ワインの選び方

進化する世界の高級スパークリング|シャンパンに挑むそれぞれのアプローチ

進化する世界の高級スパークリング|シャンパンに挑むそれぞれのアプローチ
 
いま、シャンパンだけしか飲まないのは、あまりにもったいない。世界各地のスパークリングワインは目覚ましい進化を遂げています。畑の選択や栽培・醸造技術の進歩と、世界に向けたワインづくりによるものです。本記事ではワインから感じるその狙いごとに、3つのアプローチに分類してご紹介。ご自宅での贅沢なひとときや、特別な乾杯の場面に、発見のある「次なる1本」に出会えることでしょう。
 

高級スパークリング 3つのアプローチ

 
スパークリングワインの絶対王者は、議論の余地なくシャンパン、フランスのシャンパーニュ地方でつくられるスパークリングワインです。
その一方で、他の地域で優秀なスパークリングワインを口にする機会が、ぐっと増えてきました。普段飲みの安くて美味しいものばかりではありません。特別な日に飲むちょっと高価な価格帯においてもです。
 
そういった高級スパークリングには、次の3つのアプローチがあると筆者は考えます。
 
〇シャンパンに似た風味で手頃な価格
〇シャンパンとは違う個性を磨く
〇まるでシャンパンな味と価格でガチンコ勝負
 
生産者がそう語るわけではありません。そのつくり方や位置づけ、価格設定、なにより味わいから感じるものです。
 
このワインの狙いは何か」スパークリングワインは、スティルワインよりつくり手の哲学が現われます。それを考えながら飲んでみるのも面白いのでは?
 
 

シャンパンに似ていてリーズナブルなおすすめ3選

 
シャンパーニュのブドウ品種といえば、シャルドネとピノ・ノワール、ムニエ。同じ品種を使い瓶内2次発酵で醸造したスパークリングワインは、やはり同じ方向性の風味に仕上がります
洗練された香りで個性的な風味はあまりありません。シャンパンを飲みなれている人にとっては、最も違和感なく楽しめるタイプでしょう。
 
「シャンパンそっくり」とは申しません。方向性が同じで、価格相応にスケールダウンするイメージです。
 
 

近年さらにコスパ感UP&高評価

 
大手シャンパン生産者の一つ、ルイ・ロデレール社。そこがカリフォルニアの冷涼産地メンドシーノに進出してつくるのが、「ロデレール・エステート」です。それだけである程度の品質が保証されているようなものです。「カルテット」はそのスタンダードクラスとして非常に優秀。
2025年にあった「London Wine Fair」そこで「Battle of the Bubbles」と題されたスパークリングワインのコンテストにて、第9位に選ばれたのです。ドン・ペリニヨン、コント・ド・シャンパーニュ、クリュッグ・グラン・キュヴェといった早々たる銘柄が並ぶなか、日本で実売約5000円のワインがランクインするのは驚きです。
 
詳しくはデキャンター誌のページで。
 
ここ数年の円安に伴い、輸入ワインの値上がりはかなり大きいです。ロデレール・エステートのラインナップも、上級の「エルミタージュ・ブリュット」などは結構な幅で値上がりしました。しかしこの「カルテット」は値上がり幅が小さく、コスパ感が増しています
 
知名度も高く味も間違いない。シチュエーションを問わず活躍するワインです。
 
 

シャンパン好きならまず文句言わない

 
繊細なフルーツの香りに酵母のニュアンス。クリーミーできめ細かい泡。爽やかな酸味。
そういったシャンパンが持つ要素をきちんと備えながら、順当にスケールダウンしたようなイメージです。だから「上質なスパークリングワイン」と言われて全く違和感がない。
瓶内熟成は30か月なので、ビックリするほど長くはないものの、この価格としては優秀。「トランスファー方式」という、瓶内2次発酵の亜種のような製法ですので、ボトル差が小さいと期待できます。
 
スパークリングワインの注目産地、オーストラリアのタスマニア島でつくられます。エントリークラスとなるこのワインのみ、一部は本土のブドウを使うことでコストダウンしているのでしょう。
この生産者の最高級ワインは3万円超え!スパークリングワイン専門の生産者として、オーストラリア最高の評価を受けています。
 
日ごろの頑張りをねぎらう自分へのご褒美として、1本ゆっくりと楽しみたくなります
 
 

愛好家をだますこの香り!

 
ブラインドテイスティングでシャンパンか他地域かを判別できるか。情けないことに筆者は全く自信がありません。
一方、とある知人は「100%分かります!」と豪語していたので、試しにこのワインを飲んでもらうと、バッチリ騙されていました。
そのポイントとなっただろうものが香り。
長期熟成のシャンパンやスパークリングワインは、酵母に由来する「自己分解 オートリシス」の風味があります。酵母やパン種のような香りとアミノ酸の旨味です
更に仕上げにドサージュとして糖分が加えられます。「メイラード反応」という、糖とアミノ酸の重合反応が、ゆっくりと瓶の中で進みます。結果としてブリオッシュやマジパンのような、甘く香ばしい香りに変化していきます
 
 
シャンパンの多くには、この甘いブリオッシュのような香りがあります。特に高級品には多いです。その香りが、長期熟成したこの「コブルストーン」のもあるのです。ゆえに「シャンパンっぽい!」と思ってしまったのでしょう。
こんなワインで騙そうとする片山は、性格が悪い自覚があります。
 
 

シャンパンとは違う個性のおすすめ3選

 
シャンパンとは違う魅力を表現する
土地が違うのだから同じものをつくる必要はないと、独自の路線で高級スパークリングをつくる生産者がいます。
 
ただし、「シャンパンと違う魅力って何?」という問いに、言葉で答えているワインを私は知りません。そこを感じ、考えて表現するのが、ワインを紹介する者としての役割なのかなと考えています。
 
 

四角い瓶にはちゃんと理由がある

 
スパークリングワインの醸造工程で最も長い時間をかける瓶内熟成。2次発酵を終えて酵母が死骸となって沈殿する澱(おり)が、アミノ酸に分解されてゆっくりワインにもどっていきます。味わいに旨味感が増すので、瓶内熟成が長いスパークリングが上質とされます。
 
 
通常ワインボトルは円柱形です。なので横に寝かせた際、澱は線状に沈殿します。それに対してフェルゲッティーナが採用する、四角柱のようなボトル。寝かせた際に底面が平たくなるため、澱が広がって沈殿します。ワインとの接触面積が広くなるため、より酵母の自己分解が進むのではという工夫です
 
あからさまに酵母の香りを強く感じるわけではありません。しかし上品なトーストの香りを持ち、余韻が長く続くこのフランチャコルタ。飲めばこの四角い瓶が、単なるオシャレボトルではないことがわかるでしょう。
 
ワイン仲間が集まる場で、「なんで四角いと思う?」と知識を披露してみては?
 
 

果実のボリューム感はパーティー向き

 
ブルゴーニュ品種であるシャルドネとピノ・ノワール。その銘醸地は各地にあります。赤ワイン・白ワインで成功した生産者が、「どうせならこの素晴らしいブドウで、スパークリングワインもつくってみたい。飲みたい」と思うのは自然な流れ。冷涼産地として知られたソノマ・コーストでも、多くのスパークリングワインがつくられています。
 
しかし近年、ソノマ・コーストのワインのアルコール度数を見ると、「本当に冷涼産地?」と疑問に思うことはしばしば。このJヴィンヤーズがつくるワインも、ボリューミーでリッチなタイプです。
このワインもキレの良さやミネラル感といったものより、親しみやすい果実味が特徴。それが好まれるのでしょう。結構なリピートがあります。
 
 
酵母の香りやミネラル、熟成感といった深みのある魅力ではない。フルーツの分かりやすい魅力があるこのスパークリングは、いろいろな人が集まる場でこそ活躍しそうです。
 
 

創意工夫の結晶

 
長期の瓶内熟成スパークリングをつくろうとすると、資金回転率が悪化します。お金になるまで長いのです。だから資本力のあるところや老舗メーカーが強い。1885年創業という長い歴史を持つルミエールだからこそ、この創意工夫に富んだ、リスクのあるスパークリングワインづくりができたのでしょう。
 
香りから感じるのはアップルパイやカラメル。部分的にそれがいきすぎた、酸化のニュアンスもあります。これはベースワインの熟成にオーク樽を使い、酸素と触れさせてから瓶内2次発酵をしているから。その技術自体は珍しいものではないものの、日本で甲州やセミヨンに使うのはあまり他にないはず。
ブドウ自体が酸化に強くないのでしょう。ギリギリのところを攻めたなという感想です。
※筆者の見解です。ボトル差、ロット差もあるでしょう。
 
一方でこういう熟成香が好きなシャンパン愛好家にとっては、「日本でこんなものがつくれるのか!」という驚き。ワイン好きが集まる場に持っていくのは面白いでしょう。
 
 

シャンパンに真っ向勝負するおすすめ2選

 
最初に紹介したものは、シャンパンと味筋は同じながら、より手頃な価格帯で勝負するものでした。
一方でシャンパンを十分買える価格であっても、クオリティーで負けないようなワインを目指す生産者もたくさんいます。3本厳選して紹介します。
 
いい品質のワインはたくさんあっても、小売店の立場と自分の力量で、その魅力をお客様に言葉で伝えられそうなものは限られます。「美味しいけれども売る自信はない」という銘柄が他にたくさんあるというのは、情けないところです。
 
 

ブドウの品質を信じるからこそ

 
オーストラリアの中で冷涼産地といえばタスマニア島ですが、それに次ぐのが西オーストラリア。スパークリングワインの産地というわけではありませんが、ワールドクラスの高品質なシャルドネが多くつくられています。
 
ヴァス・フェリックスはこの地におけるパイオニアのひとつ。シャルドネとカベルネ・ソーヴィニヨンの評価が高い生産者で、当店でも人気です。そのシャルドネの品質に自信があるのでしょう。スパークリングワインは近年つくりはじめたか、近年になって輸入されたもの。しかし最初から日常消費用ではなく、プレミアムワインを目指しています
 
 
ベースワインを部分的に樽熟成することにより、その風味は複雑でボリューミーなものに。キリっと高い酸味と石灰質系のミネラル感は、まさにシャンパンとガチンコ勝負をするような勢いです。
ブドウの力があるからこそ、泡が抜けてきたときも別の美味しさがあります。自宅で2日、3日とかけて飲みたいワインです。
 
 

消費地としての歴史が違う!

 
地球温暖化によって、近年になって安定したブドウ栽培が可能になったイギリス。ここはワイン生産国としての前に、ワイン消費国としての歴史が長い国です。シャンパーニュ地方は海を挟んで最も近い産地。非常に重要な輸出先であり続け、それは現在にも至ります。
だからこそ「せっかく我が国でスパークリングワインをつくるなら、シャンパンに引けをとらないものを」という考え方なのでしょう。イギリス産で日常消費用の安旨ワインは見たことがありません。
 

生産者Instagramより

 
この「ハッティングバレー」も弁護士出身のオーナーが営むだけあり、しっかりお金がかかっています。シャンパンと同じように、品種もヴィンテージもブレンド。天候が不安定であっても、安定した味わいを目指しているのでしょう。
非常に洗練された風味と細かい泡感。酵母由来の香りが複雑さを添えます。
 
2022年から強力なワインメーカーがチームに加わりました。現在のロットはまだ彼の腕前は反映されていません。数年後がさらに楽しみです
 
 

シャンパンが絶対王者な理由

 
スパークリングワインの市場、とりわけ高級品に関しては、シャンパンの占める割合が圧倒的です。
 
本数ベースではイタリアのプロセッコに譲ります。シャンパンの年産量が3億本程度なのに対し、プロセッコは今や6億本に届きます。しかし取引金額となると桁違い。
それは品質とブランドで並ぶものが、いまだなかったからです
 
 

シャンパンは「イメージ」で勝利している

 
泡の出るワインといえばシャンパン。その名前はワインを飲まない人も、未成年だって知っています。
 
 
そのブランド力が強すぎるゆえ、他の産地でつくられる高級スパークリングワインというのは、さほど存在感が大きくありません。種類が少なく生産量はさらに少ない。ECにおける売上も、正直イマイチです。
 
ここまで一つの産地が圧倒的な理由。それはスパークリングワインの技術を開発してきた「先行者利益」もありますが、産地の特性と産業構造も関係します。
 
 

スパークリングに特化した理由

 
シャンパーニュ地方において、高品質なスティルワインを安定してつくることができませんでした。それは北限の地ゆえの寒さでブドウがなかなか熟さないから。ヴィンテージによる差が大きいから。
赤ワインや白ワインではフランスの他の産地に勝てないからこそ、スパークリングワインに特化した産地となったのです。
 
 
例えばオーストラリアのタスマニア島は、近年スパークリングワインで注目されています。しかし赤ワインや白ワインも美味しいです。シャンパーニュのような、極端で分かりやすいイメージを持ってもらうことはできないでしょう。
 
 

有力生産者がどんどん強くなる構造

 
スパークリングワインは、赤ワイン白ワインより、醸造技術の差が味わいの差に出やすいです。ゆえに技術力のある生産者がどんどん強くなります
 
例えばドイツのように、高級ワインに関してはほぼ自社畑という国もあります。そうならば生産規模拡大には畑の取得がスタートであり、長い年月が必要でしょう。
一方でシャンパーニュでは栽培と醸造の分業体制です。取引栽培農家を増やすことで、資金力のある生産者がどんどん規模拡大できる構造です。
品質を保つため、地方全域の畑からブドウを持ち寄り、それをブレンドします。さらに複数のヴィンテージのワインをブレンドするのが通常です。そのため規模の割にワインの種類は少な目です。
 
少ない種類の銘柄を継続して購入してもらえるよう、多額のプロモーション費用を使います。だから消費者にこれほど認知してもらえるのです。
ブランド力の面でシャンパンに太刀打ちできる生産者は、他にはまだ現れていません。また3万円を超えるようなプレミアムワインについては、依然シャンパンの独壇場と言えるでしょう。
 
しかしおよそ1.5万円くらいまでの中価格帯までは、品質面での差がずいぶん小さくなってきたように感じます。
 
 

近年スパークリングが美味しくなってきた理由とは

 
ここ3~5年、安旨だけでなく、中~高価格帯のスパークリングが増えたように感じます。試飲会で飲んで、確かにその価格に見合った味わいだと感じるものも多いです。
 
〇高品質だが未輸入だったものが入ってきた
〇前からつくられていたものの品質が向上していった
 
理由としてこの両方が考えられます。
 
 

物価高が後押しする代替シャンパン

 
2020年にコロナウイルスが大流行する前。「格安シャンパン」として売られる、2000円台前半の銘柄が数種類ありました。品質面で粗さのあるものが多いとはいえ、シャンパンが普通に普段飲みできたのです。
しかし流通の乱れによって品薄となった時期を挟み、急激なユーロ高が進んだこともあって、シャンパンの価格は急上昇。それらのシャンパンは日本市場から姿を消しました。
 
 
その代替として、少し高価なスパークリングワインが求められているという事情もあります。4000~6000円くらい。シャンパンの選択肢が少ないのなら、他の地域で同じように美味しいものを探そうと。
かつては「この価格ならシャンパンを買うかな」と輸入が見送られていたもの。今のシャンパンの相場価格を鑑み、改めて検討され輸入されて、我々の手元に届くようになった。
 
そういった事情も推測されます。
 
 

世界に広まる醸造技術

 
「カリフォルニアの醸造家の間で、スパークリングワインづくりのノウハウが十分蓄積されてきた。瓶内2次発酵の酵母をコントロールできるようになってきた」
かつて受講したセミナーで、マスター・ソムリエのWill Costello氏はそう話していました。だから最近のカリフォルニア産スパークリングは美味しいのだと。
テロワールは動かすことはできませんが、技術は持ってくることができます
 
 
シャンパーニュで修行した醸造家が、故郷に戻って、あるいは招聘されて、世界各地でスパークリングワインをつくっています。
日本にいる販売者の立場では、正確な実情は分かりません。とはいえ醸造技術の差はじわじわと小さくなってきているのは間違いないでしょう。
 
 

求められる冷涼産地

 
高品質なスパークリングワインづくりに向いた栽培環境を、適切に見極められるようになってきた、という理由もあるでしょう。簡単に言えば、冷涼産地が適しています。
 
瓶内2次発酵でつくるスパークリングワインは、2次発酵の際にアルコール度数が1.2~1.5%程度上がります。その上で出来上がりは12~12.5%程度が理想とされます。13%を超えるようなスパークリングワインは、やはりスッキリ感や爽やかさに欠けがちです。
それゆえ潜在アルコールが11%程度の、白ワインには未熟な段階で収穫しなければいけません。
 
 
ブドウはただ早摘みすればいいというわけではなく、ある程度時間をかけて熟してこそ、風味が蓄積します。だからブドウがゆっくり成熟する、冷涼気候が求められるのです。
例えばカリフォルニア州北部のメンドシーノカウンティ(ロデレール・エステートなど)。あるいはオーストラリア南端のタスマニア島(ハウス・オブ・アラスなど)。これらは近年スパークリングワインで注目されている産地です。
 
その意味ではイギリスも忘れてはなりません。
 
 

気候変動で変わる生産エリア

 
地球温暖化の顕著な例が、イングリッシュ・スパークリングでしょう
 
イギリスはワインの歴史上、”消費国として”非常に重要な国でした。特にボルドーワインの発展とは切っても切り離せない関係です。小さな国土、7000万人程度の人口に対して、2019年のワイン輸入量は世界第2位だったそうです。
それほど輸入しているのは、自国でつくれなかったから。かつてブドウ栽培の北限は、シャンパーニュ地方のあたり。イギリスは「寒すぎてブドウが育たない」とされてきたのです。
 
 
しかしここ20年ほど、南端のケント州を中心に栽培面積が増加しています。現在はおよそ5000haほど。2005年対比で500%を超える増加だそうです。
それに伴い、シャンパンメゾンに倣ったような、高品質なワインをつくる生産者が増えてきました。むしろ質の低いイングリッシュ・スパークリングを飲んだことがありません。
 
当店では取り扱いはありませんが、ナインティンバー、ガズボーン、ハンブルトンなどが代表銘柄です。
 
 

グローバル市場を見据えた戦略

 
シャンパンがスパークリングワインの代表格として地位を築いた時代。それと現代を比べて大きく違う点の一つが、圧倒的にグローバル市場だということです。
ワインの消費国なら、どこであっても世界中のワインが手に入ります。消費者にとっての選択肢は無数にある中で、選ばれるワインであるためには、戦略が必要です。
 
その戦略も磨かれてきているように感じます。
 
 

大都市とともに成長してきた歴史

 
シャンパーニュ地方には、パリに近いというメリットがありました。イタリアの「フランチャコルタ」がつくられるのはロンバルディア州で、そこには大都市ミラノがあります。
ワインは飲む人がいないとつくれません。高品質で高級なワインをつくるとき、大きな経済圏に近く、消費が見込めるというのは大きな強みでした
 
それは流通網の発達がまだまだで、距離の差が販売面でのハードルに大きく影響したからです。
 
 

選択肢の多い時代だからこそ

 
現代において、距離の影響はずいぶん小さくなりました。日本のスーパーで、日本のワインより安いチリのワイン。それはおおよそ地球の反対側から輸送されてきています。
 
世界中のワインが手に入るゆえに、そこで選ばれ続ける難易度はどんどん上がっています
 
 
高品質なスパークリングワインは増えてきました。とはいえシャンパン並みの高品質なものをつくろうとすると、価格はシャンパン並みにどうしてもなってしまいます。
味とコスパが同程度なら、ブランド力のあるシャンパンに勝てません。最初は物珍しさで試されたとしても、買い続けてもらうのには何かしらの動機付けが必要です。
 
その戦略として考えられるのが、今回ご紹介した3つの方向性なのです。
 
 

チャレンジに向けて自分を鼓舞する1本に

 
高級スパークリングワインについて、その味わいや背景を知っていくと、『挑戦』という言葉が脳裏に浮かびます
 
シャンパーニュとは違う土地で、シャンパンに挑むようなスパークリングワインをつくる。
あるいはシャンパンとは違った方向性で、ワイン好きを驚かせるような魅力を表現しようとする。
 
スパークリングワインづくりは、スティルワインに比べて工程が複雑。醸造オプションも多いです。だからこそ醸造家の技術や想いがより強く反映されます。
スパークリングワインには、シャンパンという絶対強者がいます。だからこそ、比べてどうこうが話しやすい。
 
 
知人と集まるパーティーシーンで、あるいは自宅で楽しむちょっとしたご褒美に。あえてシャンパン以外のスパークリングワインを選んで、彼ら彼女らの『挑戦』を感じてみませんか?
 





※投稿に記載しているワインのヴィンテージ・価格は執筆時のものです。現在販売しているものと異なる場合があります。
購入の際は必ず商品ページにてご確認ください。




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