ワインは本来飲んで楽しむものではありますが、集めることの楽しさもまた否定できません。
コレクションが進んだ時とりわけ自慢したくなるのが、毎年デザインが変わる「アートラベル」のワインでしょう。
今回はヴィンテージごとにエチケットが変わる5つの生産者のワインをご紹介します。
これらのワインをずらっと自宅セラーに並べられたなら・・・そう妄想せずにはおれません。
アートラベルとは
ヴィンテージごとにデザインが変わるワインのエチケットを「アートラベル」と呼ぶことがあります。
正確には全てというわけではないのですが、著名なアーティストにデザインを依頼して制作するケースも多いためです。
いずれも決して安いワインではありませんが、集める楽しみでは他のワインに勝るでしょう。
どのワインも特別ではあるが・・・
厳密にいえば「そのヴィンテージは2度とつくることができない」というのは、すべてのワインで同じです。10万円のワインも500円のワインもです。
しかしアートラベルのワインは、そのデザインのボトルを入手できるのはそのヴィンテージだけ。そういう意味で特別感があります。
いかにもクラシックで文字と家紋のエチケットがいい。アートラベルのような華やかなデザインが好き。好みは様々です。
しかしずらっと並べたときにアートラベルが映えるのは間違いないでしょう。
ヴィンテージと熟成があるワインだからこそ
ワインはヴィンテージごとにその年の天候を反映した特徴があります。
さらにアートラベルが貼られるような高級ワインは、適切に保管することである程度の年月にわたり美味しくなっていきます。
古くて希少なものが高価に取引されるお酒は他にもあります。
しかしワインだけの特別な魅力もあります。10年後、20年後に比べて飲む楽しみ。この価値を認めるからこそ、本来は飲み物であるワインを飲まずにコレクションする人も多いのでしょう。
アートラベルのバックヴィンテージ
お金を出せば好きなワインの好きなヴィンテージが手に入るわけではありません。
新しいヴィンテージがワイナリーから出荷されたら、しばらくの間出回って、それで売り切れ次第終了。昔のヴィンテージが欲しくてもほぼ入手不可能。そんなワインの方が圧倒的に多いのです。
一方でアートラベルのワインは、楽天市場などで探せば結構出回っています。ものによっては、大半のヴィンテージが入手可能なこともあります。
今回はアートラベルを採用している5生産者のワインをご紹介します。
シャトー・ムートン・ロートシルト
言わずと知れたボルドー五大シャトーの一角、ムートン・ロートシルト。ムートンこそ『元祖アートラベル』です。
その始まりは1924年というべきでしょうか。1945年というべきでしょうか。この間は飛んでいるのです。第2次世界大戦の終結した年からこれまで、毎年違ったラベルでリリースされています。
かつては2級シャトーだったムートンが1級に昇格した記念すべき1973年。その年のエチケットを描いたのは、かの有名なパブロ・ピカソです。
そのほかも高名な画家のイラストが多く採用されています。
ありがたいことに、アートラベルの一覧を公式HPで見ることができます。しかも日本語で!
生産規模が大きく、プロモーションに資金を注入できるワイナリーだからこそですね。
COCOSで販売しているムートン
セカンドワインの「プティ・ムートン・ド・ムートン・ロートシルト」はアートラベルではありません。
※記事公開時の在庫です。完売の際はご了承ください。
ムートンの入手難易度
資金が潤沢であること前提でいえば、ムートンは最も入手がしやすいアートラベルのワインです。
楽天などのモールで「シャトー ムートン ロートシルト」といれて検索すれば、それこそ数十のヴィンテージが出てくるでしょう。
そこそこ大きなワインショップや百貨店のワイン売り場に行けば、何かしらのヴィンテージは置いているものです。
ただし金額は高い。それに1980年くらいより前のものは、さすがにしっかりと腰をすえて探さないと見つかりません。
これまで70を超えるヴィンテージでつくられているだけに、「すべて揃える」ことは難しいなんてものではないでしょう。
ゲオルク・ブロイヤー ベルク・シュロスベルク
意外に思われるでしょうか。実はムートンに次いでアートラベルの歴史が長いのが、ドイツの生産者ゲオルク・ブロイヤー。そのトップキュヴェである「ベルク・シュロスベルク リースリング」は、毎年異なるアートラベルです。
そのスタートは1980年から。
そのラベルデザインの変遷を見ていると、クラシックだったり抽象的だったりとある程度その年代の傾向があって面白いです。
COCOSで販売しているベルク・シュロスベルク
※記事公開時の在庫です。完売の際はご了承ください。
ベルク・シュロスベルクの入手難易度
ブロイヤーのベルク・シュロスベルクは結構入手困難です。
まず最新ヴィンテージの日本への入港ですら、180本程度と少な目です。これをレストランや酒販店で分けあうので、店に並んでボトルで入手可能なのが数十本という単位です。
ただ、そこまで一瞬で売り切れるものではないです。上記のとおり昨年入荷のものが少し残っているくらいです。
ただしバックヴィンテージの入手難易度はものすごく高いです。まったくと言っていいほどバックヴィンテージの並行輸入品を見かけません。
正規品のバックヴィンテージも、収穫の9年後くらいのものが毎年秋に入荷するのですが、他のヴィンテージは手に入りません。
1本手に入れるのはネットで検索すればなんとでもなりますが、揃えるとなるとかなり難しいです。
※正規品と並行品
ワイナリーと代理店契約を直接結んでいる輸入元が仕入れるものを「正規品」。それ以外の輸入元が仕入れるものを「並行品」と呼びます。並行品は生産国ないし他の消費国の販売店などで保管されていたものを見つけて購入し輸入します。
並行品だからといって品質が劣るとは限りません。ただし流通経路を知ることはできないので、劣化や偽物のリスクはどうしても正規品よりは高くなります。
正規品のバックヴィンテージは、自身で保管する余裕のあるワイナリーのものしか手に入りません。ごく一部です。ものによっては並行品ならバックヴィンテージが手に入るものもあります。
ムートンなどのボルドーワインはオープンマーケットのため、正規品というものがありません。
テタンジェ・コレクション
シャンパンの大手メーカーの一つ、テタンジェ。
ラインナップの一つ「テタンジェ・コレクション」は、毎年デザインが変わるボトルです。
「スリーバーボトル」と呼ばれるもので、ガラス瓶をすっぽりと覆う樹脂製のカバーに、毎年異なるデザインが施されます。
エチケットだけでなくボトルまるごとデザインされています。専用の箱に入っている場合もあります。
ただしテタンジェコレクションは毎年リリースされるものではありません。そもそも毎年リリースされるヴィンテージ表記のシャンパンというものがほとんどありませんが、テタンジェ・コレクションは1983年から2016年の間で14作品のみ。
バースデーヴィンテージなど自分にとって思い入れのある年を探し求めても、そもそもつくられていない場合も多々あります。
COCOSで販売しているテタンジェ・コレクション
※記事公開時の在庫です。完売の際はご了承ください。
COCOSはテタンジェ正規輸入元と取引がないため、入荷するのは全て並行品。割高なのは否定しません。
テタンジェ・コレクションの入手難易度
決して生産量が多いものではないとはいえ、バックヴィンテージを含めて並行品は結構出回っています。
日本でリリースされているものは、現在どうやら2008年が最新。赤ワインや白ワインと比べると、ヴィンテージ新旧の基準がずれて感じます。
リリースヴィンテージが少ないため、ある意味最も『揃えやすい』といえるアートラベルかもしれません。
シネ・クア・ノン
カリフォルニアのカルトワインの一つ、「シネ・クア・ノン」。
「二度と同じワインはつくらない」の信念のもと、エチケットのみならず、ブレンドやワインボトル、ワイン名すら様々に変えてリリースしてきました。これほど多様な形のボトルを使うのは、シネ・クア・ノンの他には知りません。
ただし近年は「使おうと思った名前がすでに商標登録されていた」ということが多くなり、上級クラスは「イレブン・コンフェッションズ」という畑名に統一されたようです。
ファーストヴィンテージは1994年。一覧は公式のHPで見ることができます。
ラインナップはスタンダードと上級の2ランク5種類あり、そのすべてがアートラベル。上級クラスは2年遅れてリリースされます。1ヴィンテージにつき5種類もつくられることを考えると、エチケットの数でいえばすでにムートンを超えているはずです。
COCOSで販売しているシネ・クア・ノン
※記事公開時の在庫です。完売の際はご了承ください。
シネ・クア・ノンの入手難易度
生産本数がかなり少ないため、シネ・クア・ノンは新しいヴィンテージのものでも入手難易度は高いです。
その代わり並行品が全くないわけではないので、たまにバックヴィンテージが流通することもあります。
「子供のバースデーヴィンテージを入手して寝かせておく」とかなら、頑張って待ち構えれば入手できるでしょう。
しかし「コレクションしてずらっと並べる」ことの難易度はかなり高いです。だからこそ「すげー!」ってなるんですが。
ルーウィン アートシリーズ
今回ご紹介する中で最もお手頃に入手できるアートラベルワインが、オーストラリアの「ルーウィン・エステート」です。
シャルドネとカベルネ・ソーヴィニヨン、シラー、ソーヴィニヨン・ブラン、リースリングの5種類でアートラベルを展開しており、COCOSではシャルドネとカベルネ・ソーヴィニヨンを取り扱っています。
どうやら1980年のシャルドネ以降アートラベルでリリースしているようです。そう考えるとベルク・シュロスベルクと同じ?
アートラベルの一覧のようなものはありませんが、ワイナリーには歴代のアートが展示されたギャラリーがあるそうです。
このアートシリーズの特徴として挙げられるのが、2004年ヴィンテージ以降でスクリューキャップを採用していること。コルクに比べて密閉率が高く、また個体差が少ないです。ゆえにボトルによって熟成の進み具合がそれほど違いがありません。
同じヴィンテージのコルク熟成のものにくらべ熟成香が控えめなのは良し悪し。しかしきれいな熟成をしています。
COCOSで販売しているルーウィン・エステート
ルーウィン・エステートは特にシャルドネの評価が高いです。
これだけ様々なヴィンテージを取り扱えるのは、輸入元さんが自社倉庫で熟成させてリリースしているから。年に1度価格改定を行って徐々に値上げをしていきますが、保管料と考えると安いものです。
※記事公開時の在庫です。完売の際はご了承ください。
ルーウィン・エステートの入手難易度
見ての通り当店だけでもかなり幅広い年代のアートラベルを扱っています。
全てのヴィンテージをそろえるのは難しくとも、ワインセラーにずらっと並べることは最も簡単です。
ただし正規の輸入元さんがこれだけ揃えているのです。わざわざ海外で古いルーウィン・エステートを探して輸入してくる並行インポーターはほとんどないでしょう。
輸入元さんで完売となったヴィンテージを再び手に入れるのは難しいです。
コレクションするならこのワインセラーで
いやらしいと思われるかもしれませんが・・・
どうせコレクションするなら、自宅に友人が来た時に「おおっ!」と驚かせたいじゃないですか。
それを狙うなら、自宅に設置するワインセラーはファンヴィーノの「ブリリアント」シリーズ1択でしょう。
普通のワインセラーとはワインの並べ方が違い、最前列のワインのラベルだけが非常によく見える構造です。
↑ビックカメラの販売サイト
↑メーカーの公式サイト
アートラベルのコレクションを一番手前にずらっと並べる。壮観でしょうね。
メーカー様の話では、実際によく売れているそうです。
コレクションもまたワインの楽しみ
ワインを自宅のセラーで保管する目的。それは主に確保と熟成です。
今しか手に入らないものだから、いつ飲むかわからないけど確保しておく。
大切なワイン、なるべく最高の状態で飲みたいから、飲み頃を待つ。
飲んで楽しむための保管が基本。一方で、希少なワインを買ってコレクションすること自体を楽しむ、これもまたワインの楽しみ方の一つです。
お金とワインセラーに余裕がないとできない。ごくごく一部の人のみに許された趣味です。だからこそ没頭する価値があるのではないでしょうか。