ワインの楽しみ方ガイド

【ジャンル別】新年初ワインのおすすめ銘柄9選

2023年1月10日

 
初日の出、初売り、書初め、仕事始め・・・・何かと新年最初の物事には名前を付けたがるのが日本人。
それじゃあワインの場合はどうでしょう?「新年初ワイン」はもう飲んでらっしゃるでしょうから、ジャンル別で。
味わい、エチケット、そのワインのエピソード・・・いろいろな角度から、今年の1本目に相応しいワインを選びました。
この1本から始める2023年のワインのある暮らしが、より楽しいものとなりますように。
 
 

ワインのタイプ別 新年初ワイン

 
赤ワイン、白ワイン、ロゼワイン、スパークリングワイン。
「もう全部飲んだよ!」という方は、1月10日時点ではさすがに少ないでしょう。
まずはタイプ別に新年初ワインをご紹介します。
 
 

2023年初赤ワイン《価格問わず》

 
近年のワインづくりにおいては、世界中で「サスティナビリティ」が非常に重要視されています。
気候変動を少しでも緩やかなものにするために。あるいは気候変動にも対応するワインづくりを。
 
スパークリングワインの産地であるシャンパーニュで、高品質な赤ワイン・白ワインをつくる。ルイ・ロデレールの取り組みもその一環です。
 
「コトー・シャンプノワ」というのがシャンパーニュ地方における赤ワイン・白ワインの名称です。もちろん、昔から細々とつくられてきました。とはいえその存在感は微々たるもの。「ブルゴーニュの品質に対抗できるものではない。かといって安売りするくらいならシャンパンにしてしまった方が儲かる」そういう事情で、あくまでシャンパンのついでという位置づけ。
しかし、ルイ・ロデレールが今回リリースした「コトー シャンプノワ オマージュ ア カミーユ ルージュ」の価格は4万円台後半です。かなり強気の価格設定。
 
ロデレールのブランド価値をプラスすれば、グラン・クリュにも匹敵しうる品質でつくれるようになった」生産者がそう判断したのでしょう。
 
新年初ワインとして、今後100年を見据えてつくるシャンパーニュの赤ワインはいかがでしょうか。
 
 

2023年初白ワイン《5000円以下》

 
輸入が始まったばかりの生産者で、日本ではこれが初ヴィンテージ
そんな生産者のワインなら、新年初ワインに相応しいといえるでしょう。
 
グフィエは2022年の暮れごろに入荷したばかりの生産者。約3600円と、安くはないもののまあ現実的な価格です。ややワインの価格が高めであるフィラディスさん輸入と考えると、むしろお手頃でしょう。
その理由は、ブルゴーニュ地方の中でもちょっとワインが割安なコート・シャロネーズ地区だから。これがコート・ド・ボーヌの優良生産者なら、すぐ5000円を超えていきます。
加えて2021年の大きな霜害により、コート・ド・ボーヌの白ワインは2023年かなり手に入りにくくなります。
 
コート・シャロネーズ、そしてマコネに注目が集まる年になることが予想されますので、新年初ワインに飲んでおくのもいいでしょう。
 
 

2023年 初ロゼワイン

 
ファン・ロッゲレンベルグ・ワインズも2022年に日本初登場した南アフリカワインです。
南アフリカ現地でもまだまだ「新しい生産者」扱いで、展示会などでの注目度も非常に高いそうです。
 
 
「ブレイク ア レッグ サンソー ブラン ド ノワール」という商品名なので白ワインとして扱うべきなのかもしれませんが、色合いも風味も完全にロゼワイン。
味筋はいわゆる「きれいなヴァン・ナチュール」よりの、柔らかくピュアな口当たり。かといってブドウ品種の特徴が製法の特徴に覆われてしまってはいません。高い評価を受けがちなスタイルで、これから有名になっていきそうだという期待を込めて選びました。
 
 

2023年 初スパークリングワイン

 
正直こちらに関しては、エチケット以上にあまり語る内容はございません!
2023年の干支はウサギだから、ウサギエチケットのスパークリングワインを
そんな非常に浅い考えです。2000円でおつりがくる価格がなにより嬉しいスッキリ系スパークリングワインです。
 
 

ワインの価格と自分自身の向き合い方

 
ここで、自分が普段飲みするワインの価格について考えてみませんか?
 
2022年、かなり多くのワインが値上がりしました。理由はいくつもあります。
ウクライナ戦争に由来する、ヨーロッパ諸国の燃料高など、生産コストの上昇。
輸送コストの上昇もありますし、何より円安の影響が大きかった。
コロナ流行時からの流通の乱れゆえに一部の人気ワインの品薄が常態化し、小売店が価格を吊り上げやすかったという理由もあります。
 
2023年もまだ続きます。為替の動き次第で、昨年値上げしたものが再度値上げになる場合も。
 
 
そうなると2000円以下で楽しめるワインの種類がどんどん減ってきています。低価格ワインは大規模生産者のつくる大量生産ワインばかりという傾向がますます強まるでしょう。
この「シュロス・アラス」という生産者も様々なブランドを展開する大規模生産者。「ジョセフ・ドラーテン」や「Gシュリンク」などもグループブランドです。
 
いくつか選択肢があります。
  • 「大手生産者でいいじゃん!」似たり寄ったりでも気にせず安くて美味しいワインを飲む
  • 「ハズレたってそれもワインだよ」と安いワインにいろいろチャレンジする
  • 「美味しいものだけ飲みたい」と少し高めのワインを頻度を下げて飲む
  • 「ワインが値上がりするなら収入を上げればいいじゃん」と仕事を頑張る

 
私自身は4つ目でありたいなと思っています。
 
 

生産国別 新年初ワイン

 
「もう赤ワイン飲んじゃったけど、やっぱり赤ワインが飲みたいんだ」
そんな方でも主要な国全て飲んだわけじゃないですよね?
生産国別に今年初ワインにおすすめ銘柄をご紹介します。
 
 

2023年 初ニュージーランドワイン

 
ワイナリーの名前である「アタ・ランギ」は、マオリ族の言葉で「新しい始まり」「夜明けの空」を意味します。
正しく新年や新しいことを始めるときのワインにピッタリ!
 
 
そして太陽を思わせるこのエチケット。実はこのデザインなのは2019年ヴィンテージだけです。(執筆時には数本の在庫がありますが、公開時に切り替わっていたら申し訳ありません)
アタ・ランギとしては長く使うつもりでこのデザインに変えたのですが、韓国系の人たちから「日本の旧国旗を思わせる」と強い抗議が入ったそうで・・・
2020年に再びエチケット変更が余儀なくされたそうです。
 
 

2023年 初イタリアワイン

 
昨年日本に新入荷であり、試飲会で飲んでどうしても仕入れたくなっちゃったワインがこちら。
やっぱり自分の「美味しい」だけで仕入れても、正直あまり売れないですね。
 
 
ネットでワインが売れる経路、「レストランで勧められて美味しかったから探して買った」というのが少なからずあります。
日本新入荷のワインは、発売時に知っている人は日本にほとんどいないわけです。だから上記のような購入経路がありません。
ゆえにワインの『新発売』って我々からするとあまり魅力的じゃないんです。
 
だからこそ輸入元さんと協力してその魅力を伝えていかないといけないんですが、さてどう表現したものか。
 
 

2023年 初オーストラリアワイン

 
2022年、オーストラリアは主要な貿易相手である中国との関係を悪くしました。
中国は対オーストラリアの様々な輸入品の関税を大幅に上げ、締め出しを測ります。その結果、オーストラリアは他国への輸出拡大を強化する必要に迫られています。それはワインも同じで、資金的なバックアップを貰いやすい状態と思われます。
 
2022年夏ごろ、南オーストラリア州がスポンサーとなり、楽天で南オーストラリアワインのキャンペーンが開催されました。
ワインショップ側としては数百円のクーポンが自己負担なしで提供できるものでしたが、盛り上がる気配を感じられなかったので当店はスルー。少なくともTwitter界隈では話題になっていなかったはずです。
 
しょうもないお金のバラマキではなく、今年もっと消費者を楽しませられるキャンペーンがもし開催されるなら、当店も乗っかっていきたいな~と考えています。
 
 
回りくどくはなりましたが、ワインの流通は国際情勢に大きく左右されます。2022年のボジョレー・ヌーヴォー高騰がいい例でしょう。
グラスに入った1杯のワインは、世界とつながっています。
 
 

ブドウ品種別 2023年初ワイン

 
さらに今度は主要なブドウ品種からも選んでみます。
年始めとは、「今年はどんな年になればいいかな」「どんな年にしたいかな」と考えるいいタイミング。
今年だけでなく向こう数年を見越して、筆者なりのワイン業界のトレンドを予測しながら、初ワインに飲んで面白いワインを紹介していきます。
 
 

2023年 初ソーヴィニヨン・ブラン

 
この「ラブブロック マールボロ ティー ソーヴィニヨンブラン」を取り上げたのは、今後の市場が求めていくワインとはどのようなものなのかという問いかけです。

 
1990年代から2000年代初頭、ワインは画一的になりかけていました。
パーカーポイントで高得点を取るワインが売れる時代だったからです。
 
その振り返しとして、現代にかけて逆方向の動きが見て取れます
例えばABC運動。アメリカで起きた「All But Chardonnay or Cabernet シャルドネとカベルネ以外の何かをくれ!」売りやすいこの2品種に飽きてきた人々が、他のワインを求め始めたのです。
例えばジョージアワインやギリシャワインの流行。レストランでソムリエがお客様を楽しませる方法の一つとして、今まで注目されてこなかった産地を取り上げる。
オレンジワインもその一環と言っていいはず。
そして生産者が盛んに口にする「テロワールを表現する」これも時代として必然の流れでしょう。
 
 
テクノロジーの発展により、我々は様々なワインの情報を得ることができます。一般消費者が日本未入荷の話題のワインについて知ることだってできます。
だからこそ個性の強いワインが求められる。その場所でしか、その生産者でしかつくれないワインがよく売れる。
一方で世界中どこでも作れそうなスタイルのワインは、コンテストなどでは高く評価されない。
 
この流れはもう少し続くと思います。例えばこのワインのような「珍しいタイプ」のワインがたくさんつくられ、輸入される
しかし私は思うのです。こんなタイプのワインを求めている人、どれくらいいる?このラブブロックがつくる「ティー・ソーヴィニヨン・ブラン」を飲んで「美味しかった」と感じた人のうち、リピートしたくなる人はどれくらいいる?(美味しくても次は別のワインを飲みたくなるという意味です)
 
 
流行というのは振り子の針のようなもの。
正常なポジションに収まる前に、何度か行き過ぎるものです
「テロワールを表現するといいながら、大して違いないじゃん」「じゃあこの産地のテロワールって何なの?本当に品種や生産者の個性じゃない?」
やがて奇抜さだけを追いかけて確たる哲学を持たないワイナリーは淘汰されていくでしょう。それが5年後か50年後か。
 
 

2023年 初シラー

 
シラーは主要な黒ブドウ品種ですが、ピノ・ノワールとカベルネ・ソーヴィニヨンの2種と比べたとき、明らかな需要の差を感じています。
明らかにシラー好きのマーケットは小さい。美味しさを知っていながら好んでは買わない人が多い。
 
だからコート・ロティは間違いなく素晴らしいワインではあるけれど、そんなには売れない。
超有名な生産者の数件で、シラー好きにとって十分な供給を満たしてしまう。
 
だからこそ、シラーのイメージを覆すような起爆剤が欲しいんです。その起爆剤となるであろうスタイルは、エレガントシラー。
口当たり軽く、ずっと飲んでいられるような優しい味わいのシラーです。濃厚でエレガントでスケール感のすごい、コート・ロティやバロッサ・ヴァレーとは異なるスタイルです。
 
その有力産地としては、オーストラリアのマーガレット・リヴァーとニュージーランドのホークス・ベイ。それから南アフリカのスワートランドだと考えています。そのどれにも当てはまらず、しかもアルコール度数は高いにも関わらず、優しい口当たりのエレガントシラーでびっくりしたのがこちらの「トローサ シラー エドナ ランチ」です。
 
私は2023年から数年かけて、シラーの流行のスタイルになるのではないかとにらんでいます。
 
 

ワインで2023年をより充実した年に

 
ワインを飲むことに必要性はありません。ただ、楽しんで飲むことは人生にプラスになります
 
 
「ワインは健康にいい」みたいな論説をいくつも目にします。フレンチパラドックスがいい例です。
しかし医学的に証明された効果はあまりなく、アルコール摂取による害と天秤にかけたとき、果たしてプラスになるのかどうか。
少なくとも「ワインを飲めば健康になります」なんて言い切る人は詐欺師か不勉強の残念な人です。
 
しかし、「ワインを好きで楽しんで飲む」これが生きがいの一つになれば、それは精神面の健康にプラスに働くことは間違いないはずです。
簡単に言うと、ワインをうまく使えば人生が豊かになります
 
 
ワインを通して友達が増えた
初めてのワインを飲むのが楽しみ
とっておきのワインをセラーで育てている。それを飲むまでは死ねない
 
2023年、「ワインが好きでよかった」という1年になりますように。
ワインがあなたの人生を豊かにする助けに、ちょっとだけ貢献しますように。
 
 





※投稿に記載しているワインのヴィンテージ・価格は執筆時のものです。現在販売しているものと異なる場合があります。
購入の際は必ず商品ページにてご確認ください。




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