ワインの選び方

今週末飲む高級ワインを選ぶ注意点!すぐ飲んで美味しいワインとは

2023年4月25日

今週末飲む高級ワインを選ぶ注意点!すぐ飲んで美味しいワインとは
 
 
近日中に飲む予定でプレミアムワインを探しているなら、今開けて美味しいものを選びましょう。
それには「熟成させずに飲むともったいない」という銘柄だけ避ければいい。
ワインに100%はありませんが、選び方に失敗しないコツは確かにあります。
十全にその魅力を発揮した高級ワインがあれば、きっとそのテーブルの会話は盛り上がり楽しい時間となることでしょう。
 
 

飲み頃前のワインは高いのに美味しくない!?

 
高いワインだからといって必ずしも美味しいと感じるわけではない
これが「ワインって難しい」と多くの人に思わせてしまう大きな理由の一つです。
 
 
経験値の不足などによる飲み手の問題である場合もあります。
値段の割に品質が低かったり、状態が悪かったりといったワイン側の問題もありえます。
そして上質なワインなのに飲み頃の問題で美味しく感じられないという可能性も考えられます。
 
今回は「飲み頃前のワインを選んでしまったばかりに、美味しく感じられなかった」というミスチョイスを避ける方法をご紹介します。
今週末に友人と会うから、何かワインを買って持っていこう」と探している方、必見です。
 
 

「固く閉じた状態」だから美味しくない

 
高品質なワインでも『閉じている』と、その魅力は半減します
 
ワインが『閉じている』と、いいワインなのに香りがボリュームに乏しいことがあります。酸味が強すぎたり、赤ワインなら渋みが強すぎてバランスがとれていません。風味に甘いニュアンスを感じないのも『閉じている』特徴です。
 
 
これは年単位でワインを開けるタイミング、それから時間単位でワインを開けてから飲むタイミングの問題です。
具体的に何に対してどうすればいいかの前に、ワインの「開く」「閉じる」の意味をご紹介します。
 
 

ワインの「開く」「閉じる」とは

 
ワイン独特の表現として、「開く」「開いている」と「閉じる」「閉じている」というものがあります。
ワインのポテンシャルに対して本来の香りや味わいを感じられるのが「開いている」状態。逆にそれが感じられないのが「閉じている」状態です。
2択ではありません。「よく開いている」状態や、「閉じ気味だけど十分美味しい」などという中間の状態もあります。
 
ワインを美味しく飲むには、「開いている」状態で飲むことが非常に重要です。
 
 

手ごろなワインには関係ない

 
低価格帯のワインに関しては、基本的に抜栓時から開いています
「秘めたるポテンシャル」なんてワクワクするものはなく、いじくりまわして劇的に美味しくなるものではありません。
 
だって低価格ワインは、それほどワインの知識がない人が飲んで美味しいと感じるように、リリースしてすぐ飲んで美味しいと感じるようにつくられているから。
 
 
ではその「低価格」というラインは何円なのか。これは非常に難しい問題です。
価格はメーカー希望小売価格を基準にするとしても、生産地域による相場や輸入元による値付け基準が異なります。
 
それを踏まえたうえで、「この価格以上のものだと、開けたては閉じていることが時々ある」というライン。私は4000円前後かなと感じています。
 
 

ソムリエのテイスティング試験「開いている」

日本ソムリエ協会の「ソムリエ」や「ワインエキスパート」の2次試験。マークシート形式のブラインドテイスティングがあります。
その設問で出題されたワインが「開いている」か「閉じている」かを判断する項目があったはずです。
ワインスクールなどでは「何も考えず『開いている』にマークせよ」と教わるはずです。実際それで得点が得られます。
 
だって試験には開いているワインしか出ないから。閉じているワインで品種や国当てろって無理な話です。それに試験に出るワインはそんなに高価なものはない(推測)ので、閉じているということは基本ありません。
 
 

口伝で伝えられる「開く/閉じる」

 
現在この「開く/閉じる」の意味を知ってワインを飲んでいる方は、だれかしらから直接教わったのではないでしょうか?
本を読むなどの知識だけでこの概念を理解できるとは、ちょっと私は想像できません。私も職場の先輩と一緒にワインを飲むことで、「あ、こういうのが閉じているというのか」というのを学んでいったものです。
 
 
なにせ「閉じている」と判断するには、「このワインは本来これくらいの香り、このような味わいが感じられるはずだ」という推測が必要だからです。
 
 

時間とともにワインは「開く」

 
ワインを抜栓してすぐ、それが「閉じた」状態にあっても、時間とともに「開いて」きます。しかしその「時間」がどれくらいなのかが問題です。
抜栓後30分で開くのか、2時間なのか5時間なのか、あるいは2日、3日かかるのか。
 
 
自宅で一人で飲むなら、2日目、3日目が美味しいワインというのもまた興味深い。でもレストランで食事する場で開けるなら、その食事中に本領発揮してもらわないと困ります。
 
2人で食事するなら、開くのが30分後でも問題ありません。でも6~8人で1本を飲むなら一人1杯だけ。最初から開いてくれてないと、美味しくなる前に飲み終わっちゃいます。
 
 

どうして時間で「開く」?

 
閉じているワインが開くのは、何が変化しているのでしょうか。
 
コルクの状態が正常であれば、ワインボトルの中はほぼ完全な密閉状態です。
ワインの中には酸素と結合しようとするタンニンや亜硫酸が含まれます。そのためワインの香気成分のうちいくらかが酸素を奪い取られた「還元状態」にあります。
 
 
それが抜栓後に酸素と触れて、還元から通常の状態に戻ることで、本来の香りを取り戻す
 
実際のメカニズムはもっと複雑ですが、ざっくりとこう捉えて問題ないでしょう。
 
 

若いワインが「閉じている」「開きにくい」

 
ゆえにワインが若い方が「閉じている」可能性が高くなります。コルクは時間をかけて微量の酸素を通しますから、タンニンや亜硫酸が酸素と結合し、還元作用を失うからです。
古い赤ワインには澱(おり)が沈殿していることがあります。これはタンニンの分子が結合して大きくなり、ワインに溶けていられなくなって結晶化したものです。
 
 
同様の理由で若いワインの方が開くのに時間がかかります
「閉じている」状態が軽度なら、グラスに注いでからスワリングしていると開いてきます。でも「閉じている」」状態が強いと、少々の酸素接触ではなかなか変化しません。これを「固い」と表現します
 
酸味や渋みが強すぎるワインを「固い」と表現することがありますが、同じ状態を指しています。赤ワインだけでなく白ワインにも使われます。
 
 

「固い」状態から変化した「飲み頃」

 
ワインに飲み頃がある」というのはよく聞く話でしょう。
これは「最初は固くて開きにくかったワインが、開いた状態になる。もしくは抜栓すぐに開く状態になる」ことを意味します。
「飲み頃に入った」タイミングです。
 
そこからさらに熟成して、より風味の複雑さを獲得し、「熟成のピーク」に達してから、ゆるやかに劣化していく。これがワインの経年変化の『イメージ』です。
 
 
買って何年も熟成させるつもりのないワイン。
飲む予定が決まってから手に入れるワインは、飲み頃に入ったワインから選ぶことをおすすめします。でないと「いいワインのはずなのに、渋くて酸っぱかったね」という感想になりかねません。
 
 

開いて閉じてを繰り返す

 
最初は閉じているワインが、熟成に従って何年もかけて開いていく。基本的にはこのイメージです。
しかし厳密に言うならワインは開いて閉じてを繰り返しながら熟成していきます。そして次第に開いている割合が高くなっていくと言われています。
だから「前に飲んだ時はそろそろ飲み頃だった。それから3年経ったしもう大丈夫だろう」と開けてみたら、ガチガチに閉じていた。そんな場合も十分あり得ます。
 
これを確認するには、同一の高級ワインをケース単位で購入し、定期的に開けて味わっていく必要があります。しかも同一銘柄・同一ヴィンテージならボトル差のないワインで観測する必要があります。
 
これを身をもって学ぶのは、かなりのお金と時間が必要です。私も伝え聞いているだけで、自分の味覚で確認したことはありません。
 
 

ワインを開かせるためのエアレーション

 
ワインは酸素と触れることで開いていきます。
それを人工的に加速させるのがデキャンタージュ、もしくはエアレーションです。
この2つの言葉は厳密には違うのですが、やることがほぼ同じため混同されがち。ご注意ください。
 
 

デキャンタージュとエアレーションの言葉の意味

 
ワインをデキャンタと呼ばれるガラス製の容器に移し替えることを「デキャンタージュ」と言います
 
それに対して「エアレーション」は、ワインを空気に触れさせる目的でデキャンタに移し替えることです。だからワインがなるべくデキャンタの内壁に広く広がるようにして移し替えます。底の部分が大きく広がった「ウルトラデキャンタ」と呼ばれるものは、よりワインが広がり空気に触れるように設計されています。
 
 
「デキャンタージュ」には「エアレーション」以外の目的もあります。古酒において底にたまった澱(おり)がワインと混ざらないよう、上澄みを分けてしまう目的です。古酒はエアレーションしすぎると劣化してしまいます。だからなるべく細くゆっくりとワインをデキャンタに注ぎます。
この場合はウルトラデキャンタよりもこのような細長い形の方が扱いやすいでしょう。
 
 
 

抜栓後のオプション:エアレーション

 
ワインを開けて味をみてみると閉じていたとき、エアレーションすれば開くことがあります
これはレストランでもお店によってはお願いすることができます。ソムリエさんがいるところなら、相談してみるといいでしょう。「デキャンタしたら美味しくなりますかね?」など。(この場合も実際「デキャンタ」の方が伝わりやすいでしょう)
 
エアレーションにより強いタンニンを思わせる香りがまろやかで甘味を感じさせるものに変化する。酸味が少しまろやかになる。そんな効果が期待できます
ただし飲み頃からかなり手前のものだと、デキャンタ1発ではビクともしないことがよくあります。
 
 
また、エアレーションすることで香りが平たんになるから、あまりやりたくないという声も聞きます。
 
エアレーションは決して万能ではありませんが、ワインが閉じていた時の「待つ」以外の選択肢として覚えておくといいでしょう。
 
 

1杯だけエアレーションするには

 
エアレーションは基本的にはボトル1本まるまる注ぎ切ります。あらかじめ飲む量を決めてボトル半分だけということもできますが、エアレーションしたうえで翌日以降まで保管するのはおすすめできません。
 
もし自宅で飲むワインで、グラス1杯だけ開かせたい場合。このデキャンタが便利です。
 
 
ステンレスに特殊な研磨をしたこの容器。中にワインを入れて回すと微細な凹凸により小さな対流が起こり、ワインの味を数秒で変化させることができます。
エアレーションしたら美味しくなるとは限りません。でも確実に香りや風味は変化します。
 
「1人で飲むから1本飲み切る前に飽きちゃうことが多くて・・・」
そんな方こそ、このデキャンタでワインの味変を楽しんではいかがでしょうか。
もちろん、閉じているワインを開かせる効果も強力です。
 
 

ワインの飲み頃の目安

 
すぐに飲むワインを選ぶなら、ワインの飲み頃の始まりを見極めることが大事。
これは一律に「ヴィンテージから〇年」なんて言えるものではなく、地域やワインのスタイル、ヴィンテージの特徴によっても変わります
 
難しそうに聞こえますが、一部の例外を無視するなら選び方はそう難しくありません。
 
 

高級ワインもその多くが、すぐ飲んで美味しい

 
別に醸造家が意地悪してワインを小難しくしていることはありません。
手ごろなワインだろうが高級ワインだろうが、飲んで美味しいようにつくられています。
 
 
だから高級ワインの多くも、基本は買ったときに飲んで不味いことはありません。
 
しかしボルドーワインやブルゴーニュワインは注意が必要です。
 
 

渋くて酸っぱいワイン代表、ボルドー

 
有名な高級ワインだからさぞ美味しいだろうと飲んだら、渋くて酸っぱくて美味しくなかった。やっぱりワインは難しいなぁ
 
そう感じさせてしまう原因となりうるのが、ボルドーの高級赤ワインです。
 
ボルドーで主要となるブドウ品種であるカベルネ・ソーヴィニヨンとメルロー。どちらもタンニンも酸味も豊富な品種です。(メルローの方がやや穏やかです)それをしっかり抽出するように醸造され、しかも新樽熟成でタンニンが補強されます。だからリリースすぐは渋くて酸っぱい
 
 
どうしてそんなワインをつくるかというと、何十年後にも美味しく飲めることを想定しているからです。実際にボルドーワインは40年、50年前のワインが現存しており、その一部は今でも若々しく素晴らしい味わいを感じさせてくれる。だからこそ、100年後にも美味しいワインをつくりたい。
そのためには豊富な酸味とタンニンは必須です。たとえそれが、リリース直後の飲み心地を犠牲にすることになったとしても。
ボルドーワインは熟成させて飲むことを前提につくられるから、若いうちは閉じていて飲みづらいのです。
 
 
と、これがおよそ10年ほど前までの常識
その傾向はずいぶん変わってきています。ここ最近の高級ボルドーは、若いうちに飲んでもそれなりに美味しさを感じさせてくれる。タンニンは豊富ながとげとげしくないものになってきています。
この理由は一つに栽培・醸造技術の向上。生産者が早飲み”も”できるようにつくっていること。
それからここ最近のヴィンテージ。2015、2016、2018、2019、2020年と温暖でブドウがよく熟した年が続きました。熟した丸いタンニンを持つワインが多くなったのは、地球温暖化の影響も原因の一つです。
 
 

実は渋みの強いブルゴーニュワイン

 
ワイン初心者の方がブドウ品種の特徴を学ぶとき、「ピノ・ノワールは渋みの穏やかな品種」と教わると思います。
でもこれは正確ではありません。
 
ブルゴーニュの上級赤ワインを飲めば、しっかりとタンニンが含まれていることがわかります。カベルネ・ソーヴィニヨンに負けじと、口の中がギシギシします。
さらに言うと白ワインもまた、オーク樽から抽出されたタンニンをハッキリ感じるものもあります。
そしてすべからく酸味は高いです。
 
だからブルゴーニュワインも「渋くて酸っぱい」になってしまう可能性は十分あります。
 
 

飲み頃を迎えるまでは何年?

 
一律に「収穫から〇年経過したら飲み頃」と言えたらわかりやすいのですが、残念ながらそう簡単ではありません。
熟成により開いてくるスピードは、生産者のスタイルやワインのグレード、ヴィンテージの特徴で大きく変わります。
 
とはいえ「ワインによりけりです」だけだと不親切ですので、筆者の主観により飲み頃に入るまでのおおよその年数を示します
 

ボルドーワインの飲み頃に入るまで

ボルドー(赤) 5千円~1万円 ヴィンテージ+6年
ボルドー(赤) 1万円~5万円 暑い年 ヴィンテージ+10年
ボルドー(赤) 1万円~5万円 涼しい年 ヴィンテージ+7年
ボルドー(赤) 5万円以上 ヴィンテージ+15年

 

ブルゴーニュワインの飲み頃に入るまで

ブルゴーニュ(赤) 平均的な生産者 1級畑 ヴィンテージ+7年
ブルゴーニュ(赤) 平均的な生産者 特級畑 ヴィンテージ+10年
ブルゴーニュ(赤) 高級な生産者 1級畑 ヴィンテージ+10年
ブルゴーニュ(赤) 高級な生産者 特級畑 ヴィンテージ+13年
ブルゴーニュ(白) 1級畑 ヴィンテージ+5年
ブルゴーニュ(白) 特級畑 ヴィンテージ+8年

 
 
この「高級な」については、アペラシオンごとの相場の2倍以上の価格がつく生産者と思ってください。ヴォーヌ・ロマネ村名格が相場1.6万円くらいだとして、3.2万円以上の値が付くという意味です。
 
もしボルドー、ブルゴーニュワインで熟成させず飲むことを前提に購入されるなら、もし可能なら上記を参考にバックヴィンテージを探すことをおすすめします。ただ、ブルゴーニュの高級バックヴィンテージは近年かなり手に入りづらくなっていますが。
 
お詳しい方にとってはいろいろ異論があることと承知しています。
こういう飲み頃に関しては、ブルゴーニュワインを扱うワインバーのソムリエさんがはるかに詳しいです。もし懇意にしているお店があるのでしたら、相談してみるのもいいでしょう。
 
 

ワインアドヴォケイト誌の飲み頃予想

 
高級ワインの中には、ロバート・パーカー.com(ワインアドヴォケイト)のレビューがついているものも少なくありません
 
数が少なく、ものによっては1本しか入荷しないレアワイン。当然我々が試飲して仕入れているわけないです。その代わり当店はロバート・パーカー.comのサブスクを購入し、レビューがついているものについてはそれを翻訳して掲載しています。
 
ロバート・パーカー.comではワインの飲み頃予想を記載していることが多いです。レビューしているのは卓越したテイスティング能力と経験を有する世界的なレビュアーです。飲み頃予想は非常に参考になります。
 
 
ただしロバート・パーカー.comの飲み頃予想は、基本アメリカ人基準です。日本人の私からすると「こんなに早くないでしょう」というものもちらほらあります。「飲み頃の記載は始まりも終わりも早め」というのを念頭におけば、参考にすべき情報です。
 
 

その他飲み頃に注意すべきワイン

 
生産地域や品種単位で、飲み頃に気を付けるべきワインをご紹介します。
 
まずはバローロ。イタリアの渋いワイン代表格です。
特に「Reserva」がついていないバローロ。収穫から約5年で日本でもみかけるようになりますが、それでもまだ若い。「渋みが強いのは平気」という方なら問題ないですし、渋さだけじゃなくちゃんと旨味もあるのですが、不慣れな方はその修練性に拒否反応を示すでしょう。
発売からさらに5年は待ちたいところ。
 

 
コート・ロティ」や「エルミタージュ」といったフランスの高級シラーも、若いうちは固いです。だからこそ熟成させる楽しみがあるというものですが、扱いには注意が必要です。
 
高級ワインは多くありませんが、フランスの「タナ」やイタリアの「サグランティーノ」は非常にタンニンの多い品種です。ヴィンテージ+10年程度ではまだまだガチガチ。みんなで飲むより、家で一人で「閉じていたら明日にしよう」の気持ちで開ける方がベターです。
 
加えてドイツのモーゼルやラインガウの高級辛口リースリング。酸味とミネラル感が強すぎて、若いうちは固い印象が強いものもあります。10年以上は必要なものも少ないんです。
およそ5000円以下についてはどれもすぐ飲んで問題ないので、構えすぎる必要はありません。
 
 

飲み頃を考えなくていい高級ワイン

 
上記のようなワインがお好きなら、飲み頃を意識して楽しむべきでしょう。たとえ上記の参考年数手前で飲むとしても、「飲み頃より早めに飲んでいる」という意識があれば、強い酸味やタンニンもネガティブに感じることは少ないはず。
 
一方で「飲み頃考えるなんてめんどくさいし、バックヴィンテージは高すぎる。どこでもいいから若くて美味しく飲めるものの方がいい」という考え方。むしろこちらの方が普通だと思います。
「お酒1本選ぶために、いろいろ勉強して情報集めないといけないなんて、おかしくない?」ごもっともです。でも、だからこそ愛着が湧くのがワイン好きだったりするので、「そういう人もいる」と思っておいてください。
 
「例外なし」とはいきませんが、おおよそリリース時からすぐ飲んで楽しめるワインの選び方をご紹介します。
 
 

シャンパンは飲み頃リリース

 
「リリースしたときが飲み頃」シャンパンのメーカーはだいたいそう口をそろえます
 
一般にシャンパンはブドウの収穫からリリースまでが長いです。白ワインをスパークリングワインに変化させる「瓶内2次発酵」の期間が少なくとも15か月。長いと10年以上にもわたるからです。
その分飲み頃になってから出荷するから、いつ飲んでも美味しいというのが彼らの主張です。
 
 
実際に買ってすぐ飲んだら、「固くて酸っぱくて美味しくない」という銘柄はほとんどありません。シャンパンに限らずスパークリングワイン全般において、概ね飲み頃前であることを心配はしなくていいでしょう。
 
 
ただし先述のとおり出荷までの期間が銘柄によりマチマチ。「2023年現在、2015年のシャンパンは熟成しているか、若いか」と聞かれても、それだけの情報ではだれもわかりません。
 
 

例外銘柄:クリスタル

ルイ・ロデレール社がつくる「クリスタル」は非常に人気の高い銘柄ですが、若いうちはその魅力を発揮しないことが知られています。少なくとも私が飲んだことのある1本は、1/3の値段でも買うかどうか・・・という味でした。
おおよそ表記ヴィンテージから15~20年たって、ようやく値段に相応しい味わいになると聞いています。

 
 

ナパ・ヴァレーの高級ワインはいつ飲んでも美味しい

 
ワインに関するアメリカ人の嗜好は一般的に、日本人と比べて新しいもの好きだそうです
発売されたらすぐに飲みたい。バックヴィンテージは売れ残り扱い。
 
加えて気候の違いもあるのでしょう。
カリフォルニアワインは若いワインも開けてすぐ開いている。いつ飲んでも美味しいというのが一般論です。
 
 
抜栓前の時間変化が少ないと言い換えることもできます。決して熟成能力がフランスワインに劣るとは言えないのですが、熟成によって変化する幅は少な目。かつゆっくりです。
 
3000円以下の手ごろなワインはもちろんですが、1万円以上の高級ワインにおいても、「しまった~飲むのが早すぎた」という後悔をする可能性は低めです。
 

例外:ヒルサイドのワイナリー

ナパ・ヴァレーの山岳地帯でつくられるワインについて、特に渋味が得意でない方は、ボルドーワインと同様に扱った方がいいでしょう。
標高が高い畑は朝晩の霧がかかりません。ゆえに日照時間が長く、ブドウの果皮は暑くなり、非常に豊富なタンニンを蓄えたワインが出来上がります。飲み頃に入れば厚みのあるなめらかなタンニンとなるのですが、若いうちは渋みがかなり強いです。
「Howel Mountain」「Mount Veeder」などの生産地域表示があるワインは、若いうちは要注意です。

 
 

その他ニューワールドのワイン

 
上記の他の地域において、フランス・イタリア以外の高級ワインにおいては、「熟成さえて飲むこと前提」ってい売り方はなかなかできません
だから高級ワインにおいては「10年後に飲んだらもっと美味しいだろう」ということは頻繁にあっても、「こんな味なら今開けるべきじゃなかった」ということはあまりありません。
 
 
「リリースしたてのものだと若すぎるかもしれないから、ちょっと古いの探そう」そうやってバックヴィンテージが気軽に見つかるワインなんて、実際ほとんどないんです。流通しているワインの大半は、先入れ先出しでなるべく早く販売され、そしてすぐに消費されていく。
消費者としても、お金は今払うのに楽しむのが5年後なんて、受け入れられる人は限られます。
 
だからワインは買ったとき、飲みたいときが飲み頃。そういったワインが大半で、一部例外があると思ってください。
 
 

飲み頃の考え方はそれぞれ

 
ワインを難しく、めんどくさくするものの一つに「価値観の押し付け」があります。具体的には、「このいいワインを今開けてしまうなんて冒涜だ!」みたいにイチャモンつけてくる人がいるかもしれないってことです。
 
今回ボルドーとブルゴーニュワインに一応の目安を示しましたが、本来はそれも飲み手の考え方次第です。自分なりの基準を持つ方はまるっと無視してください。
だって私も自分の楽しみ方にあーだこーだ言われたらイヤですもん。
 
 
「このワイン、まだ開けちゃだめだよ~」なんて高説垂れるのはマナー違反です。
 
普段なら相手の立場に立って考えられるのに、お酒が入るとその思考が働かず自分語りをしてしまいがちなのが怖いところ。
ワインの飲み頃はワインによりけり・人によりけり。同じワインを飲んで「美味しい!」と感じる人と「数年後に飲みたかった」と感じる人がいるということを知っておいていただきたいです。
 
 

ワインの状態を整えるには

 
付け加えるとまるで「ワインが機嫌を損ねる」がのごとく、取り扱いによって美味しくなくなる場合もあります
特に真夏など、ワインをあっためちゃいけないことは多くの方がご存知でしょう。
しかし振動によるストレスは、あまり気にしない方も多いです。
 
 

レストランに預けておくという選択肢

 
例えば友人とワインを持ち込んでレストランで食事するのが、来週末だったとします。
当日に自分で袋などに入れ持って行ってもいいですが、あらかじめレストランに預けておくという手もあります。近場なら自分で持って行ってもいいし、宅配便で送るのもいいでしょう。
 
 
持ち運ぶとワインは長時間揺れます。預けておけば飲む直前まで安置しておいてもらえます。後者の方がワインは美味しい、状態がいいと言われています。
 
 

古酒は揺らすと澱がまう

 
古い赤ワインは基本的に澱(おり)が沈殿しています
澱はタンニンなどが長い時間をかけて析出したもので、ワインに含まれていたものですから食べても害はありません。しかし口当たりは悪いですし美味しくはないです。
 
ボトルを立てて静止しておくことで澱は底に沈みます。ボトルの底が凸型になっていることで端にまとめられ、注いだ時もグラスにはあまり入りません。
でもワインを持ち歩くと澱が舞ってしまいます。その結果ワインは濁って口当たりの悪いものとなることがあります
 
「飲み頃のワインを」と思ってせっかく熟成したワインを用意したのに、ベストな状態で飲まないのはもったいない。少しの手間をかけてあらかじめ預けておくことをおすすめします
 
 

「疲れたワイン」とは

 
比較的若いワインには澱がありませんが、それでも持ち歩き、ハンドキャリーはベストではありません。
 
特にブルゴーニュワインでよく聞く話ですが、「日本に入港してから1か月以内は飲まない方がいい」なんていわれます。
2か月間くらいをかけてヨーロッパから船に揺られて日本の港に到着。検疫を経て輸入元の倉庫に入り、トラックで運ばれてワインショップの売り場やレストランに並ぶ。それから抜栓までが早すぎると美味しくないというのです。
 
 
これは私も感じています。口当たりがとげとげしくなって、バランスが崩れている印象を受けます。これを「ワインが疲れている」なんて表現することもあります。原因は輸送による振動だと言われています。
振動がなぜワインを不味くするかに関する確度の高い資料は見つけられておらず、「なぜ?」は説明できないのですが、振動はワインの敵です。
 
古酒に限らず、若いワインや白ワインでも、事前に預けるのがベターです。ただ、そこまで致命的ではないので、「絶対ダメ」とは言いません。
 
 

ワインに飲み頃はある。でも気にしすぎずに

 
安いワインは発売時が飲み頃で劣化していく一方ですが、高級ワインの中には瓶熟成によって美味しくなっていくものも少なくありません。
ワインは抜栓前もゆっくりと味わいを変化させるもので、より美味しいタイミングというものが確かにあります
 
しかしそれを気にしすぎるとワインを楽しむのが窮屈になってしまいます。飲み頃手前で開けたとしても、エアレーションするなり時間をかけて飲むなり、工夫次第でベストでないにせよそれなりには楽しめます。
 
 
目の前のワインを素直に楽しむ。時間とお金と心に余裕をもってワインと向き合うのが、結局は一番効率的に満足を得られる方法かもしれません。
 
 





※投稿に記載しているワインのヴィンテージ・価格は執筆時のものです。現在販売しているものと異なる場合があります。
購入の際は必ず商品ページにてご確認ください。




YouTubeバナー

-ワインの選び方
-