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ワインを売るということについて 中間業者の存在意義とその目指すところ

2023年1月5日

ワインを売るということは・・・中間業者としてお客様のために為すこと
 
小売店の立場としてワインを売る仕事に就き、何に存在意義を示すのか。
「ワイン好き」といっても色々な立場があります。つくる人、飲む人、運ぶ人、紹介する人・・・・
誰が偉いとかはありませんが、我々中間業者は必須でないからこそ、存在意義を示さなければなりません
私たちがどうしてワインを提案することに心血を注ぐか。年始めにその思いを語ります。
 
 

小売り店の責務は未知のワインの紹介にあり

 
「こんな美味しいワインがありますよ」
そうやってワインを消費者に紹介し、購入してもらって満足していただくその対価として私たちはお金をいただいていると考えます。
 
 
ワインをつくっているのではありません。ただ仕入れたワインを販売して、差額の利益を得ている。
そこに如何にして存在意義を示すのか、これからお話します。
 
 

我々がいなければワインは安くなるかも?

 
流通において中間業者を省くことが、コストダウンの効果的な手段です
その代表格がサイゼリヤです。
 
サイゼリヤでは執筆時、グラスワインが税込み100円で提供されています。マグナムボトルのワインが1100円です。
おそらくワイン生産国ですらそうそうない価格です。
それを可能にしているのはワイナリーとの直接契約。輸出業者、輸入業者、卸売業者を全て省いて、ワイナリーからほぼ輸送費のみで日本のレストランに納品されるのです。
もちろん他にも諸々の企業努力あってのことですが、直輸入ゆえのコストカットは大きいでしょう。
 
 
もしも消費者がワイン生産者から直接購入できるのなら、ワインの価格はもっと安くなるでしょう。
 
あくまで「もしも」です
実際にワイナリーに行ったとて、そこまで極端に安く販売されているわけではありません。
ワイン生産者は国内のワインショップやレストランにも卸しています。直営店で安売りしすぎると、卸先が販売に困ってしまうからです。
生産者がオンラインショップを運営していて、日本での販売価格よりずいぶん安い場合もあります。でも日本への送料などを考えるとよほどの価格差がないかぎり個人輸入は実際には高くつきます。
 
 

安く直輸入する方法がなくはない

 
カリフォルニアの有名ワイナリーのHPを訪れると、メーリングリストの登録フォームがあります。そこに登録しておいて順番が回ってきたなら、中間業者を通さない価格でワインが購入できます。
もちろん1本だけってわけにはいかず、ある程度の本数、結構な金額です。輸送の手配をして検疫を通して関税や酒税を払ってとありますが、それでも国内のワインショップで買うよりは安いはずです。
 
 
詳しい手続きは私も知らないので一切責任は持てませんが、高級ワインをもっと安く買う方法はあります
風の噂ですが、いつも高級ワインをケースで買っていたお客様、今年は注文ないなと思ったら直接買ってたってこともあるそうです。
 
 

もしも個人輸入が主流の世の中になったとしたら

 
もしそうやって個人輸入が主流の世の中になってしまったとしたら。
せっかく世界に多種多様なワインがあるのに、限られた種類のワインばかり飲む多様性に乏しい楽しみ方になるでしょう
だって美味しいと知っているワインしか買えないから
 
 
結果として今既に知名度の高い生産者に注文が集中します。そして評論家の点数ばかりを追いかけるような買い方になるでしょう。そして今よりさらに高額になる。
無名ながら実力のある生産者がつくる高品質なワインには、出会うことができなくなります。
 
 

中間業者は選択肢を与える

 
しかし現実にワインを直輸入して楽しんでいる消費者は、ほんの極々わずか。
ほとんどの人は、インポーターが輸入したワインを自宅やレストランで楽しんでいます。その方が多種多様なワインを1本から購入できるからです。
 
インポーターが海外からまとめてワインを輸入する。そうすることで輸送費は個人輸入よりずっと抑えられます。
そしてインポーターが在庫コストを負担することで、小売店やレストランは必要な時に必要な数のワインを仕入れることができます。
だから店頭やレストランには多種多様なワインが並び、消費者はたくさんの選択肢の中から美味しそうなワインを選べるのです。
 
 
先ほど挙げたサイゼリヤ。圧倒的な低価格の代償として、選択肢がありません。グラスワインの赤白は1種類ずつ。ボトルワインのメニューもそうそう変わりません。コストパフォーマンスの代償は、「選ぶ楽しさ」です。
 
 

ワインを消費する難しさ

 
ワインはとかく種類が多いお酒です。そして概ね高価です。抜栓すれば次第に品質が劣化します
主にこの3点が、「よくわからないからワインを買えない」ということにつながります。
 
 
ワインが国内に5000種程度しかなかったとしたら、話は簡単です。
自分にとってちょうどいい価格帯・好みのタイプの銘柄は、せいぜい数十種類。簡単に飲みつくすことができるので、「知っている味から選ぶ」わけです。難しくありません。
 
例え種類が多くても、ワインが安ければ「失敗してもいいか」と気軽に試すことができます。しかし破損リスクのある瓶に入った重たい液体を、遠ければ地球の裏側から運んできて販売するのです。そりゃあコストがかかって高くなるというもの。
 
ワインが抜栓後も劣化しないのなら、もっと試飲販売の機会が多いでしょう。買う前に味を確かめられるなら、知識はなくとも購入は難しくない。でも多くのワインは開けてから風味の変化を続け、1週間後には劣化してしまっているものがほとんどです。
 
たくさんの種類の中から失敗したくない金額のお酒を飲まずに味を想像して選ぶ
「ワインはよくわからない」そう言いたくなる人の気持ちもよくわかります。
 
 

ワインを買うときの心理

 
「美味しいワイン」をが欲しくて「美味しそうなワイン」を買う
いくらかの例外はあるでしょうが、基本的にみな考えているのはこれだけです。
 
 

期待値が価格を超えたとき

 
我々が「必要ではないけど、欲しいもの」を購入するとき。
片側に値段。片側にそれを購入して自分が得られるであろう満足。
この2つを自分なりの天秤に乗せる。これは自分を幸せにしてくれそうだという期待値が価格を超えたとき、購入の決断をするのだと私は捉えています。
 
ワインを買うか買わないかは、そのワインの期待値が価格を上回るか否か
 
ワインの場合、求める満足とは基本的に美味しさです。「美味しそう」という期待値が価格を上回ったら買う。そうでないなら買わない。
 
ではその「美味しそう」と感じる理由は何でしょうか?期待値の構成要素を考察します。
 

期待値の構成要素は?

 
あなたは普段ワインを買うとき、どうしてそのワインを「美味しそうだから飲みたい」と考えましたか
 
飲んだことのあるワイン」なら話は早い。あなたが記憶している味と販売価格を比べて、納得できるなら購入です。
しかしワインの圧倒的大多数は「飲んだことのないワイン」です。
 
「美味しそう」と思うとしたら、次のどれかに当てはまるのではないでしょうか?
 

飲みたいと感じる理由

  • このワイン自体は飲んだことがないが、同一生産者の別のワインは飲んだことがある
  • 知人が「このワイン美味しいよ」と教えてくれた
  • 有名なソムリエさん、あるいは著名人が美味しいと言っていた
  • 評論家やワイン雑誌で高い評価を受けていた
  • このワインが他では高い価格で売られれている
  • このワインの品種・地域・醸造法などが好みである
  • 販売店が魅力的に紹介していた
  • ボトルデザインがなんとなく美味しそう
 
 
ワインの購入動機はこのどれかに当てはまるものがほとんどだと考えます。そしてそれはプロであっても同じです。
これらのうちいくつかの項目が合わさって、「美味しそう」という期待値を構成するのです。
 
 

安売りは有効

 
「美味しそう」の期待値という点で、ワインの安売りは非常に有効です。
 
 
例えば通常価格5000円で売っているものを、3割引きの3500円で特価販売するとします。
それを見た人は、「5000円の価格に相応しい美味しさ」という期待値と、3500円という価格を比べるわけです。
もちろんそのほかにワインの品種や産地が自分の好みに合うか、ショップが美味しそうに説明しているかも確認するでしょう。でも一番の期待は、「5000円でも買う人がいるくらい美味しいのだろう」という点であるはず。
 
「美味しそうなものを買う」という心理の他に、「お得に買い物したい」「セール価格だから今買わなくちゃ」という考えもあるでしょう。でも自分が興味ないものがいくら安くなっていても買わないはず。
 
だから定価や相場価格があるものを値引きして売るのは、期待値が価格を超える一番手っ取り早い方法です。
 
 

安売りにソムリエいらない

 
そんな安売り競争をもし葡萄畑ココスがやるとしたら。
ソムリエの片山は要らないですよね。だって専門職として給料高いんで。クビです。
 
有名で多くの人が「美味しそう」と思うワインを安く提供するためには、必要なのはひたすらコストカットです。最低限のワインの知識を持つ人が、アルバイトを使って商売するのが人件費を抑える有効手段。
「オーパス・ワン」を買う/買わないの判断に、片山のコメントは何ら影響しません。詳しく説明されるより、100円でも安い方がうれしい。
 
放っといても期待値が高いワインを売るのに、ソムリエは要らないんです
 
 

安売りで売れるのは限られたワインだけ

 
安く売ることに意味があるワインは、流通している銘柄のほんの一部です。
 
 
例えば服やカバンが「80%OFF!」とかで売られていたとしても、合わなさそうなものなら欲しくないですよね。
美味しそう、もしくは美味しいと知っているワインが安くなるから喜んで買うのです。
よく知らない地区の知らない生産者のワイン、利益を削って30%OFFにしても、そうたくさん売れるものではありません。
 
安売りに力を入れていくと、必然的に安売りしやすい品ぞろえに寄っていくのです。例えば地域はメジャーだけど生産者は無名で、味はイマイチなものとか。
お得感はあるかもしれませんが、飲んだ後には虚しさが残ることでしょう。
 
 

小規模な会社は行き止まり

 
加えて安売り合戦になったとき、中小企業は太刀打ちできません
COCOSは、社長と正社員5名とアルバイト数名程度の小さな会社です。
楽天で著名なEさんやFさんやTさんやTさんやUさんやLさんのような大きな会社には、価格戦争では太刀打ちできません。
 
それに安売りするショップの価値など、もっと安いお店が出てきたら終わります
小さな会社が安売りに力を入れても、中途半端で終わる以外にない、行き止まりなんです。
 
 

仕入れ先にも喜ばれるショップに

 
さらに言うと、利益を削って安売りしても、輸入元さんには喜んでもらえないんですよね
 
ワインショップAが、あらたにBというワインを飲んで、ネット販売しようと考えたとします。
当然競合他社の価格は調べます。そのとき、C店がかなり安売りをしていて、同じ価格ではとても利益がでないとしたら。
A店はそのワインを取り扱うのを躊躇するかもしれません。「もっと安いとこがあるから、どうせ売れないだろう」と。
 
 
販売経路が増えればそれだけお客様の目に留まる機会は増えるのに、1社の極端な安売りはそれを阻害してしまう。レストランでそのワインを飲んだお客様がネットで調べて、「こんな安いワインだったんだ!」とびっくりすることもあります。
だからたとえそれでよく売れたとしても、長期的にはワインのブランド価値を損なうので、安売りはあまり輸入元にとって喜ばしいことではないんです。
 
当店は利用されるお客様だけでなく、取引先にも喜んでもらいたい。
同一商品で比べたときの価格のお得感。それは当店にはあまり期待しないでください。
その代わり、「安売りするわけじゃないけど、価格以上に価値があるワイン」を紹介していきたいと考えています。
 
 

レアワインを売って喜んでいてはいけない

 
ここ数年、ブルゴーニュワインにおいて需要と供給のアンバランスがひどいです。人気生産者のレアなワインは、定価で販売しても在庫を上げて数時間で完売です。
 
そこで得られる利益は無視できないのですが、レアワインは仕入れられる数が知れています
 
加えて、ルフレーヴのワインを買う人はその生産者にブランド価値を感じているから高い金額を支払うのです。それを販売している当店に価値を感じてではありません。
レアワインを販売しても、さして自店のブランディングにはならないのです。
 
その名前だけで「美味しそう」の期待値を大いにかけることができるレアワイン。
そこにワインショップの存在意義を示す余地はほとんどありません
 
 
我々ワインショップが存在意義を示せるところ。
それはショップの紹介で「美味しそう」といかに思わせられるかです。
 
 

いかに「美味しい」を伝えるか

 
「美味しい」って人間にとって根源的でありながら、共有するのが非常に難しい感情だと感じています。ぜんっぜん文字に乗せられない。
 
ワインショップの商品ページや輸入元のHPなどでは、いろいろな言葉を用いてそのワインの「美味しい」が説明されています。
でもその説明を読んで、こう思ったことはないですか?
 
だから?
 
 

プロダクト・アウトとマーケット・イン

 
商品をお勧めするうえで、「プロダクト・アウト」と「マーケット・イン」という考え方があります。
 
例えで説明するとわかりやすい。
ハンディ掃除機を紹介するとき、「当社比15%の軽量化に成功しました。わずか2400gです!」とその製品のことを話すのがプロダクト・アウト。「軽いのでおばあちゃんでも持ち運び楽々♪」と紹介するのがマーケット・インです。
どちらが魅力的に映るかは明らかですよね。
 
 
ワインに当てはめるなら、次のようなものがプロダクト・アウトとして語られがちです。
その生産者がどんな経歴を持つ人か
そのワインがどれだけこだわりを持ってつくられているか
そのワインがどんな評価を受けているか
それで「どうだ、すごいでしょ!買ってください」というわけです。
 
逆にマーケット・インをするならこのように書けます。
こういう好みを持つあなたには、このワインが~~という理由でおすすめです。
○○という場合に選ぶべきはこのワインです。
 
 

プロダクト・アウトで売れるには

 
プロダクト・アウトだけで「美味しそう」と思ってもらうためには、そのワインに際立った特徴かブランド価値が必要です。
「どうだ、すごいでしょ!」がマジでスゴイ場合です。
 
多くの人がその品質を認める生産者の新商品なら、その商品紹介だけで飲みたくなる人はたくさんいます。
有名な評論家がかなりの高得点をつけた。「ジェームズ・サックリング100点!」とかなら売れます。でも「パーカーポイント91点」とかの悪くないけどとびぬけてない評価や、「ルカ・マローニ99点」とかだと、説得力は不十分です。
 

数え切れないほどのワインがある中で、中途半端な特徴を紹介しても埋もれます。目に留まりません。

 
現実的にその一言でドンドン売れていくようなキーワードはごくわずか。ワインのことだけを話して飲みたくなるような銘柄って、本当に限られています
しかもプロダクト・アウトで売れるワインってたいていの場合、そんなに頑張って紹介しなくても詳しい人は知っていて、勝手に売れるんですよね。
 
 

ワインの紹介はプロダクト・アウトばかり

 
にも関わらず見回せば、ワインの紹介はプロダクト・アウトばかりです
輸入元のHPを見ても、ワイナリーから提供された情報を淡々と和訳して載せているところがほとんど。
 
それをそのままコピペした商品説明文が、ワインの通販ページにいかに多いことか。
樹齢がどうの、醸造に用いる樽がどうの・・・それで本当に「美味しそう」と感じてもらえると思ってるんでしょうか。それを読んだ感想が「だから?」です。
 
そのワインをいかに消費者が楽しむかに焦点を当てた紹介は、ほとんど見たことがありません。
 
 
それでも売れてきたんです
 
 

受け取る側によってはプロダクト・アウトがわかりやすい

 
プロダクト・アウトが悪い説明法というわけではありません
 
例えばパソコンについて。私はある程度はパソコンのハードウェアに対する知識があり、スペックの示すところはだいたい理解できます。
だから購入するパソコンを選ぶにあたり、あいまいな製品特徴よりもカタログスペックを読む方が判断材料になります
「とっても薄いから、書類と一緒にカバンにスッキリ収まる」とか紹介されるよりも、具体的な数値情報が欲しい。
 
ワインのスペック的なものを知らない一般的な人には、マーケット・インで紹介した方がわかりやすいです。
しかしかなりワインに詳しい人にとっては、そのワインの客観的な事実をプロダクト・アウトした方が、正確な購入判断ができると喜ばれる場合もあるのです。
 
 

ワインの消費者はかなり特殊

 
洗濯機を買う人は、別に洗濯機が好きで買っているのではありません。
スーパーに行けば多様なドレッシングが売っていますが、事前に勉強して購入に臨む人はいないでしょう。
 
でもワインは違います。
例外はあれど、少なからぬ割合の人が好きだからワインを買っている
一部の層とはいえ、ワインを勉強するためにお金や時間を費やしている
 
 
ワインが難解なら知識を身につければいい。説明が難しいなら読み解けるよう勉強すればいい。
そうして詳しくなることを楽しみながら飲む人たちが、消費を支えてきたのです。
 
消費者のモチベーションという点で、ワインほど特殊な飲み物はないんじゃないでしょうか
 
 

市場は緩やかに先細り

 
プロダクト・アウトでこれまで売れてきたからといって、これから売れていく保証はどこにもありません。それどころか売れなくなっていく理由はいくつも提示できます。
 
ここ20年、日本人の平均給与はほとんど上がっていないのに、様々な物価は上がってきました。それはつまり可処分所得が減ってきていることを示します。自由に使えるお金が少なくなった時、真っ先に予算を削られやすい嗜好品の一つがワインです。
さらに近年の健康ブーム。どう言いつくろってもお酒は体に毒です。だからお酒を飲まない人の割合は若年層ほど高く、お酒全体の市場は今後急速に縮んでいくことは明らかです。
それなのに20年前と比較するなら、多種多様なワインが出回っています。消費者にも販売者にもワインの知識が普及してきたこと。そして単純にワインを輸入する業者の数が増えてきたから、昔よりも多くの銘柄のワインが消費されているのです。
 
 
だからこそ、ワインは置いているだけでは売れない
そのワインが悪いのではなく、他に美味しそうなワインがいくらでもあるから売れないのです。
 
 

マーケット・インでより多くの方へ

 
さまざまな娯楽に溢れた現代。お酒を飲む"以外にも"楽しいことはたくさんあります。
ワインを選んで買えるように、お金と時間を費やして勉強してから買う。そんな向き合い方は現代人にはそぐいません。
 
でもだからと言ってワインを飲まない人がお酒を飲めないとも限らないし、美味しいワインに夢中になる可能性だって十分にあります。
専門知識を持っていない層へ、マーケット・インでワインを紹介すればより多くの人にアプローチできます
 
 
だからこそ当店は、ワインを飲むシーンに応じた提案に力を注いでいます
 
昨年の特集の中でも、「明るいうちから飲みたいワイン」などはまさにマーケット・インの実践例。このテーマを思いついた段階で、勧めたいワインは1本も頭にありませんでした。でも休日に昼間からワインを飲む楽しさは私も感じていました。だからまずは需要があってそれに当てはまるワインを考えたのです。
 
昼飲みワイン特集
 
 

輸入元と小売店

 
そのワインを魅力的に消費者に伝えるべき責任を負うのは、まずは輸入元と小売店です。ワインを直輸入している小売店という会社もあるので、この2つの違いはあいまいになりがち。でも私は明確な役割分担があると考えます。
 
輸入元はワインの作り手の代弁者でありアンバサダー
小売店は消費者の代弁者であり、作り手に注文を伝えるもの
 
私はそう考えます。
 
 
例えばある生産者が毎年作っているワイン。
2023年ヴィンテージのものが非常に出来が悪かったとします。
「そこは付き合いだから」「それだけ買わないと生産者が困るから」
そう考えて仕入れるのが輸入元。
「これでは消費者の期待に応えられないから」と取り扱いを止めるのが小売店です。それをもって、「こんなワインじゃダメだ。もっと美味しいものをつくってくれ」と生産者に伝えるのです。
 
その分、質のいいワインについてはたくさん購入してすぐに輸入元の倉庫を空にすることで、「素晴らしかった」のメッセージを伝えます。
 
 

「ワインを飲みたくなる」が存在意義

 
「美味しい」ワインを仕入れて「美味しそう」と思ってもらえるように紹介する
そのワインを飲みたくさせるのが、ワインのセレクトショップの存在意義だと考えます
 
 
「葡萄畑ココスが紹介していたから知ったワイン、飲んだら美味しかった!」
その喜びの対価を得るのが、我々の仕事です。
 
もしも20歳から80歳までの間、毎日ワインを1本飲んだとしたら、約2.2万本です。しかし日本にはそれを明らかに上回る種類のワインが流通しています。
あなたが知らないワインは数限りなくあるのです。
 
 
我々ワインショップのプロは、そのワインの情報・美味しさをキャッチしやすい立場にあります。
だからこそその美味しさを見極めて、求める人に伝える使命を負う
 
2023年も多くのワインについて多くの消費者に「美味しそう」と思ってもらうため、最大限言葉を尽くしてまいります。
文章が長ったらしくて読むのが大変なのは申し訳ないのですが、お付き合いいただけますと幸いです。
 
 





※投稿に記載しているワインのヴィンテージ・価格は執筆時のものです。現在販売しているものと異なる場合があります。
購入の際は必ず商品ページにてご確認ください。




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