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バスクのワイン チャコリとは|食事を美味しくするその魅力とおすすめワイン

2025年7月10日

 
バスク地方の名産ワイン「チャコリ」は、スッキリとした味わいの白ワインとして大人気。キレのいい味わいと海のミネラル感ゆえ、レストランでも普段の夕食でも食事を美味しくしてくれます。料理を選ばないその便利さから、夏はもちろん1年中活躍するのが魅力です。まずは試すべきおすすめ銘柄とともに、食中酒としてのチャコリの魅力をご紹介します。
 

夕食がもっと楽しみになるおすすめチャコリ5選

 
「バスク地方を旅行したとき、サン・セバスチャンのスペインバルで飲んだワインがとっても美味しかった!食欲が倍増するあのワインを、日本でも飲みたい!」
そうそうしてチャコリを探し求める方もたくさんいらっしゃいます。
そんな期待にバッチリ応えられる、当店おすすめのチャコリをご紹介します。
 
 

人気No.1のスッキリ系

産地:ゲタリア|微発泡

 
当店のベストセラーチャコリ!爽やかで軽やかな味わいに、キリっと余韻を引き締める海のミネラル感。典型的なゲタリアのチャコリです。
人気ゆえに年中手に入るアイテムではありません。冬ごろになると次のヴィンテージを待たず欠品してしまうことも。
 
 

かわいらしいエチケットの日本限定チャコリ

産地:アラバ|微発泡

 
輸入元さんが依頼してつくってもらっている日本オリジナルの銘柄で、この地区に珍しいわずかに発泡しているタイプです。コクがあるタイプではあるのですが、微発泡により溌溂とした雰囲気が加わって適度な軽やかさ。エチケットのかわいらしさもあわせて人気のチャコリです。
 
 

ロゼのチャコリで人気No.1

産地:アラバ|微発泡~スティル

  
アラバの特徴を如実に表していて、口に含んで感じるフルーツ感に最も厚みがあります。原稿執筆時の2024VTに関しては、いつもより泡がしっかりとあり、例年よりは軽やかな印象。ロゼ・チャコリの中ではジューシーな果実味です。
 
 

熟成もOKなほどリッチな味わい

産地:ビスカイア|スティル

 
このワイナリーはミシュラン三つ星レストランも経営しており、そこで提供される最上級の料理にも引けをとらない格のあるワイン。
発酵のあとに、生じた澱(おり)と一緒に熟成させる「シュール・リー」という製法を採用しており、そのためかリッチなコクやうま味があります。入荷したてのフレッシュな状態だけでなく、4,5年たって深みをました状態も美味しい!
 
 

シュワシュワをしっかり味わいたいなら

産地:ゲタリア|微発泡

 
当店のチャコリの中ではしっかり目の泡感が期待できるチャコリ。生産者が手掛けるなかでは上級のものが輸入されており、味わいに厚みと滑らかさがあります。このワインのレビューを探してみたところ、酸の高さと塩味に似たミネラル感を挙げる方が多い印象でした。
 
 
COCOSで扱っているチャコリ一覧▼
 

チャコリの微発泡について

チャコリの発泡感は飲むタイミングによって異なります。
回転のいいチャコリは前年のヴィンテージが春~初夏にかけて入荷します。(2025年7月なら2024VT)そういったものはある程度の泡がありますが、そのまま1年ほど保管していると泡が抜けている場合もあります。
また同じ銘柄でも年によって泡の強さが異なる場合もあります。なるべく新しい情報を得るようにはしていますが、表記と違う可能性があることもご了承ください。
 
 

チャコリとは|味わいの特徴とバリエーション

 
バスク地方というのはスペインとフランスの国境をまたいで広がりますが、チャコリがつくられるのはスペイン側バスク。
この章ではチャコリの基本とどんなタイプのワインがあるのか、生産地区による味わいの違いをご紹介します。
 
 

典型的なチャコリのスタイル

 
多くの方が思い浮かべるチャコリは、白の微発泡ワイン。
スパークリングワインほどではないが、ハッキリ見える泡立ち。柑橘やリンゴ、白い花のようなアロマに、海風のようなニュアンスの香りが混ざる。高い酸味を持つフレッシュな印象のワインで、中程度からやや低めのアルコールによる軽い口当たり。やさしい泡が口内を刺激して、最後は塩っぽい印象の余韻が、ついもう一口を誘う。そんなスタイルです。
 
 
ブドウ品種は「オンダラビ・スリ」という、この地域の土着品種が主体。
この泡は醸造中に発生した二酸化炭素の一部が溶け込んだまま残った場合と、後から炭酸ガスを入れるタイプがあります。
 
イメージ通りのチャコリとはこのようなものですが、実はチャコリにはいろいろなタイプがあります。
 
 

白の微発泡だけじゃない、チャコリのいろいろ

 
実はチャコリは、微発泡ではなく白のスティルワインの方が多く生産されているといいます。
 
 
また、チャコリは白ワインのみではありません
「オンダラビ・ベルツァ」という黒ブドウを使い、時にブレンドしてつくるロゼワイン。このブドウはカベルネ・フランの近縁種と言われており、数は少ないですが赤ワインもつくられます。確かにカベルネ・フランと似た清涼感と香りの華やかさがあります。
また白ワインをベースにした微発泡ではない、しっかりとした泡のスパークリングワインもつくられます。
 
 

エスカンシアとは|チャコリは高いところから注いで飲む?

 
スペインバルでチャコリを飲んだ方なら、そこの平たいグラスにチャコリを高くから注ぐ「エスカンシア」をご覧になったことはありますか?
 
 
高いところから注いで泡立たせることで、ワインに空気が含まれて酸味がまろやかになる効果があります。またその衝撃で香りが広がりやすくもなります。もともとはリンゴの醸造酒である「シードル/シードラ」を美味しく飲む方法だそうです。
これはチャコリをより美味しく提供できるようにと、観光客を楽しませる意図もあって、スペインバルで始まって広がった習慣だといいます。
 
ただしエスカンシアはどんなチャコリにも美味しくするわけではありません。むしろ上質なチャコリほど、「そのまま飲んで欲しい」と生産者が語ります
 
 

雨が多くブドウ栽培が難しいから

 
バスク地方は大西洋に面しており、海から湿った風が流れ込みます。ブドウ栽培の地としては雨が多いのです
雨が多いと湿度が高くカビが発生しやすくなります。その対策で栽培コストが上がります。その対策として、バスク地方では「棚栽培」が多く採用されています。日本のブドウ狩りでイメージするような、頭上にブドウが垂れ下がる仕立て方です。ブドウが地面から離れて風通しがよくなることから、病気になりにくくなります。
 
 
また雨が多くて実が水分を吸うと、ブドウ糖度が十分に上がり切らないこともあります。とりわけ栽培技術が低かったり、たくさん実をつけてたくさん収穫できるような栽培をしたときです。
そういった低いグレードのブドウには、鋭い酸味が残ります。その酸っぱさを和らげるのに、エスカンシアはある程度の効果があります。
 
 

もともと美味しいチャコリにはエスカンシアは不要?

 
バスク地方は観光地であり、実はワイン生産量より消費量の方が多いそうです。わざわざ輸出しなくたって、チャコリは観光客が飲んでくれます。
その中ではるばる日本に輸入されるチャコリは、生産される中でもハイグレードなものばかり。現地にはもっと安いチャコリもありますが、わざわざ日本に持ってきません。
 
 
なので日本で飲むチャコリの多くは、そのまま飲んでも酸味と果実味のバランスがきちんととれたもの。むしろエスカンシアで泡が抜けてしまったり、口当たりが悪くなったりする恐れもあります。
 
「チャコリは必ずエスカンシアして飲むもの」というのは誤解です
興味を持った方も、まずはそのまま飲んでみてから、1杯分だけ試してみるといいでしょう。
 
 

チャコリの3地区とその味わい

 
チャコリの生産地区は次のように区分されます。
 
地区名 チャコリの表記 位置 チャコリの特徴
ゲタリア ゲタリアコ・チャコリーナ サン・セバスチャン市を囲むように広がる 微発泡タイプが多く、ミネラル感が強くスッキリ軽やか
ビスカイア ビスカイコ・チャコリーナ ゲタリアより西側の海沿い。最も生産者数が多い 「オンダラビ・スリ・セラティア」という亜種もよく見られ、コクがあるタイプが多い
アラバ アラバコ・チャコリーナ ビスカイアの内陸側で最も小さな生産地区 微発泡タイプはほとんどなく、最も味わいに厚みがある
 
  
チャコリが初めてという方は、まずはゲタリアのチャコリから飲んでみるのがおすすめ。そのあとで地区による違いを楽しみましょう。
 
 

チャコリの楽しみ方|食中酒として優秀な理由

 
スッキリ爽やかな味わいはチャコリの魅力ですが、そこは個人の好み次第。
しかし「いろいろな料理と相性がよく、食事を美味しくしてくれる」という魅力は、誰もが大歓迎であるはずです。
 
この章では食中酒としてのチャコリの魅力をご紹介します。
 
 

現地バスクでのチャコリの楽しみ方

 
そのワインにあった楽しみ方を考えるうえで、生産地の人をまねるのはヒントになります。
 
バスク地方のスペインバルで提供される小さなおつまみ「ピンチョス」。その種類は本当に多種多様です。
サン・セバスチャンは港湾都市ですから、魚介料理が非常に豊富です。ピンチョスにもアンチョビやオイルサーディンをつかったものがたくさんあります。
飲み歩きが基本のバル。酔っぱらったうえで食べ物に合わせてワインの種類を選ぶなんてできません。全部チャコリであわせます。
 
 
ワインが苦手としがちな魚介料理。それだけじゃなく肉や野菜のピンチョス。
それらに「ピッタリ合う」と言わないまでも、顔をしかめるような組み合わせはない。だから安心してヘベレケになりながら食べて飲んで次のお店に行けるのです。
 
 
あわない料理や食材が本当に少ない。それがチャコリの魅力です
 
 

高い酸味が食欲を増進させる

 
酸っぱいワインが好きという方は少数派かもしれませんが、食中酒としては酸っぱいワインの方が優秀です
 
ワインを飲んで酸っぱく感じると、体がそれに備えます。唾液をたくさん分泌するのです。酸っぱい梅干しは見ただけで唾が出る、というのと同じです。
唾液でいくらか中和されるので、一口目は少し酸っぱく感じても、二口目、三口目と飲み進めると酸味がやわらいで感じます。
 
 
そのたくさん分泌された唾液が消化を促進し、食欲を増します
「チャコリとあわせることでこんなに美味しくなる」というほど明確なものではありません。でも「チャコリが食卓にあると、なんとなく料理がいつもより美味しく感じて、つい食べすぎちゃう」という人は多いはずです。
 
 

海のミネラルが魚介の美味しさを引き立てる

 
「この料理のとき、わざわざワインを飲まなくても・・・」「これは日本酒でしょ!」
ワインと相性が良くなさそうな料理、あなたは何を思い浮かべますか?
 
 
肉料理と比べると、やはり魚料理は難しいです。特に生魚。「ワインとあわない」ということはありません。ただ組み合わせを間違うと、生臭くて料理を台無しにしてしまう。マイナスの振れ幅が大きいのです。
 
その点でチャコリは特に海鮮に対しては万能。さすが沿岸地域のワインだけあります。昔から魚介類と一緒に飲まれてきたワインだからです。
 
もう少し分析的に考えるなら、まずは醸造法。チャコリはあまり樽熟成されません。そのスッキリとした風味が魚介料理の邪魔をしにくいというのが一つ。さらにチャコリが持つ潮風のようなミネラル感は、出汁の旨味を引き立てます。グルタミン酸と塩味で旨味の増幅効果があるのです。冬の季節、魚介の入った寄せ鍋などは間違いなく合います。
 
 

チャコリの使い分け|醤油にはロゼ

 
夕食に用意しやすい魚介料理といえば、刺身が思い浮かびます。スーパーで柵を買ってきて切るだけ。あるいはパックの刺身をそのまま。
 
ここで一工夫。もし醤油をつけて食べたいのなら、白ではなくロゼのチャコリを選びましょう
醤油は発酵食品であり結構な旨味を持ちます。白ワインだとそれを受け止めきれず、酸味が余計に感じてしまうことがあります。
その点、黒ブドウのふくよかな味わいと旨味感を持つロゼなら、味わいのボリューム感が釣り合います。
 
 
もし白のチャコリを買ってきたなら、塩とオリーブオイルで食べてはいかがでしょうか
塩のミネラル感がワインを甘く感じされ、オイルの質感が高い酸味を中和してくれます。
 
 

チャコリのある夕食で楽しさ倍増

 
Q「チャコリはどんなときに飲みたくなりますか?」
A[ん~、いつでも!」
 
チャコリをたくさん扱う輸入業者に転職した、ある営業マンはそう語ります。
特別な日に飲む豪華な味ではない。だからこそ、いつでも何度でも飲みたくなる美味しさがあるのです。リピートしたくなる理由には、もちろん料理との相性の広さもあります。
 
 
いつもならワインは控えておこうかというメニューの日。チャコリを開けてみてください。
その爽やかな味わいは食欲を促し、夕食をもっと楽しいものにしてくれるはずです。
しっかり食べて栄養をとれば、今年は夏バテ知らずで過ごせることでしょう。
 





※投稿に記載しているワインのヴィンテージ・価格は執筆時のものです。現在販売しているものと異なる場合があります。
購入の際は必ず商品ページにてご確認ください。




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