《ラインヘッセンについて》
日本で流通している1000円前後のドイツワイン。その多くがラインヘッセン地方でつくられるものです。
ラインヘッセンは13あるドイツの生産地域の中で最大面積。「千の丘」の名の通り、なだらかな丘陵地帯が広大に広がります。だから農業の機械化がしやすく、他の地区に多い急斜面の畑と比較して、リーズナブルなワインを生産しやすいのが特徴です。それもあって、モーゼルやラインガウのような凝縮感のある上級ワインはつくれない産地、安ワインの産地というイメージを持つ人が少なくないでしょう。
しかしヴァグナー・シュテンペルのワインを飲めば、その認識を改めざるを得ません。
《テイスティングノート》
ともかく緊張感のあるミネラル感と立体的なストラクチャーに度肝を抜かれます。
シトラスフルーツ、ハーブ、スパイスに白い花のアロマ。塩味が効いたスパイシーなアロマで始まり、砂糖漬けのジンジャーやマンダリンの皮に、きめ細かいミネラルと美しい酸が折り重なります。重厚感のあるフィニッシュと素晴らしく表現力に富んだ余韻は偉大なポテンシャルを感じさせます。
完全にグラン・ヴァンの風格。「所詮ラインヘッセンでしょ・・・」そんな思い込みは一口で吹き飛びます。
《生産者について》
ラインヘッセンの最西部にあるジーファースハイム村。ヴァグナー・シュテンペルはそこに18haの畑を持ちます。ラインヘッセンで唯一の火山性土壌であることが特徴で、それがスパイシーなアロマに寄与していると予想されます。辛口ワインに特化した高品質なワインづくりが評価され、2004年にはVDP(ドイツ高級ワイン生産者連盟)に加入しました。
Riesling Heerkretz GG Wagner Stempel