気の置けない友人との楽しい時間に、美味しいワインがあればもっと会話も弾みます。ワインはあくまで脇役であり、驚くような個性よりも誰からも嫌われない選びやすさが大事です。相手の好みがわからなくても、ちょっとした工夫で安心して選んで手土産とできます。友人とあなたの笑顔とともに、いつのまにか時間が過ぎてワインが空になっていることでしょう。
おすすめワイン6選!友人に喜ばれる手土産ワイン
次のような選考基準で選んだ、友人宅への手土産にピッタリなワインをタイプ別に6本ご紹介します。
選考基準
- 価格:高すぎず、特別感のある3000~5000円
ただしもう少し高価なものも1本 - 開けたてから美味しい
- ある程度ワインを飲んでいる人なら嫌いな人が少ない味
- 風味の個性は控えめ
乾杯にも食中酒にも
特別な日のスパークリングワインとしてはシャンパンが定番ですが、予算的にあまり選択肢がありませんし、風味としてちょっと小難しさを感じるものもあります。
イタリアの高級スパークリングワインである「フランチャコルタ」は、シャンパンに比べよりピュアで素直な味わい。特にこのフェルゲッティーナがつくるものは、ブドウの選別がかなり厳しいためクリーンな味わいが特徴です。
きめ細かな泡は持続性が高く、乾杯からゆっくりと時間をかけて飲んでも炭酸を保持してくれます。主張が控えめで繊細な風味は、様々な料理とあわせても邪魔をしません。
乾杯にも食中酒にも便利な1本、文句をつけるところがありません。
昔からのド定番ワインとして
昔からのワイン好きにとっては、「あ~なるほど、これね」といったところ。日本におけるワイン市場の黎明期から輸入され続けており、抜群の知名度と信頼感を持つ「オー・ボン・クリマ」、そのスタンダードクラスです。
たとえお相手が知らなかったとしても、味わいは間違いない。オーク樽熟成による豊かな香りに適度なボリューム感。それは濃厚すぎることはなく、スッキリ上品なワイン好きの方も満足させられます。頭文字ABCの名前と三角形のエチケットは、きっと印象に残るでしょう。
シンプルな味付けの鶏肉料理や、クリームソースのパスタ、バターソースの魚料理などと好相性です。
奇をてらわない無難な白ワインとして、ど真ん中のチョイスであるはずです。
主張しすぎず食事をすすめる名わき役
風味の主張としては、先ほどの「オー・ボン・クリマ」よりも控えめ。スマートなボディ感のスッキリ系ワインです。その分料理との相性は幅広く、つい油脂が多くなりがちなパーティー料理に対して、口をリセットするような働きがあります。
スッキリ系ワインとしてはリースリングなども人気ですが、比べるとそこまで酸味がシャープではありません。適度なボディ感とあわせて、「酸っぱい」と感じられる可能性は低いでしょう。
何本か飲む中の1本だと、最後に1番印象に残るワインではないかもしれません。だからこそ食事会の脇役に徹することのできる、縁の下の力持ちです。
親しみやすさと上品さと歴史の両立
カリフォルニアのこの価格帯の赤ワインは、豊かな果実味とボリューム感、適度に甘い風味があって親しみやすい雰囲気のものが多いです。その甘い風味が人気の理由でもあるのですが、しっかりドライな味わいを好む方には嫌われがちです。
好きな人も多い一方で、嫌いな人は嫌い。割と極端なのです。
その点でクロ・デュ・ヴァルの味づくりは、その甘い風味を抑え気味でエレガントさが際立つ傾向です。それはこのワイナリーの歴史と関係します。ナパ・ヴァレーが銘醸地となり始める最初のころからの著名生産者。当時はボルドー的な熟成能力の高い上品なワインこそ至上でした。その当時のスタイルを愚直に守り続けているのです。
フルーツの明るい風味があって親しみやすく、それでいて甘い風味を控えた引き締まった味わい。幅広い人に好かれるはずです。
クロ・デュ・ヴァルについてはこちらで詳しく▼
日本ワインにいいイメージがない方こそ!
日本ワインは近年急速に品質を高めています。その背景には「日本ワイン」という表記が2015年に法律で定義されたことも大きいでしょう。
逆に言うと20年前はレベルの低いワインも多かった。「お土産ワイン」の域を出ないものがたくさんあったはずです。その時代からワインを飲んでいる人は、「日本ワインなんて・・・」という印象を持っていてもおかしくありません。私の周りにもちらほらいます。
そんな日本ワインに対してあまり良くないイメージを持っている方こそ、このワインを飲んでいただきたい。凝縮感がありつつ酸味やタンニンのバランスもとれており、素直に高級感のある味わいです。「コストパフォーマンスが高い」とされるボルドーワインと比べても、決して見劣りするものではないはず。
お相手の方が昔からワインを飲んでいる方であればこそ、このワインで印象を変えてあげましょう。
マルスワインについてはこちらで詳しく▼
互いにいい歳だからちょっと上級なものを
年を重ねるほど懐には余裕が生まれてくるかもしれませんが、一方で自由になる時間は少なくなりがち。友人宅に集まってお酒を酌み交わす機会は減る一方かもしれません。
そうであるならば「気を遣わせない価格」というのも、若いころよりグレードアップするはす。
このワインの魅力は口当たり。メルローらしい厚みがあってしなやかなタンニンは、5000円以下ではなかなか表現できないものです。そこは「さすがミシェル・ロラン」といったところ。世界を股にかける名コンサルタントの技術力でしょう。
先日当店で行った試飲販売イベントにても、多くのお客様に非常に好評でした。ボルドーワインとしては若いうちから楽しめる、複雑さがありながらも小難しくない味わいです。
手土産ワイン 選び方のポイント
友人宅での楽しい時間、その主役は友人とあなたです。ワインはあくまで脇役。楽しいひと時をちょっとだけ手助けするので十分。
これを前提として選考基準を定めました。
ワイン選びの理想はコレ!だけども・・・
手土産に持っていくワインで一番良いのは、互いに好きなタイプのワインを持っていくことです。好みが完全に一致することはまずありませんが、共通項はあるはず。
「渋味が穏やかで樽香しっかりの赤ワイン」「余韻のキレがいい、アルコール控えめの白ワイン」・・・・
そういった好みのタイプや、お気に入りのワイン生産者。そういったものが分かり予算にあうのであれば、迷う余地はありません。
でもたいていの場合、互いの好みの共通点なんてわからないですよね。
他人のワインの好みなんて、なかなかわからない。そもそも自分の好みすらなかなか言語化できない。
本記事はそういった相手の好みがわからないケースや、互いにワインにそれほど詳しくない方を対象に書いております。
品質と好みのタイプ
ワインには客観的に判断できる「品質」というものがあります。ある程度の予算を出せば高品質なワインを購入できます。だからといって相手の方が「美味しい!」と言ってくれるとは限らない。それがワインの難しいところ。好みがあるからです。
甘味の有無や酸味の高低、ボディ感や渋味の強さなど、ワインの味わいには優劣をつけられない「好み」のポイントがあります。ワインの品質が高い上で好みのタイプ・スタイルに合致すれば、「美味い!」となる。一方で品質が高くても好みと真逆なタイプなら、「美味しいよ」と言いつつあまりワインが減らず、「次はビールを飲もうかな」となってしまいます。
目指すは好みピッタリではなく嫌いでないこと
個性的な風味を持ち特徴のハッキリしたワインほど、「これめちゃくちゃ美味しいね!」と感動してもらえるかも。一方で「これちょっと口にあわない、ごめんね」と言われる可能性が高まります。
例えるなら食べられるけれども苦手な食材をつかった高級料理。そんなイメージでしょうか。
一方でブドウ品種の個性を標準的に表現し、際立った特徴がなく、渋味や酸味などが強すぎないワイン。極端に言うなら「特徴がないのが特徴」というようなワインもあります。そういったものの方が、好みから外れても好きではないなりに飲めるものです。
相手の好みは分かりません。でも「好みではないが美味しいことはわかる」というのが最低ラインだとしたら、安心できるでしょう。それで十分なのです。
だって主役はあなたと親しい友人との時間。ともに料理とお酒を口にしながらのおしゃべり。そこに生まれる笑顔なのです。美味しい料理やワインは脇役です。主役ほど主張する必要はないのです。
それゆえもし相手の好みがわからないのなら、目指すべきは好みピッタリの味ではなく、相手が嫌わない味です。
失敗しないワイン選びを
失敗しないためには、主要~準主要と言えるような品種・産地のワインを選ぶことです。
慣れ親しんだものは、そうそう悪い味わいには感じません。「メジャーなワイン」と呼ばれるということは、ワイン専門店のみならず量販店やレストランなどでも、人々が目にし手に入れ飲む機会が多いということ。大量に流通しているゆえ一度ならず口にしたことがあり、突拍子もない味とは感じにくいのです。
ワインオタクからすると「つまらない」とさえ思えるような、ベタな品種と産地の組み合わせ。そういった選び方こそ「失敗しないワイン」のコツなのです。
予算は互いにの懐事情で決めるべし
ワイン選びはまずは予算を決めること。手土産に持参するワインの予算はつぎのように考えるべきでしょう。
〇安すぎないこと 普段飲みのワインとは一線を画す高級感
〇高すぎないこと 相手にお返しのプレッシャーを与えないために
〇提供される食事と大きくランクが違わないこと
高級レストランの料理に1本1000円のワイン。ファミレスチェーンの料理に対して3万円のワイン。やはりどちらもチグハグな印象を受けるものです。
「こんないいワインを持ってきてもらって、この料理で満足してもらえたかしら?」そんな風に気を遣わせるのは本意ではありません。
それゆえ今回の予算は3000~5000円と定めました。普段飲みよりはちょっと高い価格帯です。
ただし懐事情はそれぞれ違います。友人であるなら多少は想像できることでしょう。なので互いに平均以上の収入があるなら、もっと予算を上げてもいいでしょう。また年齢が上がれば量より質という傾向が強くなるため、もう少し奮発してもいいのではないでしょうか。
ワインのタイプは赤・白・泡どれがベスト?
ワインのタイプに優劣はありません。なので「手土産ワインには赤がいい」のように決めつけてかかるのはおすすめしません。柔軟に考えてみましょう。
もし迷ったら飲む順番や持参のタイミングから考えてください。ワインを飲む順番のセオリーは、スパークリングワイン⇒白ワイン(⇒ロゼワイン)⇒赤ワインです。
例えば仕事終わりに駆けつける会。もし朝から職場のロッカーに保管しておくなら、ワインは室温で持参することになります。スパークリングワインや白ワインを持参したとしたら、冷やしてもらうにも時間がかかります。それなら赤ワインの方が飲む順番も後でそう冷やす必要もありません。
一方で休日に直接訪問する場合や、会社の冷蔵庫が使えるなら、スパークリングワインや白ワインも全く問題なし。パーティーを盛り上げる乾杯のような使い方もできます。
スパークリングワインは食前酒的な使い方をしてもいいでしょう。他の参加者が来るまで料理は待つけれども、お酒は飲み始めよう。そんなときにほのかな甘みがあってワイン単体で楽しみやすいスパークリングワインがピッタリです。
もっと美味しく飲むためのテクニック
せっかく用意したワイン、一番美味しい状態で楽しみたいものです。そのためのちょっとしたテクニックをご紹介します。
ワイングラスにあわせてワインを選ぶ
ワインの風味はワイングラスでも結構変わります。
スパークリングワイングラス、白ワイングラス、ボルドーグラス、ブルゴーニュグラス。この4タイプが基本です。自宅でワインを楽しむ際は、最低限この4種を揃えて使い分けることをおすすめしています。
詳しくはこちらの記事で▼
ただし来客用のワイングラスまで種類を用意するのは大変です。ひょっとしたら来客用は一番使いまわしの効く白ワイングラスだけという場合も。
白ワイングラスでスパークリングワインを飲むのは、ほとんどの場合問題ありません。ボルドー系のワインも香りの広がりは弱まりますが、大きく崩れることはないでしょう。ただピノ・ノワールに対しては大きく魅力を損なってしまうかも。
小ぶりな白ワイングラスに赤ワインは、悪くはない | ピノ・ノワールは丸く大きなグラスで |
相手の方の家にどれだけワイングラスがあるかなんて、なかなか分からないでしょう。ならば最初はピノ・ノワールを避けて選ぶのが無難です。もしたくさんワイングラスを持っていることを確認できたなら、次回候補に入れればいいのです。
美味しさを決める温度
手土産のワインに限らずですが、温度管理は非常に重要です。
冷やすべきワインはしっかり冷やして。赤ワインなら15℃前後に。夏場の持ち歩きで熱くなってしまわないようにというのももちろんですが、真冬の赤ワイン冷えすぎにも注意しましょう。
温度を少し上げるだけなら、ワイングラスをブランデーのように持って、手の熱であたためるのが手軽です。赤ワインの酸味や渋味が強すぎると感じたら、手の熱を伝えるようにスワリングしてみましょう。
2つの目的でお水を片手に
寒い季節はついつい水を飲む量が減りがち。だからこそ意識的にお水を片手にワインを楽しみましょう。
1つ目の理由は悪酔いしないように。利尿作用のあるアルコールを摂るのですから、水分補給は重要です。楽しいとついつい飲みすぎてしまい、翌日は二日酔いということにもなりかねません。しっかり水分を摂ることで、少しは予防になります。
もう一つの理由はミスペアリングのリカバリー。どんな料理が用意されているのか分からないでしょうから、持参したワインと相性が悪いこともあり得ます。たとえミスペアリングになってしまっても大丈夫。料理を食べた後、お水を一口飲んでからワインを飲めばいいのです。同じ食卓にあってもあえて料理とあわせない。そうすれば料理とワインそれぞれの美味しさを楽しめるでしょう。
もちろん、料理とワインが好相性であることに越したことはありません。
目指すは相手からの「美味しいね!これ」
相手のワインの好みは良く分からない。その前提で今回は無難な味わいのワインをご紹介しました。
「このワイン、どうだった?」そう聞けば「美味しかったよ」と答えてくれるでしょう。でもその美味しいには、忖度が含まれています。日本人ですから。
何も聞いてないのに言ってくれる「美味しい」こそ、本当に心から出たものです。そこまで喜んでもらうには、おそらく無難なワインでは力不足です。
それを目指すのは次回以降。今回のワインをきっかけに、会話の中で好みをリサーチするのです。
「いつもはどんなワイン飲んでるの?美味しかったワインの写真あったら見せてよ」
それができれば次回以降はググっと相手の好みに寄せられるはず。
写真からワインのタイプが分からなければ、当店にご相談いただいても構いません。在庫の中からなるべくご要望に近いものを提案いたします。
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