Pick Up 生産者

【PickUp生産者】ドイツの銘醸畑が急斜面なその訳は?ゲオルグ・ブロイヤーがつくるリースリング

2021年5月15日

 
「急斜面に拓かれた畑」といえば「ドイツのリースリング」と言っても過言ではないでしょう。
傍から見れば美しい光景ですが、その農作業の負担たるや筆舌に尽くしがたいものがあります。
どうして斜面に畑をつくるのか。そこからできるワインはどんな味わいになるのか。
その急斜面で辛口リースリングをつくる、ゲオルグ・ブロイヤーにスポットを当ててご紹介します。
 
 

目次

急斜面に畑を拓く理由

 
まずドイツは冷涼な大陸性気候です。
今回ご紹介するゲオルグ・ブロイヤー醸造所があるのは、およそ北緯50度。
ブドウが栽培できるほぼ北限に位置するため、いい畑の条件とは、「いかに安定して熟度の高いブドウが収穫できるか」でした。
 
 

雪解けに気づいたカール大帝

 
8世紀のこと。
フランク王国のカール大帝は、ラインガウの対岸にあるインゲルハイムの王宮に滞在していた時に気づきました。
 

Dürer karl der grosse.jpg
アルブレヒト・デューラー - Kaiser Karl der Große (Gemälde, Porträt), Germanisches Nationalmuseum., パブリック・ドメイン, リンクによる

 
ラインガウの斜面に降り積もった雪は、この王宮のあたりより早く溶け始めている
 
 
つまりこの斜面は他より暖かいのだから、きっとここに畑をつくればよく熟したブドウができるはずだ。
カール大帝がここでのブドウ栽培を奨励して以降、ラインガウはドイツにおいてトップクラスの銘醸地であり続けたのでした。
 
 

急斜面が効率的に日照を得る

 
緯度が高いということは、太陽が低い角度から射します。
そうすると平坦な畑では得られる日照は弱くなってしまいます。
 
 
その弱い日照を効率的に集められるのが、斜面の畑なのです。
 
中でも南向きの斜面はより長い時間日照を受けられます。
全体としては南から北向きに流れているライン川では、川の両岸は東向きか西向きに面しています。
しかしこのラインガウ地方の流域のみ、東から西向きに流れており、南向きに面した斜面となるのです。
 
 

大きな川のそばであること

 
大きな川のそばであることも、いい畑の条件です。
太陽光が川面に照り返して、よりブドウの樹に日照を与えるのです。
斜面の効果に加えて、更にブドウを熟しやすくしてくれます。
 
また、暖まりにくく冷めにくいという水が持つ性質ゆえ、大きな川は近くの気候に影響を与えます。
冬に極めて寒くなるのを和らげ、夏の猛暑からもブドウを守るのです。
 
 

極寒の地でワインをつくるための知恵

 
ドイツで最も広く栽培されるリースリングという品種は、寒さに強いのですが、晩熟です。
太陽からたっぷり熱を吸収しないと、光合成によって十分にブドウの糖度が上がらないのです。
 
 
そこで冷涼な産地であるドイツでは、古来よりグレードの高いとされる畑は、川のそばの南向き斜面に拓かれてきました
ブドウが成熟するのを助け、より美味しいワインをつくるための、畑の選択における知恵だったのです。
 
 

急斜面だとワインはどう変わる?

 
急斜面の畑と平地にある畑。
それぞれで取れたリースリングをワインにすると、その味わいはどう変わるのでしょうか。
 
斜面の畑は日照をより強く浴びることで、ブドウの糖度が上がりやすくなります。
しかしそれは、ワインが甘口になるということではありません。ブドウの収穫を早めにすることで、糖度を抑えることは可能だからです。
 
急斜面の畑からできるワインの最大の違い、それは風味の凝縮感です。
 
 

一口に『凝縮感』というけれど・・・

 
ワインにはよく『凝縮感』という表現が使われます。
英語に直すと『Intensity』、口に含んだ時にパッと感じる味わいの強さと考えて概ね問題ありません。
 
しかしそれは、例えばナパ・ヴァレーのカベルネ・ソーヴィニヨンに代表されるような「パワフルな味わい」を想像すると、ちょっとずれてきます。
 
 
温暖な地域ではブドウの糖度を上げることは簡単です。糖度の高い果汁を完全に発酵させると、アルコール度数の高いワインになります。(もちろん限度はあります)
アルコール度数が高いワインは、ボリューム豊かでパワフルな味わい。高い凝縮感を持ちます。
 
しかし『凝縮感』はパワフルさだけではないのです。
 
 

折り重なる風味

 
例えアルコール度数が高くなくとも、様々な風味が何重にも重なって感じられるようなワインは「凝縮感がある」と言えます。
ある生産者は「Lacy レースのような」という表現をするそうです。
薄くて軽やかな、何枚ものレース生地が織りなす模様のように、上品で奥行きのあるワインのことを指します。
 
 
そういったワインは小手先の技術でできるものではない。卓越したブドウをいかに育てるかが全てです。
そのためにまず必要なのが収量制限。1本の樹につく房の数を減らして栄養を集中させる必要があるのです。
そしてブドウの樹の樹齢。古い樹は地中深くまで根を伸ばすので、より様々な栄養の土壌にアクセスすることができるので、風味豊かになると考えられています。
 
これらは急斜面の畑のブドウが高品質であることの理由のひとつと考えられています。
 
 

表土が薄いゆえの低収量

 
斜面の畑は雨が降ると土壌が水に流されていきます。
風化が進んだ、細かくて栄養の多い土ほど流れてしまいがち。
なので斜面の畑は基本的に水はけがよく痩せています
 
その環境はブドウの樹にとって好ましいものではありません。
だからこそ、子孫はもっと条件のいい場所で繁殖してほしい。
そのために少量ながら甘くて美味しいブドウを実らせ、鳥に食べてもらおうとするのです。
 
 
斜面の畑で樹齢の高い樹が植わる畑の収穫量は非常に少量。
ゲオルグ・ブロイヤーの持つ上級の畑1haからつくられるワインは、わずか1500L。
これはブルゴーニュの特級畑の半分相当です。
 
厳しい環境で必死に実らせたブドウだからこそ、素晴らしく凝縮した風味となるのです
 
 

価格に反映もやむなし

 
当然ながら、そんな斜面の畑での農作業は、平地の畑よりずっと大きな負担です。
危険を伴うこんな斜面を上り下りするだけでも大変です。
使えるところは機械の手を借りるといっても、トラクターが斜面を降りられるわけではありませんし、収穫も手摘み以外にありません。
 
 
そんなに苦労して出来るワインは少ないのですから、価格は高くなって当然です。
特にラインガウのリースリングは、2000円以下のものはほとんど見かけず、中~高価格帯に集中しています。
 
 

辛口リースリングに命を懸けた、ベルンハルト・ブロイヤー氏

 
急斜面からつくられるリースリングを含め、ドイツで上質なリースリングを見つけるならば、目印があります。
「GG」(ドイツ語の発音はゲー・ゲー)と書いてあれば、旨い辛口リースリングです。
なぜなら、VDP(ファウ・デー・ペー)という生産者団体の厳しい審査をパスした辛口ワインのみが、「GG」の表記を許されるからです。
 
 
 

覚えて頂きたい“鷲のマーク” VDP

 
ドイツワインでこちらの鷲(わし)のマークをご覧になったことはありますか?
このマークはワインの生産者がVDP=ドイツ高級生産者連盟という団体に加入していることを意味します。
 
 
加盟者数200前後の小さな団体と侮ることなかれ。
ドイツ全体の生産量からするとわずか2.5%しかないのに、販売金額では12%も占めているのです。
 
正にその名の通り「高級ワインをつくる生産者の証」。
鷲のマークがついていたら、レベルの高い生産者であることが保証されます。
 
 

生産者団体が定める“グラン・クリュ”

 
VDPが行っていることの一つに、畑の認定があります。
加盟生産者の所有する畑について、ブルゴーニュにならった特級畑、一級畑を認定しているのです。
特級畑を『グローセ・ラーゲ』一級畑を『エアステ・ラーゲ』と言います。
 
 
 
この『グローセ・ラーゲ』から伝統品種で作られる辛口ワインを『グローセス・ゲヴェックス=GG』と呼ぶのです。
 
今回ご紹介する生産者、ゲオルグ・ブロイヤー醸造所の先代当主ベルンハルト・ブロイヤー氏は、かつてこのVDPの中心人物でした
 
 

高品質ワインのブランドであるために

 
VDPが目指したのは、「GGと書いてあったら、鷲のマークが描かれていたらワインは美味しい」と思ってもらうこと。
そのために彼らが自主規制として定めたのは、「いい畑からいいブドウを得る」という当たり前のことでした。
 
畑は50年以上前から銘醸畑とされていた区画
面積当たりの収穫量を制限して、ブドウに栄養を集中させる
畑の特徴を反映する、ドイツ土着品種の推奨
ブドウの未熟さを補うための補糖禁止
 
これらの厳しい基準を加盟者に課すとともに、新規加盟者の審査も非常に厳しいため、VDPに入りたくても入れない生産者はたくさんいるといいます。
 
 

袂を分かつきっかけとなった畑『ノンネンベルク』

 
このVDPの仕組みをつくる立場であったベルンハルト氏ですが、現在ゲオルグ・ブロイヤー醸造所はVDPに加盟していません。
なんと自ら脱退してしまったのです
 
そのきっかけは、ブロイヤーが単独で所有する『ノンネンベルク』という畑。
特級畑『グローセ・ラーゲ』の認定の際、「ノンネンベルクはライン川から離れすぎている」という理由で、認定されなかったのです。
 
 
当時からノンネンベルクでつくられるリースリングは、世界的にも高い評価を受けていました。

ちょっと待て。こんないいワインができる畑が、特級でないとはどういうことだ?

 
 
その裁定にどうしても納得できなかったベルンハルト氏は、VDPを脱退してしまったのです。
 
 

ゲオルグ・ブロイヤーの特級畑

 
VDPを脱退してしまったため、正式にはブロイヤーが特級畑=グローセ・ラーゲを名乗ることはできません。
しかし所有する優良畑4か所は、文句なく特級認定される急斜面でライン川のそばの畑3か所と、物議をかもしたノンネンベルクです。
なのでこのページでは特級畑であるものとして扱わせていただきます。
それらは後ほどブロイヤーのつくるワインのところで詳しくご紹介します。
 
 

57歳で急逝、娘が後を継ぐ

 
そのゲオルグ・ブロイヤー醸造所ですが、現在の当主は娘のテレーザ・ブロイヤー氏です。
というのも、ベルンハルト・ブロイヤー氏は57歳の若さで急逝。当時若干20歳であったテレーザが、急遽ワイナリーを継承することとなったのです。
 
 
当時彼女は大学に通いながら旅行会社でアルバイトをしていたといいます。
突然ワイナリーを継ぐことになるとは思ってもみなかったことでしょう。
その逆境を持ち前のエネルギーと負けん気で跳ね除け、立派に銘醸造所を引き継いで見せました
 
ブロイヤー醸造所で働きながら、ワインに関してはドイツで一番のガゼンハイム大学で学び、知識を身に着けます。
今もワインをつくりながらも世界を飛び回り精力的にプロモーション活動を行います。
 
日本で実際にお会いしたことがあるのですが、小柄な体からパワーがあふれ出しているような、とてもエネルギッシュな女性です。
 
 
もちろん、評価の高い醸造所の味を引き継ぐのは、気合でどうにかなるものではありません。
彼女を陰で支えた、ベテラン醸造家がいたからです。
 
 

陰で醸造所を支えたヘァマン氏

 
ベルンハルト氏が醸造所を引き継いでから現在に至るまで、ブロイヤー醸造所を陰で支えている人物。
ケラーマイスター(醸造長)であるヘァマン・シュモーランツ氏を抜きに、ブロイヤーのワインは語れません
 
 
醸造に全責任を負いながら、ブドウの栽培も行い、さらには人材の育成まで担う。
スタッフが重要な仕事をしているときは、後ろからじっと見守ってくれる。
仕事の合間にはスタッフの濡れた靴や靴下をストーブで乾かしてくれる。
仕事が終わったら飲みに連れて行ってくれる。
 
そんな「親方」みたいなヘァマンさんがいたからこそ、テレーザがワイナリーを引き継げたのです。
 
 

ラインガウでトップの評価

 
ドイツきっての銘醸地、ラインガウ。
そこで特に高い評価を受ける生産者を挙げるとすれば、ロバート・ヴァイルと、このゲオルグ・ブロイヤーでしょう。
甘口・辛口両方で高い評価を受けるロバート・ヴァイルに対し、辛口リースリングで特に高い評価を受けるゲオグル・ブロイヤー
生産量の大半を辛口が占めるのは、父ベルンハルト氏から受け継いだ意思だと言えます。
 
 

辛口リースリングの魅力

 
故ベルンハルト氏は辛口のリースリングづくりにこだわった方でした。
現在もブロイヤー醸造所では、極少量の極甘口リースリングを除いて、辛口のワインしかつくられていません。
その理由は、辛口・半辛口のワインこそ食中酒として優れているという考えからでした。
 
 
「ドイツワインは甘口」
そのイメージは過去のものです。
実際ドイツの生産量のおよそ7割は辛口・半辛口で、甘口や極甘口は3割程度にすぎません
さらに年々辛口の割合は増えているといいます。
 
 
世界的に繊細な味わいのワインが好まれるようになっている近年なら、辛口に特化するのも頷けます。
しかし1980年前後の甘口ワイン大ブームの時期に、辛口ワインを志したベルンハルト氏の慧眼。
まさしく信念の人だったのでしょう。
 
 

辛口リースリングの楽しみ方 食中酒として

 
ベルンハルト氏が特に辛口ワインに注力した理由。
それは「ご飯食べながらワインを飲むなら、辛口ワインの方が邪魔しないでしょ?」という考えゆえです。
 
もちろん甘口のリースリングにピッタリの料理もたくさんあります。
しかしその甘さが食材を覆い隠してしまう、ということもあるでしょう。
飲んでいるうちに甘味でお腹いっぱいになってしまうかもしれません。
 
 
それに対して辛口のリースリングは、致命的に合わない食べ物があまりありません
「この料理にあわせてこのワイン」ではなく、食事を通しての1本として。
辛口リースリングは非常に使い勝手のいいワインです。
 
 

高級辛口リースリングの楽しみ方 ワインのみで

 
一方で「リースリングを美味しくしてくれる料理」というのには、私は未だ出会ったことがありません。
 
もちろん、素晴らしい料理とピッタリの高級リースリングの組み合わせはいろいろあるでしょう。
それでも考えてしまうのです。「別に1万円のリースリングじゃなくて、3000円で十分美味しいんじゃない?」
ワインと料理のマリアージュは、高価であればいいというものではなく、大事なのは相性です。
そして食事をしながらだと、ワインの差は感じ取りにくくなります。
 
 
ならば、高級なリースリングを最大限楽しむには、ワインだけで飲んだ方がいい
そして高級なリースリングはそれ単体で満足させてくれる力がある。
 
続いてブロイヤーがつくるリースリングのラインナップを紹介します。
単一畑からつくる上級クラスは、ぜひワインだけでそのスケール感を味わってください。
 
 

ブロイヤーがつくるリースリング

 
ゲオルグ・ブロイヤー醸造所のつくるワインの特徴。
それは何より、美しくも力強い酸味です。
そしてそれらが、全て12.5%以下のアルコールで実現されていることです。
 
フランスのアルザスにもオーストリアのヴァッハウにも素晴らしいリースリングはたくさんあります。
しかしその銘醸畑のリースリングの多くは、14%のアルコールを超える骨太な味わいです。
 
もちろんアルコールの多寡はどちらが優れているというものではありません。
しかし多くのワインが11%台で収まっている高級辛口リースリングは、そう多くはありません。
その繊細さ、風味のボリュームはあっても軽やかな口当たりは、他では真似できないスタイルです。
 
 

複雑さを生む樽熟成

 
ブロイヤーでは中級クラス以上はオーク樽で発酵・熟成を行います。
使用するのは長い期間使ってきた古樽、それも大樽です。
シャルドネの樽熟成のように、オークの風味をつけるという目的はありません。
 
 
その目的は木目をとおした微量の酸素接触。
この古樽熟成によって、リースリングの風味はより複雑なものになるといいます。
醸造段階で適度に酸素に触れたワインは、瓶詰後も劣化のリスクが低くなる傾向にあります。
この樽熟成もまた、ブロイヤーのワインが高い熟成ポテンシャルを持つ理由の一つです。
 
 

購入ブドウも用いたエントリークラス

 
とりあえず、カットレモンをまるかじりできない方にはこのワインをお勧めしません。
 
 
それほど鮮烈な酸味があります。
酸の値だけならもっと高いワインもありますが、エントリークラスだけあって果実味のボリュームが控えめなので、ひょっとすると最も酸っぱく感じるワインかもしれません
ブロイヤーワインの試金石と言えるでしょう。
 
別に酸が高いワインを飲めなくたって、ワインは楽しめます。
しかし楽しめるワインの幅が広い方が、ワインの選択肢が多い方が得するのも事実。
「明るい酸味」を楽しめるようになれば、あなたのワインに対する捉え方が変わるかもしれません
 
 

自社畑のみでつくる“村名格”

 
ラウエンタール村のブドウからつくる、畑名なしのいわば“村名格”のワインですが、主体となるのは特級相当の「ノンネンベルク」のブドウ
「ノンネンベルク」以外の畑のブドウも使っているため、畑名は表記できませんが、その特徴はよく表れています。
 
つまりブドウの質はすこぶる高い
エントリークラスの「ソヴァージュ」と比べて、酸の値はむしろ高いので酸っぱいかといえばそうでもない。
風味のボリューム感からむしろまろやかに感じることもあります。
 
数字だけで表すことのできない、ワインの不思議です。
 
 

“グラン・クリュ”をブレンドして作る『セカンドワイン』

 
私がブロイヤーで一番コストパフォーマンスが高いと感じているのが、この「テラ・モントーサ」。
その名前がラテン語で「急斜面」を意味するだけあり、急斜面の風味がストレートに感じ取れます。
 
それもそのはず、後述するブロイヤーが持つ4つの特級畑のブドウのみから作られるからです。
主に違うのはブドウの樹の樹齢。十分高いものは単一の特級畑クラスとしてリリースし、樹の植え替えなどのため樹齢の若いものをこのテラ・モントーサに使います。
 
急斜面ゆえの研ぎ澄まされたような酸味と味わいの力強さ
グラスに鼻を近づけた瞬間に、「これ、高いワインだ」と感じさせてくれるリースリングです。
 
 

単一畑からつくる“グラン・クリュ”

 
スタンダードクラスなどは畑のブレンドでつくり、上級クラスは単一畑からつくる。
この考え方はまさしくブルゴーニュ的であり、テロワールを大切にしていることの現れです。
 
当店でまだ扱っていないワインもありますが、併せてご紹介していきます。
 
 

リューデスハイム村「ベルク ロットラント」

 
 
畑の意味は「開かれた土地」。1074年には既に畑になっていたことが分かっています。
最も川のそばで標高が低く、ブドウが熟しやすい畑です。
特級畑のなかで最も果実味に厚みがあり、トロピカルフルーツのような風味を感じることがあります。
 
 

リューデスハイム村「ベルク ローゼンエック」

 
 
畑の意味は「バラの石垣」。畑の周りに多くのバラが植えられていたことに因みます。
他の畑よりも標高が高く、そのため収穫時期は一番遅く10月中旬になることもあります。
最も酸味がきれいで、エレガントなワインのできる畑です。
 
 

ラウエンタール村「ノンネンベルク」

 
 
畑の意味は「修道女の山」。
特筆すべきはブドウの樹齢の高さ。古いものでは70年を超えます。
ライン川から少し離れて内陸にある南東向きの畑。
上品ながらまろやかな口当たり。ひょっとするとブロイヤーのワインで一番万人受けするものかもしれません。
 
 

リューデスハイム村「ベルク シュロスベルク」

 
畑の名前を日本語にするなら「山・城山」
「どれだけ山を強調するの!?」というネーミングですが、それもそのはず。
ベルク・シュロスベルクの最大傾斜格はなんと60%!角度にして30度ほどです。
(以前最大斜度60度と輸入元資料にも記載していましたが、実際は60%だったそうです)
 
 
ブロイヤーの所有する畑の中でも最も急こう配で、そして最も素晴らしいワインを生む畑です。
 
そのため若いうちはともかく固い!
酸味もとんがっていますし、鉱物的な風味が強くて、「高いワインの味はするけど、素直に美味しいとは言えない」状態。
最低でもヴィンテージ+5年は置いておきたいところ。
 
今ならバックヴィンテージの「ベルク・シュロスベルク」もあります!
 
 
このベルク・シュロスベルクの特徴のもう一つはアートラベルであること。
つまりヴィンテージごとにエチケットのデザインが変わるのです。
 
アートラベルとしては、ボルドーの「シャトー・ムートン・ロートシルト」が有名ですが、ゲオルグ・ブロイヤーはムートンに次ぐ2番目に古い歴史を誇ります。
ベルク・シュロスベルクは非常に長命、何十年後に飲んでも美味しいワインです。例えばWine Adovocate誌による2018年ベルク・シュロスベルクの飲み頃予想は2024-2040年。「毎年エチケットが変わる」と聞くと、ついつい集めたくなっちゃいますね。
 
 

急斜面の畑といえばブロイヤーのリースリング!

 
研ぎ澄まされた、美しい酸味。
低いアルコールゆえの軽い口当たりにもかかわらず、その風味はグラスからあふれ出さんばかり。
そんなゲオルグ・ブロイヤーのつくるリースリングは、ドイツの冷涼な気候のもと急斜面の畑の厳しい環境で育ったがゆえの味わいです。
 
親しみやすさとは正反対の、飲み手を選ぶがゆえのストイックで卓越した味わいがここにあります。
 





※投稿に記載しているワインのヴィンテージ・価格は執筆時のものです。現在販売しているものと異なる場合があります。
購入の際は必ず商品ページにてご確認ください。




YouTubeバナー

-Pick Up 生産者
-, ,