ワインの楽しみ方ガイド

帰省した実家で両親と正月に飲むワイン 失敗しない選び方

2023年12月15日

帰省した実家で両親と正月に飲むワイン 失敗しない選び方 
 
帰省先で義理の両親と飲むためにワインを選ぶなら、中庸かつ味の方向性が明確なワインが無難です。
他人の味の好みはわからないもの。「口に合わない」と思われないためには選び方に工夫が必要。
好みの分かれるタイプの味わいを避け、選んだ狙いを話せば、気に入ってもらえる確率は上がるはず。
正月など親族が集まる機会にあなたの株を上げる、失敗しないワイン選びをご紹介します。
 

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前提条件を整理する

 
正月に帰省するから両親と飲むワインを買っていこう
 
そのワイン選びの参考にと検索からこの記事をご覧いただいている方。
まずはその需要を整理したいと思います。
 
 

失敗しないワイン選びを求めるのは・・・

  
もしあなたが若く独身で最近ワインにはまり始めた方で、両親もワインを飲むなら、飲みたくて最近購入したワインを持って帰省するでしょう。きっとその1本である理由は特になく、ただ美味しそうだったから。別に深く考える必要は感じず、わざわざ選び方を検索しないはずです。
だって両親に「この味好きじゃない」と言われても別に構わないから。あとは自分で飲めば済むわけです。
 
 
「口に合わない」と言われたくない・思われたくない。失敗したくないと考えるケース。それは結婚したうえで義理の両親の実家で飲む場合などでは?それもワインを持っていくのは初めてやまだ数回目。前回の反応から選ぶことができないのだろうと推測します。
 
そこで今回は、ワインを選ぶあなたが30歳前後~40歳くらい。両親が60歳前後くらいという前提で考察します。
 
 

相手の好みはわからない前提

 
持参するワインを誰に最も喜んでもらいたいかといえば、やはり(義理の)両親でしょう。もしワインの好みがわかるのであれば、そのタイプにあわせて選べばいい。自分で選んでもいいし、ショップスタッフに相談しやすいはずです。
 
相手の好みがわからないから、選び方の参考になるものを探しておられるのでしょう。
ご安心ください。他人の味の好みはわからないものです。ワインのプロである私ですら、飲み友達の中で好みを把握してない人の方が多いです。
 
本記事では相手の好みがわからない前提で選び方を提案します
 
 

実家にワイングラスやオープナーはある

 
お酒を飲まない・ワインは好きじゃない両親なら、そもそもワインを手土産にしようとは考えないはず。大好きと言わないまでも、ある程度は普段から飲んでいるのでしょう。
 
 
なので実家にはワイングラスがあり、ソムリエナイフなどのオープナーがある前提とします。コップ酒でもまずまず楽しめるものや、スクリューキャップのワインをあえて選ぶ必要性はないでしょう。
 
 

4~6人で1~2本を飲むと仮定

 
帰省先で共に飲むのが両親だけとは限りません。兄弟姉妹も一緒に帰省することもあるのでは?
とはいえ全員がお酒を飲むとは限りません。4~6人で楽しむ前提とします。
 
親族全員がワイン好きというケースは稀ですから、他のお酒も用意されていることでしょう。
手土産としてなら1~2本で十分という場合が多いのでは?
 
 
この前提条件は場合によりけりでしょう。
正月だからといって親族が揃うとは限りませんし、お酒に強い家系で足りない場合もあります。
とはいえ本数が増えるほど選び方提案が複雑になってしまいます。今回は1本の場合と2本の場合のみとします。
 
 

好き/嫌いが大きく分かれるタイプを避ける

 
100人が飲んで100人が美味しいというワインは存在しません。好みのわからない相手に「これ美味しいね!」と確実に言わせるなんて無理です。
ですので「これは口に合わない」と言われない/思われない選び方を目指しましょう。好き/嫌いの分かれるタイプより、飛びぬけた美味しさがない中庸なタイプを選ぶのです。
 
 

好き/嫌いの分かれる風味

 
次のような特徴のあるワインは、「こういうワインが好きでそればかり飲んでいる」という人のいる人気のタイプです。一方で「タダ酒でも飲みたくない」という人もいます。
 

好き/嫌いの分かれるワイン

〇甘い樽香を持つリッチな味わい
 ⇒甘い風味/ぽってりとした味わいが嫌
〇熟したフルーツ感を全面に感じる
 ⇒甘い風味/どっしり重たいのが嫌
〇引き締まった力強い渋味を持つ
 ⇒渋くて飲めない
〇研ぎ澄まされた美しい酸味
 ⇒酸っぱい
〇芳醇な風味と濃厚な甘み
 ⇒甘いお酒は嫌い

 
売上ランキングの上位に入っているワインは、だいたいこのどれかが当てはまります。たくさん「美味しい!」と感じる人がたくさんいる一方で、「この味嫌い」と感じる人がいてなんら不思議はないのです。
 
 

中庸な味わいを考える

 
上記のような特徴を裏返して、嫌われにくい味わいの特徴を考えてみましょう。
 

中庸なワインの特徴

  • 樽香はなしか控えめで果実感は強すぎない
  • 赤ワインはタンニンが多すぎずなめらか。白ワインは酸味が高くない
  • 甘口ワインではなく辛口

 
「なるほど、こんなワインか!」とはならないですよね。イマイチよくわからない。想像できない。中庸とはそういうことです。
ワインのテイスティングコメントから中庸な味わいを読み解くのは難しく、インターネットで選び購入するのが難しいタイプです。
でも実は大雑把な探し方があります。
 
 

その品種の第3以降の産地から選ぶ

 
ブドウ品種ごとに主要な生産地があります。
例えばシャルドネなら1番はフランスで2番はアメリカ。それに次ぐのがオーストラリアとイタリアです。この第3、第4の産地から探してみるのが近道の一つです
ブルゴーニュのシャルドネやカリフォルニアのシャルドネなら少し味がイメージできても、オーストラリアやイタリアとなるとピンとこない。そんなことはありませんか?特徴がブルゴーニュとカリフォルニアの間に挟まれているのが理由の一つです
 
もちろん精度100%とは言いません。オーストラリアのシャルドネといっても、いろいろなタイプがあります。
でも「ブルゴーニュほど酸が高くなく、カリフォルニアほど樽香が強くない」中庸なシャルドネ。オーストラリアでたくさん見つかるのも事実です。
 
 

「年配の方にはフランスワイン」とは限らない

 
30年前の日本におけるワインの選択肢は、今とは比べ物にならないくらい少ないものでした。
その当時からある程度流通があったのが、フランスワインとイタリアワイン、それからドイツワインです。特にフランスワインは、ボルドー/ブルゴーニュを中心に高級ワインのブランド化にワイン法の裏付けが与えられていました。
それもあって「ワインといえばフランス」のイメージは当時決して間違いではなく、そのイメージを今でも持っておられる方は多いはずです。
 
年配の方への贈り物をワインショップのソムリエさんに相談したら、フランスワインが間違いないと言われた。そんな経験をされた方もいるのでは?
 
 
一方でワイン売り場の現場では、正反対の声もよく聞きます。60歳前後の方にも濃厚なワインのリクエストをよく受ける。イタリアのプリミティーヴォやカリフォルニアのジンファンデルのような、甘い風味を持っていて濃厚なワインを求められると。
 
どっちが正しいとかじゃありません。年齢層で嗜好を決めつけることに無理があるんです
これまでどんなワインを飲んできたか。今どれくらいの飲酒量なのか。どんな食生活なのか。結果としてどんなワインが好きなのか。
結局人それぞれなんです。
 
 

「こんなワインを用意しました」と一言添えられるワイン

 
中庸な味わいのワインを選ぶからといって、少しは指向性があった方がいいでしょう。
「こんな味のワインです」と言えるものです。
 
寒い季節なのでちょっと濃いめのワインにしました
おせち料理にあえばいいなと、すっきりめの白ワインを選びました
 
この一言が与える先入観で、味の好みに合う/合わないを小さくできます
 
 

好き/嫌いの判断から外す

 
何の先入観もなくワインを飲むと、美味しいかどうか、好きかどうかをまず判断しがちです。
 
パイナップルのようなフルーツの香りがある、しっかりとした味のワインですよ」と言ってから飲んでもらえばどうでしょう。
「本当にパイナップルの香りを感じるのか」「しっかりとした味なのか」にまず集中するはずです。そして言われた通りの風味を感じるなら、「ほんとうだ!」となりそのワインの印象がプラスになるでしょう。
 
 
飲みすぎなくても満足できるように、少し濃いめの味のワインを選びました」と添えれば完璧。皆に喜んでもらえるよう考えてワインを選んだ意図が伝わります。少々の味の好みは飛び越えて、その1杯の満足につながります。
 
 

他のお酒との兼ね合いからタイプを選ぶ

 
用意するワインは赤・白・スパークリングのどれがいいか。基本的にはどれでもいいです
「赤ワインしか飲まない」のような飲用習慣がわかれば合わせるべきです。しかしたいていはわかりません。その場合は1本より2本で予防線を張るのも一つの手です。
 
飲む順番と他に用意されているであろうお酒から考えてもいいでしょう。
 
 

ビールで乾杯から始まる家なら赤か白

 
ビールが好きでまずは乾杯してから他のお酒を飲む。それが習慣であるなら白ワインか赤ワイン、もしくは赤白1本ずつを用意するのがいいでしょう。ビールのあとにスパークリングワインは、炭酸ですぐにお腹いっぱいになっちゃう。
ビールよりもワインは味が濃いので、後に飲み始めた方が双方を楽しめるでしょう。
 
 

ウイスキーや焼酎などに移る家なら泡か白

 
いろいろなお酒を集めるのが好きなお義父さんで、帰省するといろいろ飲ませたがる。そういう場合は蒸留酒の前に乾杯の1本として開けるのがおすすめです。乾杯といえばスパークリングワインのイメージが強いですが、スッキリ目の白ワインもいいでしょう。
 
 
ただしスパークリングワインは炭酸自体が苦手な人がいます。普段からビールやチューハイを飲むかどうかは聞いておくと無難です。
 
 

無難な中に味の方向性があるワイン7選

 
今回はまず1本だけ持参するためのものとして、5,000円前後のものをタイプ別に。
そして2本持参する場合の候補として、3,000円前後でタイプ別にご紹介します。
 
 

渋くなくてなめらかな赤ワインです

 
ブルゴーニュよりも明快な果実味を持ち、カリフォルニアよりもアルコール度数が低めで上品なもの。カリフォルニアでも探せるのですが、あえて南アフリカから選んでみました。「変わった女性のイラストが描かれたラベル」として覚えてもらえるはず。
 
KATAYAMA
ピノ・ノワールを持参するときの注意点はワイングラス。ボリュームのある香りは容量大きめのブルゴーニュグラスでこそ楽しめます。小さなワイングラスしか帰省先にないなら、別のワインにした方がいいかも。
 
 

ブドウ品種まぜこぜだからいろいろな香りを感じます

 
「ブドウ品種は?」と聞かれたら、答えは「めっちゃ混ぜてます」。その数なんと13品種!だから香りはしっかりあるのに、何の香りかはとってもこの場にしづらいワイン。「なんの香りに感じますか?」と問いかければ、話題の一つになるでしょう
 
 

泡の細かさがビールやハイボールとはちがいますよ

 
シャンパンとして決してベタなものではなく、それでいて嫌われにくそうなソフトタッチな風味がこの銘柄の特徴です。シャンパンの中で考えると特別泡が細かいことはないのですが、それでも缶ビールやチューハイなどとは別格。炭酸のシュワシュワが優しい刺激なのは感じてもらえるはずです。
 
 

ちょっとだけ渋味があるからお肉とよくあいますよ

 
北ローヌのように上品で力強くなく、バロッサ・ヴァレーのように濃密でもない。ニュージーランドのシラーは上品な味わいでありながら、酸っぱいと言われることもなく、渋味も少ない中庸な味わいです。加えてこの生産者も広い消費者層を狙ってつくる味わいなので、失敗したくない赤ワインとしてピッタリ!
 
 

濃すぎず渋すぎず、でもしっかりな味わい

 
メルローを苦手とする人がいるとすれば、ピーマンのようなグリーンノートか、渋味の強さでしょう。この赤ワインはどちらも大丈夫。
ブドウがしっかり熟しているので青い風味は控えめ。程よい渋味があるからか、樽熟成の甘い風味も目立ちません。繊細で中庸な風味が持ち味です。
 
 

少しだけハチミツみたいな甘い香りがするけど辛口です

 
樽熟成しないブルゴーニュのシャルドネに甘い風味を感じることはあまりないのですが、このヴィレ・クレッセという産地は別。貴腐菌の影響を受けやすい地域なので、ほのかなハチミツのような香りを持つことがあります。しかも酸味はスッキリとしたワインの中では比較的おだやか。嫌われにくい味わいです。
 
 

植物性油みたいにしっとりとしたワインです

 
ピノ・グリの白ワインはドイツ産を除けば酸味はやや穏やかです。そしてコクがある。オリーヴオイルやシロップを舐めた時のように、舌をなめらかな液体が包む感じがあります。他の白ワインと違う口当たりを感じてもらえることでしょう。
 
 

「気に入ってもらえるだろうか」のドキドキは必要ない

 
正月に親族が集まるのは、新年を祝うとともに1年の健康を願い、近況を報告しあうため。食事やお酒とともに会話を楽しむ場です。
両親や兄弟姉妹と久しぶりに会えるのを楽しみにこそすれ、「手土産を気に入ってもらえるだろうか」とドキドキする気持ちなんて邪魔にしかなりません。そんなことに気を使いたくない。
 
ワインは本当に多様で好みも人それぞれ。選び方が難しいお酒であるのは確かです。万人を感動させられるワインなんてありません。でも日常的にワインを飲んでいる人に限って嫌われない選び方ならできます
ひとまず無難なワインを用意して、旅の計画やその他の準備に力をかけませんか?





※投稿に記載しているワインのヴィンテージ・価格は執筆時のものです。現在販売しているものと異なる場合があります。
購入の際は必ず商品ページにてご確認ください。




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