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薄くない渋くない酸っぱくない!型破りなキアンティをつくるテヌーテ・ロセッティ

2023年12月22日

 薄くない渋くない酸っぱくない!型破りなキアンティをつくるテヌーテ・ロセッティ
 
玉石混合なイタリア代表ワイン「キアンティ」において、とりわけフレンドリーでウケるワインをつくるテヌーテ・ロセッティ。
ファンティーニグループの傘下としてそのスタイルを体現し、親しみやすく飲みごたえのあるワインをつくります。
その背景にある消費者目線のワイン造りを知れば、味の好みに関係なくワインを評価したくなるでしょう。
トスカーナでも異彩を放つこの生産者のワインには、定期的に晩酌に飲みたくなる魅力が詰まっています。
 
 

ロセッティのワインを飲むならこの2本から

 
 
KATAYAMA
ベリー系のジャムを思わせる熟したフルーツの香りに、花や土のニュアンス。口に含んで感じる果実感に厚みがあるので、酸味はある程度あるのですが「酸っぱい」と感じる人は稀でしょう。渋味もあまり目立たず、親しみ安さが強く現れた赤ワインです。
 
 
KATAYAMA
熟したベリーの香りにレーズンのようなニュアンスが混ざります。「ポッジョ・チヴェッタ」よりもさらに甘やかな果実味に重量感があり、渋味も酸味も目立ちません。手頃で飲みごたえのあるワインを探している方にはピッタリでしょうが、「トスカーナらしい味わい」かと問われれば首をひねります。
 
 

イタリアワインの代表格「キアンティ」とは

 
キアンティ(キャンティ)って名前はよく聞くしイタリアワインってことはわかるけど、どんな味のワインなのか説明はできない
 
実はこれ、ワイン初心者のみならず、そこそこの上級者でも頷くのではないでしょうか。
 
有名ワインゆえの幅の広さが原因です。
 
 

そもそもキアンティとは

 
「キアンティ Chianti」とはトスカーナ州フィレンツェの南に広がるワイン生産地区の名前でありワインの名前です。「キャンティ」表記もあります。
キアンティのエリアは歴史の中で広がった時期があり、もともとのエリアを「キアンティ・クラッシコ」と呼びます。ワインを指して「キアンティ」といった場合、広い意味では「キアンティ・クラッシコ」を含めて指すことが多いです。
 

キアンティの瓶として伝統的なフィアスコボトル

Wikipediaより引用

 
主要ブドウ品種はサンジョヴェーゼ。カナイオーロなどの土着の黒ブドウの他、メルローやカベルネ・ソーヴィニヨンのようなボルドー系品種、それからマルヴァジア、トレッビアーノのような白ブドウを規定の割合までブレンドすることができます。
 
その他にバリエーションとして、「レゼルヴァ」「スペリオーレ」「グラン・セレッツィオーネ」とつく上級キアンティもあります。
 
 

サンジョヴェーゼ種の特徴

 
イタリアで最も広く栽培されているブドウであるサンジョヴェーゼ。「ジュピターの血」という意味を持つこのブドウは、古代より栽培されてきました。
 
性質としては酸味も渋味も強い晩熟の品種です。生育期の雨が少なく温暖というより高温であるトスカーナだからこそ、ブドウがしっかり熟して高品質なワインができます。
サクランボやプラムなどのフレッシュなベリーの香りに、スミレなどの花や土のニュアンスを感じる傾向です。
 
 
キアンティに許可された補助品種は、このサンジョヴェーゼの魅力を強化し欠点を補うためのものです。
 
 

有名ワインゆえの品質のばらつき

 
キアンティは決して高級ワインというわけではありませんが、知名度があります。「キアンティ」を名乗るための規定も難しいものではありません。
それもあってキアンティは玉石混合です。1000円以下の非常に手頃なものから、1万円近くの上級品まで様々な品質のものが流通しています。日本に輸入されていないものではもっと安い地元消費用ワインもあるでしょう。
 
生産量が膨大であるため、品質にばらつきがあるのは否めません。そして低品質なキアンティに「薄くて酸っぱい」イメージを持っておられても不思議ではありません。
 
 

安いキアンティは薄くて酸っぱい?

 
低価格ワインは熟成を考えてつくられてはいません。どんどん出荷してどんどん飲んでもらわないと。そのうえで力強い渋味は不利です。
それゆえ安いキアンティは渋味を抑えてつくられます。果皮からタンニンを抽出するのを穏やかにするのでしょう。
 
しかしブドウの成熟度が低いなら、酸味は高いままで風味の濃厚さはありません。そうしたブドウから渋味を抑えてつくれば、香りに乏しく酸味が目立つワインになりがちです。特に1000円以下だと軽すぎて物足りない味わいになりがちです。
 
 

ロセッティがつくる「キアンティ」の違いと狙い

 
キアンティのネガティブなイメージに対して、テヌーテ・ロセッティがつくるキアンティは全く違います。薄さや酸っぱさはなく、熟した果実味がグイグイ前に出てきて飲みごたえがあり、それでいて渋味も強くありません
ワイン初心者が「飲みやすい」と感じるのは、こういったタイプでしょう。
 
それはロセッティが少し変わった醸造法をとっているからです。
 
 

遅摘みと長期樽熟成がもたらす滑らかさ

 
冒頭でご紹介した「ポッジョ・チヴェッタ キアンティ・クラッシコ」に使われるブドウは、通常よりも1週間から10日ほど遅く収穫されます。この遅摘みがポイント。
 
 
収穫を遅くすることでブドウの糖度は上がり酸度が落ちます。風味の印象は赤系ベリーからより熟した黒系ベリーの印象に。タンニンの印象も熟したものになります。フレッシュでしっかり歯茎を引っ張るものから、細やかに舌を刺激するまろやかなものになるのです。
 
ロセッティがつくるキアンティには、そのイメージを覆す親しみやすさがあります。それは親会社でもある「ファンティーニ・グループ」の影響を強く受けたタイプなのです。
 
 

根底にある「ファンティーニ・スタイル」

 
テヌーテ・ロセッティは「ファンティーニ・グループ」(旧ファルネーゼ・グループ)に所属しています。
その目指すところは「消費者」「栽培農家」「生産者」三方好しの経営
 
みなさまにとって重要なのは、いかにして飲み手を笑顔にしてくれるかでしょう。その方針を次のように定義しています。
 
 

ファンティーニ流消費者目線のワイン造り

 
ファンティーニでは消費者が求めるワインとは次のようなものだと考えています。
 
  1. 良質なブドウを使った高品質なワイン
  2. 魅力的なラベル
  3. 圧倒的なコストパフォーマンス
 
どうでしょうか。「まあ、そりゃそうだよ」という感想ですよね。言うは易く行うは難し。
目指すところが立派でも実現できてなければ絵にかいた餅。
ファンティーニのワインが手ごろな価格から多いのは、検索すれば分かります。
 
 
ただしそれで美味しくなければ「コストパフォーマンスの高いワイン」ではなく「安いだけのつまらないワイン」になります。
いかにして「良質なブドウを使った高品質なワイン」を定義し実現しているのでしょうか。
 
 

契約農家から面積単位で買い付け

 
普通ブドウを買い付けるときは、1kgあたりや1tあたりいくらという値段をつけます。
それに対してファンティーニでは、契約面積あたりで金額をつけます。なので農家が収量制限を行って収穫量を少なくしても、天候不順などで収穫量が減っても同じ報酬を得ることができます。
ナパ・ヴァレーなどの高級ワイン産地でこのような契約を行う例はよく耳にしますが、1000円のワインをつくるためには異例です。
 
 
しかもファンティーニが取り扱うのはもっぱらイタリアの土着品種です。有名でないから品質は良くとも二束三文で買いたたかれていたブドウ。それをファンティーニが以前よりも高く買い取り、ワインを世界に販売しているのです。それでこの値段のワインなのですから、それまでがいかに安かったことか。
 
 

2倍速の醸造家育成

 
ブドウ栽培はその土地の専門家にまかせ、ファンティーニは醸造を担う。その分業体制が基本です。
そのための醸造家チームは、イタリアで仕事のない季節は南半球に派遣されてワインをつくっているそうです。
2倍速で経験を積ませることで、美味しいワインを大量に安定してつくれるのです。
 
 

突出したフルーツ感がファンティーニスタイル?

 
ここからは筆者の所感ですが、ファンティーニは果実味が全面に出たワインこそ消費者に喜ばれると考えているようです
グループのワインが共通して持つと感じる特徴は次の通り。
 

ワインの共通点

ブドウの収穫が通常より遅く、果実味が甘やかで酸味控えめ
やたらと陰干しブドウを使いがち
低温長時間発酵を行っているであろうフルーツ感

 
ファンティーニが見ているターゲットは、比較的ライトにワインを楽しむ層なのでしょう。味わいにハッキリと果実味があってメリハリのあるスタイルです。
決して全てのワイン好きが喜ぶ味ではありません。でも「ファンティーニの味が好き」という人々が決して少なくないから、グループは急成長を遂げてきました。
 
テヌーテ・ロセッティもファンティーニスタイルを取り入れてから、日本のマーケットで着々と人気を増しています。
 
 

気に入ったらコンプリートしたいロセッティのラインナップ

 
テヌーテ・ロセッティに興味を持ったならまず試すべきが、冒頭でご紹介した2種類です。
 
 
ポッジョ・チヴェッタは先述のとおり遅摘みにより親しみやすさを強調したキアンティ。
 
 
これに対して「ゴヴェルノ・アッルーゾ」はキアンティではありませんが、トスカーナ伝統のワインと言えます。
 
 

「ゴヴェルノ」とは

 
ゴヴェルノとは発酵を終えたワインに乾燥させたブドウやその果汁を加えてもう一度発酵させる方法です。ヴェネト州の「リパッソ」とほぼ同じですが、トスカーナ地方で1400年ごろから行われていたそうなので、非常に長い歴史があります。
 
このワインでは通常の収穫時にブドウの一部を樹に残しておき、4~5週間後に改めて収穫するそうです。ブドウは樹になったまま乾燥し、糖度や風味が凝縮されます。それを潰して果汁を搾り、一度発酵が終わったワインに加えて再発酵させます。
 
 
アルコール度数が上がり濃密な果実味を持つとともに、レーズンのような風味がつきます。「ゴヴェルノ・アッルーゾ」にはこの効果が非常にわかりやすく現れています。
 
 

果実味主体でシンプルに安く

 
 
「ロッソ・トスカーナ」はオーク樽熟成を行わないエントリーレンジです。「ポッジョ・チヴェッタ」に比べると感じる風味の種類が少なく、フルーツ感のみのシンプルなもの。複雑さや飲みごたえはありませんが、それでもファンティーニらしい果実感は十分。そしてこの価格は魅力です。
 
 

よりタンニンなめらかな「リゼルヴァ」

 
 
このワインと通常の「ポッジョ・チヴェッタ」との一番の違いは熟成期間。30か月と長い樽熟成をしています
そのほかブドウ品種の違いはありますが、もともとブレンドはヴィンテージで変化もあるので、決定的ではありません。上級ワイン扱いなので、ブドウの質はより高いものが使われているでしょうが、そこまでの差はないはずです。
 
長い熟成期間でよりタンニンが滑らかになっています。「上級だからもっと濃い!」ということはありません。むしろこちらの方が飲みやすく感じる人もいるくらいでしょう。
 
 

ロセッティのスタイルが気に入って方のとっておきに

 
 
 
もしあなたが先述のワインを飲んで、リピートするほど気に入ったとしたら。
そのうえでパーティーなど、2000円台のワインが不適な場にもっと高級なワインが必要となったなら。
 
 
ロセッティはワンランク上のワインもつくっています。
どちらも香りのボリュームやスケール感といった点で価格差をしっかり感じさせてくれるワインです。
 
ただどちらも「キアンティ」ではなく、本記事の趣旨とは外れますので、ご紹介に留めます。
 
 

晩酌ローテーションにロセッティのワインを

 
ある人はキアンティの魅力を、イタリア料理との相性の良さだと語ります。
 
この「相性がいい」というのは、フレンチレストランでの「マリアージュ」のような互いが引き立てあうというレベルのものではありません。
いろいろな料理が並ぶ食卓にそのワインがあって、ビックリする美味しさはなくても全く邪魔をしない。自然と食事が進むという点で水に勝る
そんな食中酒としての役割です。
 
 
だからこそ真剣に相性を考えるのではない、たまたま安かった食材をつかって料理を作り、思いつきで飲みたいワインを開ける。そんな晩酌の食卓にこそ向いています。
 
そのシーンにロセッティのワイン"だけが"ピッタリである理由はありません。数あるワインのなかの1つです。
しかし晩酌にワインを開ける期間はこの先何百回とあるでしょう。ならば同じワインばかりではつまらないはず。
いろいろ飲むワインの中の1本として。お気に入りのローテーションの1本として。
手頃で親しみやすさを追求したロセッティのワインをご検討ください。





※投稿に記載しているワインのヴィンテージ・価格は執筆時のものです。現在販売しているものと異なる場合があります。
購入の際は必ず商品ページにてご確認ください。




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