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「また飲みたい」がワイナリー大成功の原動力!ヴェレノージが作るワインの特徴とおすすめ銘柄

2022年12月25日

 
 
あなたにとって「また飲みたくなるワイン」ってどんなものですか?
味だけでも価格だけでも、それがリピートしたくなるワインかどうかはわかりません。
でもゼロスタートのワイナリーが一代で急成長したという結果があれば、それは多くの人が「また飲みたい!」と思った証拠に違いありません。
イタリア、マルケ州で第2位に上り詰めた、ヴェレノージの原動力をご紹介します。
 
 

ヴェレノージとは

ヴェレノージとは、アンジェラとエルコレの夫婦がたった二人で始めたワイナリーです。
それぞれの実家は靴のビジネスと食品関係の仕事をしておりワインと全く関係ありません。ただ二人が「自分の好きなことで成功したい」という志でスタートをきったのです。
 
 
 

大成功したヴェレノージ

たった9haの畑から始まったヴェレノージ。今では160haの自家畑を所有します。購入ブドウからの生産も合わせて、現在の年間生産量はおよそ250万本で、これはマルケ州にある家族経営の生産者としては2番目の規模です。
 
規模を拡大するうえで当然多くの賞を受賞し、ワイン評価誌の表紙を飾ったこともあります。
 
 
 
社長のアンジェラは、地元の生産者団体ピチェーノ協会の会長。周りの生産者からも信頼されていることがうかがえます。
 
ヴェレノージは間違いなく、イタリアで大成功したワイナリーの一つです。
 
 

ゼロからスタートしたヴェレノージ

彼女らは強力なバックボーンがあってスタートしたのではありません。
設立当初、家業を継いでほしかったそれぞれの両親からは猛反対されたといいます。
 
 
資金もない。
親の援助もない。
ワイン造りの知識もない。
おまけにワイン産地もノーブランド。
 
当初は大変な苦労があったそうです。
 
 
昼は畑仕事。夜はブドウ栽培や醸造の勉強。
そうして文字通り必死に自分たちのワインを磨き上げてきたのです。
 
 

ワインが売れるからワイナリーは大きくなる

評論家の点数によって一躍有名になり、ワインが高額で売れて急成長する。いわゆるシンデレラワイナリーとはヴェレノージは全く違います。
 
ワイナリーが大きくなるにはお金が必要です。お金を得るには作ったワインが売れないといけません
ワインを売ったお金で、畑を買い足したり樽やタンクを買ったり醸造所を改築する。そしてもっとたくさんのワインをつくる。
そうして資金が回転して、ワイナリーは大きくなっていくのです。
 
 

たくさんワインが売れるのは、また飲みたいから

ヴェレノージはワインが高く売れるようになって儲かったのではありません。手ごろなワインを売りまくって大きくなったのです。
 
急成長したヴェレノージ。それは消費者がヴェレノージのワインをガバガバと飲んでくれた証拠。飲み続けてくれた証拠です。
最初は海外の市場ではないでしょう。設立当時、マルケのワインが美味しいことはほとんど知られていませんでした。
地元マルケの人たちが、ヴェレノージのワインを何度も何度も買って飲んでくれた。だからヴェレノージはどんどんたくさんつくることができたのです。
 
 
どんなワイナリーでもできることではありません。彼らのワインに「リピートしたくなる理由」があったからです。
 
 

リピートしたくなるワインとは

「飲んで美味しかった」
そのワインをまた買いたいと思うなら、絶対これは必要です。でもこれだけではそうそうリピートはしてもらえません。
なぜなら「美味しいワイン」「美味しそうなワイン」は世の中に数限りなくあるからです。
 
そのなかで同じワインをまた買ってもらうには次のものが必要です。
 

また買ってもらうには

〇また飲みたくなる味わい
〇何度も買いたくなる工夫
 
 

「また飲みたくなる」ヴェレノージがつくるワインの味わい

試飲会のようにたくさんワインが並ぶなかでヴェレノージのワインを飲むとわかります。彼女らのワインには突出した要素がありません
 
 
でも1本ずつ、グラス1杯2杯とゆっくり飲むとわかります。味わいの要素が平均以上に揃っている
果実味をしっかり感じるが、主張しすぎることもない。
酸味はマルケ州なので比較的穏やかだが、ちゃんと適度にある。
赤ワインのタンニンはそう強い方ではないが、食事と合わせるには十分ある。
余韻がそれほど長いわけではないが、物足りなさはない。
 
つまり「驚きはないけど期待通りのワイン」なんです。それぞれの要素が強すぎることがないので、飲み疲れもしません。
 
こないだの夜にヴェレノージのワインを開けたけど、悪くなかったよね
そんな印象が「また飲みたい」につながっているのではないでしょうか。
 
こんな「また飲みたい」ワインは、言うは易く行うは難しです。それを実現できたのはマルケ州だからです。
 
 

質の割に知名度の低いマルケ州のワイン

ワインをつくるうえでマルケ州は非常に良い環境なのですが、銘醸地として数えられることはあまりありません。それにはマルケ州の立地が関係しています。
 
マルケ州の位置はこの地図の通り。
 
 
北:エミーリア・ロマーニャ州 「ランブルスコ」で超有名な食の都。
西:トスカーナ州 「キャンティ」や「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」を擁する、イタリアきっての銘醸地
南:アブルッツォ州 高級ワイン産地ではないが、「ファンティーニ・グループ」の本拠地
 
周りの州のワインがかなり強いんです。「ワインを買うなら別にマルケじゃなくても・・・」となるわけです。
 
 

マルケ州のすぐれた栽培環境

しかし栽培環境なら周りの州に決して負けていません
 
まずイタリアの多くは地中海性気候で夏に雨が少なく、ブドウ栽培には理想的です。
マルケ州全土の70%が丘陵地帯、30%が山岳地帯。平野部がほとんどありません。南に向いた斜面の畑は日照効率が良く、ブドウがよく熟します
斜面は水はけが良いので、雨が降った時もブドウが病気になりにくく、水分を吸って味が薄まる影響もわずかです。
斜面の畑は表土、栄養豊かな土の層が薄く、植物にとっては過酷な環境です。だからこそブドウの樹は繁殖をがんばる。美味しいブドウをつけて鳥に食べてもらおうとします。
 
 
またマルケ州の西側、トスカーナとの間にはアペニン山脈があります。そこから吹き降ろす冷たい風が日中暖められた空気を冷やすため、昼夜の寒暖差が大きいのが特徴です。そうするとブドウは豊かな酸味をキープでき、上質なワインとなります。
 
土壌は主に石灰質。水はけがいいのに保水力があるので、ブドウにとって非常に都合がいい土です。
 
このように、マルケ州は実は非常にワインづくりに適したエリアなのです。
だから特別な栽培労力をかけずとも、熟した果実味と適度な酸味を持つワインをつくりやすいのです。
 
 

なぜマルケのワインはこれほど地味?

「マルケ州のワインってどんなものがあるの?」
そう聞かれてパッと答えられる人は少ないでしょう。あまり代表となるワインがない、生産量はあるのに地味な産地なのです。
 
 
その大きな理由が恐らくブドウ品種。マルケで主に栽培されるサンジョヴェーゼやモンテプルチャーノという品種が、お隣の州でとっても有名だからです。「サンジョヴェーゼと言えばトスカーナ」「モンテプルチャーノといえばアブルッツォ」なので、マルケの名前が出てこないんです。
 
 

ブレンドの何が悪い!マルケの『地酒』ロッソ・ピチェーノ

ワインを覚えるには単一品種と地域をセットにするのが簡単。でもそれはブレンドのワインが劣ることを意味しません。
サンジョヴェーゼとモンテプルチャーノのブレンドでつくる「ロッソ・ピチェーノ」。これがマルケ州の誇りです。
 
香りに華がありエレガントな酸味を持つサンジョヴェーゼ。でもタンニンがちょっと強くなりがち。
果実味と柔らかなタンニンが魅力のモンテプルチャーノ。でも上品さは欠けがち。
 
 
この2つの品種がお互いに強みを生かし弱みを補い合って、「また飲みたい」と思うのにちょうどいいバランスのワインを生み出します。
 
ヴェレノージももちろん「ロッソ・ピチェーノ」をつくっています。むしろ創業時からつくり続けて、「ロッソ・ピチェーノは美味しい!」を世界に広めるとともに、ヴェレノージも大きくなっていったのです。
 
 

ヴェレノージのワインを「また買いたい」となるために

美味しいワインはたくさんあるので、同じ銘柄を何度も買ってもらうには工夫が必要です。
「また買ってしまうワイン」には、「美味しい」だけでなく「買いやすい」ことも条件なのです。
ではヴェレノージが工夫する「買いやすいワイン」とはどんなものでしょうか。
 
 

スタンダードクラスが美味いから「買いやすい」

とっても美味しくても高価なワインは、「また買おう」とはなかなかなりません。
価格もそうですが、得てしてその生産者のトップクラスのワインは生産量が少なく、あまり流通していないのです。
 
その点ェレノージは一番安いスタンダードクラスから美味いんです
スタンダードは1000円台前半から半ば。非常に手を出しやすいお値段です。
この価格が実現できたのには、マルケの知名度の低さゆえの地価コストの低さがあります。
 
そして入手性。スタンダードクラスは生産量が非常に多いんです。だから買いたいと思ったときにいつでも買える!それも「買いやすい」です。
 
 

スタンダードクラスに込めるヴェレノージの想い

「スタンダードクラスって、5000円のワインと比べると全然本気でつくっていないんでしょう?」
そう思ってしまうのも無理はありません。上級とスタンダードで全く別物のようなワインをつくる生産者もたくさんいます。
 
 
でも創業者アンジェラはこう語ります。
 
私たちが住んでいるここの土着品種を使ったワインで成功することで、自分達のエリアに価値を与えたい。人々に、マルケには土着の品種を使った良いワインがあるのだということを知らせたい。
そういう意味で特にエントリーレベルのワインは、幅広い人々の元に届き、ヴェレノージのワインを知るきっかけとなってくれる、名刺がわりのようなもの。だからこの品質は非常に大事と考えており、トップキュヴェと同じ姿勢で向き合い、同じ労力をかけている。
 
この想いでつくるからこそ、ヴェレノージは「安いワインも美味い」なのです。
 
更に加えるなら、ヴェレノージは地元の人にたくさん飲まれて大きくなったのです。世界で「ロッソ・ピチェーノ」は珍しさがあったかもしれませんが、地元ではロッソ・ピチェーノはどこでもつくられています。地元の人の普段飲みロッソ・ピチェーノとして、他の生産者ではなくヴェレノージが選ばれてきた。スタンダードクラスの品質の証明です。
 
 

ヴェレノージのワインはウサギラベルで覚えてね

「こないだのワイン美味しかったんだけど、名前忘れちゃった」
ほとんどの方が経験していることでしょう。
 
似たようなものの多くて長ったらしいワインや生産者の名前より、視覚に訴えるものの方が記憶しやすいのでは?
ヴェレノージの出した答えがウサギラベル。スタンダードクラスの全てのワインに色違いで描かれています。
 
 
「名前は忘れちゃったけど、ラベルにウサギがいたワイン」
そう覚えてもらって、また買ってもらえるようにという工夫です。
 
 

また飲みたくなる、また買いたくなるヴェレノージのワイン

ヴェレノージはまずスタンダードクラスから入っていただきたい。
一方で同じワインばかり飲み続けるのがもったいないのも事実です。4000円以上のちょっといいワインまで、様々なワインをつくっているのですから。
ピックアップしてご紹介します。
 
 

入門はウサギラベルのスタンダードクラス

COCOSではこのスタンダードクラスを6種類扱っています。
その中でもヴェレノージの入り口としてお試しいただきたいのは、創業時からつくり続けているこの2本です。
 
 
 
 
 

特別な日に飲みたいトップキュヴェ

 

ブレンド比率のこだわり

ちなみにヴェレノージは、実はロッソ・ピチェーノの品種比率を全てモンテプルチャーノ70%、サンジョヴェーゼ30%で揃えています。同じキャラクターで、醸造方法や熟成期間で違いを表現するためです。ロッジョはウサギラベルと比べて段違いの複雑さ、ボリューム感がありながら、やっぱりヴェレノージらしいキレイさも楽しめます。
 
 

「マルケの良さを伝えたい」その気持ちの表れ

マルケ北部の海岸付近でしか育たない珍しい品種「ラクリマ」。個性的な味わいを持ち栽培も難しい品種なのですが、マルケにしかない、マルケでしか出せない味わいを持ちます。アンジェラの思い入れも強いワインがこの「ラクリマ ディ モッロ ダルバ」。どちらかというとまた飲みたい美味しさというよりは面白美味しいタイプですので、珍しい品種好きの方にオススメです。
 
 

故郷アブルッツォのワインをヴェレノージらしく

実はアンジェラの生まれ故郷は、アブルッツォ州のテーラモというモンテプルチャーノ ダブルッツォの特別な銘醸地にあります。彼女はかねてより生まれ故郷のワインを造りたいと考えており、やっとの思いで醸造所を設立して造ったのがこの「プローペ」。
 
 
本来このエリアで造るモンテプルチャーノは、一口でお腹いっぱいになりそうなボリューム感と濃厚さを持ったワインになることが多いです。しかしヴェレノージはこれまで培ってきたノウハウをこの新天地でも上手に発揮し、しっかりとしたボディながら非常にスムーズな飲み心地のモンテプルチャーノを造りました。
 
 

マルケの新しい可能性を示すクリエイティブなワイン

アンジェラは何もないところからワイナリーを始めただけあって、事業に成功した今でも新しいことをするのが大好きです。この「ニンファ」もそんなアンジェラの挑戦から始まりました

ボルドー品種であるカベルネやメルロを、マルケのモンテプルチャーノにブレンドしたワイン。伝統的なロッソ・ピチェーノとは全然違う自由な発想で、マルケワインの魅力を世界中に伝えるために造った”スーパーマルケ”です。
何度も飲みたいタイプというよりは、1度でしっかり満足できる濃密な味わい。特に濃い好きやモンプル好きには堪らない!
 
 
 
 
 

ヴェレノージのワインならハズレがない

 
およそ40年前に設立され急成長したヴェレノージ。その原動力は日常消費されるスタンダードクラスが素晴らしい品質で、地元の人を中心に何度も何度もリピート購入してもらえたからです。
 
 
ワインのブランドとして信頼されるには、美味しいことも大切ですが、「ハズレがない」つまり期待を裏切らないことが非常に重要。
ヴェレノージのワインがリピートされるのは、ウサギマークのワインに期待外れが無いからです。
 
2023年はウサギ年。「年男」「年女」ならぬ『年ワイン』として、また飲みたくなるヴェレノージのワインを楽しんではいかがでしょうか。





※投稿に記載しているワインのヴィンテージ・価格は執筆時のものです。現在販売しているものと異なる場合があります。
購入の際は必ず商品ページにてご確認ください。




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