《テイスティングノート》
透明感のあるルビーレッドは、グラスの向こうが容易に見通せるほど淡い色あい。こういった色のピノ・ノワールは、質の高いブドウを抽出を抑えてつくる薄旨系か、単にブドウの熟度が足りていない残念なワインかの2択なのですが、ムーリラはその薄旨系です。
イチゴやチェリーパイのようなほのかな甘みを伴う赤いイメージのアロマ。果実味に適度な甘やかさがありますが、非常に軽やかでスムースです。タンニンも穏やかなのに、余韻はしっかりと続くところに、ブドウの質の高さが感じられます。
なかなかファンキーな見た目の割に、基本に忠実でありながらコンセプトがきっちりと現れた味わいです。
《生産者について》
ムーリラのオーナーであるデイヴィット・ウォルシュ氏はプロのギャンブラー。ポーカーの稼ぎでこのムーリラのワイナリーを入手したといいます。芸術に対する関心が強く「Museum of Old and New Art」通称MONA新旧美術館を所有しています。
それもあってかムーリラのエチケットは毎年まったく異なるデザイン。見た目でも楽しませてくれます。
「ムーリラ」とは数あるアボリジニの方言で「水辺の岩」を意味しているそうで、もともとは1948年にイタリア移民が土地を購入し、1958年に植樹したものでした。1962年に最初のワインづくりが行われた記録が残っているそうで、タスマニアでもかなり早い時期です。現在はカナダ人のコナー・ヴァン・デル・リースト氏にワインづくりを任せています。
Moorilla Praxis Pinot Noir