品種のお話

メルローとは 品種の特徴とおすすめワイン8選

2024年5月10日

メルローとは 品種の特徴とおすすめワイン8選
 
名前はよく目にするし何度も口にしたことはあるのに、特徴をとらえづらい品種がメルローです。
カベルネ・ソーヴィニヨンと風味の特徴も産地も似通っていることが、その理由の一つでしょう。
多くの産地でスーパーサブに甘んじることの多いこの品種。深く知れば確かに選ぶべき理由があります。
カベルネ・ソーヴィニヨンとの違いに注目しながら、メルローの魅力とおすすめ銘柄をご紹介します。
 
 

目次

格付けチェックの常連!?メルロー最高のワインとは

 
メルローでつくられる有名高級ワインが2つあります
「シャトー・ペトリュス」と「ル・パン」です。ボルドー地方の赤ワインで、新しいものでも小売価格で50万円前後から。ヴィンテージが古くレストラン提供価格となると100万円に達することがあります。
それもあって人気番組「芸能人格付けチェック」に度々登場しており、テレビの中では目にしたことがあるかもしれません。
 

 
この2本がメルローでつくるワインの頂点といっていいでしょう。買って飲むのは現実的ではありませんが、名前を知っておいて損はないはずです。
 
 

ペトリュスとル・パンが高価な理由

 
この2つのワインがボルドーワインの中でもとりわけ高価なのは、評価の高さと希少性に理由があります
 
2024年現在、シャトー・ペトリュスはパーカーポイント100点を通算13回も獲得。(※)ル・パンはペトリュスよりも歴史が浅いながら、3度の100点を獲得しています。
 
 
そして知名度に対して生産量が少ないこと。メドック地区の「シャトー・ラフィット・ロートシルト」などと比べて生産本数が1桁は少ないため、その希少価値から値段が高止まりしているのです。
 
メルローのワインとしては、この2本が特別。この記事では現実的な価格のメルローを中心に紹介していくのでご安心ください。
 
※アメリカのワイン評価誌で、100点満点でワインを採点しレビューとともに公開している。かつてはワインの売れ行きと価格に絶大な影響力と持っていて、現在も他の評価誌に比べ信頼は厚い。
 
 

メルローの血縁関係と概要

 
まずはメルローに関する事実関係を整理しましょう。
植物としてのメルローの特徴は、その産地やワインとしての特徴に大いに関係します。
 

Shannonの畑
(Instagramより)

 

メルローの生まれは?

 
メルローはボルドーの原産と考えられており、その名は18世紀の終わりごろ、書物に登場します。
最新の遺伝子解析によると、メルローの父方はカベルネ・フラン。母方はマドレーヌ・ノワール(←ほぼ遺伝関係にしか登場しない品種)。
 
カベルネ・ソーヴィニヨンはカベルネ・フランとソーヴィニヨン・ブランの自然交配によって生まれたと考えられていますので、メルローとカベルネ・ソーヴィニヨンは異母兄弟の関係にあるわけです。
メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フランのワインに共通点があるのも納得です。
 
※出典:『The Grapes』 ジャンシス・ロビンソンMW
 
 

メルローの栽培面での特徴

 
メルローは発芽が早く、熟す早さは全体から見れば中程度ですが、カベルネ・ソーヴィニヨンに比べると早いです
粘土石灰質の土壌に適しており、これが後述するボルドー内での分布にも影響します。一方で乾燥にはそれほど強くありません。
 
 
うどん粉病や灰色カビ病などに弱く、一見すると栽培の難しそうなブドウですが、それにもかかわらず世界中で多く栽培されています。
 
 

メルローの栽培地

 
国別のメルロー栽培面積、上位5か国は下記の通り
 
 
合計約27万ha
(OIV 2015年の統計より)
 
合計27万haという数字は、カベルネ・ソーヴィニヨン、サルタナに次ぐ第3位の栽培面積です。
中でもフランスの割合が圧倒的。フランスで最も広く栽培されているブドウです。主な産地はボルドー、南西地方、ラングドック・ルーション地方。まずボルドーだけでかなりの面積であることと、そのほかの地区も産地の面積自体が広いことが理由として挙げられます。
 
 

意外と少ないメルローの銘醸地

 
メルローは世界的に見てもかなり生産量の多いブドウなのに、実は「メルローの銘醸地」って少ないんです
「銘醸地」というからには、ただ美味しいワインがいくつかあるだけじゃだめ。メルローがそこの主役であり、なおかつレベルの高い生産者がたくさんいて、適当に選んでもハズレがない。「〇〇産メルロー」と聞いただけで「美味しそう」と思えるようなブランド価値があって初めて「銘醸地」と言えます。
 
そういう意味でメルローの銘醸地は「ポムロール」だけではないでしょうか。
 
 

メルローといえばまずボルドー

 
メルローの産地としてはまずボルドーが挙げられます。特に「ペトリュス」「ル・パン」のポムロール地区ですが、そこは高級産地。普段飲みに適したワインはほぼありません。
ボルドー地方のポムロール地区以外でも、ほとんどのエリアでメルローは栽培されています
 
 
ある地区・ある生産者はメルロー100%のワインをつくります。
ジロンド川の右岸地区では、メルローを中心にカベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニヨンをブレンドするワインが主役です。
一方でジロンド川左岸地区では、カベルネ・ソーヴィニヨンの補助品種としてメルローがブレンドされることが多々あります。廉価なワインに限って言えば、左岸地区でもメルロー主体のワインが多くみられます。
 
ボルドーにとってメルローは超重要な品種なのです。
 
 

主役になれないメルローの産地

 
ボルドー以外でも広く栽培されながら、メルローの存在感はあまり強くありません
 
フランス/南西地方:小地区によって主となるブドウがバラバラのため、まとまったイメージがない
フランス/ラングドック・ルーション地方:ヴァラエタルワイン(※)の産地のイメージが強く、いくつも栽培する品種の中の一つ。
イタリア:北部から中部にかけて広く栽培される。単一ワインもある程度あるが、ラインナップの一つにすぎない。
アメリカ:ナパ・ヴァレー産をはじめ良質なものは多いが、これもラインナップの一つ。もしくはブレンド用。
スペイン:日本に入ってくるものはかなり少ないため、おそらく地元消費されているのだろう。
チリ:ヴァラエタルワインの産地で、いくつも栽培する品種の中の一つ。

 
※ヴァラエタルワイン
ブドウ品種名をラベルに表記した、その品種の特徴がよく現れたワイン。
 
このように広く栽培されていながら、「この産地の赤ワインといえばメルロー!」というところがないのです。
 
 

ボルドーでメルローが必要とされる理由

 
ボルドーにおいて広くメルローが栽培される理由は、土壌の適正とカベルネ・ソーヴィニヨンに比べたときの成熟しやすさです。
これはボルドーワインはブレンドするのが基本であることと関係します。
 
 

ボルドーの気候を知る

 
メルローとの適正を話す前に、ボルドーの気候について知っていただく必要があります。
 
ボルドーの西側は大西洋であり、西岸海洋性気候です。暖流である北大西洋海流の影響で、高い緯度にある割にはボルドーは暖かい気候であり、これがブドウの成熟を助けています。
しかし海洋性気候は年間を通して雨が多めです。収穫期に雨が降るとカビ病のリスクが高まるだけでなく、ブドウが水を吸って糖度や風味が薄まり品質が下がります。
 
 
例えばイタリアのトスカーナ地方の生産者の中に「ボルドーで良質なブドウができるわけがない」と言う人もいると聞きます。20世紀にボルドーの生産者がカリフォルニアやチリ、アルゼンチンなどに進出したのも、安定してブドウが熟す気候だという利点に着目したからです。
収穫期に雨が降りやすいボルドーは、実はブドウ栽培に「適している」とはあまり言えない地域なのです。
 
 

メルローは成長が早いからリスクヘッジになる

 
先述のとおりメルローは早く活動を始め早く成熟します。カベルネ・ソーヴィニヨンとの間にある2週間程度の差が、それぞれのブドウの出来栄えを分けることがあります。
 
たとえばその年はカベルネ・ソーヴィニヨンの収穫前に雨が降ってしまった。しかしメルローは収穫が終わっていたので影響を受けず、良いワインになった。それならブレンド比率のメルローを増やすことで、より上質なワインがつくれる。
ごく簡単に言えばこのように考えて、ボルドーワインのブレンド比率を毎年調整します。
 
 
成長が早ければいいというものではありません。
春先には霜害のリスクがあります。ブドウの新芽が出た後に急に気温が氷点下まで下がる朝がくると、新芽が凍って死んでしまいます。そうするとブドウの収穫量が大幅に減りますし、品質も下がる可能性があります。
例えばメルローは霜害にやられたけど、カベルネ・ソーヴィニヨンはまだ発芽前で助かった。そういうケースも考えられるのです。
 

霜害を受けた新芽
(Instagramより)

 
カベルネ・ソーヴィニヨンとメルローの両方を植えて、最終的なブレンド比率を調整する。それはボルドーだからこそ人々が工夫してつくりあげたリスクヘッジの方法なのです
 
 

石灰質土壌の性質

 
ボルドーの中にある銘醸地の一つ「サン・テミリオン」を中心に広がる土壌は粘土石灰質です。これがメルローに適しています
 
石灰質の土壌は水を吸い込みます。スポンジのようなもので、雨が降ったときに余計な水が滞留し、樹が水分を吸いすぎることを防ぎます。一方で雨が降らない日が続いても蓄えた水を放出するので、樹が枯れにくくなります。
シェリーの産地であるスペインのヘレスで、夏場は雨が降らないのに水やりなしでブドウが栽培できるのは、石灰質土壌のおかげです。
 
 
「石灰質土壌だけがブドウ栽培に最適」とまでは言えません。しかし世界の銘醸地のいくつかが粘土石灰質土壌であることは事実です。
ブルゴーニュ、シャンパーニュ、リオハ、ピエモンテ、メンドーサ、パソ・ロブレス・・・
ボルドーにおいてはカベルネ・ソーヴィニヨンではなくメルローに向いた土壌です。
 
 

メルローに適した”冷たい土壌"

 
水は温まりにくく冷めにくい性質を持ちます。
水を貯える石灰質土壌は、夏場の太陽にも熱くなりにくい”冷たい土壌"と言えます
比べるなら成熟が早いメルローの方が、カベルネ・ソーヴィニヨンよりも粘土石灰質土壌に向いているのです。
 
一方でボルドーのジロンド川左岸にみられる砂利質土壌。これは水はけが良く、温まりやすく冷めやすい土壌です。日中に蓄えた熱を夜間に放出するので、カベルネ・ソーヴィニヨンの成熟を助けます。
この環境ではメルローよりもカベルネ・ソーヴィニヨンが向いています。
 
 
ボルドー右岸の"冷たい土壌"粘土石灰質のところにはメルローを多く栽培する。
ボルドー左岸の砂利質土壌にはカベルネ・ソーヴィニヨンを多く栽培する。
これは長い時間をかけて人々が選び抜いた『最適』なのです。
 
 

メルローとカベルネ・ソーヴィニヨンを味わいで比較する

 
ソムリエ試験などブドウ品種を当てるブラインドテイスティングにおいて、メルローとカベルネ・ソーヴィニヨンの判別はなかなかの難関です。
それは実際に2つのブドウ品種に共通点が多いからです。
 
 

典型的なメルローの風味

 
WSET Level3の教科書によると、メルローの典型的なスタイルは次のように2つに分類して記述されています。
 

完熟を待って収穫したメルロー

濃い紫の色調。凝縮されたブラックベリーやプラムの果実風味。なめらかなベルベットのようなタンニンを最大限得られるよう、なるべく遅く収穫したブドウからつくられる。

 

早めに収穫したメルロー

ボディとアルコール度数は中程度だが酸味は高めで、新鮮な赤系果実の特徴に加えて、野菜や葉の香りを呈するワインである。

 
このように香りの質や味わいの点でメルローを明確に特徴づけるものはありません。「野菜や葉の香り」にしても、カベルネ・ソーヴィニヨンやカベルネ・フランにも感じることがあります
 
 

メルローとカベルネ・ソーヴィニヨンの共通点

 
メルローはピラジン香を感じやすい品種です。俗にいう「青い香り」で、ピーマンやミント、メントールに似た香りです。この点でカベルネ・ソーヴィニヨンと共通しています。
ただしカベルネよりも成熟しやすい分、カベルネに比べると感じることはやや少ないです。
 
 
このピラジンの香りは、ブドウの茎も一緒に発酵させる「全房発酵」を行うと強く出すぎてしまいます。メルローもカベルネ・ソーヴィニヨンも、除梗(ブドウの粒を茎から外す)してから発酵させるのがスタンダードです。
 
廉価なワインを除き、基本的にオーク樽熟成されます。新樽の風味とも相性が良く、チョコレートやコーヒーのような香ばしい風味を感じることが多いです。
 
上質なものは数十年にわたって熟成するのも共通点です。
 
 

メルローとカベルネ・ソーヴィニヨンの違い

 
香りのボリューム、タンニンの強さ、酸味の高さ。同等クラスで比較するなら、どれもカベルネ・ソーヴィニヨンの方が少し高い傾向です。
でもそれは他の条件をある程度揃えたうえで比較して感じる違い。グレードやつくり方で容易に逆転する差です。例えば5000円のメルローの方が2000円のカベルネ・ソーヴィニヨンより渋いことが多いです。
 
香りの特性、果実味・酸味・渋味のバランスなどでは、価格帯や産地が違えばメルローとカベルネ・ソーヴィニヨンを判別することは簡単ではないでしょう。
 
 

カベルネではなくメルローを選ぶ理由

 
共通点を多く持つブドウながら、売れ行きとしてはカベルネ・ソーヴィニヨンの方がはるかに人気です。しかしあえてメルローを選ぶ理由も確かにあります。
 
私はそのメルローを選ぶべき理由を、果実味の充実度と質感のなめらかさだと考えます
同じ価格帯で比較したとき、メルローはカベルネ・ソーヴィニヨンに比べて熟度の高い果実味を持ちます。アルコール度数がたとえ同じでも、よりち密でしなやかな口当たりとなるのです。味わいが舌の上で、縦よりも横に広がるイメージ。その感触には、比較するなら穏やかな酸味とタンニンも関係しているでしょう。
 
 
2つを比べるなら、落ち着いてワイン単体で飲み続けられるのがメルローです。タンニンが豊富なカベルネ・ソーヴィニヨンは、ワインだけで飲み続けると口が疲れがち。何か食べたくなります。
それでいてピノ・ノワールにはない力強さも持ち合わせているので、飲む量をセーブしながらでも満足度は高いでしょう。
 
 

価格以上の味わい!メルローのおすすめワイン8選

 
主役となる産地はなくとも、上質なメルローは世界各地でつくられています。
その中でも筆者が
「この生産者のワインを飲むなら、まずメルローだ」
「他の品種ではマネできない特性を持ち、価格以上の価値がある」
と感じたおすすめワインをご紹介します。
 
 

【ボルドー】すこしヤンチャさも感じるパワフルな味わい

 
 
「有名生産者がつくるバリューワイン」として人気の高い1本。ジャン・リュック・テュニュヴァン氏のワインは、「ヴァランドロー」なら3万円を超えますが、このワインは1桁違います。安い方に。
メルロー100%のボルドーワインはそう珍しくはありませんが、このワインは濃厚な力強さが飛びぬけています。飲みごたえ抜群。その分だけか、少し味わいの透明感は低く、雑味を感じます。ブドウの質がそう高くないのでしょう。でも料理と一緒ならそう気にならないので、ガッツリ肉料理を食べたいときに開けるのがおすすめです。
 
 

【ボルドー】樽熟なしでしかと感じる豊富な渋味

 
 
ブドウ品種自体が豊富にタンニンを含んでいても、醸造であまりワインに抽出しないようにするテクニックはあります。もちろん限度はあるとはいえ、メルローで渋みがほとんどないワインをつくることはできます。そしてその方が広い消費者層に好まれます。
 
だからこそこの「ノティス」の硬質で豊富なタンニンは珍しい。その理由はオーク樽熟成を行わないから。ステンレスタンク熟成によって酸化が抑えられ、フレッシュなタンニンとピュアな果実を感じる味わいです。
 
 

【南アフリカ/エルギン】この口当たりの質感、同じ価格ではマネできない!

 
KATAYAMA
あえて専門用語でこのワインの長所を述べるなら、「ミッドパレットの充実感」でしょう。 ピーマン、ミント、杉などの引き締まったアロマ。口に含めばブラックベリーのような熟度の高い果実味が広がります。舌の上にすぐさま広がっていくその味わいの密度が、同価格帯のカベルネ・ソーヴィニヨンではマネできない。口当たりの厚みを伴った滑らかさが、このワインの、あるいはメルローの一番の魅力だと考えます。余韻にはスモーキーなニュアンスが広がります。
 
 
シャノンはこの上位クラスにあたる「マウントバレット メルロー」が非常に人気です。以前は5000円前後だったので、「どうせならマウントバレットを」とおすすめしていました。しかし価格改定により7000円台まで上がってしまいました。この2000円台のスタンダードクラスの価値が一層増したと感じています。
 
 

【南アフリカ/ステレンボッシュ】ワンランク上の高級感

 
 
先ほどのシャノンは、タンニンはそれほど目立たない親しみやすい味わい。高級感より万人受けを狙っている印象です。
それに対してこのカルメンは、ボルドー的な高級感を意識したスタイル。今すぐ開けて十分美味しいのですが、適度に感じる丸いタンニンは、少なくとも5年程度はかけてどんどん美味しくなっていくことを予感させます。
 
シャノンと比較したとき、1000円程度の価格差に対し、品質の差以上に味わいの方向性に差があるように感じます。
 
 

【カリフォルニア/ナパ】この生産者は紹介せずにはおけない

 
 
ナパ・ヴァレーにおいてメルローは、一時期「カベルネ・ソーヴィニヨンの補助品種にすぎず、主役ははれない」と認識されていた時期がありました。そこに「メルローってこんな美味しいワインをつくれるんだぜ!」と殴り込みをかけたのが、ダックホーンという生産者です。
 
ワイン企業として大いに成長し、生産の幅を広げた今も、まず最重要なワインは「ダックホーン メルロー」。
ワインメーカーによるテイスティングコメントで、「肉付きがいい」と表現される果実味は、まさにカベルネではなくメルローの特徴と言えるでしょう。
 
ダックホーンはちょっと気軽に開けられる値段ではありません。その良さを普段の晩酌で楽しみたいなら、「毎日飲めるダックホーン」のコンセプトでつくられる「デコイ」シリーズが一押しです。
 
 
 

【トスカーナ】余韻の広がりに価格以上の価値あり!

 
KATAYAMA
エッジがうっすらとレンガ色。マッシュルームや乾いた土、ベーコンのような複雑な熟成香。ボディ感はそれほど強くなく、熟成による軽やかさが現れてきて旨味が広がる。タンニンが非常にきめ細かく、飲みこんだ後も口を心地よく刺激する。同価格帯に香りのボリュームがより豊かなトスカーナはいくつもあるが、これほど余韻の香りが複雑に広がるものはそうそうないだろう。
 
 
12年も熟成していますが、コルクから察するにリコルクor瓶詰されたのはせいぜい4~6年ほど前と予想します。かなりしっかりとした天然コルクで、不慣れな方でも抜栓失敗の心配はありません。
 
 

【プーリア】メルローっぽさは正直なし!でも人気

 
 
先述の遅摘みメルローの特徴。黒系ベリーの香りにベルベットのようななめらかなタンニンという表現がしっかり当てはまるこのワイン。ただしそれば別の品種、例えばこのワインの産地ならプリミティーヴォでも表現できそうです。
正直、メルローっぽさはあまり感じません。アルコール度数が14.5%になるほど、高温の産地で熟度を上げてメルローをつくればどうなるか。そしてそれがなぜ人気でよく売れるのか。一口目からしかと納得できるでしょう。
 
 

夕食後のワインタイムにメルローの充実感を

 
なかなかその産地のなかで主役になることのないメルロー。「メルローだから」という理由で特別な日のワインとしては選ばれにくいかもしれません。
だからこそメルローを選ぶべき理由としておすすめしたいシーンは、食事後のまったりとした時間のおともに
 
 
有名な品種と比べたとき、カベルネ・ソーヴィニヨンやシラーと比べてタンニンが穏やかで、ワイン単体で飲み続けても疲れない。
ピノ・ノワールと比べた時は、果実味の充実度と口当たりの厚みがあり、適量で満足しやすい。
もちろん料理にあわせにくいわけじゃないので、食事をしながら1杯、食後に1杯という飲み方もできます。
 
メルローのワインはあなたのリラックスタイムを、より満足度の高いものにしてくれることでしょう。





※投稿に記載しているワインのヴィンテージ・価格は執筆時のものです。現在販売しているものと異なる場合があります。
購入の際は必ず商品ページにてご確認ください。




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