《テイスティングノート》
ベースとなる香りはこの品種らしいライチやバラの華やかなもの。しかしその奥に山椒のようなスパイスと、なんとも言えない深みを感じます。「ヴァンダンジュ・タルティヴ」などの表記はないのが不思議なくらいの芳醇な甘味。輸入元さんに明確な数値情報はありませんが、試飲からは70g/L程度と予想します。熟成によるものでしょうか、濃厚なゲヴュルツトラミネールにありがちな果実味の主張がそう強くはありません。
余計なものも足りないものもない。ワイン単体でずっと飲み続けたくなるような、うっとりするような味わいです。
《生産者について》
アルザスの中には自然任せのつくりで個性を出そうという生産者が近年少なくありませんが、ドメーヌ・ジンクは違います。流行に流されるのではなく、品種の個性を忠実に表現するワイン。ともすれば「ありきたりでつまらない」と捉えられかねませんが、それは教科書通りの味わいでいつ飲んでも期待通りの味である安心感の裏がえしです。
ジンクでも有機栽培を行っておりビオディナミに転換中。それは「偉大なワインは台地から生まれる」という信念に基づくから。同時に「醸造には最新の注意が必要」とも考えており、不介入主義とは一線を画しています。
Gewurtztraminer Goldert Grand Cru Domaine Zinck