《このワインについて》
限られた時間の中で多くの業務とトラブル対処をこなし、沸いた頭で帰宅。いつもの椅子やソファーに腰を落ち着けてようやく一息付けた。ごはんをつくるまでにちょっと時間が欲しい。そんな気持ちをクールダウンしたいタイミングでは、この半辛口のリースリングがドンピシャです。
一例として2021年ヴィンテージの残糖度は11.1g/L。この絶妙な残糖がいい!リースリングの酸味のシャープさをやわらげ、やさしい印象にしてくれてるので、ささくれだった心が癒されます。9g/L以下がトロッケン = 辛口の基準なので、ほとんど辛口に近い半辛口です。しかも酸度が8.1g/Lと高いので、晩御飯にもそのまま食中酒として楽しめます。
「フォン ブンテン シェーファー」というのは畑名ではなく、「色とりどりの粘板岩から」という意味。ラインガウでメジャーな粘板岩土壌ですが、灰色・緑・青紫などいくつかの種類に分けられます。いくつかの畑・区画をブレンドしてつくることを示します。
スレート土壌の硬質な風味もありながら、柑橘などの繊細なフルーツの香りも感じます。
フレート・プリンツ氏はまず醸造家として名をはせた人物。21歳の時にワインづくりをはじめ、25歳の時にはドイツを代表する名門「クロスター・エーバーバッハ」で働き始めます。12世紀からワインづくりが続く、「老舗」どころじゃない重要ワイナリーです。
当時勢いを失っていたそこのワインについて、スタイルを変更することを提案。畑の個性を引き出してミネラル感のある特別なワインに仕上げるべく改革を行ったのです。その功績が認められて2002年には醸造責任者に就任。しかし自身のワイナリーに専念すべく、2004年に惜しまれつつ退社しました。
200軒程度しか加盟者のいない、審査が厳しいVDP(ドイツ高級ワイン生産者連盟)に、なんと独立の翌年に加入が認められています。それだけ彼の醸造家としての腕に、同業者からの信頼があったのです。
しかし彼は「畑仕事が何より大切だ」と語り、2009年にはオーガニックに転換してユーロリーフ認証を取得。2018年からはビオディナミを採用しています。それも品質向上のためだといいます。
Prinz Riesling Feinherb