ワインの選び方

「これは私が飲むのっ!」独り占めしたいワイン特集

2023年8月30日

「これは私が飲むのっ!」独り占めしたいワイン特集 
 
ワインの多くは美味しさを分かち合うことで価値を増しますが、中には独り占めしたくなるものもります。
味わいやスタイルの特異性、価格などによっては、一人で1本飲み切ってこその満足もあるからです。
独り占めしたい理由別に、1本飽きずに飲み切れるワインをご紹介します。
夜の時間が長くなってくるこの季節。お気に入りのお酒で大人な時間を過ごしませんか?
 
 

独り占めしたいワインとはどんなもの?

 
750ml1本を数人でシェアするのではなく1人で全部飲みたい。
どんなワインでそう感じるかについて、いくつか考えられます。
 
 
逆に「みんなで飲みたいワイン」から考えていった方がわかりやすいかもしれません。
 
 

みんなで飲みたい「高いワイン」

 
高価で希少なワインはみんなで分かち合いたい。そう考えるのは自然なことでしょう。
「高価」も「希少」もボーダーラインは人それぞれですが、そのボーダーラインを超えるワインは「一人で飲むのはもったいない」と感じるはず。
 
 
知人・友人と1本のボトルを囲み、「美味しいね」とその喜びを分かち合う。たとえ相手がワインに詳しくない人だったとしても、その1本は長く思い出に残るはずです。
 
 

みんなで飲みたい「濃厚&風味の変わらないワイン」

 
ワインは抜栓して空気に触れることで風味を変化させますが、それが大きいものとごくわずかなものがあります。
ごくわずかなものは最初の1杯から最後の1杯まで印象が変わりません。
それを「美味しさが続く」と捉えるか「途中で飽きてしまう」ととらえるかは、本当に人それぞれ。ワインによりけり。
 
でも傾向はあるはず。
最初の一口目からインパクトの強い濃厚ワインと、控えめで口当たりの軽いワイン。飽きがきやすいのは前者でしょう。
その分濃厚なワインは、みんなで飲んで1杯当たりの量が少なくても、しっかりと印象に残ります。
 
 
濃厚な風味がずっと続くワインは、数名でシェアすることをおすすめします
 
 

みんなで飲みたい「個性が強めのワイン」

 
先述の「濃厚」というのは、味わいの凝縮感だったりアルコールの高さだったり口当たりの重量感といったもの。
これらの条件に当てはまらないのに、香りや味わいの個性が強いワインがあります。
 
例えば「バローロ」のような渋みが強いワイン。
例えば風味がとても個性的なジョージアのオレンジワイン。ジュラの「ヴァン・ジョーヌ」やギリシャの松脂が使われたワインなどもそうでしょう。
例えば極甘口のデザートワイン
 
 
渋みの強いワインやデザートワインは日持ちがいいので、何日かに分けて飲むことで飽きずに飲み切ることも可能でしょう。
ただ風味の個性が強いワインは、「昨日はよかったけど、今日のご飯にはあいそうにないなぁ」ということも。1杯だけ飲むのが美味しいというものも多いでしょう。
 
風味の個性が強いワインは、グラス1杯ずつで楽しめるような機会に開けるとより楽しめます
 
 

みんなで飲みたい「人気のワイン」

 
ここでいう「人気」とは、よく売れているという意味ではなく、「皆が価値を認めている」という意味。いわばブランドワインです。
 
例えば「ドン・ペリニヨン」といえば高級シャンパンの代名詞です。ある程度のワイン好きが集まる場でなら、皆が価値を認めて飲むでしょう。(ワイン通すぎて素直に認められない人は除く)
 
個別の銘柄だけではありません。ナパ・ヴァレーの「オークヴィル」と表記があれば、単なる産地の表記以上の期待をワインに込めるはずです。
 
 
ほとんどの人にとって、ワインは先入観で味わいを変えます。これは悪いことではなく、「期待を込めて飲んだ方がより美味しく感じることが多い」ということ。
逆にそのブランドを知らない人にとっては、ワインが美味しくてもなぜそれほど高価なのか理解できないかもしれません。
 
最初の「高いワイン」に重複しますが、希少価値の高いワインはその価値をわかってくれる人と飲みたいものです
 
 

では独り占めしたいワインとは?

 
これらの条件を裏返して、独り占めしたいワインの特徴を考えていきましょう。
 
高すぎないワイン
 一人で飲んでも「たまにはいいか」と思えるような価格であることが大切です。
 
風味が変化するワイン
 開けて3時間後5時間後、2日目3日目にピークが来るワインもあります。みんなでグラス1杯ずつ飲んでは、そのピークが味わえない。一人で時間をかけて飲むからこそ楽しめる風味というものもあります。
 ただしワインの熟成度合いや様々な要因でそのピークのタイミングは変わります。見極めには経験が必要です。
 
自分だけが美味しさを知っていればいいワイン
 皆がブランド価値を認めるワインだけが高品質で美味しいワインとは限りません。「知る人ぞ知る」というより「飲んだことのある人しか知らない」くらいの知名度の低いワイン。その中にもビックリするような美味しいワインはたくさんあります。
 ワイン会であっと驚かせる武器に使うのものいいですが、その価値を知っている自分だけで飲んでしまうのもいい。世間の期待値は低くても、あなたにとっての期待値は高いのですから。
 
飲み心地が良すぎるワイン
 グラスに注ぐなりグイグイ飲んでしまう。ついついもう一口に手が伸びる。いつも飲む量をオーバーして、気づいたら「飲んでしまえ」な量しか残っていない。
 そんな飲み心地が良すぎるワインは、他の人にシェアする暇がありません。
 これに関しては味わいの問題なので、どうしても主観的な基準になります。参考までに。
 
 
これらの特徴をもとに、独り占めして1本全部味わいたいワインをその理由別にご紹介していきます。
 
 

風味の変化を長く楽しむワイン

 
抜栓後にワインの風味がどう変化するのかについて、一概に言えることは多くありません。同じ銘柄でもヴィンテージや熟成度合いによって変わります。特に香りの変化は、私が試飲した1本をもって購入者様の体験を保証できるものではありません。
 
しかし赤ワインの渋みに関する変化は、ある程度確かなことが言えるでしょう。最初はしっかり歯茎を刺激してきたタンニンが、開けてからの時間に従って丸くなめらかな印象へと変わっていきます
 
 

タンニンと食事

「渋い赤ワインは苦手」という方は多いでしょう。なら渋くない赤ワインを選べばいいのですが、食事とあわせて飲むならちょっとくらいは渋みがあった方がベターです。特に肉料理を食べるときは。
単体で飲むときは気になった渋みが、モグモグしながらだとちょうどいい刺激になるはずです。
そのタンニンが時間変化で穏やかになります。例えばボトルの半分は食事しながら飲んで、後半はワインだけで楽しむ。そういう使い方はいかがでしょうか。
 
 

時間と日にちでの変化を楽しむ

div>濃いワインと薄いワインなら、濃いワインの方が高い値段に納得しやすいもの。

そういう意味で薄旨なキレイ系グルナッシュに5,000円出せる、つまりその美味しさに気付いている人はまだまだ少数です。
 
 
グルナッシュの高級ワインとしては、ローヌのシャトーヌフ・デュ・パプが有名です。その味わいとは大きく方向性が違いまうす。収穫時期を早めてアルコール度数を抑え、抽出を淡くして渋みを抑えています。まるでピノ・ノワールのように口当たり軽く上品なスタイル。こういった味わいのものが、南アフリカのスワートランドで近年いくつもつくられ始めており、新発売をよく見かけます。このワインも今回初輸入。
 
「南アフリカのグルナッシュに5,000円出すなんて・・・」そう考える気持ちも理解できるからこそ、この美味しさを独り占めしたくなります。
 
 

気候変動への対応 一つの答え

 
いわゆる「国際品種」と呼ばれるものは、ほとんどがフランス原産。もともとが比較的涼しい環境で栽培されてきたため、地球温暖化によって酸味が低くなりすぎる問題が各地で表面化しています
 
その対策の一つが「もっと暖かい地域で昔から栽培されてきた品種を植える」こと。このフィアーノは、イタリアのカンパーニャ州、ナポリ近郊で栽培されてきた白ブドウです。「なぜにニュージーランドでフィアーノ?」の答えはこれ。
 
中~高価格帯の白ワインは、圧倒的にシャルドネが多いです。それは我々消費者がシャルドネにお金をかける傾向が強いから。
本当にシャルドネ一辺倒でいいのか?」そう考えながら、この上品でありながらしっかりとした味わいのフィアーノをゆっくり味わってみては?
 
 

飲みだしたら止まらないからシェアできないワイン

 
ゴクゴクっと飲んでしまうようなワインは、そう飲んでしまってももったいなく感じない手ごろな価格が必須。
さらに味わいとして次のようなポイントが求められます。
 
  • 白ワインなら酸味が強すぎない
  • 赤ワインなら渋みがほとんどない
  • 口当たりなめらか
  • 余韻がほどよく短い
  • 辛口でありながらドライすぎない
 
この条件をクリアしたうえで、さらに主観的な「飲み心地の良さ」を持ったワイン。私なら次の3本を挙げます。
 
 

きっと生産者自身が飲みたいタイプ

 
南オーストラリア州はシラーズの銘醸地。特にバロッサ・ヴァレーやマクラーレン・ヴェイルといった地域のものは、素晴らしく凝縮感が高くフルボディで飲みごたえのある赤ワインがつくられます。その近郊で比較的冷涼なアデレード・ヒルズでも、どちらかというとその濃厚なシラーズ寄りのスタイルでつくられるワインが多いです。
 
それらと比べると、このマイク・プレスは凝縮感はありません。口当たりも重たくなく、渋みも抑えめ。シラーズの香りは持っていますが、熟したベリーのニュアンスは控えめです。
このいい意味での弱さが、普段飲みに求めている味なのでしょう。生産者自身が!「毎日のように飲むなら、こういうバランスがいい」と。
 
単に安くて薄いシラーズとは違います。ありそうでないこのバランスで、ついもう一口飲んでしまいます。
 
 

「甘濃い」だけが南イタリアじゃない!

 
南イタリアらしい圧倒的な『太陽』のイメージ。豊かな日照と雨の少ない環境のもと、健全に完熟したフルーツを思わせる風味。その雰囲気に飲めば気分が明るくなりそう。
 
 
しかしそういった熟したフルーツの印象を持つワインは、得てして濃厚でアルコール度数も高くなりがち。飲みごたえを求めるならそれもいいですが、グイグイ1本飲むならもう少し軽い方がいい。
 
そのちょうど良さを備えたのがこのワインです。果実味主体の風味ながら、スルスルっと入ってくる飲み口。ストレスなく1本空いちゃうでしょう。
 
 

他に何もいらない心地よさ

 
最初の一口目から、強すぎないやさしい泡感の微発泡ワイン。辛口ワインではあるのですが、風味のフルーツ感が強いため、ほのかな甘みがあるように錯覚します。
その適度に甘い風味が、ワイン単体で楽しむのに完璧なバランスを形成しています。料理にあわないわけじゃないのですが、別にアテはなくていい。真剣に向き合うようなワインではなく、何か娯楽を嗜みながらずっと飲んでいたいような心地よさ。
 
炭酸ガス注入方式のスパークリングワインです。泡持ちはあまり良くありません。ボトルの中が残り少なくなってきたら、思い切って1日で飲んじゃいましょう。
 
 

飲み方の幅が広がればワインはもっと楽しい

 
種類が膨大なことはワインの魅力の一つですが、同時に「選ぶのが難しい」というデメリット、ハードルの高さでもあります。
それでいて価格が高い。好みじゃないものを選んでしまうのを恐れるのは自然なことです。
 
そうなるとつい間違いがなさそうな有名なもの、人気のものばかり購入してしまう。そういうワインはえてして割高だったり無難な味づくりだったりするものです。期待を超える満足はなかなか得られません。
 
 
もっと選び方を尖らせた先に、さらなるワインの面白さがあります
「美味しいワイン」「おすすめのワイン」ではなく、「自分の好みにピッタリはまるワイン」「こういう気分やシチュエーションで飲むのに最適なワイン」を探す。そのシチュエーションの中には「誰かと一緒に飲む」だけでなく、「一人だけで飲む」というのもあるはず。
 
今回は一人で1本美味しく飲み切るというところに焦点を当ててみました。
「こういう視点で選ぶのもアリなんだ!」という気づきがあったら幸いです





※投稿に記載しているワインのヴィンテージ・価格は執筆時のものです。現在販売しているものと異なる場合があります。
購入の際は必ず商品ページにてご確認ください。




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