ワインの味わいは温度で大きく変化するので、適温で飲むのが美味しく飲むコツです。
レストランで飲んで美味しかったワイン、家でイマイチに感じるの理由の一つは温度管理かもしれません。
ワインのタイプで分類して、それぞれの飲み頃温度を紹介します。
おうちワインの美味しさをグレードアップし、日々の活力チャージをより良いものにしましょう。
レストランのワインが家でイマイチな理由
レストランで飲んだワインが美味しかった!だから写真を撮ってGoogleレンズで調べてみると、意外と安い♪
でも通販で取り寄せて飲んでみたら、な~んかイマイチ。
そんな体験はありませんか?
この原因はいくつも考えられます。
いくつかの原因は解決できません。でも工夫によって美味しさにつながるポイントも少なくないんです。
レストランと家で味わいの感じ方が違う理由をまずご紹介します。
解決できないイマイチな要因
×初体験効果 | 初めて飲むワインは印象が鮮烈なので、思い出補正もあって同じ感動は得られない。 |
×非日常感 | レストラン、とくに高級なお店に行くのは特別な日。雰囲気や気分が違えば感じ方も違う。 |
×一緒に飲む人 | 多くの場合レストランでは親しい誰かと飲んだはず。一緒に飲む人によりワインが美味しくなることはあります。 |
×料理の品質 | レストラン品質の料理を家で作れる人はごく一部。料理でワインがより美味しく感じることもあるでしょう。 |
これらの要因を普段自宅で飲むワインにて克服するのは不可能です。
おうちワインはレストランを超えられないと思っていますが、上記のものはおおよそ心理的要因。ワインの味わい自体でレストラン品質に寄せていくことはある程度可能です。
解決できるイマイチな要因
×保管状態が悪い
×グラスの選択が間違っている
×グラスのグレードが低い
×食べ物との相性が悪い
×温度が適切でない
レストランで飲んだワインと銘柄もヴィンテージも同じものを手に入れたのに、期待外れだった。
おうちワインの感じ方だけでなく味わい自体が劣るとすれば、このような原因が考えられます。
本記事ではこの中で「飲む際の温度調整」に絞ってご紹介します。
基本となるグラス選択についてはこちらの記事をご覧ください。
ワイングラスのグレードについてはこちらをご参照ください。
ワインの味わいは温度でどう変わる?
※ワインにより差がある
簡単にまとめると、ワインの味わいは温度で上記のように変化します。
好みであまり変えない方がいい
人それぞれに好みの味わいの傾向というものがあります。「渋みは弱い方がいい」「酸味が高い方が好き」などです。
上記の温度による味わい変化を知っていれば、ワインを買って開けた後で、自分の好みに寄せることができます。
ただしそれはあくまで微調整のために。
まずはワイン選びの段階で好みのタイプのワインを選ぶ。そのうえで予想と違った味わいだったときに少しでも好みに近づける手段として、温度調整を会得していると、あなたのワインライフがより捗ります。
スタート温度と飲み頃温度
たいていのワインには、一番美味しく感じるベストな温度があります。それが複数の場合、高めでも低めでも美味しい場合もありますが、いずれにせよ味わいに温度は大きく影響します。
ワインの飲み初めでそのベストな温度に持っていくべきかは、議論の分かれるところでしょう。なぜなら基本的にグラスに注いでからの時間経過に従い、ワインの温度は上がっていくものだからです。ボトルに残されたワインの温度上昇はグラスよりは穏やかです。それでも冷蔵庫やワインセラーに都度戻さない限り、ワインの温度は上がっていってしまいます。
ゆえに「スタートの温度をベストな温度よりすこし低めにする」というのも美味しく1本楽しむための工夫です。特に1、2人くらいの少数で1本を楽しむなら、低めの温度からスタートして時間をかけて味わいの変化を感じ取るのがいいでしょう。
逆に7人を超える人数で飲むなら、最初からベストな温度であることが大切でしょう。温度が上がって美味しくなってきたころに飲み干してしまっていたら悲しいからです。
スパークリングワインの飲み頃温度
スパークリングワインを飲むときの基本は、冷蔵庫でよく冷やしてキンキンの状態で味わうことです。
冷蔵庫の野菜室ではなく通常の冷蔵室なら、3~5℃くらいでしょうか。
実際この温度では冷えすぎで香りが縮こまってしまいます。
しかしグラスに注いですぐに温度があがり、香りが開きやすい8℃くらいまで上がるでしょう。
一度上がってしまったグラスに入ったワインの温度を下げるのは大変です。
高級シャンパンだけは別
上記の温度は2万円を超えるような高級なシャンパンには当てはまりません。
もう少し高い温度、10~12℃くらいの方が、風味の複雑さに伴う「高級感」を与えられるでしょう。
液体に対して気体の溶解度は、温度が高いほど低くなり、気圧が高いほどたくさん溶け込みます。
だからスパークリングワインにおいては温度が高いほど炭酸が抜けやすく、吹きこぼれやすい。スパークリングワインをよく冷やすのにはこの理由もあります。
高級なシャンパンは熟成期間が長く、もともとあまり泡は強くありません。なので温度高めでも吹きこぼれることはあまり心配しなくてもいいでしょう。
ただシュワシュワの触感が好きな方にとっては、風味を優先して温度を上げるか泡感を優先して下げるか、悩ましいところでしょう。
白ワインとロゼワインの飲み頃温度
白ワインもロゼワインも、基本はスパークリングと同じです。よく冷やして飲むことが風習であり、基本は7~10℃の温度で"美味しいように"つくられています。
だから白ワインとロゼワインも冷蔵庫でよく冷やして飲むのが基本です。飲み始めの段階で7~10℃くらい。ピッタリの温度はもう少し高めのものも多いですが、グラスの中でピークに達するはずです。
しかし中にはあまり冷やしすぎない方がいいタイプもあるので覚えておきましょう。
オーク樽熟成していたら冷やしすぎない
一般にワインをオーク樽で熟成すると、ヴァニラやナッツといった樽香がワインに付与され、厚みのある口当たりになります。
そういったものは8℃くらいの低い温度では香りや味わいのバランスが崩れてしまいがち。本来の豊かな甘い香りが上がってこず、木を噛んだような味わいに感じることもあります。
樽熟成についてはこちらの記事をご覧ください。
オーク樽熟成したワインの飲み頃温度は12~15℃くらい。それを見越して10~12℃くらいでスタートするのがいいでしょう。
樽熟タイプのワインに多い品種としてはシャルドネが圧倒的ですが、ソーヴィニヨン・ブランをはじめとした他の品種でも同じです。
冷蔵庫の冷蔵室ではなく野菜室で保管することで、少し温度を高めにすることができるでしょう。
文字では読み取りきれない樽香
上記は正確には「しっかり樽香を感じるワインは温度を上げた方がいい」です。というのもオーク樽熟成していながら樽香をほとんど感じないワインもよくあるからです。
樽香の付与の他に、オーク樽を通して酸素をゆっくりと供給し、ワインに複雑味をもたらすという目的も樽熟成は持っています。樽香を抑えてブドウ本来の味を強調したい場合は、使い古して香りがつかなくなったオーク樽を用います。
そういった樽熟成していてもスッキリスマートなワインは、よく冷やした方が美味しいことが多いです。
高くても低くても美味しいリースリング
リースリングからつくられる白ワインは、基本はよく冷やして飲むのをおすすめします。豊かな酸味によるスッキリ感を存分に味わえるからです。
しかし中には15℃くらいの高い温度にピークがあるものもあります。口当たりが丸くなめらかになり、より多くの風味を感じます。
ドイツやアルザス、オーストリアなどのヨーロッパの産地、それも5000円を超える高級品に多い傾向です。例えばこちら。
高価なワインと古いワインは高めで
大雑把に言って10年以上熟成していたり1万円を超えるような白ワインは、冷やしすぎない方が美味しいです。
そういった希少なワインは、1人ではなく数名で飲むことが多いでしょう。となれば最初から13~15℃くらいに調整することをおすすめします。
わざわざワインを何年・何十年も保管するのは、若いワインでは表現できない熟成による風味を楽しみたいから。特に香りです。それはやはり温度が高い方が豊かに感じられます。
温度調整は冷蔵庫から出しての時間
ワインの温度調整は、冷蔵庫でよく冷やした上で室温であたためる。それが基本です。
よく冷やして飲むワインなら、飲む直前に冷蔵庫から出す。
冷やしすぎないワインなら、飲む30分前に出しておく。
そうして飲むタイミングに温度を合わせます。
ただしこの30分という数字は状況により大きく変化します。
夏場と冬場では室温が違います。温度が上がるのは夏の方が早い。部屋の空気がどれだけ動いているかでも違います。
さらにボトルにワインがどれだけ残っているかも影響します。抜栓して飲み始めた1日目と半分残しておいた2日では、少ない方が早く温度が上がるのです。
このあたりは正直、"経験とカン"に頼っているのが実情です。
ワインセラーで温度管理する方法も
冷蔵庫で「10℃」のようにピッタリ温度管理することはできません。
ワインセラーを使えば求める温度にキープすることができます。この温度調整がワインセラーのメリットです。
ただし真夏の暑い室温での冷却能力や省エネ性能では、通常の冷蔵庫の方がずっと優れています。それに本体も割高です。
白ワインの飲み頃温度にずっとキープするというのは、なかなか大変です。
赤ワインの飲み頃温度
赤ワインの飲み頃温度もワインのタイプで大まかに分類できます。
目安は次の通り。
軽い口当たりのもの、高アルコールのもの : 13~15℃
濃厚でしっかりとしたもの、タンニンの強いもの : 15~18℃
熟成したワイン : 18℃前後
いずれも飲み始めの温度です。
この判断が難しい場合は、とりあえず15℃と考えてもいいでしょう。
冷やし目で飲むべき赤ワイン
13~15℃くらい。ボトルを触ってちょっと冷たいなと感じる温度で飲み始めるべきワインは次の通りです。
- 高級ではないピノ・ノワール
- 樽熟成していない赤ワイン
- アルコールが15%を超え、渋みがあまり強くない赤ワイン
最初の2つはワインの持ち味がフレッシュさやスムースな飲み心地であることが多いです。それはちょっと低い温度の方がよく発揮されます。
温度が高いほどアルコールは立ち上りやすいです。アルコールの高さに香りや味わいを邪魔されることがあるので、少し冷やし目にすることでバランス感が良くなることがあります。ジンファンデルやグルナッシュといった品種に多いです。
少し高めの温度で飲むべき赤ワイン
カベルネ・ソーヴィニヨンのように渋みが強いワインはちょっと高めの温度で飲むべきです。冷やすと渋みを強く感じすぎるからです。
全般に高級な赤ワインでアルコール15%以下のものは、15~18℃くらいと考えて構いません。
ただしカベルネ・ソーヴィニヨンでも渋みが目立たないように、果実味が強く出るようにつくっていれば、15℃以下の方がいい場合が多いです。
熟成したワインはやはり高い温度で
熟成したワインの複雑な風味を楽しむには、やはり温度は高い方がいいです。冷えていると香りが縮こまってしまいます。
古いワインならではの風味や口当たりを楽しむためには、18℃くらいから始めてあげていくといいでしょう。
安いワインはもっと冷やして
温度を下げることでワインの特徴は感じ取りにくくなります。
それは安いワインにとって時にプラスにはたらきます。
1000円以下の赤ワインについては、10℃前後まで下げた方が粗さを感じずスッキリ飲める場合もあります。
特に500円くらいの赤ワインは、冷蔵庫温度がベターでしょう。
「赤ワインは常温で」は日本の話ではない
「白ワインは冷やして、赤ワインは常温で」
残念ながらいまだにこのような認識が多いです。レストランでも赤ワインの温度が高すぎると感じることは少なくありません。
赤ワインを常温で楽しめるのは、ヨーロッパの昔ながらの家の話。石造りで太陽熱が伝わりにくく、夏でも涼しい家の中です。最低気温が25℃を超えるような日本の夏は想定していません。
赤ワインの飲み頃温度が白ワインより高いのは確かです。でもその差はちょっとだけ。
日本においては「ワインは冷やして飲むもの」と考えて問題ないでしょう。
ワインセラーがあると圧倒的に便利
赤ワインに関しては、自宅にワインセラーがあるかどうかで快適さが大きく違います。
なるべく下部に抜栓したワインを立てて入れられるものが望ましいです。
ワインセラーの設定温度を15℃くらいにしておけば、飲みたいワインを出してすぐ楽しめます。しかも飲みかけをその温度で保管し、翌日以降も楽しむことができるのです。
ただしワインセラーの庫内温度は、表示温度より1、2℃違うことがあります。このように温度計を入れて計測してみてもいいでしょう。
スマホと連携して温度が監視できるSwitch Botがおすすめです。
ワインの飲み頃温度まとめ
おうちワインをより美味しく
ワインの温度による味わいの変化は、グラスが2つあれば自宅で簡単に実験できます。
グラスに入れて室温で1時間放置したワインと、冷蔵庫から出したてのワイン。感じ方は大きく異なるはずです。
ワインの味わいが温度でどう変わるか。
一度それを体得すれば、レストランで食事するときも役立つかも。
白ワインは冷蔵庫から出してすぐ飲んでいた。
赤ワインは室温のまま飲んでいた。
そんな方はぜひ、温度の調整にひと手間かけてワインを味わってみてください。