《生産者について》
マルセル・ダイスの当主であるジャン・ミッシェル・ダイスは、アルザスに「テロワール」の概念を持ち込んだ男だと言われています。当時の一般的なアルザスワインの枠をはみ出すものであり、大論争を巻き起こしました。
熱心な働きかけによりAOC法(フランスのワイン法)の法改正を成し遂げ、ラベルに品種名を表記しなくていいようにした信念の男です。栽培においては「テロワールを表現する」という目的のためビオディナミを実践。デメター認証をとったのは2007年ですが、実質的には1970年代から有機栽培をとりいれていたといいます。
《このワインについて》
マルセル・ダイスと言えば混植・混醸。品種ごとにブドウを植えるのではなく、畑の段階でミックスしてしまいます。それを一度にまとめて収穫し、品種が混ざったまま醸造します。それにより品種個性を均一化し、よりテロワールがワインに表現されると考えるのです。オーストリアのウィーン近郊で盛んな「ゲミシュターサッツ」と同じです。こちらに関しては4つの村の畑から合計13もの品種でつくられます。
13品種の中身はリースリング、ピノ・ノワール、ピノ・グリ、ピノ・ブラン、ピノ・オークセロワ、ピノ・ブーロ、ゲヴュルツトラミネール、トラミネール、ミュスカ、ミュスカ・ア・プティ・グラン、シルヴァネール、シャスラ、ローズ・ダルザス。ダイスはいくつか混植混醸の白ワインをつくりますが、その中では最もリーズナブル。「マルセル・ダイス」の入り口としてピッタリなワインです。
《テイスティングノート》
混植混醸したワインは共通して「〇〇のような香り」というのが非常に言葉にしづらいです。でも香りが弱いわけではない。この不思議を感じてほしい!あえて言葉にするなら、白桃や鉱物、白い花のアロマ。酸味は穏やかでフレッシュ感があります。余韻には鉱物的な固さがあり、数年置いておいても面白そうです。実際に飲んでいるのに実体がつかめないような、マニア心をくすぐるワインです。
Marcel Deiss Alsace Complantation