有名なシャンパンを片っ端から飲むことはかなわずとも、名前と特徴を知っておくメリットはあります。
「え?○○も知らないの?」と思われる心配がなければ、お酒の席がビジネスチャンスになる可能性が高まるでしょう。
これだけは覚えておきたい10の有名メーカーと代表銘柄、その特徴をご紹介します。
できる大人の一般常識を身に付けて、ハイステータスな人と仲良くなる武器にしましょう。
シャンパンに関する関連記事
こんなときに役立ちます:上司と2軒目に
シャンパンの有名銘柄を知っていれば、例えば会社の上司とワインバーに行くようなシーンで役に立ちます。
会社の飲み会なら、1軒目は広い居酒屋の飲み放題コースで。2軒目以降は三々五々に仲のいい人たちと、というパターンが多いのでは?
周りにいませんか?ワイン好きな上司。「美味しいワイン飲ませてくれるところ近いから、次そこ行くか~」
昨今の世の中、「飲み会強制参加!」みたいなところは減ってきているでしょう。でもあの上司はいい人だから、付いていくのはイヤじゃない。
ただ自分は別にワイン詳しくないし、話振られても困るんだよな。
この特徴的な香りは何に例える?
生産者がどのような哲学のもと、このワインをつくっているのか
上司はあなたとそんな真面目な話をしたいのではありません。
自分の好きなワインを、後輩であるあなたにもうまいと言ってほしい。
自分の好きなワインの話題で、自尊心が満たせればいい。
「ふむふむ」と聞いていれば最低限の役割は果たせていると言えるでしょう。そこに適切な相槌が打てれば、ワイン好きならではの会話の広げ方ができれば、上司はもっと気持ちよくしゃべれるはず。
そうすれば
ここの会計は任しとけ!
となることでしょう。やった!
シャンパンの話題が効果的な理由
ワインは本当にいろいろな国・地域で膨大な種類がつくられています。だから「世界中どんな地域のワインの話でもついていけますよ!」なんて人は、プロでもなかなかいません。
一つのジャンルについてまず学ぶなら、シャンパンがおすすめです。それはみなが知っていて飲んだことのある銘柄が多いからです。
赤ワイン・白ワインは「誰でも知っている銘柄」はなかなかありません。
「名前が通っているけど、高くて飲んだことのある人は少ない」
「スーパーなんかでも売ってる廉価な大量生産品で、知ってはいるがあえて話題にしない」
このどちらかです。
それに対してシャンパンの有名銘柄は、5000~1万円くらいの価格帯にもたくさんあります。ボトルとして手が出ない価格ではないですし、ワインバーなどでバイ・ザ・グラスで飲む機会もあります。有名な銘柄に手が届くのです。ワイン好きの上司もきっと一通り飲んで、何かしらのお気に入りがあるはず。
ぼく、最近シャンパンが美味しいって思い始めたんです。でも詳しいこと全然わからなくて。先輩はお好きですか?
そうやって話題を提供すれば、あとは聞き役に徹するだけ。気持ちよくしゃべってくれるでしょう。
独断と偏見によるシャンパンの知名度ランキング
シャンパンに絞ってもたくさんの生産者があります。そして一つの生産者がいくつもシャンパンをつくっています。
生産者(シャンパンメーカー)の名前、もしくは代表銘柄を覚えるのが効果的です。
筆者片山の独断と偏見によるシャンパンの知名度ランキングがこちらです。
SS |
モエ・エ・シャンドン、ドン・ペリニヨン |
S | ヴーヴ・クリコ |
A | クリュッグ、マム、ボランジェ、テタンジェ |
B | ニコラ・フィアット、ペリエ・ジュエ(※ベル・エポック)、ルイ・ロデレール(※クリスタル) |
C | サロン、アンリオ、パイパー・エドシック、ビルカール・サルモン、ポメリー、ルイナール |
D | フィリポナ、シャルル・エドシック、ローラン・ペリエ、ポル・ロジェ、ランソン、アヤラ、ジャック・セロス、エグリ・ウーリエ |
E | ド・ヴノージュ、ゴッセ、ジャクソン、アンリ・ジロー、タルラン、ドゥーツ、ジョセフ・ペリエ、ボーモン・デクレイエール、アンドレ・クルエ、ド・スーザ、アグラパール |
F | 上記以外 |
※生産者の名前よりも代表するシャンパンのシリーズ名が有名です。
ここにはあえて載せませんが、「ナイトマーケット向けシャンパン」というものも存在します。夜のお店を利用する人は当たり前に知っていても、単なるワイン好きは知らないという銘柄です。
アルマン・ド・ブリニャック、エンジェル・シャンパン、ソウメイなどがその代表です。
これだけ覚えよう!超有名シャンパン10生産者
上記のSS~Bランクの10生産者について、代表銘柄とその特徴をご紹介します。
これらは全て大規模な生産者であったり、巨大なブランドの傘下だったりします。膨大なプロモーション費用をかけて、世界各地の消費国で宣伝活動をしています。
単にシャンパンの品質が高いだけではありません。その価値を消費者に伝える取り組みをしているから、「皆が知っているシャンパン」であるのです。
※味わいの印象は筆者が別個に飲んで感じたイメージです。信頼しすぎないでください。
※注意 当店で取り扱っているものは商品リンクを載せていますが、他店に比べて割高です。ぜひ他店でお買い求めください。(ぼったくりではありません。これが適正な利益率です!)
KATAYAMA
モエ・エ・シャンドン Moet et Chandon
代表銘柄:ブリュット・アンペリアル
年間生産量3000万本を誇る最大手シャンパンメーカー。
なにせコンビニでも売っているところがあるので、きっと見かけたことはあるし、飲んだこともあるまもしれません。でも味わいなんて覚えていられない。
あまりに有名でベタなので、上司がモエをどうとらえているかに注意。「あまり美味しくないシャンパン」と思っているかもしれません。それは味の問題ではなく、「ありふれているものでは満足したくない」という気持ち。
なので
モエはやっぱり安定してますよね~
というコメントなら、ポジティブにもネガティブにも解釈できます。
ドン・ペリニヨン Dom Perignon
代表銘柄:ドン・ペリニヨン
シャンパンの製法の基礎を築いた「ドン・ペリニヨン」修道士から名前をとった、高級シャンパンの代名詞。
まずまずの値段するので、飲んだことがない設定にしてもいいでしょう。
そんな時は、
確かドンペリってモエが作ってるんですよね?
なんて話を振ると、興味もっていることを示せるでしょう。
飲んだことがある設定で話すなら、
普通のドンペリは飲んだことがあります!
と答えるのがポイント。
ドン・ペリニヨンはよく見かける通常のラベルの他に、ロゼとP2(旧名:エノテーク 通称:ブラック)、P3(旧名:レゼルヴ・ド・ラベイ 通称:ゴールド)というラインナップがあります。
暗に「ドンペリはほかにもあるの知ってますよ」と匂わせるわけです。
飲んだ感想は「濃いですよね」の一言でOK。付け加えるなら「高そうな味がしました」で十分でしょう。
ヴーヴ・クリコ Veuve Cliequot
代表銘柄:ポンサルダン・ブリュット(イエローラベル)
知名度でモエと差をつけるか迷ったくらいの2台巨頭。その年産量は900万本ほど。
ヴーヴ・クリコとは「クリコ未亡人」という意味で、バルブ・ニコル・ポンサルダン(マダム・クリコ)が当主となってから急成長したシャンパンメーカーです。
味わいとしては、モエ・エ・シャンドンよりもわずかに上品で繊細系でしょうか。
このイエローラベルを圧倒的によく見かけますが、ローズラベル(ロゼ)やホワイトラベル(やや甘口)もラインナップ。高級品は「ラ・グランダム」といいます。
クリュッグ Krug
代表銘柄:グラン・キュヴェ
非常に多くのリザーヴワイン(過去の収穫年のベースとなるワイン)を保管していているのが大きな特徴。それが匠の技でブレンドされてつくられる「グラン・キュヴェ」は、クリュッグの中で一番手頃で唯一ノンヴィンテージ(ヴィンテージのブレンド)でつくられるシャンパンです。
ヴィンテージの代わりにエディションナンバーが付与されており、クリュッグIDからそのエディションの詳細を見ることができます。
クリュッグがつくる最高級ワイン「クロ・ダンボネ」は、おそらく最も高価に取引されるシャンパンです。
LVMHグループとは
ここまでの有名銘柄ベスト4は全てLVMH、ルイ・ヴィトン・モエ・ヘネシー グループ傘下の生産者です。
ラグジュアリーブランドを世界中で手掛けています。ファッションブランドのDiorや腕時計のタグホイヤー、アクセサリーのティファニー、ロードバイクのピナレロなどもグループ企業です。贅沢な時間のそばにLVMH。
シャンパン事業はグループにとって、資金回転率は良くないが利益率は非常に高い部門だそうです。
マム Mumm
代表銘柄:コルドン・ルージュ
実売価格:5,000円強~
G.H.マムはいくつかあるドイツ系移民が起源のシャンパンメーカーのひとつ。なのでドイツのラインガウにも同名のワイナリーがあります。
鮮やかな赤色の斜線が特徴的な「コルドン・ルージュ」が看板シャンパン。味わいはやや軽くあっさり目の傾向に感じます。
飲んだことはあるんですけど、ちょっとよく覚えてないです
と言っても許されるでしょう。
一時期はF1の公式スポンサーもつとめていました。
ボランジェ Bollinger
代表銘柄:スペシャル・キュヴェ
価格が少し上がる分、味わいの骨格がしっかりしていて、より通好み。ピノ・ノワールの比率が高いという理由もあります。
映画「007」シリーズに登場するシャンパンメーカーとして有名です。
これって007に出てくるやつですよね?
と話を振れば、
ちゃうちゃう、このスペシャルキュベではなくて、ジェームズ・ボンドが飲んでるのは、グラン・ダネやRDでな・・・
と話が広がるかも?
テタンジェ Taitinger
代表銘柄:ブリュット・レゼルヴ、もしくはコント・ド・シャンパーニュ
実売価格:ブリュット・レゼルヴ 5,000円強~ コント・ド・シャンパーニュ 2万円強~
テタンジェの正規代理店はサッポロビールさんなので、その流通網を生かして様々なところで販売されています。
スタンダードは「ブリュット・レゼルヴ」。ノーベル賞授賞式の晩餐会でよく使われているのを見かけます。味わいはややあっさり目でしょうか。
テタンジェはプレステージにあたる「コント・ド・シャンパーニュ」(シャンパーニュ伯爵)も、太くて背丈が低い特徴的なボトルで有名です。
さらには毎年デザインが変わるカバーに覆われた「テタンジェ・コレクション」というシャンパンもあります。
ニコラ・フィアット Nicolas Feuillatte
代表銘柄:レゼルヴ・エクスクルーシヴ・ブリュット、もしくはパルム・ドール
フランス国内でのシャンパンの売り上げトップは、実はモエではなくこのニコラ・フィアット。
世界でも第3位の売り上げを誇ります。その規模なのにワイナリーの設立が1976年と比較的最近。いかに成功しているかがわかります。
実売価格:5,000円弱~
他のスタンダードクラスのシャンパンにも共通しますが、風味として強い個性はありません。無難にバランスのとれた味わいを目指しているのを感じます。コメントしづらい。
「飲んだことがある」と言っても、「どんな風な味だった?」なんて質問はされないはずなのでご安心を。
ニコラ・フィアットには「パルム・ドール」という高級シャンパンもあります。
実売価格:2万円台半ば~
この見た目もあって、ややナイトマーケット向けのイメージがあります。
ペリエ・ジュエ Perrier Jouet
代表銘柄:ベル・エポック
ペリエ・ジュエはスタンダードクラスのシャンパンもつくっていますが、圧倒的にこの「ベル・エポック」が有名。アメモネの花が描かれたエッチングボトルがテーブルを彩ります。
味わいは複雑味やスケール感よりも、万人が好みそうなピュアでスッキリとしたものです。
とはいえ無理に中身には触れず、ボトルを褒めておけばOKです。
ベル・エポックってボトルきれいですよね!いつか飲みたいと思ってたんです。
ルイ・ロデレール Louis Roederer
代表銘柄:クリスタル
名前の憶えやすさから、ここも生産者の名前より「クリスタル」というワイン名が有名でしょう。
底がぺったんこの透明瓶であることが特徴的です。これは戦時中、要人暗殺のために瓶底に爆弾を仕込まれないようにとの意図でつくった瓶の名残なんだとか。
筆者が飲んだ時は、確かにクリスタルのように透明感のある味わいで美味しいが、値段ほどの価値がないように感じました。詳しい人に聞くと、クリスタルは若いうちはなかなか本領を発揮せず、10年くらい熟成させて化けるシャンパンだそうです。
スタンダードの「コレクション」は妥当な価格なので、今買って飲むならこちらです。
有名シャンパンはプレゼントにも。ただし・・・
知名度の高いシャンパンは贈り物としても活躍します。
ワインはとかく種類が多いので、「頂いたものがいくらくらいのものかわからないので、お返しをどうすればいいかわからない」という場合があります。有名なシャンパンは、良くも悪くもおおよその価格が分かります。
ビジネス関係の贈り物など、単に美味しいだけじゃなくて金銭的価値が伝わったほうがいい場合もあるでしょう。そういうシチュエーションには上記のような誰もが知っているシャンパンがおすすめです。
ワイン通への贈り物には不適かも
ただし根っからのワイン好きへの贈り物としは、ベタすぎてつまらないと思われてしまうかもしれません。特にスタンダードクラスの1万円以下のものは避けた方が無難です。
昔からのワイン通は、今回ご紹介した10生産者のシャンパンはおおよそ一度は口にしたことがあるでしょう。そして新しい物への意欲が強い。飲んだことのないシャンパンの方により興味を示すはず。
贈る相手の方がワイン通だとわかったら、有名シャンパンは避けて選びましょう。
有名銘柄は知るだけ、買って飲むならこちら
冒頭でも触れたとおり、有名なシャンパンは有名であるための企業努力をしています。それは各消費国でのプロモーション活動であり、そのための膨大な費用はシャンパンの価格に含まれています。
筆者の意見としてはですが、有名シャンパンは「味を知るために」「晩酌として」1本買って飲むには値しないと考えています。実際に一度も買って飲んだことはありません。(ワインくじで当てるものだと思っています)
味を知るためなら、ワインバーなどでグラス提供されていたときに1杯だけ飲めばいい。
そして晩酌のためなら、プロモーションに力をかけず知名度はなくとも、品質で優るシャンパンの方が満足できる。そう考えます。
名前より味で選ぶシャンパンについては、こちらの記事をご参考に。
人脈を広げるツールとしてのワイン
世の中全体としては「飲みにケーション」という言葉は死語になりつつあります。飲み会で楽しくたくさんお酒をガブ飲みできる人が仕事で成果を上げられるかというと、そうとは限らないでしょう。
しかし依然として、ワインはステータスの高い人の共通言語であり続けているはず。ワインを通して人脈が広がり、それがビジネスチャンスとなるかもしれない。高級感があり、そして実際に価格が高いワインならではです。
単に飲んで美味しいだけじゃない。高級で小難しいワインを好き好んで楽しむ人たちとつながれる。これもワインの楽しみ方の一つです。
有名ワインを全部飲んで覚えていては、お金がいくらあっても足りません。だからこそまずはシャンパンから、手っ取り早く知識を得るツールとして、本記事を役立てていただけたらと思います。