンパーニュだけで採用されているわけではありません。
優れた製法があれば、世界中からワインづくりを学びに来て、その技術を自国に持ち帰るものです。
 
ゆえに「この製法はこの地域だけ」というものはありません。
 
 
一方で、人の手によって変えられないものがあります。その土地の気候です。
気候が違えば、そこに適したブドウ品種も異なります。
 
なので主要なスパークリングワインを知りたければ、その土地と代表品種、そしてスパークリングワインの特徴をセットで学びましょう。
そういった視点で比べていくと、一口にスパークリングワインといっても驚くほど多種多様であることがわかります。
 
 

スパークリングワインの新・旧世界

 
ヨーロッパではたいていスパークリングワインにも規定があります
このブランド名を掲げるなら、この品種でこの製法にて作らなければならない、と決まりがあるのです。
 
ニューワールドの産地ではそんな決まりはありません。各ワイナリーが各々、好きにスパークリングワインをつくることができます。
その分、販売の際には地域のブランドに頼ることができず、ゼロからのプロモーションが必要です。
 
 
 

伝統的方式のスパークリングワイン

 
まずは伝統的方式によってつくられるシャンパン以外の有名スパークリングワインを見ていきましょう。
 
 

クレマン

 
「クレマン」とはフランスの名称で、「クレマン・ド・〇〇(産地名)」と呼びます。
フランスにはシャンパンという絶対王者がいるため、クレマンは基本的にはシャンパンより安い価格帯で展開されます
2000円台がボリュームゾーン。安くはないけど日常消費用の価格です。
瓶内2次発酵の最低期間は9か月で、シャンパンの15か月よりも短く規定が緩いです。
 
代表的なものの名称とブドウ品種を列挙します。
 
クレマン・ド・ブルゴーニュ シャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ブラン、アリゴテ、ガメイなど
クレマン・ダルザス リースリング、ピノ・ブラン、オーセロワなど
クレマン・ド・ロワール シュナン・ブラン、シャルドネ、カベルネ・フランなど
クレマン・ド・ボルドー ソーヴィニヨン・ブラン、セミヨンなど
クレマン・ド・サヴォワ ジャケール、アルテスなど
クレマン・ド・ジュラ シャルドネ、サヴァニャンなど
 
ブドウが違うのでその風味は当然大きく異なります。
伝統的方式ゆえに泡持ちがいいので、普段の晩酌に順番に飲んでみるのもいいんじゃないでしょうか
 
当店で扱っているなかのおすすめを挙げておきます。
 
 
 

フランチャコルタ

 
「イタリアのシャンパン」的ポジション、プレミアム・スパークリングワインというブランドを形作っているのが「フランチャコルタ」です。
イタリアのロンバルディア州でつくられます。ここは商業都市ミラノに近い。高所得者層がいるからこそ高級スパークリングワインに注力できたという背景があります。
 
品種はシャルドネ、ピノ・ネロ(ピノ・ノワール)、ピノ・ビアンコ(ピノ・ブラン)、エルバマット(土着品種)の4種類を使用することができます。
また、フランチャコルタの瓶内2次発酵期間は18か月以上と、シャンパンよりも長く規定されています
 
フランチャコルタは、シャンパン以上にハズレがないと思っていいでしょう。美味しくないフランチャコルタは飲んだことがありません。
ただ難しいのが価格。それほどシャンパンに比べて価格優位性はないです。それでいて、パンだねやブリオッシュのような熟成香を漂わせるものは稀です。同じくらいの熟成期間のあるものでも、風味の複雑さではシャンパンに劣るものが多いんです。
 
 
美味しいんだけどシャンパンでもいい
実はこれがフランチャコルタの一番の悩みではないでしょうか。
我々としても「フランチャコルタはちょっと売りづらいな~」と感じています。
 
 

カヴァ

 
デイリーに楽しめる伝統的方式のスパークリングワイン代表が、スペインの「カヴァ」。「CAVA」とは洞窟を意味します。瓶内2次発酵中のボトルを保管するのに天然の洞窟をよく利用したので、その名前で呼ばれるようになったのでしょう。
 
産地については事情が複雑。バルセロナ近郊のペネデス地区でほとんどがつくられるのですが、他の地域でつくったものも「カヴァ」を名乗ることができます。「カヴァはスペインの(伝統的方式でつくる)スパークリングワイン」という認識で大丈夫です。
 
 
ブドウ品種はマカベオ・チャレッロ・パレリャーダの3品種を中心に、シャルドネやピノ・ノワール、ガルナッチャなどを用いることもできます。単一品種でつくられることはめったになく、ブレンドするのがスタンダード。
 
シャンパンに比べて風味はフレッシュかつシンプル。より初心者から親しみやすい味わいだと言えるでしょう。
価格も親しみやすく、多くのものが1000円台。中には1000円を切るものもあります。一方で「カヴァはリーズナブル」というイメージが足かせとなり、3000円以上の高級品が販売しづらいというのが目下の悩みです。
 
 
 

ニューワールドのスパークリングワイン

 
「大好きなシャンパンのようなスパークリングワインを地元でもつくれないか」
カリフォルニア、チリ、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ・・・・ニューワールドの様々な地域でスパークリングワインはつくられています。
「シャンパン」や「カヴァ」のような名称はつきません。「生産者名+ブリュット」のような商品名でリリースされます。
ブドウ品種は基本的にはシャルドネとピノ・ノワール。ピノ・ムニエを用いるところはごくわずかです。
シャンパンのスタイルになるべく近づけるもの、独自のスタイルを確立するものなど様々。それこそ数限りなくあるのでお気に入りを見つけるのは困難です。下に当店のおすすめを挙げておきます。
 
 
 

シャルマ方式のスパークリングワイン

 
シャルマ方式のスパークリングワインは、伝統的方式に比べると泡の持ちがよくありません
それは炭酸がワインに溶け込む期間が短いから。基本的にはリリース後早めに消費されるからです。
グラスに注いだ時も、より激しく泡が立ち上るのが見て取れます。
 
 
それは悪いことばかりではありません。
泡立ちが激しいということは、強めに炭酸を感じるということ。元気な印象の泡なのです
ひょっとしたら、飲んで気分の上がるスパークリングとしては、シャルマ方式の方がベターかもしれません。
 
 

プロセッコ

 
「フレッシュ&フルーティー」なスパークリングワインとして世界中で大人気なのがプロセッコ。
シャンパンの年間生産量が3億本程度なのに対し、プロセッコは年産5億本を超えてさらに伸びているといいます。特別な時じゃなく、カジュアルに毎日飲まれるスパークリングなのです。
その理由はやっぱり価格。1000円台のものがほとんどです。
 
 
生産地はイタリアのヴェネト州とフリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州の一部。ブドウ品種はグレーラという、酸味のしっかりとしたブドウです。
辛口である「ブリュット」よりも一段階甘味の強い「エクストラ・ドライ」に仕上げられるものが多いのが特徴。それはグレーラの高い酸味とバランスを取るためです。
 
プロセッコはシャルマ方式で作ららないといけないというルールはなく、中には伝統的方式でつくっているものもあります。しかしそれはごく一部で、殆どはシャルマ方式です。
 
 
 

ランブルスコ

 
スパークリングワインの大半は「白」。「ロゼ」は珍しいってほどではありませんが、「赤」のスパークリングワインがつくられることはそう多くありません。
数少ない赤のスパークリングの代表格が、イタリアのエミーリア・ロマーニャ州でつくられる「ランブルスコ」
基本的にはシャルマ方式でつくられます。
 
※ランブルスコは赤が有名ですが、ロゼや白もあります。
 
ランブルスコはほぼ全て甘味を感じます。
辛口に近い「セッコ」から、しっかり甘い「ドルチェ」までいろいろなタイプがあります。
生ハム、特に「プロシュート・ディ・パルマ」との相性は最高です。
 
 
 

1000円以下のスパークリングワイン

 
シャルマ方式のスパークリングワインで上記のようなブランドネームのあるものは多くありません。
しかしワイン自体は大量につくられています。実売1000円以下のスパークリングワインは、その多くがシャルマ方式です
 
 
カジュアルなレストランに入って飲むグラスのスパークリングワイン。ビールと同じ500円程度だと嬉しいですよね。
そういった場で出てくるスパークリングワインは、まず間違いなくシャルマ方式でつくられています。
普段意識せず飲んでいる、身近なスパークリングワインの製法なのです。
 
 
 

スパークリングワインの選び方

 
スパークリングワインの製法はいくつかの種類があり、その種類によって味わいや価格が変わってきます。
同じ製法でも、地域が違えば様々なスパークリングワインが楽しめます。
 
どれが優れているというものではありません。シチュエーション次第。あなたがその場に応じた適切なスパークリングワインをチョイスできるかが重要です。
 
 
フォーマルで特別な場、高級なレストランで開けるスパークリングワイン。シャルマ方式のものでは力不足な場合が多いです。そこは高級なシャンパンを選ぶべき。
ではそのシャンパンを、友人とのカジュアルな宅飲みに持っていくべきかというと、それも違います。
晩酌用のワインも、今日はしこたま飲みたいか控えめにするかで、使い分けを考えるといいでしょう。
 
あなたの「今日は何飲もうかな~」の選択肢に、当たり前にスパークリングワインが入ってますように。
 
 
 

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