ワインの選び方

【ソムリエが太鼓判】2000円台おすすめ赤ワイン 味のタイプで選べば楽しさ倍増!

2025年1月5日

 
2000円台の赤ワインで毎日の晩酌を充実させるには、味わいのタイプで選び飲み比べるのがコツです。1000円台にも美味しいワインはたくさんありますが、2000円台では風味のバリエーションがぐっと増すのが大きな違いです。好みのタイプにあわせるばかりでなく、いつもと違うタイプにもお気に入りが見つかるかも。違いを知って実際に口と鼻で味わえば、そのワクワクはあなたの生活を豊かにするはずです。
 

8つの味わいタイプで選ぶ!おすすめ赤ワイン12選

 
1000円台の赤ワインに比べると、2000円台の赤ワインは風味のバリエーションが一気に豊かになります。様々なタイプの赤ワインがあるのです。その理由は次の章でお話します。
まずは8つのタイプに分けておすすめワインをご紹介します。
 
自分の好みにあわせて選ぶ
違うタイプを並べて飲んで違いを楽しむ
 
どちらの選び方にも便利に使っていただけるでしょう。
 
 

フルボディで甘濃い系赤ワインのおすすめ

 
当店で最も人気が高いのがこのタイプ。アルコール度数が14%前後と少しだけ高めで、オーク樽熟成に由来する甘く香ばしい風味がハッキリ現れている。もともと力強いタンニンを持つ品種を、それほど渋味が目立たないような醸造をして、口当たりに厚みがありなめらなに仕上げたタイプです。
 
 
当店の売上ランキングでも常に上位に入っている「サブミッション」。これを手掛ける689セラーズの味づくりは方向性が明白で、ワイン通ではなく一般大衆受けを狙った親しみやすい味づくり。オーク樽の甘い風味だけでなく、おそらくほんの少し糖分を残して発酵させています。それが渋味の目立たないフルーティーでまろやかな味わいにつながっているのでしょう。どっしり濃厚で、飲みやすいのに少量でも「飲みごたえ」」を感じます。
「関節技」という変わったネーミングのとおり、好みにバチっとはまれば抜け出せなくなるかもしれません。
 
 
この「アウスト」を手掛ける「チェヴィコ」という生産者は、イタリア有数の大規模生産者。ここもまた、分かりやすく覚えやすい、美味しいワインを目指しているようです。
シンプルなエチケットながら工夫を凝らしたボトルゆえに、スーパーの棚に並ぶたくさんのワインの中でも目立つ。嫌われにくい渋味を抑えた赤ワインで、フルーティーでしなやかな口当たりながら、低いながらも適度な酸味が全体をうまくまとめています。
マーケティングにより人々が求める味に合わせていきている。そんな意図を感じるがゆえ、驚きはなくとも安くて美味しいワインです。
 
 

フルボディで力強い系赤ワインのおすすめ

 
先ほどと同様アルコール度数は高め。加えてしっかりと口内を刺激するタンニンを持つため、「力強い」という印象を受けるタイプの赤ワインです。
 
 
タンニンは酸化防止剤の働きもします。ゆえに先ほどのワインと同様にボリューム豊かでアルコール高めながら、3日目、4日目にも風味が落ちにくい性質があります。むしろ時間が経過した方が渋味や酸味が丸い印象になって親しみやすいこともあり得ます。
ファンヒルはスペインの大規模優良生産者の大御所。各地にワイナリーを所有していて、「ファンヒル」ブランドは主力中の主力。中でもこの「シルバーラベル」が定番で、輸入元の営業さんは、「勝手に売れていくありがたいワイン」と述べていました。
 
適度に渋味があるからこそ、自然と1口1口の間隔が開いて飲むペースが早くなりすぎない。ワインを楽しみつつも平日の飲酒量をセーブしたい人にはもってこいです。
 
 

パワフル&まろやかな赤ワインのおすすめ

 
このタイプは1000円台にもたくさんある果実味主体のタイプ。あふれんばかりのフルーツ感と、低い酸味・渋味が特徴。比べるなら純粋にその密度が上がります。
 
 
価格に対していかにガツンと濃い味わいを感じさせてくれるか。バスケットボールの「スラムダンク」のインパクトをイメージしてつくられたこのワインは、まさに「ガツンと濃い!」
渋味が強くなりやすいプティ・シラーという品種を使っていながら、しっとりなめらかな仕上がり。アルコールも強めのパワフルな味わいです。
 
この甘やかな風味を「苦手」と感じる人も一定数います。もしこのワインをものすごく気に入っても、好みの分からない相手へのプレゼントには不向きでしょう。それくらいとんがった個性的なワインということです。
 
 

力強く上品な赤ワインのおすすめ

 
「肉には赤ワイン」に限らず、一番フードペアリングの幅が広いと言えるのが、この力強く上品なタイプ。タンニンがほどよくあるので「力強い」としていますが、価格帯ゆえ高級ボルドーワインほどではありません。「細身で引き締まった」という方が正確でしょう。
 
産地の気候条件ゆえに、あるいは生産者の理想とするワインのスタイルゆえに、完熟フルーツの甘い風味は控えめなスタイルです。
 
 
試飲会で飲んで価格にビックリしたのがこのワイン。カベルネ・ソーヴィニヨン主体ゆえの優雅な酸味とち密なタンニンを持ちます。余韻には樽熟成に由来するローストの風味が豊かに広がるのが魅力。その複雑さゆえにもうちょっと高い値段を予想しました。5000円前後でも不思議ではない!
 
 
これまたカベルネ・ソーヴィニヨンの上品さを上手く表現したワインで、先ほどの「サブミッション」の甘濃さとは対照的。「端正」という言葉が似あいそうです。
「バランスが良い」と言ってしまえばそれまでなのですが、果実味の凝縮感がありつつ、タンニンも酸味も突出せずほどよく感じる。そしてそれがヴィンテージによってあまりブレない。とても安心感があるので、定番ラインナップとして使いやすいワインでしょう。
 
 

渋くなくて軽く上品な赤ワインのおすすめ

 
味わいのタイプとしては人気なのに、1000円台ではなかなかお気に入りを見つけにくいのがこのタイプ。渋味が少なく高めの酸味があり、パワフルさより繊細さを大事にしています。だからスイスイ飲めてしまうし、あまり構えなくていい。そのあたりが人気の理由でしょう。
その特徴にピッタリ当てはまるピノ・ノワールという品種が、手頃で高品質なワインをつくるのに向かないのが、1000円台で見つけにくい理由です。2000円台ですらイマイチなワインも多い中で、ひと際優秀なのがこの「テ・テラ」です。
 
 
ピノ・ノワールの中ではピュアにフルーツ感があらわれているスタイルです。複雑な風味はありませんが、気難しさがなく明るい雰囲気。ワインの平均価格が結構高めのエリアでこの値段は驚きです。マーティンボローという産地の中では老舗生産者なので、それゆえのコスパの高さでしょうか。
これまで何度もエチケットデザインが変わっているので、昔のラベルを見れば「そういえば飲んだことあったかも」という方も多いかもしれません。
 
手頃なピノ・ノワールはこちらの記事もご参考に▼
   
 
ピノ・ノワールほど高く美しい酸味は出ませんが、それ以外の要素ならグルナッシュでも表現できます。力強さよりも上品な飲み心地を強調した、さらっと流れるような味わい。みずみずしいフルーツ感が口の中にあふれますが、口当たりは軽やかでやさしいものです。
2000円台ローヌの赤ワインはパワフルなものが多い中で、全く逆を行くのが面白いワインです。
 
 

熟成のうま味を感じる赤ワインのおすすめ

 
「安いワインは熟成しない」と言い切るのは間違い。確かに多くのワインはリリースしたときが飲み頃のピークです。しかし品種やつくり方、そして生産者の目指すスタイルによっては、10年程度をかけて美味しくなっていくものもあります。
 
 
このレッチャイアはまさにそうで、長熟タイプのワインをつくりやすいサンジョヴェーゼの良さを、ワイナリーで熟成してからリリースすることで存分に表現しています
赤ワインが熟成して大きく変化するのはタンニン。もともとタンニンが穏やかな若いワインと、豊富なタンニンが熟成でまろやかになったものは、感じ方が大きく違います。その優雅な口当たりは、フルボディで甘濃い系と比べてみると違いが明白でしょう。
 
 

しっとり甘い赤ワインのおすすめ

 
赤ワインは完全発酵、つまりブドウの持つ糖分が無くなるまで発酵させてつくるのがスタンダードです。白ワインほど「辛口/甘口」の区別がされないのはそのためで、赤ワインの甘口というのはそう多くはありません。
 
しかし甘口の赤ワインを求めて来店されるお客様は一定数おられます。なので当店も数種類ご用意しています。
 
 
甘味とタンニンの刺激はあまり相性が良くありません。なので甘口赤ワインは良く熟してもタンニンの穏やかな品種でつくられることが多く、ドイツのドルンフェルダーはその典型です。
黒く熟したベリーのような果実味と、チョコレートのような香ばしい風味と甘味。酸味も控えめでほっとするようなまろやかさです。
 
 

珍しくて面白い赤ワインのおすすめ

 
2000円台のワインでは、1000円台にはないようなちょっと珍しいタイプのワインも見つかります。マイナーな土着品種といっても、好んで飲む人はある程度はいるから、今でもつくり続けられるのです。
いつもの晩酌ワインが似たり寄ったりに感じてきてしまった。あるいはあと1本のついで買いに面白いものが欲しいとき。ちょっと珍しいワインに手を出してみてはいかがでしょうか。
 
 
発酵後にオーク樽熟成を行う赤ワインは多いですが、このワインはそのオーク樽が少し変わっています。バーボンウイスキーを熟成したあとのオーク樽を使うのです。
味わいの傾向は「フルボディで甘濃い系赤ワイン」に近いもの。
オーク樽に染み込んだバーボンウイスキーの香ばしい香りがあわさって、非常に豊かで複雑な風味に。その風味に負けないよう、ブドウは成熟をしっかり待って収穫しているのでしょう。プルーンのようなよく熟した風味があり、酸味や渋味は比較的穏やかです。
 
 
 
こういう面白いワインが見つかるのがイタリアワインの魅力の一つ。「アックイ」という品種は伝統的にやや甘口の赤の微発泡ワイン「ブラケット・ダックイ」に使われてきました。それをあえて辛口のスティルワインに仕上げたのがこちら。
味わいのバランスで言うと「渋くなくて軽く上品な赤ワイン」。華やかな香りと軽快な口当たりが素晴らしく、ついつい飲みすぎてしまいそうです。
 
 

2000円台赤ワインの魅力とは!飲み比べが楽しい多彩なタイプ

 
2000円台の赤ワインを1000円台と比較したとき、一番違うのはタイプの多様さだと考えます
今回は8種類のタイプに分けてご紹介しました。1000円台のワインならこれほど明確には分けられません。
その理由を、値段によって異なる赤ワインの味の違いと合わせてご紹介します。
 
その大きな理由は次の2つです。
醸造オプションの制約が少なくなる
必ずしも超大量に売れなくてもいい
 
 

一般に価格が上がると味はどう変わる?

 
一般論として赤ワインの風味は価格の上昇とともにこう変わります。
 
 

高価なワインの風味

  • 香りのボリュームが増す
  • 香りの複雑さが増す
  • 風味の凝縮感が高まる
  • 酸味が高くなる(例外多い)
  • 渋味が強くなる(同じ品種内で)
  • 余韻がより長くなる

 
  
おおよそ5万円くらいのワインまでは、この法則が当てはまるのではないでしょうか。
1000円台と2000円台の赤ワインを比べたときにも、大まかな傾向と言えるはずです。
 
 

価格による風味変化は連続的

 
上記の「高いワインの味」は連続的に変化します。急に大きく変わるわけではないということです。
1900円のワインと2100円のワインはそう大きな違いがあるわけではありません。販売店の値付けやそのワインのコスパ感によって、容易にひっくり返るくらいの差です。あくまで平均値として高そうな味になっていくだけです。
そして3000円台、4000円台と価格が上がるほどその傾向は増しますが、突然大きく変わることはあまりありません。
 
 
だから先述の価格による違いの傾向というのは、「言われてみれば感じるな~」だったり、100本比較して明確になるもの。1本ずつ飲み比べて「なるほど!」となるものではないでしょう。
 
それよりより顕著な違い。それは2000円台のワインは味わいのタイプがぐっと多様になることだと感じています。
 
 

2000円のワインといっても原価は・・・

 
そのもそも2000円のワインをつくるのにかけられるコストはかなり限られます
 
あなたが2000円払って購入するワイン。それは当然ワイナリーの出し値ではありません。
まず消費税が約180円、そして酒税が75円。関税は国によって異なりますが、EU圏のワインなら0円です。 
スーパーやワインショップで買うワインなら、その価格に小売店の販売コストと利益が含まれます。
さらにそれが輸入ワインなら、小売店の原価の中に輸入元の輸送・販売コストと利益が含まれます。
生産国にて輸出業者が間に入る場合もあります。
 
 
これらのパーセンテージは非公開ですが、決して割合は少なくありません。というのも安いワインも高いワインもだいたい同じ金額で必要となるからです。
2000円のワインといってもワイナリーが手にする価格は数分の1。純粋なワインの製造コストはそれよりさらに低いのです。
 
 

コストの制約を受ける醸造法

 
妥協なく高品質なワインをつくろうとすれば、一定のコストは絶対必要です。
だいたい2000円以下のワインはその制約が特に厳しい。選択できる醸造オプションが限られるケースも少なくありません
 
 
分かりやすいのが新樽による熟成。
標準的なサイズのオークの新樽は、1樽9万円ほどするそうです。それで300本分のワインが熟成できます。
単純計算するなら1本あたり300円です。これが原価に対してかかってくるのです。
2000円以下のワインに新樽100%のオーク樽熟成は、コスト的になかなか難しいことが想像できるでしょう
 
もちろんオーク樽は1回使って捨てるわけじゃないので、2年目以降の使用をどう計算するかはワイナリー次第。オーク樽の価格もいろいろです。それに新樽100%熟成が必ずしも優れているわけではありません。ただ「ワインの価格設定ゆえに選択できない醸造法がある」というのを知っていただきたいのです。
 
 
他にも「安いワインには手作業による選果の手間はかけられない」「凝縮度を補い収量効率を上げるべくしっかりと果汁を絞る」など、コストを考えるゆえの選択が考えられます。
 
 

2000円台ならできることが増える

 
醸造オプションの制約は、2000円台のワインになるとある程度ゆるくなるのではと考えます。特に2000円以下のワインと比べるなら。
コストのかかる醸造オプションができるのは、生産量の多い大手くらいでしょうが、それでも自由度は広がります。今回ご紹介したバーボン樽で熟成したカベルネ・ソーヴィニヨンというのは、1000円台で実現するのは難しいかもしれません。
 
この醸造オプションが増えることが、ワインの味わいのタイプをより様々なものにしている理由の一つです。
 
 

2000円以下は大量生産品

 
超大量につくるということは、超大量に販売しないといけないことを意味します。
だから大量生産ワインは多くの人に「好かれる」というより「嫌われない」味にすることが必要です。ワイン専門店だけでなく様々なチャネルで販売しないといけないので、説明なしに売れてほしい。だから有名な国際品種のワインが有利です。ワインショップだけで売っていてはダメで、スーパーや量販店の棚に並ぶ必要があるのです。
結果として日本で1000円以下で販売されるワインの種類は、1000~2000円に比べてかなり少ないです。
 
 
1000円台のワインにしても、安かろう悪かろうではなくそれなりの品質でつくるためには、スケールメリットを活かした大量生産が必須です。ほとんどの場合、自社畑だけでなく契約農家からブドウを購入することで、安定した生産を可能にしています。
 
 

2000円台はスケールメリットが必須ではない

 
それに対して2000円台のワインの中には、「これはワイン好きにしか売れないよね」というものがちらほら増えてきます。1000円台に比べると、その銘柄が超大量に売れなくても採算がとれるのです。
たいていはワイナリー規模自体は大きなところがつくるラインナップの一つとして。カベルネ・ソーヴィニヨンやシャルドネといった大量販売が見込めるワインのついでにつくられています。
だからこそ2000円台でそれなりの数の売り上げであっても、十分採算がとれるのでしょう。
 
珍しい品種やタイプのワインがいろいろ選択肢に入ります。個性的なワインが多いので、いろいろなワインを飲み比べるのが好きな人にはより楽しいでしょう。
 
 

あまり余韻には期待せずに

 
とはいえ妥協なくこだわったつくりはできません。単位面積あたりの収穫量はある程度の量が必要で、きっちり収量制限を行ったワインはちょっと高望み。特にブドウ自体の品質はあまり贅沢は言えません。
だからやっぱり3000円台になるともっと品質は上がります。
 
 
私見ながらブドウの品質は余韻の長さに現れやすいのではと考えます。だから2000円台のワインでそう長い余韻は期待しない方がいいでしょう。
飲みこんだ後も心地よい風味に浸るのは、特別な日に飲む5000円以上のワインに期待しましょう。
 
 

好みとは違うワインでワクワクを

 
ワインを選ぶとき、自分の好きなタイプのワインを選ぶのが基本です。過去に飲んで美味しいと感じた銘柄。それと似たものを選べば、失敗の確立は低いでしょう。
 
ただし「好きなタイプを選ぶ」と「苦手なタイプを選ばない」は異なります
嫌いな味のワインを無理に飲む必要は一切ありません。でもあなたがまだ認識していない、あるいは詳しく知らないタイプのワインはきっとあります。試してみればそのタイプをもっと気に入るかもしれません。
なにせワインはこのように多様で、しかも飲んでいるうちにあなたの好みも変化するからです。
 
 
お気に入りのワインを飲み続けるのは、確実性があって安心でしょう。でもせっかくワインはこんなに種類があるのです。2000円台の赤ワインに限っても、何千種類と流通しています。
今度ワインを買う際には、好きなタイプのワインのついでに、今まであまり体験してこなかったタイプのワインを試してみませんか?それが口に合っても合わなくても、その違いを感じることは楽しく感じるはず。
 
そうなれば次にワインを買うのが楽しみになる。届いたワインを飲むのが楽しくなる。晩酌で次のワインを開けるのが楽しみになって、楽しみなことがあるあなたの人生はより充実したものとなるはずです。





※投稿に記載しているワインのヴィンテージ・価格は執筆時のものです。現在販売しているものと異なる場合があります。
購入の際は必ず商品ページにてご確認ください。




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