ワインのできるところ

ポートワインだけじゃない!世界遺産認定の銘醸地ドウロには高品質ワインがいっぱい!

2021年9月10日

 
世界最古のブランド産地。フランスでもイタリアでもなく、実はポルトガルにあります。
ユネスコの世界遺産にも登録されている銘醸地「ドウロ」。
ポートワインだけでなく赤ワイン白ワインも美味しい。それがあまりにも知られていない。もったいない!
ただ古いだけじゃない、ドウロの魅力をご紹介します。
 
 

ユネスコ世界文化遺産 ドウロ渓谷

 
まずはこの写真をご覧ください。
 
 
ポルトガルの沿岸、やや北よりにある都市「ポルト」から、ドウロ川を遡った内陸部に見られるブドウ畑です。
この「アルト・ドウロ・ワイン生産地域」は、2000年からユネスコの世界文化遺産に登録されています。
 
整然と整えられたテラス状の段々畑は、確かに世界遺産に相応しい美しさがあります。しかしこの斜面の畑で働きたいかと聞かれたら、首を横に振る方がほとんどでしょう。
どうしてこんな大変な場所でブドウを育てるのか。もちろん、それが良質なワインにつながるからです。
 
 

ラインガウと比較して

 
同じように急斜面に畑がつくられるワイン産地としては、ドイツのラインガウやモーゼル地方が有名です。
 
 
違いは畝の向き。
ドイツでは斜面に沿う方向、等高線に対して垂直にワイヤーを張って畝をつくります。
畑仕事はこの斜面を上り下りしながら行います。
 
それに対してドウロでは、等高線に沿って石垣をつくって階段状にする、いわゆるテラス状のブドウ畑です。
このような畑は、オーストリアのヴァッハウ地方でも見られます。
 
 

テラス状の畑のメリット

 
テラス状の畑を築く理由。それは水と土壌保持です。
 
ドウロ地方、内陸部に入るほど特に夏は雨が少なくなります。
そんな気候のもと、限られた雨水をしっかり蓄えることは重要です。
 
 
ドイツの畑のように斜面になっていては、降った雨の多くは表面を流れて川に注いでしまいます。土壌に染み込みません。
冷涼なドイツでは、自然に蒸発する水も少ないので、それくらいでちょうどいい。水が少なくてもいいリースリング種は、その環境で凝縮したブドウとなります。
しかし温暖なドウロでは、渇水になってしまう恐れがある。
 
テラス状の畑はその点、適度に雨水を蓄えることができます。
さらに、雨水が表土の細かな土を洗い流してしまうのを防ぐことができます。これは畑環境の維持につながります。
 
 

膨大な手作業の産物

 
斜面の上から下まで所狭しと築かれているテラス状の畑。
これだけの急斜面、重機を入れての開墾はできません。
 
 
そうなると畑を切り拓くのは全て手作業です。
テラスの石垣の材料を運ぶところから、長い年月をかけて今の形となってきた。
それがユネスコ世界遺産に登録される、ドウロのワイン畑なのです。
 
 

世界初の原産地呼称制度

 
世界で最初にワイン産地としてブランドとなった場所。それがドウロです。
そのドウロの歴史を語るうえで欠かせないキーワードが2つ。それは「ポートワイン」と消費地としての「イギリス」です。
 
 

ポートワインとは

 
ドウロ地方でとれるブドウからつくられる酒精強化ワインを「ポートワイン」と呼びます。
ブドウの産地はドウロであるものの、川を下った都市ポルト(ポート)で熟成され、その港から出荷されるからです。
 
 
酒精強化ワインとは、ブランデーなどの蒸留酒を加えてつくるワインのこと。シェリー酒やマデイラ酒などがポートワインとともにその代表格です。
「フォーティファイドワイン」とも呼ばれ、広い意味でのワインの一種です。
 
その昔、甘味が貴重だった時代には甘口のワインが好まれました。
しかし産地から船で何か月もかけて海を渡る間に、保管する樽の中で発酵が進んで好ましくないものになってしまいます。酵母の栄養源である糖分が残った甘口ワインは特にそうです。
そこで保存性を高めるために強いアルコールを加えてつくられたのが、酒精強化ワインでした。
 
(ポートワインについてはいずれ特集を組む予定です)
 
 

一大市場 イギリス

 
14世紀初頭、イギリスとフランスの間で百年戦争が始まったあたりから、ボルドーワインはイギリス市場をほぼ独占します。
 
 
300年にもわたるその特権的な販売は、17世紀終盤に第2次百年戦争が始まることによって、終わりを告げます。
 
ボルドーワインに代わってイギリスの市場を支配したのが、ドウロでつくられるポルトガルワインでした。
その評価は高く、イギリス以外からの需要も高まっていったことで、ポートワインの取引価格が上がります。
そこで問題になったのが、粗悪品・偽物・類似品でした。
 
 

原産地呼称の始まり

 
金儲けのチャンスには飛びつくのが人の性。
ポートワインが高く売れるなら、生産者の中には質を落としてでも量をつくろうとする者も現れます。
さらに、ドウロ以外の地域でもポートワインの手法を真似て甘口の酒精強化ワインをつくり、「ポートワイン」として売る者も現れました。
 
それでは本来の生産者も消費者も困ります。
 
そこで立ち上がったのがポンバル侯爵。
 
 
彼はワインの会社を設立し、ポートワインの生産地域を定めることで、質を保ったといいます。
「ポンバル侯爵の会社が輸入してきたポートワインは、ドウロでつくられる本物だ」それが保証されたのです。
 
これが世界で初めて原産地呼称として産地が明記された事例だと言います。
 
(これだけ読むと素晴らしい功績のある人物みたいですが、Wilipediaによると実はなかなか・・・)
 
 

原産地呼称とは

 
原産地呼称とはなにか。簡単に言うとワイン産地の『ブランド』です。
 
『神戸牛』と聞くと、多くの人が「美味しそう」「高価だろうな」という印象を持つと思います。
これがブランドです。
そのブランド価値を保つため、他の地域で育てた牛を勝手に「神戸牛」と言って売ることは許されません。
その代わり、神戸牛の生産者はその名を名乗るための決まりを守ります。
 
 
ワインの産地も同じです。
とかくワインはどこで穫れたブドウかで味わいが大きく変わる飲み物
ヨーロッパの有名産地は、その産地名と許可されるブドウ品種や栽培・醸造法がセットで決められています。
同時に他の地域でその名称を使うことは出来なくなります。
だからこそ、消費者は産地のブランドからワインの味わいを想像できる
 
これが原産地呼称保護制度の考え方です。
 
ポートワインについては、EU域内ではその名称が完璧に保護されます。
しかしそれ以外の地域ではその協定が結ばれていません。
なのでアメリカ産やオーストラリア産の「ポートワイン」が今もつくられているといいます。
サントリーさんの「赤玉スイートワイン」が、その昔は「赤玉ポートワイン」として売られていたのもその一例です。
 

AKADAMA sweet wine poster.jpg
KATAOKA, Toshiro (1882 - 1945) of Suntory - KITAHARA, Teruhisa's collection, パブリック・ドメイン, リンクによる

 

 
 

古くからの銘醸地であるゆえに

 
ポートワインが、ドウロという産地が著名になったのは、現在の有名産地より200年以上前の話です。
当時はブルゴーニュなんて田舎の産地の一つでした。
ナパ・ヴァレーにブドウがもたらされるより前の話です。
ボルドーのメドック地区なんて、当時は湿地帯であり、農地ですらありませんでした。
 
そんな時代からワインをつくってきた古い銘醸地であることは、今のワインにもメリットがあります。
 
 

高い樹齢

 
歴史ある産地であること。そのほかいくつかの要因が相まって、ドウロには樹齢100年を超えるような非常に古い樹がたくさんあります
 
効率的にワイン生産をすることを考えた際、ブドウの樹の寿命は30年前後だと言います。
ブドウの樹は植えて3年ほどで収穫が可能となります。それから数十年、あるいは100年以上にわたって実をつけるのですが、樹齢が上がるほど実る房の数は減ってしまいます。
故に生産量を大事にするなら、30年程度で伐採して植樹しなおした方が効率的。
 
しかしブドウ自体の品質は、収穫量が減ってきてからこそ上がっていきます
一つの房に根や葉から供給される栄養が集中するからです。
結果、味わいの凝縮感や風味の複雑さが増すと言われます。
 

 
 
これが感覚的にわかりやすい高樹齢のメリット。
他には、樹齢が高いほど地中深くに根を伸ばすので、その土地の基盤となる土壌の特徴を反映する
また猛暑や干ばつなどの影響を和らげる、という効果もあります。
 
「高樹齢だとワインの味はどう変わるか?」は、書かれていることがバラバラだったり、ちゃんと書かれていなかったりします。
私は余韻の広がりに特に違いが出るというのが持論です。
ともあれ、専門家も生産者自身も、樹齢が高い樹からはいいブドウができるというのは共通認識です。
 
 

土着品種

 
後述のとある事情もあって、ポルトガルは土着品種の国です。
ドイツやスペインなどで、シャルドネやカベルネ・ソーヴィニヨンといった国際品種の栽培が増えています。
その中でポルトガル固有の品種がどの地域でも主要な品種を独占している。
 
中には畑に植わっている時点で品種ごちゃまぜなこともあるといいます。
 
 
単に珍しい品種がズラリなわけではなく、それが長い年月変わらなかった
それはブドウ品種がドウロのこの土地に適合していることを示唆します。
 
ドウロの温暖な環境でちょうど完熟するようなブドウ品種が残ってきた。
それが近年、地球温暖化の影響が世界各地で現れる中で、強みとなってきています。
 
 

土着品種がこれほど残った理由

 
ポルトガルにこれほど国際品種が少ない理由。
単に品種の適正だけではありません。政治も大いに関係します。
 

Salazar1.jpg
Foto_3_Visita_Salazar_obras_Ponte_Coimbra015.jpg, パブリック・ドメイン, リンクによる

 

 
戦前1933年から始まったサラザール政権による独裁政治。
1970年前後までは鎖国に近い、他国との交流の少ない状態が続きます。
その後も政治の混乱や経済の低迷を受けて、国際化の波が来ません。
 
カリフォルニアやチリが国際品種を武器に台頭していく影で、世界的な地位は下がり続けてしまったのです。
他国との交流が少ないから、「いっちょカベルネ・ソーヴィニヨンのワインをつくって、輸出で儲けてやるか!」という生産者も稀。「せっかくいいブドウ育てるんだら、もっと売りやすい品種つくってよ」と買い付けにくる輸入業者も少なかったのでしょう。
 
 

地球温暖化とブドウ品種

 
ブドウ品種は生産者が好きなものを植えられるわけではありません。その土地の気候に適したものを植える必要があります。
もし品種にとって暖かすぎる環境だと、どうなるのでしょうか?
 
ピノ・ノワールやシャルドネといった冷涼な環境に適したブドウ品種。その人気ゆえに世界中で栽培されています。
しかし暖かすぎる環境で栽培したら、早く糖度が上がりすぎるので、風味が十分に熟さないまま収穫を迎えてしまいます。
逆に風味の成熟を待てば、甘すぎて酸の低いブドウになり、アルコールの高すぎるベタっとしたバランスの悪いワインになってしまいます。
 
カリフォルニアのソノマ・コーストなどは、飲んでみた味わいからは決して冷涼産地と言えないようなピノ・ノワールが、時に入ってきています。
ブルゴーニュのシャルドネで、アルコール14%に届くものも時に見られます。
地球温暖化の影響です。
 
 

温暖産地でのエレガントワイン

 
温暖な地域で栽培される品種というのは、晩熟で糖度が上がるのが遅いものがほとんどです。
冷涼な地域に植えても甘いブドウが穫れないので、淘汰されてしまったという方が適切でしょう。
熟すのが遅いというのはデメリットに感じるかもしれませんが、それだけしっかり酸を保つということでもあります。
 
温暖な産地のワインというのは、ボリューム豊かな味わいに仕上げられることが多いです。
かつては冷涼な産地でボリューム豊かなワインをつくることは難しかったというのもあり、差別化の意図があるのでしょう。
 
 
しかし、地球温暖化によりかつての冷涼な産地が、冷涼な産地(?)になってきました。
ボリューム豊かなワインも作れるのです。雨が降らなければ、収穫日を遅らせることで糖度は上がりますから。
 
それならば、温暖産地でちょっと収穫を早めて、酸を保ったブドウを収穫することもできます
もちろん、品種適正もありますが、温暖なポルトガルでアルコール14%以下のエレガントなワインがつくられ始めています。
 
 

「ポルトガルの土着品種」という覚え方

 
もしあなたが、ソムリエやワインエキスパートの試験を考えておられるのであれば、「ドウロの主要品種はトゥリガ・ナショナル、トゥリガ・フランカ、ティンタ・ロリス」というのは覚えておいた方がいいでしょう。
その特徴を知るのにも意味があります。
 
しかしそうでない方は、単に美味しいワインを飲みたい方は覚える必要はありません
なぜならブレンドするからです。ブドウ品種の味の足し算では語れないのです。ブドウの名前を覚えたとて、それでワインは選べないのです。
 
「ドウロはポルトガルらしい土着品種のワイン、だから品種はわからないもの」
そういう認識だけで十分です。
 
 

これからの時代に強い産地?

 
世界規模での温暖化。各国が様々な取り組みを始めていますが、そう簡単に止まるものではないことは確かでしょう。
ワインの生産者も非常に高い関心を寄せている問題です。
 
その問題がどれだけ顕在化するかは、地域やブドウに寄ります。
分かりやすいのが夏の高温と干ばつ。それがもたらす山火事です。カリフォルニアなどはとくに深刻です。
 
 
もともとある程度温暖なポルトガル。
栽培されているのも、もともと暑さに適応した土着品種
さらにブレンドするブドウ品種の割合次第では、調整がしやすい。
世界の気温が少しずつ上がっていくなかでも、今まで通りに近い栽培ができる見通しです。
 
ドウロはこれから数十年かけて、その地位を高めていっても不思議ではありません。
 
 

リーズナブルなワインに感じるドウロ

 
ドウロらしいワイン」とはどんな味なのか。
それを言葉にすることは簡単ではありません。やはり生産者によってスタイルの違いはあるからです。
世界中どこでもそう。
 
畑の特徴としては、急斜面のテラス式で、土着品種が栽培されブレンドされる。
それゆえの特徴は、まずは複数品種がもたらす風味の複雑さ
それから果実感と酸味のバランス感が、ほどよいフレッシュさを保ってうまくとれていること。
 
手ごろなワインから感じることができます。
 
 
次に紹介するのも同じ生産者のスタンダードな白。
どちらかというと赤ワインの方が、国際品種に親しんでいる方には自然と受け入れられるでしょう。
ピュアなベリーの果実味が、重心高くフレッシュに感じる。
南の産地でありながら、南イタリアなどに感じがちなどっしりとした重たさは全く感じず、飲み心地スムースです。
 
 
 
白ワインの方が土着品種を感じさせてくれます
世界各地のシャルドネを飲んでいる方には、ちょっと違和感を感じる香り。
それでいてフレッシュな酸味が全体をまとめてくれているので、純粋に変わった風味を楽しめます。
 
このラブラドレス・デ・フェイトリアは、19のワイナリーが集まったプロジェクト。
必要に応じて、各地に点在する合計600haのブドウ畑からブレンドするので、ドウロ全体の味わいを表現しているのです。
 
 
 

ドウロの3地域

 
ドウロの生産地域は、川に沿って東西に広がります。
西から順番に、「バイショ・コルゴ」、「シマ・コルゴ」、「ドウロ・スペリオール」の3地域です。
これは同時に、大西洋に近い順であり、涼しい順番です。
 


Douro Valley Wine Region Map

 

 
それぞれの特徴を簡単に紹介します。
 
 

バイショ・コルゴ

 
最も西側に区分される産地で、大西洋からの影響も大きいのがバイショ・コルゴ。
ドウロの中では最も冷涼で、比較的軽い口当たりのワインが出来上がります。
 
 

シマ・コルゴ

 
ドウロ全体の2/3の樹は、ここシマ・コルゴに植わっています。つまり最重要産地
海の影響からほぼ隔離されたこの地は、病気などにかからず健全で酸味を保ったワインをつくりやすい環境でした。
ドウロの中心地であり、最も品質が高いとされているのも、この「シマ・コルゴ」です。
 
 

ドウロ・スペリオール

 
シマ・コルゴよりさらに東側。
山脈によって隔てられるスペインと国境を接し、夏は極端に暑いのに、冬は極端に寒いという厳しい環境です。
ポルトの街からも遠いこの「ドウロ・スペリオール」は、歴史的に見てもワインづくりの地としては乏しいものでした。
 
 

「シマ・コルゴ」だけに注目する理由

 
品質で最も高いとされるシマ・コルゴですら、現状手ごろに手に入るから
質では少し劣るが、その分安く手に入れることのできる「ドウロ・スペリオール」にわざわざ手を出す必要はありません。
 
たとえ現地で有意な価格差があったとしても、日本に入ってくるときには輸送費などが加算され、価格差は相対的に小さくなります。
ならちょっぴり高くても、美味しいもの飲むのがお得でしょう!
 
 

シマ・コルゴに位置するワイナリー

 
このキンタ・ダ・デヴェザのロケーションはまさに「ザ・ドウロ」。
ぜひワイナリー製作の動画をご覧ください。
 
 
 
狭いテラス状の畑で作業できるのは人間のみ。
手作業による畑仕事は、自然と丁寧なものとなります。
 
なのにこの価格!2750円!
ポルトガルの経済的な弱さにこっそり感謝しながら飲むべきワインだと言えるでしょう。
 
 
白ワインの品質も赤ワインに決して劣りません。むしろ白ワインの方がドウロの特別感を感じられるかも。樽熟成していないか、もしくは軽微なのにしっかり味わいの骨格を感じます。
 
 
 
きっとどちらも、しっかり収量制限してつくられているのでしょう。
余韻の伸び方が2000円台のワインじゃないです。
 
先に紹介したラブラドレス・デ・フェイトリアの場合は、バイショ・コルゴとシマ・コルゴにまたがって畑を持っており、ブレンドされています。
両方の地域の特徴が混ざり合い表れていると考えていいでしょう。
 
 

伝統産地だからこそ確かなプレミアムクラス

 
ブルゴーニュのグラン・クリュは、近代になって地質調査などを通して何が特別なのかがわかってきました。
かつて海底だったころに形成された地層が、隆起して沈降して湾曲して、削られて顔を出したのがちょうどコート・ドールの斜面だったのです。
しかしブルゴーニュに住みブドウを育ててきた人々は、ボウリング調査の技術が開発されるよりはるか前から、そこが特別な畑であることを経験から知っていました
 
 

ドウロの特別な畑

 
ドウロにおけるブドウ栽培の歴史は、ブルゴーニュに比肩するほどではないものの、そう見劣りするものでもありません。
人々がトライ&エラーを重ね、どうやったら効率よくブドウを育てられるか、ワインをつくれるかにおいて、結論を出すに十分な時間がありました。
 
その地に根差した生産者の畑において、「どこでいいブドウができるか」。
何百回と繰り返された収穫を通して、生産者はよく知っています。
 
 
ただ、それがワインのラベルに現れることはありません
一つには、ブルゴーニュのグラン・クリュのように畑の格付けが知られていないから。
(A~Fの6段階の格付けがあるのですが、ソムリエ教本の片隅に書いてある程度です)
もう一つには、複数の畑からブレンドしてつくるのが常だから。
 
しかしそれは、ドウロの中で特別な畑からつくられるワインが、平凡であることは意味しません。
 
 

ドウロのプレミアムワインを選ぶ方法

 
となればプレミアムなドウロワインを選ぶ道筋は一つしかありません。
まずは手ごろなワインで生産者を見極め、それからプレミアムワインを購入する
これしか安心して高価格帯に手を出す方法はないでしょう。
 
 
先ほどご紹介した「キンタ・ダ・デヴェザ」の最上位クラスは、10年の熟成を経て今も活き活きとしているほどパワフル。
 

近日入荷予定です。

 
 
プレミアムレンジについては、まずエントリーレンジを飲んで頂かないと始まらない。
しかし、手ごろなクラスでも「この上をいくものがあるなら飲んでみたい!」と期待せずにはいられない味わいなのは保証できます。
 
 

専門家のおすすめで買うの・・・無理じゃない?

 
近年、ワインの評論家はポルトガルに注目し始めています。
中には専門家の高い評価を得ているワインもたくさんあります。
 
しかし、普段みなさまがよく飲んでおられる国際品種のワイン。その味わいの延長線上からちょっと外れているのがドウロのプレミアムワインです。
いや、それでいい。カベルネ・ソーヴィニヨンの延長線上にある味わいなら、いいカベルネ飲んでたらいい話です。
ドウロでしか表現できない味わいのバランスと奥行きがある
 
しかし、6000円のドウロのワインをいきなり買ってもらうのが、現実的でないことはわかっています。
「6000円で取引されるワインをつくれるほどの生産者なんだ」という期待を持って、上記の2000円台のワインから試していただくことをおすすめします。
 
 

飲まなきゃ始まらない ドウロのワイン

 
中世にはポートワインの産地としてイギリス市場を支配するほどの銘醸地であった、ドウロ。
ユネスコの世界遺産に登録されたそこでは、急斜面のテラス式の畑から素晴らしい赤ワイン白ワインもつくられています。
歴史ある産地であることが、地球温暖化が進む今日にあって、良質なエレガントワインを提供してくれることにつながっています。
まずは1000円台、2000円台のワインから始めましょう。特に、最も良質であるとされながらさほど高くない、「シマ・コルゴ」のワイン。
その風味の奥行きは、「ちょっと上のクラスも飲んでみたいな」と思わせてくれるはずです。
 
 





※投稿に記載しているワインのヴィンテージ・価格は執筆時のものです。現在販売しているものと異なる場合があります。
購入の際は必ず商品ページにてご確認ください。




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