ワインの選び方

【ソムリエが選ぶ】1000円台おすすめ白ワイン 11選!《入門編》

2023年6月13日

【ソムリエが選ぶ】1000円台おすすめ白ワイン 11選!《入門編》 
 
誰かのおすすめを参考にワインを買って失敗しないコツは、「思ってたのと違った!」をなるべく少なくすることです。
ワインの味わいを全て数値化・言語化できるわけではないので、飲んで初めてわかることもあります。
一方でワインのタイプを分類し好みにあわせて購入したなら、そう大きく想定外になることはありません。
今回は辛口の白ワインを3つのタイプに分けて、コスパのいい1000円台のおすすめワインをご紹介します。
 

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白ワインの3タイプ

 
一口に「白ワイン」といっても様々な種類があります。
だから「このワインが美味しい。おすすめ!」といっても、その人が魅力に感じたポイントとあなたが好きなタイプが違うことも。
おおまかにでも白ワインをタイプで分類すれば、その行き違いを少なくすることができます
 
 
 

大まかな3分類

 
白ワインの多くはつぎの3つのタイプに分類することができます。
 
  • リッチでボリューム感のある味わい
  • スマートでスッキリとした味わい
  • アロマティックな香りに特徴のあるもの

  
この3つはどんなワインなのか。少し詳しくご紹介します。
 
 

リッチでボリューム感のある白ワインとは

 
 
  • 風味の凝縮度が高い
  • オーク樽熟成の風味が現れている
  • アルコール度数が14%以上

  
例えばこういった特徴を持つ白ワインは、味わいのボリューム豊かに感じます
 
風味の凝縮度を上げるためには、ブドウの樹1本や畑の単位面積あたりでとれるブドウの量を抑え、栄養を集中させる必要があります。でも収穫量が下がるとワインの値段を高くしないといけないので、1000円台のワインをつくるためにはあまり適していません。
オーク樽熟成をするのは、ステンレスタンクで熟成するのに比べてコストがかかります。しかしその差は1本数百円程度。1000円以下のワインではなかなか難しくても、1000~2000円のワインなら可能です。
アルコール度数で14%を超えるということは、ブドウがよく熟して甘いということ。秋の気候が安定している地域で糖度が上がりやすいブドウを選択すれば、収穫を遅くするだけなのでコストはあまりかかりません。ただし酸味との味わいのバランスはしっかり考慮が必要です。
  
 
このタイプのワインとしては、世界各地でつくられるシャルドネがメジャーです。ただしシャルドネからはスッキリタイプのワインもつくられるので、見極めが必要です。
南フランスやスペイン中南部などにも、シャルドネ以外のリッチで飲みごたえのある白ワインが見つかります。
 
香りが派手で高級感があるので、コスパを重視する方に受けがいいタイプです。
 
 

スマートでスッキリとした白ワインとは

 
ステンレスタンクで発酵・熟成を行うと、オーク樽の影響を受けないためブドウ本来の風味が際立ちます
酸素を通さない容器であることから、フレッシュなフルーツ感をよりハッキリと感じるでしょう。
 
 
適切な酸味のある状態でブドウを収穫するので、フレッシュな風味とあいまって白ワインはスッキリとした印象になります。
アルコールはそれほど高くなく、12~13.5%くらいが多いでしょう。先ほどのボリュームのあるタイプより、口当たり軽やかです。
 
代表的なブドウ品種としては、リースリングとソーヴィニヨン・ブランですが、本当に様々な品種でつくられます。大雑把に分類するなら「スッキリさわやか白ワイン」ですが、ブドウ品種や産地ごとに驚くほど風味の性質が多様です。だからいろいろなワインを飲み比べる楽しさがあります
 
 

アロマティックな香りに特徴のある白ワイン

 
醸造法としてはスッキリ系白ワインと同じステンレスタンクで発酵・熟成。その中でブドウ品種由来の香りにハッキリとした特徴を持つものは、別タイプと考えた方がいいでしょう。
 
 
代表格となる品種がゲヴュルツトラミネール。ライチやバラのような甘い香りがひと際強く漂います。
ヴィオニエ、トロンテス、マスカット・オブ・アレキサンドリア、ピノ・グリなどでつくるワインです。
 
スッキリ系白ワインとの違いは、品種の個性が強すぎて、同じ品種なら産地の違いはなかなか感じ取れない点です。
産地の比較をするより、まずはいろいろなアロマティック品種を試してみましょう。
 
 

安くて美味しい条件

 
ワインは多くの人の手を経て消費者の手元にとどきます。生産者が手にする金額は、最終的に消費者が支払う金額の数分の1です。
だから1000円台の白ワインをつくる上では、いろいろなコスト的制約がかかります。美味しくつくるには様々な工夫が必要なんです。
 
 

購入ブドウでの大量生産

 
日本で1000円台で販売するワインをつくるには、大量生産は必須とほぼ言っていいでしょう。
ワインボトル、エチケット、栓、出荷用の段ボール、それに栽培のための農機具・・・・全て1万本つくるより1000万本つくる方が、1本あたりのコストは安くなります。
輸送コストだって輸入量が多い方が価格交渉もしやすいでしょう。
 
 
つまり同じ1500円売価のワインだったとしても、生産本数の多い生産者の方が価格効率が良く、ブドウ自体にお金をかけられている可能性が高いということです。
 
自社で所有・管理する畑のブドウの方が安いのか、栽培農家から購入した方が安いのかは、地域や個々の生産者の特性などによります。だから必ずしも「購入したブドウでつくるワインのほうが安かろう悪かろうだ」なんてことはありません。
ただし自社畑を急速に買い足して、管理者を雇い収穫のために季節労働者を確保するのは大変!急に規模を拡大したワイナリーは、手ごろなワインに購入ブドウを使うケースが多いです。
 
 

毎年売り切るためのマーケティング

 
消費者はどんな味を求めているのだろう?
これを真剣に考えているのは、きっと1万円のワインをつくる醸造家より1000円のワインをつくる醸造家です。
 
年産本数が5000本なら、たとえ好き嫌いが分かれるような味筋だとしても、質が高ければニッチな層にだけで売り切れます。だからその土地の味をいかに表現するかや、自分の美味しいと考える哲学を優先します。
でも年産数百万本ならそういうわけにはいきません。奇抜さよりもワイン消費者のボリュームゾーンに嫌われないことが優先。味を安定させて、消費国にて太い流通チャネルに乗せる必要があるんです。ワインショップだけで売ってては、毎年毎年売り切るのが追いつかないかもしれません。
 
 
だからもしあなたがワインは飲むけどあまり詳しくない、マニアックじゃないワインの消費者だとしたら、ご安心ください。
大量生産されるワインは、あなたのような舌の持ち主をターゲットにつくられている可能性が高いです。
 
とはいえ味覚の傾向は国や食文化により異なります。また目指す方向性があったとしても、ワインを思った通りにコントロールできるかには醸造家の腕が関係します。
ワインの「美味しい」に絶対はありません
 
 

ハズレを引きたくなければ情報の見極めを

 
1000円台くらいなら、おすすめされたらとりあえず試してみてみよう。ハズレたらまあそれも経験だ
 
そういう考えなら、あまり細かいこと気にせず目についたもの飲んでみるのがいいでしょう。
 
口に合わなくてなかなか進まず、飲み切れないまま劣化。悲しい気持ちになることがよくある
 
それなら自分にとってのハズレワインを選ばないよう、情報を精査して好みのものを見極めましょう
 
どうしてもワインの味わいを完璧に言葉や数値で表すことはできません。
その中で少しでも「想像と違う」とならないよう、おすすめするワインを細かく分類してみたいと思います。
 
 

樽熟成リッチタイプでおすすめ白ワイン4選

 
樽熟成リッチタイプのメリットでありデメリットが、どれもある程度同じ方向性の味わいになること。簡単に言えば、「どれもだいたい一緒」となることです。
並べて飲み比べればちゃんと違いがありますし、果実味と樽香と酸味のバランスも違います。でもテイスティングコメントにするとほぼ区別つかないんですね。
 
凝縮感に関しては、値段によって似たり寄ったりです。1000円ちょっとと2000円弱ならそりゃ後者の方が濃く感じますが、その程度。
それより選び方のキーになるのは、樽香の強さ、甘い風味の強さ、酸味の高さ、アルコール感といったところでしょう。
(※甘い風味といってもワインに甘味があるわけではありません。香りに舌が騙されているんです。)
 
 

力を入れすぎない「ザ・カリフォルニア」

 
これは「コンセプトワイン」と言いますか、ワインのイメージがあってそれを規模の大きなワイナリーに依頼してつくってもらっているもの。あるいはそのワイナリーの別ブランドです。
だから「イーター」というワイナリーを探しても出てきません。
そう聞くと商売っ気の強いワインのように感じますが、それは決して悪いことではありません。「こういう価格帯でこういう味わいのワインが求められているだろう」としっかり考えてつくっているということだからです。
多くの人が想像する「カリフォルニアの2000円くらいのシャルドネってこんな味」というイメージ。背伸びせずそのイメージどおりの味わいに仕上げられています。
 
 

樽香の強さは頭一つ抜けて

 
イーターと同じ樽熟成したシャルドネですが、違いを挙げるなら樽の風味。こちらの方が甘いヴァニラの香りは控えめで、木材の香りがよく出ています
価格により醸造方法に制約があるだろう価格帯で、これほどしっかり樽香を表現できるのは、ルーマニアの物価が安いからでしょうか。
 
樽香は強ければいいというものではないです。だからこそ自分は樽香が好きかどうかを、このワインで判定してみるのもいいかもしれません。
 
 

生産規模特大だからこそのコスパ

 
チェヴィコはエミーリア・ロマーニャ州最大規模の共同生産者。生産規模もワインの種類も非常に多いので、取引している日本のインポーターが私の知る限り4社もあります。
共同組合らしく手ごろなワインを中心につくっています。だから日本で1000円台半ばのワインも、チェヴィコにとってはややハイクラス。価格の割にブドウの質が高く、しっかり目の樽香より先に熟したフルーツ感が感じられます。
 
 

この力強さがローヌ・ブランです!

 
このワインだけで年産40万本!主品種であるヴィオニエはローヌでありふれた品種ではありますが、同価格帯でこのワインほどパワフルなものはそうそうありません。
ヴィオニエはアロマティック品種で、その性質も併せ持つワインです。でもこちらで紹介したのは14%の強いアルコールを持つから。
樽熟成は行っていませんが、風味の凝縮度とアルコールによって、十分な飲みごたえを持つ白ワインに仕上がっています。
 
 

スッキリ爽やかタイプでおすすめ白ワイン4選

 
ワインを美味しくつくる上で、「個性際立つワインにしよう」というのと「欠点のないワインにしよう」という2つの方向性があると思います。もちろん両方実現できるに越したことはないのですが、1000円台という価格設定ありきではできることも限られます。
 
大量生産し大量消費してもらうため、どうしても1000円台で優先されるのは欠点のなさ。なので「この価格でこの完成度はすごい!」と感心させてくれるワインはたくさんありますが、「こんな美味しいワイン初めて飲んだ!」という感動は期待しないでください。
 
その分、その品種とその産地から予想されるワインの味わいに対して、あまり逸脱しないだろう安心感があります。
 
 

爽やかさといえばこれでしょう!

 
「マールボロのソーヴィニヨン・ブラン」というスタイルがあります。青草やハーブのようなフレッシュで爽やかな風味を持ち、軽快でスッキリとした白ワインです。
かつてこれが大流行した時期がありました。今でも白ワインのスタイルとして人気が高いです。それはメリハリのある味わいにより、ワイン飲み始めの方にとっても特徴をとらえやすいことが気に入られているのでしょう。
一方でこの青い風味が苦手という人も少なからずいます。好きか嫌いかがハッキリ分かれるスタイルなので、苦手そうなら避けるのをおすすめします。
 
 

1000mlボトルでこの価格!

 
ある程度お酒に強い方、必見です。
ラインガウはリースリングでつくる辛口ワインの高級産地であり、あまり2000円くらいのワインは見かけません。なのにこちらは、1000円台の価格なのに1000ml入り
スッキリ爽やかでついゴクゴク飲んでしまっても大丈夫。普通のボトルよりグラス2杯分は多い♪気持ちよく酔っぱらえます。
 
ちなみに内容量は多いのに、ボトルサイズは別に大きくなく、スパークリングワインよりも高さも太さも小さいです。冷蔵庫に収まりにくいという心配はありません。
 
 

プチプチ微発泡タイプだからスッキリ!

 
ポルトガルワインの中で、微発泡タイプの白ワイン「ヴィーニョ・ヴェルデ」は有名。ちょっと甘さを残して低アルコールに作られるものが多いですが、こちらは辛口の仕上げです。
スパークリングワインと違って、微発泡ワインは飲みかけを保存すれば翌日にはほぼ泡はありません。その点このワインは、甘味がもともとないので泡が抜けても普通の白ワインとして味わえます。むしろ変化を楽しめるでしょう。
 
 

香りもありつつスッキリ!

 
ファランギーナという土着品種は、香りがなかなか華やか。ゲヴュルツトラミネールのような誰にでも判別できるというレベルではありませんが、フルーツや花のニュアンスがよく広がります。
それでもこのワインの魅力は、どちらかに分類するなら「スッキリ感」でしょう。軽快に飲み進めやすい白ワインです。
イタリアの一大観光地である美食の街ナポリ近郊のワインです。訪れる人はファランギーナ片手にいろいろな料理に舌鼓を打っているのでしょう。
 
 

香り華やかアロマティックタイプでおすすめ白ワイン3選

 
アロマティックタイプの白ワインは、甘くて豊潤な香りを持つものが多いです。ご紹介するワインの香りはどれもボリューム豊か。
その香りに味わいも一致させるべく、ちょっと甘い味わいに仕上げる。香りは甘いけど味わいには甘さがないよう完全発酵させる。つくり手の意図により両タイプがあります。
甘いお酒が好きかどうか。好みが分かれるところです。選ぶ際に注目しましょう。
 
 

この品種の教科書的な風味

 
ライチ、パッションフルーツ、バラ。そういったゲヴュルツトラミネールの教科書的な甘い香りをしっかり感じます。
その香りの通りワインにもほどほどな甘さを感じ、キュッとしまる感じはほとんどありません。
こういったタイプはスパイスの効いた料理と好相性。スパイスカレーなどがおすすめです。
 
 

ギリシャの土着品種で年産25万本!

 
先ほどのギガルの年産40万本もすごいですが、このワインの年産25万本もすごい!
スタイルの確立されたローヌ・ブランと違って、好きな人しか知らないようなギリシャの土着品種を使ってのワインがです。20%のマラグジアの方がアロマティック品種で、マスカット系の甘く爽やかな風味。それでいて辛口に仕上げられており、食事のお供として使いやすい白ワインです。
 
 

いたるところでよく売れています!

 
ワイン専門店に限らず、様々な販売チャネルでかなりの本数が動く白ワイン
それは昨日今日の話ではなく、ずっと昔からです。
最初はひょっとするとボトルの見た目やオーガニックであることがきっかけで購入したのかもしれません。しかし売れ続けるにはリピーターが必須。消費者の記憶に残るうえで、トロンテスというアロマティック品種のバラやジャスミンのような華やかな香りは一役買っていることでしょう。
 
 

好き/嫌いからタイプごとの美味しさに

 
ワインを飲むならブドウ品種や産地の名前と味を覚えないといけない。そんなことはありません。
お金を払う消費者なのですから、極論自分が好きか嫌いか。このワインにお金を払って満足か不満かさえ判断できればいいんです。
 
 
しかし人間の心理として、期待が高ければ高いほど、それが満たされたときの満足は大きいんです。
同じ「口にあって美味しい」でも、セットで買ったついでのワインやワインくじでたまたま当たったものと、自分で選んで「美味しそう!」と買ったもの。後者の方が満足度は高いはずです。
 
ワインを選ぶ第1歩は、ワインにどんな味わいのタイプがあって、自分はどのタイプが好きなのかを知ること
タイプを細かく分類できるほど、期待外れのワインを買ってしまうことは少なくなります。
 
まずは1000円台のワインから、自分はどのタイプが好きなのか検証してみませんか?





※投稿に記載しているワインのヴィンテージ・価格は執筆時のものです。現在販売しているものと異なる場合があります。
購入の際は必ず商品ページにてご確認ください。




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