《日本ワインの弱み》
雨が多く土壌の保水性も高い日本。「力強い赤ワイン」を非常につくりにくい環境です。
加えて生産量を増やしにくく、ワインの値段が割高になりがち。
だからこそ「日本ワインなんて、高いわりにあまりおいしくない」というイメージを持っておられる方も少なくないでしょう。完全に否定することはできません。
知人にそんな方がおられたら、ワインボトルをアルミホイルで巻いて銘柄を隠し、飲ませてあげてほしいワインがこちらです。
《生産者について》
鹿児島に本社を持つ焼酎メーカー本坊酒造が、洋酒生産に乗り出すために山梨県に1960年に設立したのが、マルス山梨ワイナリーです。
今や全国に400近くある日本のワイナリーの中で、比較的手ごろな価格で楽しめるのがマルスワインの魅力です。それは安定した生産量と財務基盤を持つため。
2017年にはマルス穂坂ワイナリーも設立し、たくさんの観光客を受け入れています。
《このワインについて》
マルス穂坂ワイナリーの近くにある自社畑、穂坂日之城農園のブドウと、近隣の契約農家より収穫されたブドウを使用。そういう意味ではフラッグシップライン「日之城」シリーズのセカンドワイン的な位置づけ。新樽比率の公表はありませんが、樽熟成を34か月と長くとっているのが特徴です。
ブラックチェリーやカシス、杉、なめし皮といった、複雑で引き締まった香り。バニラやタバコのような樽熟成の風味も感じます。カベルネ・ソーヴィニヨンらしいしっかりと噛み応えのあるタンニンを持ち、余韻も程よく続きます。
暖かい年のボルドーのような雰囲気を持った赤ワインです。「飲んでがっかり」ということはまずないでしょう。
Chateau Mars Hosaka San-no-Kura Rouge