《フィロキセラと接ぎ木》
19世紀にヨーロッパのブドウを絶滅の危機においやったフィロキセラ。アメリカ大陸から持ち込まれた、ブドウの根に住み着いて枯らしてしまうアブラムシのことです。
その対策は、アメリカ系ブドウの樹にリースリングなどのヨーロッパ系ブドウを接ぎ木するというものでした。だから基本的に世界中でほぼ全てのブドウは接ぎ木して栽培されています。フィロキセラを繁殖させないよう、ヨーロッパでブドウを接ぎ木せず植えることは禁止されているそうです。(例外はあるようです)
しかし中には自根の畑が残っている例もあります。フィロキセラが生息できない土壌の場合は、自根のブドウでも枯れないのです。たとえば砂漠のような砂質土壌。他にはモーゼルでみられるゴロゴロの粘板岩土壌が、フィロキセラがいない畑です。
《ラウレンティウスライの畑について》
このワインに使われるブドウの樹は全て自根。しかも樹齢100年越えのものだといいます。
一般に樹齢が高いとワインの味わいは深みを増します。具体的にどういう風味が異なるかはケースバイケースでハッキリとしたことは言えません。樹齢が上がると実る房の数が自然と減るため、栄養素が凝縮するというのが一般的な説明です。
面積当たりにたくさんのワインをつくるには、30年程度で植え替えるのが効率的と言われているなか、100年の樹齢は非常にレア。「自根で栽培することで樹が長生きする」と主張する生産者もいますので、その効果かもしれません。
《テイスティングノート》
メーカーによる味わいの表現は「熟したピーチにアプリコット、レモンの皮、ハーブの深みある上品なブーケ。ミネラルが印象的なフィニッシュは、エネルギッシュでありながら気品に溢れている。」というもの。同生産者の「クァント」などと比べると確かに樹齢100年の効果があるように感じるのですが、それはなかなか文字に表しづらい差。ぜひあなたの舌と鼻で感じてください。
《生産者について》
モーゼルの中流域、ピースポート村の近くに、カール・ローウェンのワイナリーは居を構えます。ワイナリーの歴史は1803年までさかのぼることができ、所有している畑の中には世界で最も古いリースリングの畑があります。
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