日本における未来のワイン飲用シーンのため、今年もボジョレー・ヌーヴォーで収穫を祝いませんか?他にたくさん美味しいワインを知るあなたにも、一緒にこのイベントを楽しんでほしい理由があります。このワイン文化を守り受け継ぐことは、後の世代がワインの魅力を知る一助になると考えるからです。一人のワイン好きとして、秋の風物詩、ワイン最大のイベントをサポートしてみましょう。
「ボジョレー・ヌーヴォーってそもそも何?」ってところからやさしく解説した記事はこちら▼
COCOSで予約できるボジョレー・ヌーヴォー5選
当店ではこの5種類のボジョレー・ヌーヴォーの予約を承っています。
2024年11月21日木曜日、みなさまのお手元に届くように発送いたします。
凝縮度高めの2本、クラス違いで
当店が昔から取り扱っている生産者、ルイ・テット。今年も2種類のボジョレー・ヌーヴォーが入荷します。
生産者の特徴として、他と比べてちょっとだけ果実味の凝縮感が強い傾向です。その分酸味は穏やかで飲みごたえのある味わい。ただあくまで「他の生産者と比べたら」という話なので、ヴィンテージの影響は当然受けます。
その上で「格安」とは言えませんが、価格はちょっと抑えめ。これは輸入元さんの企業努力なのかなと感じております。
2種類の違いは樹齢。「サントネール」の方は一部樹齢100年超えの区画からつくられます。過去に飲み比べたときは、やはり「サントネール」の方が香りに奥行きがあった印象。
価格差が200円もないため、個人的には「サントネール」の方をおすすめしています。
父から子へ、その名声を受け継いで
ずいぶん前から定番かつ人気のボジョレー・ヌーヴォーとして親しまてきた「マルセル・ラピエール」ブランド。マルセル氏が他界し、「ラピエール・シャヌデ」とこの「シャトー・カンボン」ブランドへ移行し数年たちました。それでも今なお、「ラピエール・シャヌデ」ではなく「マルセル・ラピエール」として販売しているショップを見かけます。
ワイナリーは彼の妻と息子が引き継いでいるので、嘘を言っているわけではありません。長年ボジョレー・ヌーヴォーを販売してきた店舗において、それほど「マルセル・ラピエール」の名が絶大なのです。
偉大な父のあとを継ぐ息子は、常に比較される運命にあります。だからこそその未来に注目し応援したい。
昨年多くの予約をいただいたため、今年は数量を増やしてご用意しております。
ブルゴーニュきっての巨匠が選ぶ味
高級品揃いのブルゴーニュワインにおいても、ルロワのつくるものは別格です。味はもちろん優れていますが、何より値段が・・・。
主要株主であるため、高島屋さんに行けばルロワのワインは豊富に並んでいます。目玉の飛び出るような価格で。
それらと比べるならば、ボジョレー・ヌーヴォーは「ルロワのワイン」としてはまだ手が出ます。新酒ではない「ボジョレー」と比べてもそう大きく割高ではない。
「秋の風物詩なんだから、1本は飲んでおこうか。どうせならなるべく美味しいものを・・・」と考える方にとっては、まず検討すべき選択肢でしょう。
メゾン・ルロワですので、マダム・ルロワ氏が手掛けるわけではありません。ワインの状態で試飲して仕入れると聞くメゾンブランドですが、ボジョレー・ヌーヴォーについてはそれはできないはず。さすがに毎年の仕入れ先は決まっているでしょう。
それでもブルゴーニュきっての巨匠が、自らの看板を掲げるにふさわしいと選んだ味です。期待が持てます。
家でとりあえず「飲んだことにしたい」あなたへ
ボジョレー・ヌーヴォーは決して複雑な風味を持つワインではありません。軽やかな味わいは飲み進めやすいですが、「一人で1本飲むには多い。飽きてしまう」という方も中にはいるでしょう。
また解禁日は木曜日です。「解禁日に飲みたいけれども、どうせなら週末に同僚や友人と飲みに行きたい」という場合も。
そんな「一人でちょっと飲み」に便利なのがこちら。187mlのミニサイズで、グラスワインでいうと2杯弱。ちょっと物足りないくらいで飲み切ってしまうでしょう。
とりあえず今年も飲んだことにしたい方にもおすすめ。
風味の点ではそりゃあ先に紹介した4本に劣るでしょう。でもボジョレー・ヌーヴォーを季節のイベントととらえるなら、たまにはこんなワインもいいのではないでしょうか。
※小さなパックですが、それでも通常のワインと同じ送料がかかります。他のワインとあわせてのご注文をおすすめします。
ボジョレー・ヌーヴォーの概要とその盛衰
まずはボジョレー・ヌーヴォーについての基本的なこと。その定義や決まり、イベントとして現在の形にいたった経緯をご紹介します。
何度も飲んだことがある方にとっても、「そういえばこの理由は考えたことなかったな」という発見がきっとあるでしょう。
そもそも「ボジョレー・ヌーヴォー」とは
「ヌーヴォー」「ヌーボー」とは英語で「new」。新酒のことです。ボジョレー地方でつくられる新酒のことを指します。
法律上では「プリムール」と同義であり、どちらも表記可能。上記の「メゾン・ルロワ」のものは「プリムール」の表記を採用していますが、同じものです。
ボジョレー地方のワインとして許可されているもののうち、「ボジョレー」とより上級の「ボジョレー・ヴィラージュ」にて、新酒としての販売が認められています。タイプは赤ワインとロゼワインのみ。シャルドネからつくる「ボジョレー・ブラン」などは、新酒としての販売はできずもっと後にリリースされます。
ヌーヴォーを買いに来たんだけれど、白ワインはないの?
お客様のそんな声を小売店ではよく聞きます。その要望に応えるために、隣の地区の新酒「マコン・ヴィラージュ・ヌーヴォー」などが一緒に販売されているのをよく見かけます。
日本では世界最速で解禁される?
ボジョレー・ヌーヴォーを含むフランスの新酒は、11月の第3木曜日午前0時に「解禁」されます。それまでは販売や飲用目的で抜栓してはならないと決められています。それゆえ「解禁」という表現を使うのです。
主要消費国の中では、時差の関係で日本が最初に解禁日となります。
厳密にはニュージーランドなどは日本より3時間ほど早いのですが、生産国であることと人口の少なさから「主要消費国」とは考えられていないのでしょう。オークランドでボジョレー・ヌーヴォーは飲めるのでしょうか?
この「世界で最初に楽しめる」というのが、日本でボジョレー・ヌーヴォーの人気が高まった大きな要因となりました。
解禁日が設定される理由とは
日本人は初物好きです。ワインに限らず、海産物や農産物で解禁日が設けられています。
マーケティング的な材料になるという面もありますが、「ブランドを保つため」という目的もあります。
季節ものの野菜などが分かりやすいですが、出始めのころにスーパーに並ぶものは価格が高い割にモノは良くありません。供給量が少ないからです。それでも「ことしもこの季節か」とつい手が伸びますよね。
やがて多くの農家が出荷を開始すると、手頃に質のいいものが店頭に並びます。
多くの消費者が発売を楽しみにするような「ブランド」が確立してきたものについては、生産者が話し合って「解禁日」を決めることがあります。早く出荷することに競争して、品質をおろそかにしないためです。
例えば京都の「丹波黒大豆枝豆」は、その年の成長具合を見ながら10月初旬ごろに解禁日を決めています。
解禁日が定められず、なおかつ消費者が楽しみにしている場合。きっと「なるべく早く出荷して売り抜けよう」とするつくり手が出てきます。多くの場合、品質は2の次にされます。それを手にした消費者はがっかりしてしまうかもしれません。きちんとした品質でつくる生産者も売りにくくなってしまいます。
それを避けるために、出荷の早さで競争しないことに決めているのです。
ボジョレー・ヌーヴォーをはじめ、フランスの新酒全般に最短の販売日が決められているのもその理由です。
新酒として11月の第3木曜日に販売するためには、他のワインに比べて醸造期間はかなり短めです。8月末~9月上旬頃にブドウを収穫し、輸送を考えると10月半ばには瓶詰するのですから。
新酒として販売が認められているのは、そうした短い期間の醸造でも美味しくつくれるタイプのワインのみ。無理なくワインが出来上がる日程として、この解禁日なのです。
解禁日が木曜日な理由
イタリアの新酒である「ノヴェッロ」、オーストリアの「ホイリゲ」などは解禁日の日付が固定です。それに対してボジョレー・ヌーヴォーは曜日で指定されています。
これは流通業者のことを考えてだといいます。
日付で固定した場合は、毎年曜日が変わります。解禁日が月曜日の場合は、前日に配送業者が動いていなくてワインが届かないという事態も考えられたそうです。日本は流通業者さんが優秀なのでピンときませんが、フランスではまあなんとなく想像できそう。
解禁日に一斉に発売できるようにと、何度かの改定を経て11月の第3木曜日と決まったそうです。2024年は11月21日です。
かつてはカウントダウンイベントも
この解禁日は世界共通ですが、「午前0時」は現地時間に準じます。
大きな消費国の中では日本が一番最初に解禁される。それが新しいもの好きの日本人に受けたのでしょう。特に1997年から2000年代半ばあたりのワインブームに乗って、ボジョレー・ヌーヴォーのイベントは大きな盛り上がりを見せました。
深夜営業しているワインバーなどでは、今でも日付が変わると同時に提供が始まります。
かつては解禁を心待ちにする人に向けたカウントダウンイベントも行われたようですが、最近ではあまり目にしません。
近年輸入量は減少傾向
日経新聞によると、2022年のボジョレー・ヌーヴォーの輸入量はおよそ16万ケース、192万本ほど。
一昨年はウクライナ戦争の影響で運賃が高騰し、それまでに比べて販売価格が高騰。販売量が減った年でした。それでもこれだけの数が輸入されているのです。
ただしその人気はピーク時に比べれば激減しています。2004年には104万ケース1200万本あまりが輸入されていたそうです。単純計算、日本人の10人に一人は飲んでいたことに。
なお、2022年の日本のワイン輸入量は約1.6億リットル、2.2憶本ほどでした。「たった1%」程度とも考えられます。しかし11月のこの時期に他のワインと並行して1%が動き、その1%がニュースになるのは大きな意味があります。
空輸されるために割高である
フランスから日本へ船で輸送するのは、2か月程度かかると言われています。10月半ばに出荷されたとしても、船で輸送したのでは解禁日に間に合いません。
ゆえにボジョレー・ヌーヴォーは航空便で輸送されます。当然その運賃は、船に比べて割高です。詳しい金額はわかりませんが、数倍と言われています。しかも2022年にはウクライナ戦争が始まったため、日本⇔ヨーロッパ間の最短ルートであるロシア上空を飛行機が飛べません。大きく迂回して運んでくるので、運賃も高止まりしています。
ゆえにボジョレー・ヌーヴォーと同じ価格帯のほかのワインを比較したとき、ワインの原価が高いのは他の船便輸入のワインです。
価格で比較してボジョレー・ヌーヴォーが「それほど美味しくない」と感じるなら、正確な舌をお持ちだということです。
ボジョレー・ヌーヴォーの味わいと醸造法
ボジョレー・ヌーヴォーをつくる際は、つくってすぐ美味しく飲める製法をとることが法律で義務付けられています。専門用語で「マセラシオン・カルボニック」と呼びます。
ボジョレー・ヌーヴォーの典型的な味わい
イチゴやスモモ、クランベリーのような赤系果実の香り。バナナのような甘い風味も。口当たりは軽く、タンニンはほぼ感じません。果実味に厚みがあって酸味が低いか、シャープで上品な酸味を持つかは、そのヴィンテージの特徴をよく反映します。
このような味わいには、製法の影響が強く表れています。
ガメイは別に、タンニンの少ない品種ではありません。それどころか優良な畑で新酒用ではない製法でつくったものは、何十年と熟成するポテンシャルを持ちます。
生産者も必要としているだろうボジョレー・ヌーヴォー
買ったワインを10年~20年と熟成させて飲む。そんな楽しみ方をしている人はワイン好きの中でもごく一部です。ガメイは熟成ポテンシャルのあるワインをつくれる品種だとはいえ、それを求める人は限られます。
またボジョレー地方の面積はブルゴーニュ全体の1/3ほどもあり広大。生産量も多いです。10年後まで大切にとっておく価値のあるワインを生み出すのは、その中の限られたエリアだけ。
ボジョレー・ヌーヴォーには、「販売してすぐ美味しいタイプのワインとして、生産量のうちの多くを売り切りたい」という生産者の意図もあるはずです。
ガメイというブドウの性質と、マセラシオン・カルボニックという醸造法。それから新酒としてすぐに多くの人に飲んでもらいたい事情。それらがあわさって、フルーティーでチャーミングなこの味わいなのです。
ワインに不慣れな方にとって、赤ワインの渋味は好ましく感じないことが多いでしょう。一方でフルーツのような香りは「美味しそう」と感じやすいはず。
ボジョレー・ヌーヴォーは香り豊かなものが多いので、他のお酒との違いを感じやすいです。ワイン初心者に好まれやすい味なのは、新酒だからです。
最大のワインイベントが果たす役割
日本中で同じころに同じワインを飲む。生産者はそれぞれ違えど、「ボジョレー・ヌーヴォー」という赤ワインの味わいを、それぞれに楽しんでそれが話題に上る。
こんな機会は他にありません。
日本におけるワインマーケティングにおいて、ボジョレー・ヌーヴォーが最大の成功例であることは間違いないでしょう。
ワインが日本中の話題に上る日
日本中のお酒を飲む大人の間で、特定のワインが話題になるとき。ワインを飲もうという気分にさせるもの。
それはボジョレー・ヌーヴォーのイベントを置いてほかにありません。
そしてこれは、普段はワインを飲まない消費者をも巻き込む力をもっています。
「今年のボジョレー・ヌーヴォー、もう飲んだ?」
会社の同僚とこんな会話をするお酒、ほかにないはずです。
比較するなら8月18日は国際ピノ・ノワールデーです。ピノ・ノワールは非常に人気の高い品種です。
だからといってこの日に意識してピノ・ノワールを飲んでいる方は多くない。もし同じ日に飲んでいたとしても、2000円の若いピノ・ノワールを飲んだ人と、30万円する熟成したピノ・ノワールを飲んだ人とでは話があうはずもありません。
身近な人と「美味しい」を共有できる
家族や親しい友人となら、一緒に食卓を囲んで「美味しい」を共有する機会はたくさんあるでしょう。でも頻繁にそれができる人はそう多くないはず。年に1回でも一緒にお酒を飲む人、何十人いますか?
例えば顔を合わせるだけの会社の同僚みたいに、親しさがそれほどではない人でも、ボジョレー・ヌーヴォーは共通の話題になります。「飲んでおいしかった~」なら言うことなしですが、「今年はおれ、イマイチだったと思う」でもいいんです。「どこで飲んだの?」といった会話の切り口になれば。
ボジョレー・ヌーヴォー解禁というイベントが、人と人との距離を縮めるきっかけになってほしい。そうであるならば、たとえこの時期だけでも「ワインを飲もう」という人口が増えていくはず。だからこの文化はこの先何十年も続いていってほしいと願います。
「お祭り」に正しく乗っかる
ボジョレー・ヌーヴォーは今年もブドウが収穫できたことを祝うお祭りです。
偏見かもしれませんが、縁日の屋台のフランクフルトを見て「こんなの、業務スーパーで買ったら価格10分の1だよ」なんていうのは無粋だと思うのです。お祭りの雰囲気を含めて、その体験にお金を払いたい。
ボジョレー・ヌーヴォーは航空便で輸入するので確かに割高です。現地フランスで飲むならもっと安いのでしょう。でも1年に1度のイベントにまで、コスパを追求しなければいけませんか?
だからお祭りだと思って楽しみましょう。イベントのノリに正しく乗っかることをおすすめします。
皆で味わう「美味しい」がワイン人口を増やす
ワイン上級者もボジョレー・ヌーヴォーを楽しんでほしい理由。
それは日本全国で同じワインを飲むという体験を共有できるからです。
「美味しい」と感じてもあまり感じなくても、人と人とがつながり、楽しい時間を過ごす。「去年はもっとこうだった~」のような季節ものならではの話をする。
それを通してワインを好きなる人がちょっとずつ増えることを願うからです。
生産者にとって魅力的な日本市場であるために
あなたはこんなイベントがなくたって1年中ワインを飲んでいるのかもしれません。他に飲みたいワインはいくらでもある。あるいはボジョレー・ヌーヴォーの軽快な味はあまり好きなタイプではない。
たとえそうだとしても、この風物詩を肯定してあげてほしいし、楽しむ人を馬鹿にしないでほしい。
それは日本におけるワイン市場の未来のためです。先ほど述べた「ワインになじみのない人が関心を持つ機会」というのが1つも。もう一つは海外の生産者にとって日本市場が魅力的であり続けるためです。
酒市場の現状
率直に申しましてお酒の製造・販売は斜陽産業です。
まず日本の総人口は平成20年をピークに減少しています。令和3年にかけて2%減り、しかも少子高齢化が進んでいます。
お酒を飲める人口は減っていくのに、一人当たりの消費量もおおむね右肩下がりです。
結果として酒類の販売数量はじわじわと減ってきています。これには近年の健康志向も関係しているでしょう。お酒は控えめに。あるいは飲まない。
この傾向は今後も強まることはあれど、「みんな、しこたま酒を飲もうぜ!」という世の中に今後なることは考えられません。
ワインは果実酒に分類されます。もともとわずかな割合だったので、消費量の推移はほぼ横ばい。清酒やビールと比べるとキープできている方ですが、今後も大きな伸びは期待できません。
日本の総合的な酒市場は、量の面では面白みのない、シェアを奪い合うだけのマーケットなのです。大手ワイナリーのマーケターは、当然この数字を知っているでしょう。
日本は「今後注力する価値がやや薄いマーケット」と捉えられても不思議ではありません。
ボジョレー・ヌーヴォーの人気が続くならば・・・
一方でボジョレー・ヌーヴォーの知名度・人気がここまで高まり、そして今なお続いている。その事実には注目しているはずです。
様々な外的要因はあったでしょう。それでもワインのマーケティングにおいては、史上まれにみる成功例であることは間違いありません。
「ボジョレー・ヌーヴォーをありがたがるのは日本だけ」そんな話を聞いたことはないでしょうか。真偽はともあれ、ボジョレー・ヌーヴォーにとって今なお日本は主要な輸出先です。
プロモーションが大成功して長続きした実績がある市場と、そうでない市場。マーケターにとってどちらが魅力的かは明白です。
さらに生産者にとってこうは考えないでしょうか。
航空便で送られてくる3000~4000円前後のワインが、秋のこの時期にドカンと売れる。「うちのワインはもっと安くて美味しいぜ。じゃあ上手に販売すれば日本で飛ぶように売れるんじゃない?」
そんな単純ではないにせよ、「ワインに対して興味・関心が高い市場」と映るはずです。
魅力的な市場に対してはプロモーションを積極的に行うし、数に限りがある良いワインもおおく割り当てるでしょう。その傾向は、ボジョレー・ヌーヴォーにはもう飽きてしまったかもしれないあなたにも、メリットになり得るはずです。
20年後、50年後の日本のワイン市場のために
娯楽が多様化した時代、嗜好品であるお酒・ワインばかりに注目が集まることはありません。他に魅力的なコンテンツが山ほどあります。
その中で若い人にも関心をもってもらい、産業を支える消費者を増やすには、様々な機関と組織が連携してのプロモーションが必要と考えます。その中にはワインの生産者団体や生産国の外務省の協力が含まれます。
少し大げさかもしれませんが、ボジョレー・ヌーヴォーのイベントには日本中の、そして世界のマーケター関心が集まります。その活況は未来の日本におけるワイン飲用シーンが、ちょっとだけいいものになることにつながっていると私は考えます。
「ボジョレー・ヌーヴォー解禁!」が永く続くことを願って
ボジョレー・ヌーヴォーのイベントは良いことばかりではありません。
生産者の中にも疑問を呈する人もいます。
サスティナビリティ、SDGsが叫ばれる昨今。航空便で重たいワインを輸送するには、大量の化石燃料を消費します。船便での輸送よりずっと多いと聞きます。そうまでして解禁日に新酒を楽しむ必要性はあるのか。12月に船便で届いてからでいいのではないか。
またライトな消費者層において、その次の設計が不十分とも考えられます。本当にボジョレー・ヌーヴォーはワインの入口になっているのか。その後興味を深めワインに慣れ親しんでいくためのガイドは十分か。結局「ワインを飲むのは11月のこの時期だけ」になっている人が大半ではないのか。
我々販売側は、ボジョレー・ヌーヴォーの販売数量だけを考えればいいのではありません。正直、手間の割にそんなに利益額は多くないです。
だからこそ先人が盛り上げてきたボジョレー・ヌーヴォーのイベントを、もっとワインの啓もう活動につなげるために何ができるか。それを考え実践する必要があると感じています。
ボジョレー・ヌーヴォーがワインにとっての主要イベント、年に一度のお祭りでありつづけるために。みなさまワイン好きの協力が必要です。
「今年の出来はもう一つだったな」でも構いません。別にCOCOSで買って飲まなくてもいいです。関心を寄せて話題にしていただきたい。
それがワインに魅せられてそれを伝えたいと考える者としての願いです。