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「緑のワイン」って知っている?微発泡のポルトガルワイン『ヴィーニョ・ヴェルデ』とは

2025年5月25日

ヴィーニョ・ヴェルデとは|夏にピッタリなその魅力と今飲むべきおすすめワイン
 
爽やかなワインが恋しくなる夏におすすめなのが、ポルトガル生まれの「ヴィーニョ・ヴェルデ」。微発泡のやさしい刺激とキレのある酸味で、ゴクゴクと飲みたくなる爽やかさです。今回はその魅力と味わいを、ワイン初心者にもわかりやすくご紹介。スッキリおいしいヴィーニョ・ヴェルデで、暑い夏を心地よく乗り切りましょう。
 

ヴィーニョ・ヴェルデとは?爽やかな味わいのひみつと、その魅力

 
ヴィーニョ・ヴェルデとは、ポルトガル北部のミーニョ地方でつくられる伝統的なワインのこと。少し甘味のある白の微発泡ワインが一般的です。
爽やかな酸味とアルコール度数低めの軽やかな味わいで、夏にピッタリです。
 

ヴィーニョ・ヴェルデの典型的な味わい

  • アロマはシトラス系や白い花を思わせるものだが、さほど強くない
  • フレッシュな酸味のある軽い口当たり
  • スパークリングワインとは言えない程度のやわらかなプチプチ感
  • ほんのり甘味を感じるものが多い
  • 少し低いアルコール度数ゆえ、スルスル飲めてしまう

 

 
 

「ヴィーニョ・ヴェルデ」とはどういう意味?

 
「ヴィーニョ・ヴェルデ」とは、ポルトガル語で「緑のワイン」という意味です。
ただし、色が緑というわけではありません。「緑」とは“若さ”や“フレッシュさ”を象徴する言葉で、熟成させずに若いうちに飲むスタイルのワインであることから名づけられました
熟成させずに若いうちに消費すべき、フレッシュなワインなのです。
 
 
このスタイルは、その土地の気候や文化にも深く根ざしています。
大西洋に面して温暖で雨の多いポルトガル北部では、酸がしっかり残るフレッシュなブドウが育ちやすいです。逆にどっしり濃厚なワインはできません。自然とそうした若々しい味わいが主流となったのです。加えて日常的にワインを楽しむ食文化が根づいているため、肩肘張らずに気軽に飲めるスタイルが求められていたのです。
 
 

ヴィーニョ・ヴェルデが日本に広まったきっかけ

 
ヴィーニョ・ヴェルデは、基本的には地元消費用のワイン。
熟成させずにポルトガル国内ですぐに消費されていました。
 

愛・地球博HPより掲載

 
日本に初めて輸入されたのは2005年。
愛知県で開催された「愛・地球博」において、ポルトガルのブースでお披露目されたのが最初だそうです
 
現地で消費されているものは、まさに日常消費用の安いヴィーニョ・ヴェルデが中心。
しかしわざわざ日本までコストをかけて運ぶのですから、当然それなりに良いヴィーニョ・ヴェルデを選びます。
果たして、日本に輸入されてきたものは価格に比して美味しいものが多く、ヴィーニョ・ヴェルデの人気は一気に高まっていったのでした。
 
 

白だけじゃない?実は多彩なヴィーニョ・ヴェルデのスタイル

 
「ヴィーニョ・ヴェルデ=白ワイン」というイメージが強いかもしれませんが、実は赤ワインやロゼワイン、スパークリングワインも存在します
 
 
ヴィーニョ・ヴェルデをつくることのできるブドウ品種はなんと45種類もあります。
有名なのはアルバリーニョで、高級品種に位置付けられます。そのほかロウレイロやトレイジャドゥーラ、アリントなどはよく見かけます。とはいえポルトガルにしかない土着品種がほとんどなうえ、たいていはブレンドされます。「この品種だからこういう味わい」という選び方ができないので、品種名を気にしなくていいでしょう。
 
今回は典型的なヴィーニョ・ヴェルデだけを紹介しますが、「ヴィーニョ・ヴェルデにも実はいろいろある」ってことを頭の片隅に入れておいていただけると幸いです。
 

微発泡と低アルコールがもたらす“軽やかさ”

 
ヴィーニョ・ヴェルデの飲みやすさの理由は、その“軽やかさ”にあります
まず注目したいのが、アルコール度数の低さ。一般的な白ワインが13%前後であるのに対し、ヴィーニョ・ヴェルデは9〜11%程度と控えめ。これにより、飲み疲れしにくく、昼間でも気負わず楽しめるワインとして親しまれています。
暑い夏は濃厚な味わいの食べ物・飲み物を敬遠しがち。軽やかなヴィーニョ・ヴェルデが心地よく感じる理由です。
 
 
ほのかな「微発泡」もこのワインの特徴のひとつ。
これは瓶詰め時に残った二酸化炭素や、後から加えた微量の炭酸によるもので、口に含んだときにピリッとした刺激が感じられます。爽やかな酸味との相乗効果で清涼感のある飲み心地を生み出してくれます
 
ヴィーニョ・ヴェルデの味わいは、暑い季節やリラックスした時間にぴったりの“軽やかな一杯”。まるで炭酸水のような心地よさでゴクゴク味わえます。
高価なワインをゴクゴク飲むのはもったいないですが、ヴィーニョ・ヴェルデのほとんどは手頃な価格。難しいことを考えず、気軽にグビっと味わうのが正解です。
 
 

今飲むならこれ!おすすめヴィーニョ・ヴェルデ8選

 
いくつものヴィーニョ・ヴェルデがある中で、自分好みの1本を選ぶポイントは、甘味と価格です
甘味がある方がよりフルーティーでアルコール度数が低く親しみやすい印象、辛口寄りの方が爽やかで後味のキレがいいです。
価格とともにブドウの質が上がればよりクリーンな味わいです。安さを優先するなら少し雑味が気になるかもしれませんが、感じ方は個人差があります。
 
どれも手を出しやすい価格なので、まずはいろいろ試してみて、お気に入りをリピートするのをおすすめします。
 
 

魅力的な価格で少々のことは許せる!

やや甘口

 
当店最安値のヴィーニョ・ヴェルデ。正直なところ、少し感じる味わいの粗さを甘味で誤魔化している感じはあります。ただそれも、よくよく冷やして飲んだり料理と合わせて楽しむなどすれば、それほど目立つものではありません。難しいこと考えずにグビグビ飲むべし!
 
 

背伸びせずコンパクトに

やや甘口

 
さきほどの「プルマ」との価格差はわずかながら、こちらの方がよりクリーンな味わいにまとまっています。無理に高そうなワインに見せようとするのではなく、大量生産品として背伸びしないカジュアルな味わいを目指している印象。
あまりワインに力を入れていない居酒屋で、これをボトルで飲めたら面白そうだなって考えます。
 
 

水分求める夏に低アルコールの心地よさ

やや甘口

 
今回ご紹介しているヴィーニョ・ヴェルデの中でも、特にアルコール度数の低い9.5%(ロットにより異なる可能性あり)。通常の白ワインと比べても軽快さが目立ちます。
汗で水分を多く失う夏は、アルコール度数が低くて薄いくらいのものがむしろうまい!栓を開けたら止まりません。
 
 

辛口寄りでミネラル感際立つ!

やや辛口

 
ここまでの3本に比べると残糖少な目、辛口寄りの味わいに仕上げられたヴィーニョ・ヴェルデ。甘味が控えられている効果か、海風のようなミネラルの風味をより強く感じます。かんきつ系のアロマとともに、気分をリフレッシュしてくれるような爽やかさです。
 
 

フルーティーで少しリッチ?

やや辛口

 
今回ご紹介するヴィーニョ・ヴェルデの中では、特に果実味に凝縮感がある印象。さらっと軽いというよりは、きちんと味わいの骨格を感じます。ブドウの熟度が他よりも高めなのでしょうか。
何人もでシェアして飲むときにうれしいリッチさです。
 
 

翌日以降、泡がなくても美味しい!

やや辛口

 
ヴィーニョ・ヴェルデの炭酸は発酵時の溶存か炭酸ガスの注入なので、一般的なスパークリングワインより泡が抜けやすいです。半分も飲んで冷蔵庫で保管したなら、翌日にはほぼ泡がないでしょう。それで甘味が強く感じすぎるものも多いですが、こちらは結構辛口寄りなのでバランスが崩れません。翌日にはわずかに甘味を感じる爽やかな白ワインとして楽しめます
 
 

アルバリーニョの気品あるキレ

やや辛口 アルバリーニョ100%

 
ヴィーニョ・ヴェルデの中でも一つ上級に位置づけられるアルバリーニョ100%。ほぼ完全な辛口で、この品種らしい骨太な酸味と力強い果実味が味わえます。これならヘルシーで軽めな料理のみならず、しっかり肉料理でスタミナをつけたいときもGood!油脂を切る効果もあり、食欲増進効果も期待できます。
 
 

少量生産の本格派

辛口

 
ヴィーニョ・ヴェルデは比較的生産規模の大きなワイナリーが多いそうです。そのなかでこのキンタ・ド・エルミジウは畑面積15haと小さ目。それだけ少量のワインを丁寧につくっているということです。
その効果か味わいのクリーンさは随一。ワインだけでも心地よく飲み続けられる、ストレスフリーな透明感です。
 
 

どう楽しむ?ヴィーニョ・ヴェルデをもっと美味しく味わうコツ

 
ヴィーニョ・ヴェルデを味わうときは、他のワインほど神経質になる必要はありません。冷蔵庫で冷やして気軽に楽しめばOK。
その上でより美味しく味わうための提案をご紹介します。
 

温度はキンキンに!ワイングラスでなくともOK

 
ヴィーニョ・ヴェルデは、しっかり冷やすことで本来の魅力が引き立ちます。おすすめの飲用温度は7℃以下。冷蔵庫の中でも、冷気の吹き出し口近くのよく冷えるところに保管してください。
ヴィーニョ・ヴェルデの魅力はフレッシュな酸味と炭酸の刺激。よく冷やすことでその爽快感が際立ちます。逆に温度が上がると酸が丸くなり甘味が目立ってしまうかも。
 
 
爽やかでフルーティーな香りは、それほど豊かには広がりません。キンキンに冷やすと香りが閉じがちですが、もともと香りが魅力のワインではないので構わないでしょう。
なのでもしワイングラスがない場合、コップや普通のグラスで飲んでも、それほど違いは感じないでしょう。「ワインはワイングラスで飲まないともったいない!」ということは、ヴィーニョ・ヴェルデに関してはあまりないかもしれません。
 
 

シーンで選ぶ楽しみ方|昼飲み、アウトドア、お風呂上がりにも!

 
ランチにお酒を飲みたいけれど、後の予定のためにあまり酔っ払いたくない!そんなときにはヴィーニョ・ヴェルデの軽いアルコール度数がうれしい。軽やかな味わいも、明るいうちから飲む気分に合っています。
 
アウトドアにも活躍します。プラカップでもあまりその魅力が損なわれないので、食器が限られるシチュエーションに強いからです。
屋外で飲むのにあまり高価なワインはもったいないので、ヴィーニョ・ヴェルデの手頃な価格はピッタリです。
 
 
上質なヴィーニョ・ヴェルデには、海風のようなミネラルの風味があります。夏の汗をかいた身体には、そのミネラルの風味を持つワインはじわっと染み込むように感じます。暑い夏のお風呂上りには、より一層美味しく感じるでしょう。
 
 

飲み方の新提案!ヴィーニョ・ヴェルデのスプリッツァー

 
ヴィーニョ・ヴェルデの炭酸割りもおすすめです
 
他の白ワインに比べて低いとはいえ、ヴィーニョ・ヴェルデのアルコール度数は11%前後。ビールやチューハイに比べたら高めです。
そこで提案が白ワインを炭酸で割る「スプリッツァー」というカクテルにすること。割合はお好みに合わせてで、例えば半々で割れば5%前後です。
 
 
飲み会でなくとも「最初の一杯はビール」を好む人が多いのは、アルコールが低くグビグビ飲めるというのもあるでしょう。のどの渇きを潤すようにです。
なので1杯目はヴィーニョ・ヴェルデを炭酸で割ってグイっと飲む。その後は割らずにそのまま味わうという2通りの味わい方もできます。
 
あるいは翌日に持ち越して炭酸が抜けてしまったヴィーニョ・ヴェルデを、スプリッツァーで再びシュワシュワさせるのもいいでしょう
 
 

魚介料理と相性抜群!

 
ポルトガルはヨーロッパでも特に魚介消費量が多い国。ヴィーニョ・ヴェルデの地域でもたくさん食べられます。
それもあってかヴィーニョ・ヴェルデの味わいはさっぱりとした魚介料理と抜群の相性です
 
 
例えば「タコのガリシア風」や魚のカルパッチョのような、塩とオリーブオイルで味付けたもの。そんなに気取らなくても、スーパーで買ってきた刺身をわさび醤油ではなく、塩とオイルで食べればいいのです。
ドレッシングにもよりますが、冷しゃぶのサラダなども美味しいはずです。野菜が入って味わいが軽くなることで、ヴィーニョ・ヴェルデの軽快さにバランスがとれます。
 
逆にガッツリとした牛肉料理や濃厚なクリームソースをつかったものには、味わいが負けてしまうでしょう。
 
ヴィーニョ・ヴェルデはその味わいだけでなく、夏の食卓にピッタリなのです。
 
 

夏にヴィーニョ・ヴェルデがおすすめな理由

 
ここまでご紹介してきたように、ヴィーニョ・ヴェルデは暑い季節にピッタリです。
 
○爽やかな香りと酸味
○炭酸によるやさしい刺激
○低めのアルコールによる軽やかさ
○魚介料理との相性の良さ
○ワイングラス必須でないことからアウトドアに便利

 
これらは白のヴィーニョ・ヴェルデに共通することですが、やっぱり飲み比べれば銘柄ごとに味の違いはあります。
この夏いろいろなヴィーニョ・ヴェルデを飲んでみて、あなたのお気に入りを見つけませんか?
 





※投稿に記載しているワインのヴィンテージ・価格は執筆時のものです。現在販売しているものと異なる場合があります。
購入の際は必ず商品ページにてご確認ください。




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