美味しいワインがそのまま屋外でのBBQで美味しいとは限りません。
風、炭火、温度、グラス・・・様々な"美味しいワインの敵"に強いワインを選ぶ必要があるのです。
BBQに適したワインの選び方と、おすすめの銘柄をご紹介します。
ビールよりもずっと面白い、友人とのバーベキュータイムを楽しむことができるでしょう。
BBQにおける「美味しいワインの敵」とは
屋外で行うバーベキューでは、ワインを美味しさを削いでしまう要因があります。
しかしその影響は全てのワインに平等ではありません。影響を受けやすいワインとあまり変わらないワインのタイプがあるのです。
影響の少ないワインを選ぶには、香りよりも味を重視するのがポイントです。
屋外での風の影響
風が吹く屋外ではワインの香りは感じにくいものです。
これは屋外でのBBQが室内での焼肉とは大きく違う点です。香りの感度が下がりますし、ハッキリとしたシンプルな香りならともかく、繊細で複雑な香りは感じ取れません。
だから香りに魅力のあるワインは不利です。その代表格がピノ・ノワールでしょう。
ゲヴュルツトラミネールをはじめとしたアロマティック品種も避けることが無難です。
炭火と煙が鼻をマヒさせる
炭火の粉塵や肉汁が焼けたときの煙は、嗅覚をマヒさせます。炭火のそばでは嗅覚が正常には働きません。
これもまた香りではなく味重視でワインを選ぶべき理由です。
焼肉屋さんで炭火のそばで食べるとしても、換気がしっかりしていればあまり煙は浴びません。
単に「焼肉にあう」だけで考えてはいけないのです。
温度管理に限界がある
赤ワインの飲み頃温度はそのタイプにもよりますが、13~18℃くらいです。
そしてワインセラー以外でこのくらいの温度をキープするのは非常に難しいです。たいていは高くなりすぎますが、クーラーボックスだと冷えすぎることもあります。
室内に比べて風の吹く屋外は温度が上がりやすいです。クーラーボックスで冷やして出してを繰り返すとしても、ベストな温度に保つのには限度があります。
ワイングラスは・・・大変
ワインは適したワイングラスで飲んだ方が断然美味しく感じます。
しかし割れ物でかさばるワイングラスを、アウトドアで使うのは簡単ではありません。
こちらのようなプラスチック製のグラスなら破損の心配はありません。
ただし使い終わったあとは洗わないといけない。
使い捨てのプラカップの方が楽ちんなのは確かです。
プラカップで飲むワインは、特に香りの広がり方で劣ります。
これもまた香りより味を優先すべき理由です。
BBQワインは手ごろなものを
一般に高価なワインほど香り豊かなものです。
しかしせっかく高いワインを用意しても、屋外BBQでプラカップで飲むのではもったいない。
故にあまり高価なワインを選ぶ必要はありません。私見ですが3000円くらいが上限でしょう。
3000円以下で香りよりも味に魅力のある、BBQにおすすめワインをご紹介します。
味が魅力のしっかり系赤ワイン
炭火で焼くお肉は、しっかり焼肉のたれをつけて食べたり、塩コショウでもついつけすぎてしまうもの。味が濃いんです。
それとバランスをとるためにも、ワインはしっかり目の味わいがいい。
渋みは温度が高いと穏やかに感じること。それから噛み応えのある肉にあわせることを考えて、タンニンはやや多めが適しています。
ただしアルコールが高すぎると、温度が上がったときにその臭いが気になります。アルコール15%以下で選びました。
以上のような条件から、BBQにおすすめの赤ワインをピックアップしました。
パワフル品種のコンビネーション!
カベルネ・ソーヴィニヨンとシラーズのブレンドは、オーストラリアでよく見かけます。手ごろなカベルネは時にボディ感に欠けることがあるのを、果実感たっぷりに熟したシラーズが補うのです。
南アフリカにてハーテンバーグがつくるブレンドもまたピカイチ!香りもまずまずなワインなんですが、何より口当たりの厚みに魅力があり、それはきっと屋外でも損なわれません。
タレの甘濃さにあわせてジンファンデル
2000円前後の低価格帯ジンファンデルの多くは、「シンプルな香りの甘濃いワイン」というスタイルがほとんど。このワインもその典型です。
タンニンは少ないものの、甘辛い焼肉のタレで食べる牛肉とは、自然な調和を感じさせてくれます。
あまり温度を上げるとべったりとした印象になるので、比較的早め、2本目か3本目に飲み始めるといいでしょう。
豊かなタンニンが口を引き締める
このワインがつくられる「レイク・カウンティ」は山岳地帯。やや冷涼であることと日照量の多さから、ブドウの果皮は暑くなりタンニンが豊富なワインができあがります。
肉の脂で口がもったりしがちなBBQの中盤以降、そのタンニンの刺激が心地よい。
後半に開けるワインとしてどうぞ。
分厚いお肉と渋い赤ワイン
渋みが強いよりは穏やかな方が苦手とする方が少ないので、手ごろな価格帯の赤ワインは渋くないものが多い傾向です。
だからこそこの「タナ」主体のワインは貴重。渋みのもと「タンニン」を語源とする品種で、非常に多くのタンニンを含みます。タナのワインの中では、こちらでもまだ穏やかな方。
焼肉でも分厚く切った肉や、あえて噛み応えのある輸入牛肉を焼くとき。口に含んで長くモグモグするなら、渋みの感覚が長く残るワインの方がつり合いがとれます。
肉にかぶりつきたいときは、このワインできまり!
食前酒としてのスパークリングワイン
炭火の焼肉にあわせて飲みたくなるのは、まずは赤ワインでしょう。
でも赤ワインだけというのも物足りないはず。
スパークリングワインも用意するなら、乾杯の食前酒的に楽しむのがいいでしょう。
ワインだけで楽しむなら、キリキリの辛口よりは少し甘味を感じるくらいが満足度高いです。
少し甘めの味わいがボリューム感に
このワインの味わいは「ドゥミ・セック」。残糖度が12~17g/Lです。
しかし「甘口」かというとそんなことは全くなく、よく冷やした状態では甘味はほぼ感じません。味わいのボリューム感となって現れます。それがワインのみで楽しむのにちょうどいいんです。
BBQのスタートは、なかなか火が起こらないこともあります。
準備はできても参加者がなかなかそろわず、「お肉焼くのは待とうか」となる場合もあるでしょう。
このスパークリングがあれば、胃袋と肝臓のちょうどいい準備運動になるでしょう。
冷えすぎだとしてもちゃんと香る!
アウトドアであっても、氷水に漬けておけばワインをしっかり冷やすことができます。しかし冷やしすぎて香りが全く感じないってこともあるでしょう。
そんなキンキンに冷たくてもしっかり香りが感じるように。そういうコンセプトでつくられたのが、このスパークリングワインです。
それが「ココッチオーラ」というブドウ品種によるものなのか、それともそういう醸造法があるのかは、正直わかりません。
ともあれこのワインなら、氷水から出してすぐプラカップに注いでも、豊かな風味を楽しめるでしょう。
気分転換に白ワインも
BBQで「白ワインじゃなきゃいけない」というのは、「参加者の中に赤ワインが苦手な人がいる」という他にはあまりないでしょう。
だから白ワインを飲みたくなるとしたら、食事の合間の気分転換って役割が強いはず。
赤ワインの合間に飲んでも印象が薄くならない、外飲みに向いた白ワインはこちらです。
ちょい甘口・ちょいシュワシュワ
肉と赤ワインの口休めに飲むなら、ヴィーニョ・ヴェルデはいかが?ポルトガルの微発泡白ワインで、少しだけ甘味のあるものが多いです。そしてリーズナブルなものがほとんど。酸味はやや高い、スッキリとした白ワインです。
もともとあまり香りが豊かなものではないので、プラカップで飲んでももったいなくはない。
微発泡なので一人で飲むと保存性が気になりますが、BBQにて数人で飲むなら空になるのは一瞬でしょう。
豚肉には赤よりむしろ樽熟の白!
「肉には赤ワイン」のイメージが強いかもしれません。実際牛肉やラム肉などには力強い赤ワインがよくあいます。
一方で豚肉や鶏肉は、味付けによるとはいえ概ね白ワインの方がよくあいます。たんぱくな味わいに赤ワインのベリー感が過剰になることがあるからです。
そんなときは断然白ワインの方がバランスがとれます。とりわけあまり酸味が高くない樽熟成したワイン。シャルドネなどです。
イタリアの土着品種を半々にブレンドしたこのワインも、その条件を満たしています。
牛肉だけだと飽きちゃうから。単純にコストを下げるため。参加者の誰かが好きだから。そんな理由で豚肉や鶏肉も焼くときは、樽熟成した白ワインも1本あるといいでしょう。
ビールより楽しいワインBBQ
BBQのドリンクは缶ビールや缶チューハイなどの方が楽ちんで安上がりなのは間違いありません。
ワインボトルがガラスで重たく、割れやすく、ごみの処理も大変です。
それでもワインを選ぶ理由があります。『美味しさを分かち合う』です。
ビールやチューハイ、ハイボールなど、缶のお酒はたくさん種類があります。そして基本1本は一人で飲み切ります。
だからそれらのお酒が中心なら、「各々が好きなものを飲む」というスタイルでしょう。
いつも飲んでいるお酒、今さら「美味しいな~」ということはあまりありません。
それに対してワインは膨大な種類とヴィンテージの概念があります。飲み方でも味わいを変えます。その味わいは今、初めてです。
その1本のボトルを、たいていはその場の皆でシェアします。
美味しかった場合はもちろん、イマイチだった場合もそれはそれで、会話の起点となりうるのです。
コスパと手軽さを考えるなら、缶のお酒がいい。
でも忙しい社会人、友人と集まってBBQなんて、年間にそう何回もできないでしょう。数年に1回だとしても不思議ではない。
めったにない楽しい時間をより充実させるため、ワインに使うお金は決して高すぎることはないはずです。
友人・知人との時間をより豊かにするために、BBQワインをぜひ役立ててください。