ワインの楽しみ方ガイド

秋に楽しむバーベキューワイン特集

2021年10月15日

 
バーベキューをするなら、夏よりもむしろ秋!
そんな方も多いでしょう。
どこかに出かけてじゃない、家の庭やベランダにて少人数で楽しむバーベキュー。
そこにワインを当てはめるなら、どんなものがいいのか。考察してみましょう。
 
 

夏のBBQと秋のBBQ

 
私の感覚ではありますが、夏のバーベキューシーンと秋のバーベキューシーンは違いがあるのではないでしょうか。
ワインを考える前に、それを明確にする必要があるでしょう。
 
 

夏のBBQ

 
夏のBBQは、アウトドアレジャーの定番ですよね。
何より下ごしらえの手間があまりかからないから、慣れると結構らくちん。
キャンプ場に行ったり、グランピング施設を利用したり。自然の中で楽しむなら、やっぱり夏でしょう。
 
 
でも夏は暑い
日焼けも気になるし、熱中症にも気をつけないといけない。
安全のためにも美味しさのためにも食材の保冷は必須で、装備も大がかり。
 
だからあらかじめ予定を立てて、友人などを誘ってイベントとしてやるイメージです。
 
 

秋のBBQ

 
その点、秋は暑さも和らいで、屋外でも過ごしやすい季節
 
ただし、9月はともかく10月以降は連休の少ない季節です。
1日まるまるや2日3日かけて、友人と予定を合わせて行うレジャーは難しくなってくる。
 
だから家族でとか、仲のいい少数でのほうがBBQも行いやすいのでは。
週末の天気を見ての思い付きで始めちゃうような、小規模で簡単なもの。
 
 
ならばわざわざ出かけなくても、家の庭やベランダでこじんまりと行えばお手軽です。
 
夏に家の庭で行ってもいいのですが・・・・
横を見ればクーラーの効いた部屋がすぐそこです。
私なら軽く食べたらすぐ避暑しちゃうなぁ。
 
 

今回はおうちBBQ用のワインで

 
今回ご提案するワインは、お家で少人数で行う小規模なものを想定します。
お酒を飲む人は3~4人。ビールも少し飲むから、ワインは2,3本。
食材は牛の赤身肉を中心に野菜やウインナーなど定番のものとします。
 
 
お家でBBQが夏のアウトドアでのBBQと違う点として、以下のものがあります。
 
・きちんとしたワイングラスが使える
・飲み始め時点でのワインの温度管理ができる
・スクリューキャップはメリットにはならない
・家にある調味料なら一通り使える
 
これらを踏まえた上で、バーベキューワインに求められる特徴を絞り込んでいきましょう。
 
 

BBQにピッタリなワインとは

 
バーベキューをより盛り上げてくれる、ついつい食べ過ぎちゃうようなワイン。
次の3つのタイプを推奨します。
 
  • ◎温暖~高温産地の果実味豊かで樽の効いた赤ワイン
  • ◎プロヴァンスなど果実感に厚みのあるロゼワイン
  • ◎高価ではない、黒ブドウ主体のシャンパン
 
理由をご紹介していきます。
 
 

ダメなワイン代表 ピノ・ノワール

 
ピノ・ノワールって、整えられた環境でしかそのパフォーマンスを発揮できないF1レーシングカーか競輪用自転車みたいなものなんです。
温度管理しっかりしたうえで、ピノ・ノワール用グラスで提供する。
その香りに特徴があるので、他の臭いがあまりなく、風もない環境でないともったいない。
 
 
どうしてもピノ・ノワールが好きなら、一通りBBQを楽しんだ後、リビングに移動してワインだけで楽しんだ方がいいでしょう。
 
 

果実味豊かで樽の効いた赤ワインがいい理由

 
これはメイン食材である赤身肉に合わせて。
程よく脂身のある牛肉を炭火で焼いて、焼き肉のタレで食べる。

肉の触感+肉の味+ローストの風味+甘辛い味

 
この要素にワインの要素を合わせる

程よいタンニン+凝縮感+樽熟成による香ばしさ+ベリー系の豊かな果実味

このように料理とワインの風味がそろったとき、互いの風味をより引き立てます。
 
 
更にワインには酸味があります。
酸とタンニンが口をさっぱりしてくれるので、くどくなりがちで年を取るにつれ年々食べられなくなるお肉がついつい進んでしまうのです。
ただ、BBQワインにはそんなに高い酸味はいらない。中程度からやや低めで十分です。
 
 

どんなワインが当てはまる?

 
上記のような条件を満たすワイン。
産地とタイプで絞り込むなら
 
  • ◎カリフォルニアのレッドブレンドやジンファンデル
  • ◎南イタリアの土着品種のワイン
  • ◎アルゼンチンのマルベック
 
このあたりが候補となります。
 
価格は2000円前後が目安となるでしょう。
1000円前後では強くオーク樽を効かせることができませんから、樽熟成による香ばしさが足りません。
4000円以上のものだと、高い樹齢の樹からつくるゆえの余韻の長さなどが付加価値になるでしょうが、バーベキューを楽しむ場で余韻にばかり浸ってるわけにもいきません。もったいない。
 
注意点として、アルコールは14.5%くらいをなるべく超えない方がいいでしょう。
秋とは言え屋外で飲めばワインの温度は上がりがちです。
温度が上がるとアルコール臭さが強烈に出るものは避けたいところです。
 
1粒だけ氷を入れて飲む、なんて方法も検討の価値があります。
 
 

赤ワインの重たさ、渋味が苦手なら・・・

 
赤ワインの渋味やどっしり感が、そんなに得意じゃない方もおられるでしょう。
普段は白ワインを飲むことの方が多くて、バーベキューでも赤ワインはちょっと・・・。
 
白ワインで考えるなら、カリフォルニア産やオーストラリア産のオーク樽熟成したなめらかなシャルドネがいいでしょう。
その場合、まずはお肉や野菜を塩コショウで食べるのをおすすめします。
ある程度濃くてインパクトの強い味でないと、バーベキューの煙の臭いに負けてしまいがちです。
 
 
さらに提案するなら、ロゼワインはいかがでしょうか?
つい「赤か白かスパークリングか・・・」と考えがちですが、間をとってロゼも検討すべきです。
 
タレで食べる甘辛い味付けにバランスをとるなら、繊細というよりぽってり芳醇な、果実味たっぷりのロゼワインがいい。
フランスのプロヴァンス地方のロゼは、それほど酸味も高くなく、温暖な気候をよく反映しています。
他の地域でも果実味豊かなロゼは多くつくられますが、ピノ・ノワールのロゼは避けた方がいいでしょう。
 
 

意外やシャンパンもあり?

 
ものを選べばシャンパンもバーベキューに向いています
シャンパンは手ごろなものでも(といっても4000円以上しますが)それ自体で美味しさを主張してきます。
食前酒としてワイン単体で完成していながら、広く料理を受け入れる度量があるのです。
 
手ごろな白ワインなら負けてしまいがちな脂滴るお肉でも、シャンパンなら「何飲んでるかわからない」ということにはなりづらい。
風味の強調こそないものの、しっかりBBQとワインの両方を楽しめます。
 
 
ただし、何でもというわけではありません。
まずある程度シャンパンにも「味わいの濃さ」が欲しい。
なので黒ブドウであるピノ・ノワールやピノ・ムニエが半分以上使われているものをチョイス。シャルドネ100%のブラン・ド・ブランは避けるのが吉です。
「Grand Cru」表記のあるものなら、ブドウの質が高い証ですので、より楽しめるでしょうが必須ではありません。
この条件を満たすなら、ある程度安い方がいい。1万円を超えるシャンパンは、やっぱり屋内でゆっくり飲みたいなぁというのが個人的な感想です。
 
同様の理由で、3000円程度かそれ以下のスパークリングワインではちょっと代替がききません
物足りなくなってしまいます。
スッキリグビグビ飲みたいだけなら、ビールもあるのですから、ある程度主張してもらわないと困るんです。
 
 

秋のBBQワイン8選

 
上記の条件を満たす赤ワイン、ロゼワイン、シャンパンをピックアップしました。
次の週末にはこの中から2~3本をピックアップして、家族や親しい友人と、お家BBQを楽しんでみてはいかがでしょうか。
 
 

サブミッション レッド 2018 689セラーズ

 
「カベルネ・ソーヴィニヨン」が人気のサブミッションですが、バーベキューで楽しむならこのレッドブレンドの方がベターでしょう。ジンファンデルを中心とした果実味豊かなブドウがつかわれ、しっかりオーク樽熟成が施されています。
 
 
バーベキューの食べ始めは、まずは肉!炭火に脂が滴って、煙もくもく。
そんなワインにとっては不利とも言える環境も気にしない、ガツンとタフな赤ワインです。
 
 

ゾッラ プリミティーヴォ ディ マンドゥーリア 2019 ヴィニエティ デル サレント

 
ブドウの遅摘みにより、ベリーの果実感がとても凝縮して感じられます。
ワインの価格に比してブドウの樹の樹齢が高いのが特徴で、そのためか余韻の風味がしっかり広がります。
 
 
BBQのアレンジとして、一緒にチーズを溶かしてチーズタッカルビ風にして楽しむのもいいでしょう。
 
 
 

セブン デッドリー ジンズ オールド ヴァイン ジンファンデル 2017

 
ベリー系のアロマに加えて、スモーキーな風味も感じるジンファンデル。パワフルで味わいのハッキリしたワインです。
アルコールが15%あるのがネックなので、温度は上がりすぎ注意!可能ならボトルは冷やしながら。グラスには注ぎすぎないようにすると、より美味しく楽しめます。
 
 

パーカー クナワラエステート カベルネ ソーヴィニヨン 2018

 
同じようなタイプの赤ワインばかりではつまらないので、しっかり渋味を感じるタイプを。
酸味もある程度あって、ボルドーみたいな雰囲気を持つカベルネです。
 
 
強めのタンニンを持つワインが活躍するのは、ホルモン。
アカセンマイ、小腸、ミノなどの歯ごたえのある系のホルモンは、赤身肉よりも歯ごたえがあって長く噛みます。
ならワインも噛み応えがあるような、タンニンのしっかりとした『硬い』ワインがおすすめです。
 
 

カプリース ド クレモンティーヌ ロゼ 2020 シャトー レ ヴァロンティーン

 
ロゼワインの中でも、酸味が穏やかで親しみやすい味わいの1本。
ロゼワインをオーク樽熟成することはあまりなく、このワインも香ばしい風味はありません。
しかし熟れたフルーツを思わせる果実味は、焼き肉のソースと共通点があります。
 
味わいにおいて薄さや弱弱しさとは無縁のロゼワイン。肉料理だけでなく、野菜や副材料を食べるときにも飲みたい。だから2本目に開けるくらいがちょうどいいのでは?
 
 

インヴィーヴォ X SJP プロヴァンス ロゼ 2019

 
同じくプロヴァンス地方のロゼワインで、この地のワインとしてオーソドックスな味わいです。
先ほどのヴァロンティーンのロゼと比べると、わずかに軽め。少し凝縮度が低いです。
お肉も食べるけど、野菜もいろいろ楽しみたいなという方には、こちらの方がピッタリかもしれません。
 

グラン クリュ ブリュット グランド レゼルヴ R20 NV ビュルロ ナエ

 
ブドウ栽培農家がつくるシャンパンで、売却した残りの一番美味しいところをつかっています。そして畑は全てグラン・クリュ格付けの村にある。だから、この価格帯のシャンパンとしてはすこぶるブドウの質が高いんです。
故に口に含んだ時の風味の主張が強い!重たいとか濃いとかじゃなくて、味わいがしっかりと余韻として残るんです。
 
香ばしく焼けた肉にたっぷりと焼き肉のタレをつけて食べても、その後飲むこのシャンパンの味がちゃんと後に残ります。
 
 

ビルカール サルモン ブリュット レゼルヴ

 
先述のビュルロ・ナエは確かに美味しいんですが、知名度はないです。友人を呼んだとて、誰も知らないシャンパンでしょう。
休日の明るい時間にシャンパンを開けるラグジュアリー感は、有名銘柄でこそ味わえる、という考えも理解できます。
 
 
当店の扱うシャンパンの有名銘柄はあまりないのですが、その中でバーベキューのワインとしておすすめするなら、このビルカール・サルモン。
黒ブドウが中心で、味わいの骨格がしっかりしたシャンパンです。
 
他に有名銘柄の中では、ボランジェが適しているでしょう。
 
 

秋のバーベキューはビールよりワインで!

 
これまで述べた通り、夏のバーベキューに比べて秋のバーベキューは、ワインをよりいい状態で味わいやすいです。
夏のような暑さもなく、ビールののど越しというメリットが小さくなります。むしろ泡でお腹いっぱいにならないからちょうどいい。
明るい時間からゆっくりと楽しむなら、時間とともに違った味わいが出てくるワインは最適なお酒です。
 
おうちの庭やベランダで手軽にできる。だからといって単にずぼらなだけじゃない。
そこにワインがあるだけで、夏のバーベキューとは違った魅力に気づけるはずです。
 
 





※投稿に記載しているワインのヴィンテージ・価格は執筆時のものです。現在販売しているものと異なる場合があります。
購入の際は必ず商品ページにてご確認ください。




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