「わ!ワインってこんなに美味しいんだ!」ワインが好きなきっかけとなる1本をワイン初心者の方のために選ぶのは、非常に難しいです。
なぜならワインの種類は多様で、好みも人それぞれな上に、感じ方は変化するから。
少しでも好みに近いものを選んでもらえるよう、他のお酒の好みで分類しておすすめをご紹介します。
既にワインが好きな方は、身近のワイン初心者に飲ませてあげるならと考えてみてください。
今回はビールやハイボール、焼酎など、甘くないお酒が好きなワイン初心者へのおすすめワイン特集です。
ワインの好みは人それぞれ
「初心者におすすめワイン決定版!梅酒やチューハイ、カクテルが好きなら」
こちらの記事で、「誰もが美味しいというワインはない」というお話をしました。
その理由として要点を挙げるなら
- ワインは非常に種類が多く、味わいも多種多様だから
- 味わいの感じ方は変化するから
- ワインは脳でも味わうから
この3つの理由でした。
だからワイン好きが自分の好きなものを初心者にすすめても、必ずしもそれを美味しいと感じるとは限らない。
かといって自分で選ぼうにも、種類が多くて価格の幅も広いので、選んでるうちに疲れちゃいます。
そこでワイン以外の好みのお酒ごとに、味わいの似たワインをご提案します。
そして今回は甘くないお酒が好みのワイン初心者に、おすすめのワインをご紹介します。
お酒に何を求めるかで分ける
甘くないお酒にもいろいろあります。その中でも身近な例がビール。
しかしビールがお好きな方と一言に言っても、大手メーカーのビール好きとクラフトビール好きは、嗜好をグループ分けすることができるでしょう。
その違いが生まれる理由は、お酒に何を求めているかだと考えます。
同じものを飲み続けるタイプ
大手メーカーブランドの缶ビールを飲み続けるような方は、「その日の気分で銘柄を決める」というより、「お気に入りの銘柄を買い続ける」という人が多いように感じます。「おれはずっと黒ラベルだ」みたいに。
気持ちよく酔っぱらいたい。
お酒のある席で親しい人と楽しい時間を過ごしたい。
酔って眠くなってベッドにダイブするのが幸せ。・・・・
私の偏見かもしれませんが、そういう方がお酒に求めているものはこういったことではないでしょうか。
お酒を飲むこと自体ではなく、お酒を飲むことによって得られる満足を重視している。
実はお酒の味自体のこだわりはそれほど強くないのかもしれません。
いろいろなものを飲みたいタイプ
クラフトビールを好んで飲む方の中には、大手ブランドにない濃厚な味わいや個性的な風味が好きという方もいるでしょう。
しかしそれ以上に、いろいろなものを味わいたいという欲求が強いのではないでしょうか。
生産量が少なく手に入れるのが難しいと聞くと、がぜん飲みたくなってくる。
だから「あ~美味しかった!よし、次は何飲もう?」「このブルワリーが作ってるもの、全部飲んでみるか」となる。
レアなものを追い求めるのはまた趣旨が違うかもしれませんが、よりお酒の味自体を楽しむタイプです。
好きなお酒を細かく分類する
今回、甘くないお酒の例としてビール、焼酎、ウイスキーを挙げました。
ウイスキーはハイボールにして飲む。決まった銘柄の焼酎を大きなサイズでまとめ買いする。
そういった方は大手ブランドビール好きのタイプ、お気に入りを飲み続けるタイプでしょう。
そういった方はワインの中でも「定番」「典型的」「クラシック」な安心できるタイプを好まれるんじゃないでしょうか。
リピーターが多くつき売れ続けるワインというのは、ワインオタクが見向きもしないベタなものが多いです。
いろいろな味わい、タイプを楽しみたいから、家がウイスキーのボトルであふれている。そんな方はクラフトビール好きと同じいろいろ飲みたいタイプでしょう。
このタイプの方は、「特徴的な〇〇の風味を持つ」「この地域特産の」「ヴィンテージの特徴が現れた」など、オンリーワンの要素を持つ方がワクワクするはず。
この2タイプの違いを念頭に、好きなお酒ごとに初心者におすすめのワインを考えてみました。
今回も失敗してもあまり痛くない、2000円以下でピックアップしております。
甘くないお酒が好きなワイン初心者におすすめするワイン
甘くないお酒に共通する点として、「酸味が低い」という点が挙げられます。
ワインは概して酸味の高い飲み物ですので、強すぎると特に初心者は苦手に感じられることもあるでしょう。
よって今回も酸味が抑え目なことを条件に選んでおります。
ダミア カヴァ ブリュット NV アルティーガ フステル
毎日同じビールを飲んでも飽きないよという方に
市販のビールのいいところは、食事前にそれだけで飲んでもいいし、そのまま夕食を食べながら飲んでもいい。水代わりに飲めるような使い勝手の良さと飽きにくさじゃないでしょうか。
その要因として、突出した味があまりないことと、のど越しの良さが挙げられます。
だからスペインのスパークリングワイン、「カヴァ」を選んでみました。
スパークリングワインの中では酸味がさほど高くなく、香りもシャンパンほど派手ではありません。
だからこそ飽きのこない味わい。普段使いのスパークリングワイン。
「この銘柄が」というわけではありませんが、「カヴァ」自体は非常に入手性が高いのもいい点。スーパーなら必ずくらい置いてますし、なんならコンビニでも手に入ります。
ジャン マルク ラファージュ キュヴェ ニコラ グルナッシュ ノワール 2018
クラフトビールの中でもIPAやスタウトがお好きな方に
スーパーに並ぶようなビールはピルスナータイプのものがほとんどですが、ビールにはもともと醸造法や原料の違いによりいろいろなタイプがあります。
特にクラフトビールだと、IPA(インディア・ペール・エール)という、ホップの苦味の効いたタイプのものでたくさんつくられています。
そういった濃厚でガツンとパンチのある味わいが好きな方には、赤ワインでも特に濃厚なものを。ワインを濃厚につくるには通常コストがよりかかるので、1000円台で選ぶなら限界はありますが、その中でこの「キュヴェ・ニコラ」は15%のアルコール度数と力強い味わいを持つワインです。
マッソ アンティコ プリミティーヴォ 2020
お気に入りの焼酎を飲み続けている方に
麦焼酎も芋焼酎も、甘い香りがあるものが多いですよね。しかし味わいとしては甘くなく、糖分もほとんどない。
そんな風に甘い香りがありながら甘くない赤ワインを選んでみました。
香りの性質としては全く共通点がありませんが、レーズンやプルーンのような甘いベリーの香りとヴァニラエッセンスの入った焼き菓子のような甘い香りを感じます。
渋味はそう強くないので、ワイン初心者にもとっつきやすいでしょう。
イタリア、プーリア州の特産であるプリミティーヴォ種を使ったワインの典型的な味わいです。
マックマニス シャルドネ リヴァー ジャンクション カリフォルニア 2020
ハイボールや定番のウイスキー好きの方に
ワイン通にこのワインの味わいを説明するなら、「ザ・カリフォルニアのシャルドネ」の一言で伝わってしまうような、期待通りの味わい。
メロンのような熟したフルーツの香りに交じって、ヴァニラ香やヒノキ風呂のような木の甘い香りを感じます。これはウイスキーと同じくオーク樽で熟成しているから。
こういったタイプのカリフォルニアワインは、当店でもリピート購入が非常に多く、2000円台後半のものも月に100本を超えて売れていきます。
まずは1000円台の手ごろなもので方向性を見極めて、予算に合わせた我が家の定番を見つけてみてはいかがでしょうか。
プレミアム フェテアスカ ネアグラ 2018 ブドゥレアスカ
”入手困難なウイスキー”と聞くと俄然飲んでみたくなる方へ
ワインほどではないにせよ、ウイスキーもたくさんの種類があります。保存性がより高いため、いろいろ飲み比べる楽しみはワインに勝るかもしれません。
そしてウイスキーもまた「この銘柄はなかなか手に入らない」というものがとても多い。
だから様々なウイスキーを楽しまれている人の中には、「人とは違うものを飲んでいる」のが楽しい方も多いんじゃないでしょうか。
ワインの生産国は非常に多いので、「よくそんなところのワインに目をつけたね!というか作ってたの?」というような国もたくさんあります。
ほどほどにマイナーな地域のワインとしてルーマニアのこの1本をおすすめします。生産量はまあまあ多い国なのですが、あまり日本では見かけません。
「どんなワインがきっかけで好きなったの?」と将来聞かれて「ルーマニアのフェテアスカ・ネアグラだよ」と答えたなら確実にビックリされます。
何がきっかけになるかわからない
個人的な話をすると、私がワインを美味しいと感じて初めて名前を覚えようとしたものは、ドイツの甘口リースリングでした。1000円台のワインだったはずです。
友人の中にはアスティだったという人もいますし、珍しい国の赤ワインだったという人もいます。
そこそこ高級なワインだったという人も知っています。
どんなワインがきっかけになるかは、さっぱりわかりません。予想できません。
「ワインを好きになる」というのは嗜好が変る、もしくは自覚のなかった嗜好に気づくということ。いわば心の動いた瞬間であり、感動体験です。感動体験は、狙って起こすことはできないと私は考えています。
だから、今回ご紹介したワインを飲んでみたけど、「ん~、やっぱりワインはよくわからんなぁ」となることも、十分あり得ます。
それでもあなたのための1本は、絶対どこかにある。なにせ何百万種類というワインが世界中にはあるのだから。
だから“今は”ワインが好きでなくとも、ワインに対するオープンマインドは保っていただきたい。それが一人のワインに魅せられた者としての願いです。